堂島との話が終わると、大広間に戻る。
大広間の中には当然ながらムラタと五飛がいる。
……普通なら全く知らない場所に放っておかれた以上、ムラタも五飛もあまり居心地がよくなかったりするのだが、特に気にした様子もなく大広間の片隅で黙って立っている。
寧ろ居心地が悪いのはムラタや五飛ではなくそれ以外の面々で、早紀とシャドウワーカーはムラタや五飛の存在が気になるものの、声を掛けるような事も出来ずに黙っていた。
本来なら顔見知りの美鶴が間を取り持ったりする必要があるのだろうが、美鶴はちょうど携帯で誰かと話していたのでそのような余裕はない。
ちなみにムラタと五飛が黙って大広間の中を見ていると一言で言っても、実際に2人の行動が全く同じという訳ではない。
ムラタは本当に何もやることがなく、黙って周囲の様子を見ているだけだが、五飛はシャドウワーカーの面々が使っているコンピュータの画面に素早く視線を向けて、情報収集を行っていた。
自分を戦士であると規定している五飛だったが、実際にはかなり頭が良い。
シャドウミラーの技術班に入るのは難しいが、その辺の研究所とかでは普通に採用されるくらいに頭はいい。
何でも聞いた話だと、五飛はガンダムのパイロットになる前は技術者とか科学者とか、そっち方面を目指していたらしいし。
「ムラタ、五飛、待たせたな。暇だったか?」
「そうでもない。それなりに現状は理解出来た」
コンピュータを見ていた五飛がそう言い、ムラタの方は特に何かを言うでもなく暇そうな様子だった。
実際に今の状況を思えば、ムラタにとってはあまり面白い訳でもなかったのだろう。
五飛とは違い、ムラタは過去から未来まで、その全てを戦士として認識しているのだから。
「そうか。なら、まずは身体を休める場所を用意したいんだが……美鶴、そっちの方はどうなった?」
ちょうどそのタイミングで携帯を切った美鶴は、俺の言葉に頷く。
「問題ない。天城屋旅館には話を通している。……堂島一家の部屋の側になるが、構わないか?」
美鶴のその言葉に、俺はムラタと五飛に視線を向ける。
その視線の意味を理解したのか、2人揃って頷く。
どうやら特に問題はないらしい。
美鶴にしてみれば、この2人の部屋を堂島の部屋の近くにしたのは、宿泊料金的な問題ではなく、堂島……正確には堂島の娘の菜々子や、足立にいつ狙われてもおかしくはない早紀の護衛の為でもあるのだろう。
炎獣で護衛をしてもいいのだが、早紀はともかく菜々子は小学生だ。
場合によっては炎獣を連れていくような事をしたりする可能性があるし、もし実際に連れていかなくても友達との話の中で思わず……という可能性もある。
菜々子はまだ小学生になったばかりである以上、口止めしても忘れるという事があってもおかしくはない。
だからこそ、炎獣ではなくムラタや五飛の部屋を堂島一家の側にして護衛を任せようとしたのだろう。
ちなみにこれ、護衛的な意味では問題はないものの、それ以外……具体的には菜々子や早紀がムラタや五飛を怖がるという意味では、問題があったりする。
2人揃って基本的に無愛想だし。
それでも五飛はまだ年齢的に早紀よりも年下で、顔立ちも整っている。
だが、ムラタは……どんなに好意的に見ても、大物ヤクザといった感じだろう。
それもいわゆる経済ヤクザとかではなく、生粋の武闘派といった感じで。
そんな奴が自分達の側にいるとなると、早紀や菜々子が怖がってもおかしくはない。
勿論、ムラタが何か妙な真似をすることがないのは間違いない。
しかし、それはあくまでもムラタを知っている美鶴だから理解出来る事で、早紀や菜々子にそういうのは分からない。
ある程度接する機会が増えれば、いずれ慣れるかもしれないが……それはつまり、慣れるまでは怖がるという事を意味していた。
出来るだけ早くこの事件を解決すれば、菜々子も早紀もそこまで怖い思いをしなくてもいいんだろうけど……その辺は運によるといったところか。
「ああ、それで構わない。部屋の案内は?」
「旅館の従業員に聞けば案内して貰える手筈になっている。……それにしても、実際に部屋を借りている私が言うのもなんだが、このままだと天城屋旅館全体が私達の一行で借り切るような事になりかねんな」
「これ以上は人数が増える事はない……とは言い切れないか」
一応TVの中の世界について調べるという事で、レモンが来るかもしれないという話があった。
そうなればレモンも天城屋旅館に泊まるだろうし……あ、でも俺と美鶴の部屋はまだかなりの余裕があるから、そっちに泊まってもいいのか。
実際にシャドウとの戦いになるのならゆかりを呼ぶ事になるかもしれないが、その場合も俺達の部屋を使えばいい。
そう考えると、実際にはそこまで問題がなかったりするのか?
