俺が買ってきたスナック菓子、チョコ、惣菜パン、菓子パン……そんな諸々で食事を終えると、次にやるべきなのは当然仕事だ。
「こうして見ると、休憩したのは悪くなかったのかもしれんな」
仕事の効率が上がったと判断したのか、美鶴が満足そうに言う。
その言葉を聞いた堂島は、完全に納得した様子ではなかったが。
刑事の堂島にしてみれば、シャドウワーカーのやり方には疑問が残るのだろう。
それでも不満を口にしないのは、あくまでも堂島はシャドウワーカーの一員ではなく、稲羽署から派遣された刑事としてこの場にいるからだろう。
ここで自分が不満を口にするのは問題になると、そう思っているといったところか。
堂島の性格を考えれば、そのような立場であっても明らかに仕事の効率が落ちているのなら、注意……という訳ではないが、それなりに口を挟んでもおかしくはない。
だが仕事の効率は下がるどころか上がっている以上、ここで不満を口にする事は出来なかったのだろう。
それを察し、取りあえず堂島をこのままにしておくのもなんだろうと声を掛ける。
「それで鳴上はどうだった? 連絡をしたんだろ?」
「ああ。友人と遊んでいたらしいが、俺の話を聞いてすぐ家に戻ると言っていた。取りあえず荷物を纏めてから天城屋旅館に来るらしい」
「なら、迎えに行かなくてもいいのか?」
本来なら、いつ足立が姿を現すのか分からない以上、迎えに行くのが最善なのは間違いない。
だが堂島の様子を見る限りでは、そのつもりは全くないように思えた。
もっとも、菜々子を迎えに行った時に鳴上は自分で天城屋旅館に来るように言った方がいいかもしれないといった事を口にしていたので、そういう意味では間違ってないのかもしれないが。
「天城屋旅館まではそんなに遠くって訳じゃないしな」
「だろうな」
この天城屋旅館の娘の雪子が毎日八十神高等学校に通っているくらいだ。
つまり、堂島の家と天城屋旅館との間もそんなに距離はない。
あるいは雪子が自転車とかバスとか……場合によっては旅館の従業員が運転する車で送り迎えされているのなら、話は別だったが。
いやまぁ、鳴上も高校生なんだからそのくらいの距離を歩いても問題はないと思うけど。
……あ、でも鳴上はちょっと前までは東京の高校生だったのか。
そう考えると、体力的にちょっと問題あるか?
東京の高校生に体力がないというのは、あくまでもイメージ的なものだが。
実際月光館学園の学生はかなり体力があったし。
ましてや、特別課外活動部の面々なんかは結構な頻度でタルタロスに挑戦していたので、そういう意味では体力的な問題は田舎の高校生とは比べものにならない程だろう。
……文字通りの意味で命懸け、しかも人類絶滅や世界の存亡を背負って戦っていた者達と普通の高校生を一緒にするのがそもそも間違いかもしれないが。
もっとも人類絶滅や世界の存亡というのは、ニュクスの一件が明らかになってから分かった事で、最初のうち……春から秋に掛けてはそういうのは関係なく、タルタロスを攻略して影時間をどうにかする為に戦っていたというのが正しい。
「じゃあ、俺は……うん?」
と、不意に通信機の着信に気が付く。
この通信機はシャドウミラー用の通信機なので、当然それに連絡を入れてきたのはシャドウミラーの面々なのは間違いなかった。
なら、一体誰が。
そう思ったものの、この前レモンと話したことを思い出す。
そう言えば応援を送るって話だったな。
結局誰が送られてくるのかは分からなかったが、それが決まったのだろう。
そう判断し、通信機を起動する。
ここは大広間で、この通信機について知ってる者しかいない。
美鶴や堂島にいたっては、映像スクリーンを通ってTVの中の世界に入りさえしているのだ。
なので、特に隠す事もなく映像スクリーンを起動する。
『アクセル、ちょっといい? ……あら?』
予想通り、映像スクリーンに映ったのはレモン。
ただ、ちょっと予想と違ったのは、こっちに注目していたシャドウワーカーの面々が映像スクリーンに映し出されたレモンの美貌に目を奪われてしまったことだろう。
堂島も目を奪われるとまではならないが、それでも視線が映像スクリーンに固定されていた。
長い時間一緒にいて俺は慣れたが、レモンは間違いなく絶世の美女と呼ぶに相応しい存在だ。
美鶴という美人を知っている面々でもレモンの美貌に目を奪われているのが、その証拠だろう。
「レモンか。こうして連絡をしてきたって事は、誰が来るのか決まったのか?」
『え? ええ、そうよ。……正確にはさっきそっちに行ったから、迎えにいって欲しいって連絡だったんだけど』
「おい」
思わず突っ込んだ俺は悪くないと思う。
とはいえ、今の状況を打破する……TVの中の世界でシャドウと戦うといった事になれば、援軍は多い方がいいのは間違いなかったが。
