足立の捜索について特に進展の類もないままに、午後も3時近くになる。
ただし、今日は何の進展もなかったかといえば、そういう訳ではない。
具体的には、美鶴が桐条グループを通して警視庁……そして稲羽署と交渉した結果、堂島一家が無事に天城屋旅館で寝泊まり出来るようになったのだ。
宿泊料金は、早紀と同じく警視庁や稲羽署の支払いで。
まぁ、これを進展と表現してもいいのかどうかは、正直微妙なところだ。
だが堂島が足立との関わりが深いと考えれば、もしかしたら堂島を目当てに足立が何らかの動きを見せないとも限らないと判断されたらしい。
そんな訳で、堂島はこれから家に行って先に菜々子を連れてくる事になる。
鳴上は高校生で菜々子よりも安全だというのがある。
あるいはこの時間ならもしかしたら鳴上も学校を終わって家に帰ってきている可能性も……ない訳ではない。
学校が終わって真っ直ぐ家に帰ってきても時間的に厳しいし、どこかに寄り道でもしていれば絶対に間に合わない時間だが。
ただ、その場合も後で迎えにいくなり、もしくは鳴上が自分で天城屋旅館に来るなりといったように伝言を残すらしい。
鳴上の扱いが雑なような気もするが……まぁ、俺と美鶴の間では未だに鳴上が主人公であるという可能性は完全に否定された訳ではない。
つまり、もし鳴上が何かピンチになったら、それが切っ掛けでペルソナが覚醒する可能性もある。
勿論、本当の意味で危険なら、すぐに介入するようにシャドウワーカーの中でも現在外にいる者に対して、指示されているらしいが。
そんな訳で、多少なりとも事態が進んだ訳だが……
「何で俺も一緒に行く必要があるんだ?」
「護衛に決まっているだろう。アクセルが護衛をするのなら、もし足立がペルソナを使ってきても何の心配もいらない」
美鶴のその言葉に、なるほどと納得してしまう。
実際問題、現在手の空いている者というのは俺以外にはいない。
いやまぁ、早紀はそこまで忙しくないが……そもそも早紀も一緒に行くしな。
早紀が堂島の家に一緒に行く理由は、そう難しい話ではない。
菜々子が知らない場所に行く時、少しでも知っていた者がいた方がいいだろうという事からだ。
実際には早紀と菜々子は少し話をした事がある程度なのだが、その短い時間で菜々子は随分と早紀に懐いていたのを思い出す。
コニシ酒店に行った時には弟がいたし、そういう意味では早紀は年下の相手に慣れているのかもしれないな。
もっとも早紀の弟は高校1年で、菜々子は小学1年。
その年の差は大きい。
そう考えると、最初から早紀は年下の相手が得意なのだろう。
……もっとも早紀が堂島の家に行くのは、菜々子の相手もそうだが、堂島と一緒にいたい、少しでもアピールしたいという思いが強いのかもしれないが。
正直なところ、早紀はそこまで恋愛に一途……いや、熱心? そんな感じには見えなかったのだが。
それでも女は恋をすれば変わるという事なのだろう。
そういう意味でも、俺が堂島と一緒に行くのはお邪魔虫になりかねないような気がしないでもない。
ただ、いざという時の事を考えれば……鳴上よりも堂島や菜々子、早紀といった面々の方が狙われる可能性が高いのも事実。
だからこそ、美鶴は俺に一緒に行くように言ったんだろうが。
「悪いな」
そう堂島が俺に言ってくる。
堂島にしてみれば、足立と同年代……のように見える俺に護衛をして貰うのは、思うところもあるのだろう。
だが、それを表情に出さないようにしてるのは、さすがと言うべきか。
もっとも堂島は俺の魔法とかそういうのを見ている以上、護衛に相応しい実力を持っているというのは理解しているのだろうが。
もし足立がペルソナを使ってきたり、もしくはシャドウを誘導して俺達を襲わせようとしても、俺なら十分に対処が出来ると、そう理解しているのだろう。
実際に俺なら何とか出来るというのは間違いじゃないし。
「気にするな。ここで足立が襲ってきたら、それこそあっさりと事件は解決するんだけどな」
足立がTVの中に入る能力があり、ペルソナ使いとして覚醒したとしても……俺が倒した――正確には封印した――ニュクスより強いという事はまずない。
であれば、俺が正面から戦って足立に負けるという事はまずない。
もっとも、絶対的に俺の方が有利だからといって相手を侮ったりすれば、負けないまでも逃がしてしまうかもしれなかったが。
だからこそ、出て来たら即座に制圧するつもりなのだが……
「もっとも足立は俺が普通の存在ではないと知っている。そんな状況で俺の前に出て来るとは思えないけどな」
そう、稲羽署の取調室に影のゲートを使って俺が現れたのは足立も見ている。
具体的にどうやって俺が現れたのかまでは分からないだろうが、だからこそ、向こうにとっては全く理解出来ない俺が堂島や菜々子、早紀といった面々と一緒にいれば、もし足立が堂島達を見つけても手を出す事はまずない。
「ふん、それは少し困ったな。……まぁ、いずれ足立は捕まえる。せめてこれ以上罪を犯さないようにするのが、相棒である俺の仕事だろう」
相棒というのはそこまでするのか?