「天城屋旅館にしてみれば、今の状況はどう思ってるんだろうな」
「あまり好ましい状況でないのは間違いないだろう」
美鶴のその言葉に、やっぱりかと思う。
天城屋旅館の従業員にしてみれば、純粋な客という訳ではなく、シャドウワーカーという警察の外部協力組織などという者達が泊まっているのだ。
それも1部屋や2部屋ではない。
その上で大広間までも貸し切っている。
天城屋旅館にしてみれば、それこそ本来なら出て行って欲しいと思ってもおかしくはない。
だが、シャドウワーカーは桐条グループの……それも総帥の武治の直轄組織だし、宿泊料金もしっかりと支払っている。
それ以外にも、山野真由美の件については広まっており、縁起が悪いとか不気味だという事で予約がキャンセルされてもおかしくはない。
山野真由美の不倫については、結局市議会議員の秘書と地方局のアナウンサーの不倫という事で、そこまで大きなニュースではなかった。
その秘書の妻が有名な演歌歌手だった事もあり、昼にやるワイドショーとかではそれなりに取り上げられたようだが。
だが、今回は不倫ではなく殺人事件だ。
その上、死体はTVのアンテナにぶら下げられるという、猟奇殺人。
全国ニュースになっており、その中には山野真由美が最後にいた天城屋旅館について言及していてもおかしくはない。
相応の地位にいる者が、そのような事件のあった旅館に泊まりたいと思うか。
……いやまぁ、中にはそういうのは全く気にしないという者もいるだろうし、天城屋旅館の女将や従業員と知り合いだからこそ、今の苦境を覆すために泊まりに来るという者もいるかもしれないが。
それでも客観的に見た場合、キャンセルが多く出るのは間違いないと思う。
そういう意味では、俺達が泊まるというのは宿の収入的にはいいのかもしれない。
従業員達がどう思っているのかは別として。
この世界の原作ではどうなんだろうな。
天城屋旅館で山野真由美が行方不明になって死んだのだから、原作でも天城屋旅館は経営的にダメージとなった筈だ。
それをどう克服したのか。
あるいは原作でも美鶴がこの件に疑問を感じてシャドウワーカーを派遣していたとか?
まぁ、事情を知ればこれはシャドウが関係していると分かる。
ならシャドウワーカーが来てもおかしくはないのだろう。
……待て。だとすれば、もしかしてこの事件の主人公は鳴上じゃないのか?
ニュクスの件の続編として考えれば、有里がそのまま主人公を継続しているという可能性もあるのか。
もっとも有里は今回別の場所においてシャドウが関係していると思しき場所に行ってるので、こっちにはいないが。
「取りあえず俺達が出来るのは、少しでも早く足立を捕まえてこの事件を解決する事か」
結局のところ、シャドウワーカーの面々がここにいるのはシャドウの件がここで起きたからだ。
そうである以上、この事件が終わってしまえば……少しの間は様子見の為に残る者がいるかもしれないが、それ以外の面々は本部のある東京に戻るだろう。
そして残った様子見の者達も、本当にもうシャドウが出て来ないと判断し……そう、例えばマヨナカテレビとかがなくなったら、東京に戻る事になる。
……もっともそうなると、天城屋旅館にとっては大口の客だったシャドウワーカーの面々が全員いなくなるという事で、山野真由美の事件の一件もあって暫くは厳しい経営状況になると思うが。
それでもある程度時間が経てば山野真由美の件について忘れる者も多い。
そうなれば、やがて宿泊客も増える……と思う。
あくまでもこれは俺の予想であって、絶対に正しい訳ではない。
もしかしたら、俺の予想が外れてシャドウワーカーがいなくなった途端に宿泊客が大勢いるという事になるかもしれないし、あるいはシャドウワーカーがいなくなっても全く客が戻ってこないという可能性も否定は出来ない。
さすがにそこまでは責任を持てないが。
「そんな訳で、少しでも事件を早く解決する為にムラタと五飛を部屋に案内してくる。……あ」
「……アクセル?」