だからといって、それでも誰を送るのかを説明せず、既に送ったと言われれば……それに困惑するなという方が無理だった。
『戦力にならないメンバーは送ってないから、安心してちょうだい』
「それは分かってる」
実働班から選んだという時点で、その人員がシャドウとの戦いにおいて使えないという選択肢は存在しない。
『なら問題はないでしょう? ……まぁ、少し問題はあるかもしれないけど』
「問題はないと言ったその口で問題があると言うのはどういう事だ?」
『あら、知りたい?』
意味ありげに俺を見て言うレモン。
これ、ここで俺が知りたいと言えば恐らく本来は知りたくない事を話しそうな気がするな。
うん、これは止めておいた方が俺の為だ。
そう判断し、首を横に振る。
「いや、止めておくよ。……で、俺はその援軍を迎えに行けばいいんだな?」
『そうしてちょうだい。そっちの事に慣れてないでしょうし』
正確にはペルソナ世界に慣れていないと言おうとしたのだろうが、堂島の存在に気が付いてそう言い直したのだろう。
にしてもこっちの世界に慣れていない?
一体誰が来るんだ?
普通に考えれば、どのような世界でもある程度の常識は同じだ。
その世界の文明レベルによって、生活様式とか、機械とかそういうのが違う可能性はあるが、レモンの様子を見る限りではそういう感じではないしな。
そう考えると、何だか微妙に嫌な予感がする。
「分かった。すぐに行く」
『そう。じゃあ、頑張ってね』
そう言い、レモンは笑みを浮かべると通信が切れる。
だが映像スクリーンが消えてもそれを見ていた者達はまだ我に返らない。
レモンを見た衝撃が、それだけ大きかったのだろう。
「いつまでぼうっとしている!」
そんなシャドウワーカーの面々に対し、美鶴が不意にそう言う。
その声の鋭さは、それこそ男女問わずレモンの美貌に見惚れていた者達全員を我に返すには十分だった。
「アクセル、今の女は誰だ?」
堂島が訝しそうな様子で俺に尋ねる。
堂島にしてみれば、ただでさえ空中に浮かぶ映像スクリーンなどといった、このペルソナ世界でも存在しない……もしくは存在していても一般的になっていない技術を見せられたのだから、そんな疑問を抱いてもおかしくはない。
もっとも映像スクリーンそのものは、今まで何度も見ているので今更の話ではあるが。
「俺の恋人の1人だよ」
「……ここに一緒に泊まっていた女と美鶴以外にもいるのか……」
呆れた様子の堂島。
色々と言いたい事があるのは分かるし、立派な大人として……そして一夫一婦制の日本人として、言いたい事があるのは分かる。
もっとも一夫一婦制ではあっても、会社の社長とか政治家とかなら妻以外に何人も愛人を囲ってるのは珍しい話じゃないんだろうが。
とはいえ、ペルソナ世界であってもここが地球であれば、アフリカとかには一夫多妻制が普通の国とかもあるのだが。
いっそ桐条グループに頼んで、俺が作って貰った戸籍はそっちに移して貰うとか。
そう思ったが、日本で活動する以上は国籍が外国だと、それはそれで問題があるのも間違いない。
何かあったらすぐにパスポートとかを見せるように言われたり。
桐条グループがどうにかするのなら、そのパスポートが偽物だと分からないだろうし。
あるいは桐条グループの力なら、そもそも偽造ではなく本物のパスポートを入手しそうな気がする。
……うん。まぁ、やっぱり日本が国籍のままでいいか。
「色々と……本当に色々とあったんだよ」
これは嘘でも何でもない事実だ。
傍から見た場合、俺が多くの美人に囲まれているという意味で多くの者が羨むのは間違いない。
だが同時に、それを羨む連中が今まで俺が経験してきた事を同じように経験して生き残れたか、あるいは今の俺と同じ結果になったかと言われれば、間違いなく否だろう。
実際に俺は普通ではとてもではないが生き延びたのが奇跡だと、ちょっと間違えれば死んでいたような文字通りの意味で命懸けの戦いを何度も繰り広げ、それでここにいるのだから。
正直なところ、もう一度同じ事をやれと言われても成功するかどうかは分からない。
いや、今と同じ結果になるかと言われれば……かなり難しいだろう。
「うん、本当に色々とあったんだ」
「何度繰り返すんだ、それ。……まぁ、いい。その様子を見ればアクセルが苦労をしてきたというのは、それなりに分かる」
「そうか? 分かって貰えたようで嬉しい。……じゃあ、俺はそろそろ援軍を迎えに行ってくるから」
美鶴に向かってそう言い、俺はまだ微妙な表情を浮かべている堂島をその場に残して大広間を出るのだった。
「いや……まさかって人選だな」
若干の呆れと共に、目の前にいる2人の人物に視線を向ける。
現在俺がいるのは、稲羽市の駅……ではなく、東京。
桐条グループの施設にある、ゲートの前だ。
そこでゲートを使って転移してきた2人を見ての言葉がそれだった。
いや、でもまさかという人選ではないのか?