いや、長年の相棒ならそれも分かるが、俺が聞いた話だと堂島と足立がコンビを組んでからまだそんなに時間は経っていない筈だ。
……何だかんだと、堂島は情が深いらしい。
実際には、もしかしたら何らかの要素が重なってしまって、誤解されてるだけかもしれないとう風にも思っているところもあるらしいが。
ただ、俺からすればそんな事はまずないと思うが。
「ともあれ、車の準備を頼む。……それよりも、いっそ俺の魔法で移動するか?」
「止めてくれ。すぐに準備するから待ってろ」
俺が影のゲートを使う光景は、堂島も自分の目で見ている。
だが、だからといって自分がその影のゲートを使って転移するのはごめんらしい。
この辺、堂島の頑固さというか、強情さというか……そんな感じが現れていた。
とはいえ、それでこそ堂島と思えるのは間違いないのだが。
「その、アクセルさん。ごめんなさい。私も一緒に行くなんて言って」
堂島がいなくなると、早紀が俺に向かってそう謝ってくる。
早紀は恐らくだが、俺が早紀の堂島に対する恋心について気が付いているのを予想している。
だからこそ、こういう風に言ってきたのだろう。
「気にするな。菜々子の相手をする意味でも、早紀がいてくれると助かるし」
「……ありがとう」
俺の言葉に笑みを浮かべる早紀。
「まぁ、頑張れ。それより外に出るぞ。堂島が車を持ってくるって言ってたから、ここで時間を潰しすぎると待たせる事になるし」
その言葉に早紀は少し驚いたように頷くと、急いで旅館から出ていく。
俺もそんな早紀を追って旅館から出る。
さて……足立が姿を現したりはしないんだろうな。
出てくれば楽だが、楽だからこそ足立も危険を察知して出てくる事はないと思う。
旅館から出ると、ちょうど堂島が車を旅館の前に停めたところだった。
早紀は堂島の車に向かっている。
今更だけど、堂島の車は普通の乗用車だ。
軽自動車じゃない分だけ広いので、荷物の搭載量は多いだろうが、菜々子や鳴上を乗せて、その上で荷物を持っていくのは難しいんじゃないか?
着替えや学校の道具、それ以外にも私物が色々。
それらをバッグの類に入れて持っていくとなると、荷物の量はかなり多くなる筈だ。
運転席と助手席に1人ずつ、そして後部座席に3人の合計5人乗りの車だ。
だとすれば、堂島、早紀、菜々子、俺……そしていれば鳴上。
菜々子はまだ小さいのである程度の余裕はあるものの、荷物を持っていく分だけ全員となると、それはそれで難しい。
だとすれば、やはりここは空間倉庫に入れた方がいいか。
「アクセル、どうした? 行くからさっさと乗れ」
空間倉庫に入れた方がいいのかどうかを考えていたが、堂島に呼ばれて我に返る。
「ああ、悪い」
車を見れば、早紀が助手席に座っていた。
早紀の目的を考えれば、それは当然かもしれないが。
別にどうしても助手席に乗りたかった訳でもないので、俺は後部座席に座る。
「よし、じゃあ行くぞ」
堂島は俺がしっかりとシートベルトを締めたのを確認してから、そう言う。
俺には物理攻撃は効かないので、わざわざシートベルトをする必要はないんだが。
とはいえ、刑事の堂島が運転する車なのにシートベルトをしないというのは、体裁としても不味いのだろう。
そんな訳で、俺は素直にシートベルトを締めた。
田舎だからそんなに交通事故とかは多く……いや、田舎だからこそ車を使ってる者が多いし、そうなれば必然的に交通事故が多くなるのか。
「アクセルは車を持ってないのか?」
出発して少ししたところで、不意に堂島がそう尋ねてくる。
早紀と色々と話していればいいものを、何故ここで俺に声を掛けてくるんだろうな。
あるいは早紀が話し掛けてきて対応に困ったとか。
……年齢差を考えれば仕方がないか。
「特に車は持ってないな」
これは事実だ。
俺は特に車の類を持っていない。
……人型機動兵器なら持ってるけど。
「俺は車で移動したりすることが滅多にないしな。堂島と早紀なら知ってるだろうけど、俺は影のゲートという転移魔法を使える。これがあれば、わざわざ車で移動したりはしなくてもいいし」
「いや、だが……魔法? それは公に出来ないだろう? なら、車で移動する必要もあったりするんじゃないか?」
「東京とかだと、移動手段にはあまり困らないしな。それに車が必要なら、美鶴に借りればいいし」
「それはどうかと思うがな」
若干の呆れと共に堂島が言う。
ん? 今の俺の言葉にどこか呆れる要素があったか?
