堂島の家に到着すると、すぐに車から出る。
そこまで急ぐ必要があるのか? と思わないでもなかったが、堂島にしてみれば娘の事だ。
もし何かがあったら……という風に思ってしまうのも仕方がないだろう。
早紀がそんな堂島を追い、俺もその後に続く。
「菜々子!」
家に入るなり叫ぶ堂島。
そんな堂島の声はまだ家に入っていない俺の耳にも聞こえてくる。
いや、これは単純に俺が混沌精霊で耳がいいからではなく、普通の人間であっても聞こえるだろう。
車の中では堂島もそこまで心配そうな様子を見せていなかったのだが。
それでもこういう様子を見せるということは、態度や表情には出さなかったが、それでもやはり菜々子の事が心配だったのだろう。
無理もないか。
まだ俺が菜々子に会ったのは1回だけだが、それでも菜々子が父親の堂島を慕っており、いわゆる良い子なのは間違いない。
それだけに足立に連れ去られたら……と、そんな風に思ってもおかしくはなかった。
これ、本当に炎獣を護衛にした方がいいのか?
けどこのペルソナ世界は魔法とかはない……いや、実際にはあるが、表向きにはない事になっているから、炎獣が他の者に見つかるとかなり面倒な事になる。
X世界のように戦後復興期で、多少魔法とかを見せても見間違いで誤魔化せたり、もしくは本当であっても情報を広める手段がないなら、そこまで問題はないんだが。
このペルソナ世界ではそういう事はないしな。
あるいは現在のペルソナ世界ではシャドウミラーが接触してるのは桐条グループだけだが、シャドウミラーとして大々的に表に出てきたりすれば……それはそれで問題があるか。
今の状況を考えると、菜々子を助ける為でもさすがにそこまでやるのは色々と不味い。
であれば、コバッタは……ペットロボットとしてはちょっと難しいか?
いや、桐条グループの試作機という事にすれば、あるいは。
そう思うも、その試作機という事にしたコバッタを菜々子に渡して護衛にするとなると、今度はまた別の問題も起きる。
具体的には、産業スパイ。
桐条グループは日本でも有数の企業グループだ。
それはつまり、世界全体で見ても上位に位置する企業グループであるという事を意味している。
勿論、世界1位だととかは言わないが。
それでも世界上位に位置する桐条グループの試作機を田舎の小学生が持っていると知れば、どうなるか。
桐条グループの試作機というだけで、それこそどんな事をしてでもそれを奪いたいと思う者、それこそ星の数程いるだろう。
護衛の為のコバッタが、より敵を招き寄せる結果となるのでは、本末転倒でしかない。
うん、コバッタも却下だな。
そう思いながら堂島の家の中に入り、靴を脱いで居間に向かう。
そこでは堂島が菜々子に簡単な事情……家にいるのは不味いから、暫く天城屋旅館で寝泊まりをするという事を説明していた。
足立については……うん、どうやらまだ説明はしていないらしい。
足立はこの家にも頻繁に遊びに来ていたらしいので、そう考えれば菜々子に足立の事をここで言わないのはおかしくはない。
恐らくは天城屋旅館に行ってから説明するんだと思う。
これがもっと年上……小学校高学年や中学生くらいになれば、何故いきなり天城屋旅館で寝泊まりをする事になるのかと疑問を抱くだろう。
だが、菜々子の年齢なら堂島にそう言われるのならそうなのかと納得して、すぐに泊まりの準備を始める。
「あ、お父さん。お兄ちゃんは? お兄ちゃんも来るんだよね?」
お兄ちゃんのいうのは、鳴上の事だろう。
菜々子が鳴上に会ってからまだ数日程度だが、それなりに懐いているらしい。
「ああ、本当なら悠の奴も家にいればこのまま連れていったんだが、どうやらまだ学校から帰っていないらしいからな。後で連絡して天城屋旅館に来て貰うつもりだ」
堂島の言葉通り、やはり鳴上はまだ帰っていなかった。
時間を考えれば授業が終わってすぐに家に帰ってこないとまだ家にいないタイミングなので、それは仕方がないのだが。
高校生ともなれば、友人と寄り道をしたりする事もあるだろう。
あるいは部活に汗を流している可能性もある。
だからこそ、まだ鳴上が家に帰っていなくてもおかしくはなかった。
「じゃあ、菜々子ちゃん。お姉ちゃんが手伝うから、お泊まりの用意をしようか」
「え? 本当? 手伝ってくれるの?」
「ええ、そうよ。それにお泊まりをする場所には私も泊まっているから、夜になっても一緒にいられるし、ご飯も美味しいし、温泉も立派だから菜々子ちゃんも喜んでくれると思うわ」
「わー、本当? うん、分かった。じゃあ、行こうお姉ちゃん」
そう言い、菜々子は早紀と手を繋いで自分の部屋に向かう。
途中で俺の側を通ったのだが……その瞬間、早紀の手を少し強く握るのが見えた。
あれ? 俺、もしかして怖がられてる?