レモンはこの世界に慣れていないといったような事を言っていた。
それはつまり、銃刀法違反という意味での言葉なのだろう。
……何しろ俺の目の前にいるのは、日本刀を持ったムラタと青竜刀を持った五飛という2人なのだから。
いや、本当に何がどうなってこういう人選になったのか、レモンに聞きたい。
多分だけど、シャドウとの戦いという点を重視してのものなのだろう。
ムラタも五飛も、機体に乗っての強さだけではなく生身での強さも求めている。
もっともシャドウミラーの実働班である以上、当然ながらエヴァにしっかりと訓練をつけられているので、ムラタも五飛も生身でもかなりの強さを持っているのだが。
特にムラタはネギま世界における剣術の中でも最高峰の強さを持つ京都神鳴流を使える。
現在具体的にどのくらいまで習得してるのかは分からないが、強さを求めるムラタの熱心さと、本人が持つ資質、そして魔法球の存在を考えれば、免許皆伝になっていてもおかしくはない。
何だかんだと、ムラタもシャドウミラーに所属して長いし。
シャドウミラーの幹部の中では、古株と言ってもいいだろう。
そんなムラタに比べると、五飛はまだそこまででもない。
いやまぁ、本人の強さに対する熱意は決して低いものではないんだが。
それでも狂的なまでに強さを求める――今は多少落ち着いたが――ムラタと比べると、どうしても一段劣ってしまうように思える。
健全なという意味では、五飛の方がらしいのだが。
「取りあえず、一言ある。俺が言うのも何だが、この世界の日本には銃刀法というのがあって、日本刀や青竜刀を持っていれば警察の厄介になるぞ」
日本じゃなくても、大抵の国では日本刀や青竜刀を持ち歩けば捕まるだろう。
寧ろ日本刀や青竜刀を持っていても捕まらないような国は、間違いなく治安に問題があって、面倒な事が多い。
「ふん、仕方がない。アクセル、預かってくれ」
「俺もだ」
そう言い、ムラタと五飛はそれぞれ自分の持っている日本刀と青竜刀を渡してくる。
とはいえ自分の武器を俺に預けるといったことを許容している辺り、ムラタも五飛も大分落ち着いてきたのは間違いないが。
「分かった。預かる」
そう言い、空間倉庫の中に日本刀と青竜刀を収納する。
「で、これから稲羽市に行くんだが、一体どの辺まで話を聞いてきた?」
「戦う相手がいるという事だけだ」
「それが妖怪に近い存在だとは聞いている」
ムラタと五飛のそれぞれの言葉はかなり分かりやすい。
この2人にしてみれば、戦う相手がいればいいという事なのだろう。
……実際、ムラタは鬼滅世界にも率先して行ってたし。
「違うのか?」
今の質問で疑問を思ったのか、ムラタが尋ねる。
多分、ここで違うとか言ったらムラタはそのままホワイトスターに戻るのか、あるいはこっちに残っても見るからにやる気が減るんだろうな。
そういう意味では、良い意味でも悪い意味でも生真面目な五飛は、残念に思いながらも仕事は仕事と判断してきちんと最後まで戦うのだろう。
「いや、違わない。シャドウという敵だ。……もっとも、その姿は千差万別のモンスターと表現してもいいけどな。少なくても以前俺がタルタロスで見たシャドウはそうだった。今回のシャドウが全く同じとは限らないが」
その言葉に、ムラタは獰猛な笑みを浮かべ、五飛は表情は殆ど変わらないが微かに笑みを浮かべるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820