そう思って考えると、誤魔化す為に美鶴から借りると言ったが、これは改めて聞いてみるとヒモか何かのように思えなくもない。
いやまぁ、俺はきちんと働いているが。
とはいえシャドウミラーとかホワイトスターとか、そういう関係の情報を知らない場合、美鶴のヒモのように思えてもおかしくはない。
とはいえ、一応稲羽署の方で今回の件があった時に俺の事は色々と調べているのだろうが……俺を含めた主なメンバーの戸籍とかその辺は、桐条グループの力で偽造されている。
それこそ国家機関が本腰を入れて調べても分からないのだから、地方の警察署が調べて分かる筈がない。
もっとも、もし稲羽署の面々が調べて何かおかしいと思えば、専門の機関に調べて貰うとかするかもしれないが、今のところ何の動きもないのを見れば、俺達の戸籍とかそういうのを見ておかしいとは思っていないらしい。
そういうのを感じるよりも前に、シャドウワーカーとして警視庁を通して連絡をしたので、それどころじゃなかったというのもあるんだろうが。
「まぁ、いざとなったら車でもバイクでも買えるだけの金はあるとだけ言っておくよ」
「羨ましいな」
そう言う堂島だったが、それが本気で言ってるかどうかは微妙なところだ。
あるいは俺がどうやってそんな金を貯めたのかを疑問に思ってるのか。
……実際、空間倉庫の中には宝石とか金のインゴットとかあるので、身分証も問題ない俺は売ろうと思えばそれを売って金に出来るし。
後は……ちょっと変わったところでは、エヴァからの要望によって鬼滅世界で保護した職人達が作った品を売るとか。
この時代ではもう滅びているとか何とかで、それを売れば結構な値段になるだろう。
もっとも、鬼滅世界からそれらを持ってくるという事は、作られてからそれ程時間が経っていないのを持ってくるという事を意味している。
骨董品の類を調べる時は、作られてからどのくらいの時間が経ったのかというのも大きな要素だ。
そんな中で作られたばかりの物が出て来た場合、それはとてもではないが骨董品とは認められないだろう。
誰かが失われた技術を復活させたと思われるだけだ。
だが、そうなるとそれはそれで面倒な事になる。
何しろ失われた技術を復活させたのだ。
全国的なニュースになるだろうし、場合によっては海外にも流れるだろう。
そうなれば、どうしても目立ってしまう。
別にどうしても目立ちたくないといった訳ではないが、悪い意味で大きく目立つのは少し困る。
それで注目され、俺の事を調べて疑問を持つ者が出てくる可能性は十分にあるのだから。
そうならないようにする為には、やはりこの案はなしだな。
「最近は沈没船のサルベージとか少し面白そうだと思ってる」
「……本気か?」
適当に誤魔化すようにそう言う。
実際、やろうと思えば出来るのだが。
混沌精霊の俺は、生身で宇宙空間に出る事が出来る。
当然海中も同様だ。
基本的にはサルベージというのは、費用が掛かりすぎて一般的な仕事ではない。
だが俺の場合は、それこそ空気とかも気にしなくてもよく、深海で船を発見すれば空間倉庫で収納が可能だ。
そういう意味では、サルベージもそこまで悪い仕事ではないと思えるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820