以前に会った時に何かした覚えはないし、ネギやラピスの事を考えれば別に俺は子供にはそれなりに好かれると思うんだが……
「なぁ、堂島。俺ってお前の娘に嫌われてるのか?」
「何? いや、そんな事はないと思うが……ただ、菜々子は人見知りが激しい。そのせいじゃないか? 早紀は何故かすぐに仲良くなったが」
人見知りが激しいか。
堂島の娘にしては珍しいな。
「それならしょうがないのか? 俺は小さい子供達にはそれなりに好かれたりするんだけどな」
「……お前がか?」
俺の言葉をとてもではないが信じられないといった様子の堂島。
失礼なと思わないでもなかったが、普段の俺の様子を見ていれば分からないでもない……のか?
「子供ってのは、その人の本質を見るんだよ。だから俺に対しても懐きやすい訳だ」
ティファの場合は色々とあったが。
ただ、ティファは15歳だったので子供という訳ではないな。
それにティファからは苦手とされてはいたが、嫌われていた訳ではないし。
「アクセルの本質を見て、懐くのか? ……俺が知ってる話だと、お前は桐条のお嬢さん以外に他にも女を連れて天城屋旅館に泊まってたって話だったが? そういう奴が優しいとか、そういう本質を持ってるとは到底思えないがな」
呆れた様子を見せる堂島だったが、俺はそれに対して堂々と口を開く。
「全員が納得してるんだし、問題ないだろう?」
「……はぁ」
大きく息を吐く堂島。
処置なしといった感じの様子だ。
これで俺が、実は20人近い恋人がいると言えば一体どうなるんだろうな。
「なぁ、アクセル」
と、不意に堂島が俺に声を掛けてくる。
何か小言でも言うのかと思って堂島に視線を向けると、そこにはあったのは思ったよりも真剣な表情。
「どうした?」
「あー……そうだな。ちょっと外に出ないか?」
あまり人に聞かせたくない話をしたいらしい。
別に俺は構わないので、素直に頷く。
堂島は菜々子の部屋にちょっと外に出ていると声を掛けてから、俺と一緒に外に出る。
……一応俺達は護衛的な意味もあったんだが。
とはいえ、菜々子の部屋にはTVはないらしいし、居間のTVから姿を現せば、俺もすぐにその様子は分かる。
なら、別に家の外にいるくらいは構わないだろうと判断した。
そうして外に出て、玄関から少し離れた場所まで移動すると、堂島が口を開く。
「お前は俺より若い」
「……は? 何だ、いきなり?」
いきなりの堂島の言葉に混乱する。
実際、俺が堂島よりも若いのは間違いない。
というか、混沌精霊である以上は不老だろうし。
純粋に生きてきた年月となると……うーん、これはどうだろうな。
色々な世界でホワイトスターと繋がるまでは結構な時間があったし。
それに魔法球も結構使ってるのを思えば……まぁ、いいか。
「そうだな。堂島よりも若いと思うぞ」
結局諸々の事について話すと不味いので、その件については置いておく事にする。
「で? 若いけどそれがどうした?」
「ああ。……アクセルは俺より若い。だから、俺よりも若い奴の気持ちを理解出来ると思ってな」
「あー……世代間とか、そういうのか」
よくあるのは『最近の若い者は云々』という奴だな。
ちなみにそういう風に言う奴も、実は若い頃は同じように言われているらしいが。
この辺は世代によって常識とかそういう感覚が著しく違うという事を意味していた。
勿論年齢だけではなく、世間とか時代とか世界とか国とか……それ以外にも色々な理由があって、その辺は大きく変わってくるのだろうが。
「そこまで大袈裟なものじゃねえよ。……そうだな。こういうのは遠回しに言っても分からないか。早紀の事だ」
そう言い、少し困った様子を見せる堂島。
なるほど。どうやら堂島も早紀の気持ちについては気が付いていたらしい。
「あれだけ必死になってアプローチしてるんだから、気が付かない方がおかしいか」
「そうだな。正直なところ、最初は半信半疑だった。俺と早紀は親子程……とまでは言わないが、それでも兄と妹以上に年齢が離れている。こんなおっさんを、何故好きになる? 最初は俺をからかってるのかとも思ったんだが、どうやらそんな様子でもないしな」