俺の言葉を聞いていた美鶴が、不思議そうに……もしくは嫌な予感を抱いたかのように視線を向けてくる。
「安心しろ、別に何かあった訳じゃない。ただ、見ての通りムラタと五飛はそのままやって来た。つまり、宿泊の準備がない」
具体的には、着替えとかそういうのが。
俺がムラタと五飛から預かったのは、あくまでも日本刀と青竜刀だけだ。
「部屋を確認したら、急いでジュネスにでも行ってこい。ついでに、ジュネスで怪しい何かがないか、見てきてくれ」
仕方がないといった様子で美鶴が言う。
商店街の方ではなくジュネスに行くように言ったのは、ジュネスの方が品揃えが豊富だし、何より怪しい何かをもしかしたら見つけられるかもしれないと思ったからか。
足立が出入りしているのは確認されてるんだし。
とはいえ、今はまだ夕方だ。
そんな中で足立もTVの中の世界から出るような事はないと思う。
あるいはこっちの意表を突く感じで、人混みに紛れる為にTVの中の世界から出てくるか。
とはいえ、足立がジュネスで食料とかを確保してるという情報は既に稲羽署にも送られている。
そして稲羽署にしてみれば、仲間から出た裏切り者をどうにかする為に、ジュネスに人を派遣してる筈だった。
それも足立に見つかりにくいように、あるいはジュネスの客に何でこんなに警察官がいるんだと思われないように、私服に着替えてだが。
そのような状況だけに、足立が出てくれば捕まえられるのだが……正直なところ、多分無理だとは思う。
何しろ足立はTVがあればそこに逃げ込めるのだから。
勿論、出て来たTV以外のTVから中に入れば、そこは足立にとってもまだ行った事がない場所の可能性がある。
そのような場所だと、強力なシャドウがいる可能性もあるが……警察に捕まるよりはいいと、そう足立が考えても無理はない。
足立にしてみれば、TVの中に逃げ込めば誰も追ってこられないのだから。
いや、足立が逃げ込んだTVが分かれば、そのTVに入る事で同じ場所に出て追う事が出来るんだが。
「分かった。もしかしたら足立を見つけられるかもしれないしな」
そう言うと美鶴は頷く。
とはいえ、美鶴も本当にそんなことが出来るとは思っていないだろう。
出来たらラッキー程度の、やるだけやってみるかといった感じか。
「ムラタ、五飛、行くぞ」
そう言うと2人はそれぞれ頷き、俺の側にやって来る。
大広間で仕事をしていた者達が安堵した様子を見せたのは、俺の気のせいという訳ではないだろう。
シャドウワーカーの面々にしてみれば、それだけムラタと五飛の2人と同じ場所にいるのは厳しかったらしい。
ムラタも五飛も特に何かをした訳ではない。
それでもこの2人が発する雰囲気は、シャドウワーカーの面々にとってはプレッシャーだったのだろう。
何人かは、俺に感謝の視線すら向けている。
これから先、上手くやっていけるのかどうか微妙だな。
そう思いながら、俺は2人を引き連れて部屋を出る。
するとちょうどそのタイミングで、廊下の向こうから雪子がやって来たのを発見する。
寄り道をしていた悠とは違い、真っ直ぐ家に帰ってきて旅館の手伝いをしていたのだろう。
「雪子、ちょっといいか?」
「はい、なんでしょう?」
「美鶴から新しく部屋を2つ取るという話があったと思うが」
「ええ、伺っています」
「この2人がその新しい客だ。……色々と不器用な連中だが、悪い奴じゃない。それで部屋に案内してくれないか?」
「分かりました、こちらです」
そうして俺達は雪子に引き連れられて廊下を進む。
「それにしても、今は天城屋旅館も大変じゃないか?」
「ええ。でも、アクセルさん達のお陰で賑やかになってますから」
これ、もしかして俺達が暗にうるさいと言われてないか?
いやまぁ、実際に大広間の中がうるさいのは仕方がないんだが。
もしくは特に何も裏はなく、ただ思った事を言ってるだけなのか。
その辺が分からず、結局当たり障りのない会話をしながら廊下を進むのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820