どうやら早紀の想いは通じていたらしい。
もっとも、この様子を見ると堂島は早紀のアプローチに困ってる様子ではあったが。
……年齢差を考えれば無理もないか。
「足立によってTVに入れられそうになっていたところを助けられたんだ。早紀にとってお前は……こういう表現はどうかと思うが、白馬の王子様的な存在なんだよ」
「あの時は俺以外にお前もいただろう?」
「そうだな。そういう意味では、早紀が俺を好きになっていてもおかしくはなかった。……実際にそういう事はなかったが」
それは早紀にとってもある意味で幸運だっただろう。
俺の事情とかをよく知らなければ、俺と堂島では年齢的には俺の方が早紀とお似合いだ。
だが、詳細な事情を知ればどうか。
それこそ異世界のシャドウミラーという存在だったり、そのシャドウミラーのトップが俺だったり、魔法や気の存在だったり、色々な異世界と繋がっていたり……それ以外にも諸々。
そして更には、俺の恋人は20人近くもいるというのは、普通の女には到底受け入れられないだろう。
だからこそ、早紀が好きになったのが堂島だったのは、俺にとっても早紀にとっても幸運だった訳だ。……代わりに堂島がこうして女子高生に恋心を抱かれるといった結果になっているが。
「なら、アクセルでいいだろう。なんだってこんな中年のおっさんを選ぶ?」
「その辺は早紀の考えである以上、俺からはどうこう言えないな」
そう言うと、堂島は納得出来ないといった表情を浮かべる。
「分かるだろう? 俺が早紀を受け入れられる訳がないのは」
「なら、はっきりとそう言えばいいじゃないか? 堂島が早紀の気持ちに気が付いてないのならともかく、そうやって自覚してるんだし」
「……俺だって木石から生まれた訳じゃねえ。これでも結婚はしてたんだ。……あいつは事故で逝ってしまったが」
それは堂島にとっても言いたくなかった事なのだろう。
少し暗い表情を浮かべる。
この辺はあまり突かない方がいいな。
「なら、向こうが本気になる前にきっぱりとお前の想いには応えられないとか、そういう風に言ったらどうだ?」
「今ここでそんな事を言ったら、足立の捜査に支障が出る。もし言うとしても、それはこの事件が終わってからだ」
「そうなると、それこそ今よりも早紀の想いが強くなるような気がするんだが」
障害がある程に恋というのは燃え上がると言うし。
「それでも構わん。今は……こう言うのは何だが、恋だのなんだのを気にするような事は出来ない。足立の件を片付けてから、ゆっくりと考える事にするよ」
いや、ゆっくり考えるって……それはつまり、もしかしたら早紀の想いを受け入れるかもしれないという事じゃないのか?
そう言いたくなったが、取りあえずその辺については黙っておく。
堂島が今の言い回しに気が付いているのかどうか、俺には分からない。
分からないが、これはもしかしたらもしかするかもしれないな。
まぁ、その辺については俺は口を出すつもりはなかったが。
上手くいくのなら、それはそれでよし。
駄目なら駄目で、それもまたしょうがない。
早紀にしてみれば、ほろ苦い青春の1ページとして思い出に残るだろう。
あるいは今回はフラれても高校を卒業したらもっと大人っぽくなってから再度チャレンジするもよし。
「……アクセル、何か妙な事を考えてないか?」
「いや、特にそれらしい事は考えてないな。青春っていいなと思っただけだ」
「お前な」
何故か呆れの表情を浮かべる堂島。
もしかしたら、俺が何か考えたのを察したのかのもしれないな。
だからといって、それ以上突っ込んでくるような事はなかったが。
「取りあえず早紀をどうするのかは、堂島が決めるんだな」
ある意味、早紀が好きになったのが堂島だったのは幸運だろう。
早紀はそれなりに顔立ちも整っているし、からだも高校3年という事もあって十分に女らしい。
もし堂島のような性格ではなく女好きなら、これ幸いとお持ち帰りされていてもおかしくはないのだから。
そんな風に考えつつ、俺と堂島は菜々子の荷物の準備が終わるのを待つのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820