美鶴や堂島を映像スクリーンの中……TVの中の世界に入れる時は、俺がお姫様抱っこをしたり、抱えたりといった事をした。
だが、俺が魔力を身体に纏って入れば何の問題もなく映像スクリーンの中に入れたという事は、それはつまり魔力を身に纏っていれば誰でもTVの中の世界に入れるという事を意味してないか?
いやまぁ、魔力を身に纏うという時点で誰でもとは言えないが。
ともあれそうなると、気を身に纏った者がTVの中の世界に入れるのかどうかというのが気になる。
そんな中、援軍としてやって来たのがムラタと五飛。
この2人は魔力ではなく気を使うタイプなので、実験には丁度いいと判断して試してみたのだが……
「普通に中に入る事が出来たな」
既にお馴染みになった、俺の映像スクリーンと繋がっている公園で、そう言う。
「何がだ?」
日本刀を手に、やる気満々といった様子でムラタが聞いてくる。
ムラタにしてみれば、シャドウと戦う為にペルソナ世界にやって来たのだ。
そうである以上、今まで……天城屋旅館での諸々やジュネスでの買い物はあくまでもついででしかなく、これからが本番といったところか。
どこからでもシャドウが現れてもいいと言いたげなその様子は……うん、もしシャドウに敵との実力差を把握出来たり、本能だけではなく理性があったら、ムラタと戦うよりも前にすぐ逃げ出したりしてもおかしくはないと思える。
そんなムラタに対し、五飛はこちらも俺が返した青竜刀を手に油断なく周囲の様子を伺っている。
「いや、今更言うのもなんだが、映像スクリーンの中に入るのに、気を纏っている状態で入れるかどうか分からなかったんだよ。もしかしたら映像スクリーンの中に入る事が出来ず、そのまま映像スクリーンを貫いていただけの可能性もあった」
「そうか。なら、こうして無事に入れたのだから、問題はないな」
そう断言出来るのは、何があっても自分なら対処出来ると思っているからか。
実際、ムラタも五飛も気による身体強化は出来るし、虚空瞬動も当然のように使える。
そう考えると、もし映像スクリーンを貫いても咄嗟にどうとでも出来るのは間違いなかった。
そういう意味ではムラタがそこまで気にした様子を見せないのも十分に理解出来る
「それより、ここがTVの中の世界か。……話に聞いていたように、公園だな」
俺とムラタの会話に割り込むように、五飛が言う。
その視線は素早く周囲の様子を確認しているものの、相変わらず公園にもそれなりに霧があり、五飛の視界の邪魔をしているらしい。
それでも公園の中はある程度確認出来るのだが……公園の外にある濃霧となると、俺もお手上げだ。
一応以前スライムで探索をしてみたのだが、その時も特に何も手掛かりの類はなかったし。
まずはこの濃霧をどうにかしないと、TVの中の世界を探索するのは難しいんだよな。
「ああ、公園だ。一応堂島……稲羽署から派遣されている刑事が軽く調べてみたところ、遊具の類も特に何か異変があったりする訳ではないらしい」
「ふむ。……だが、それはあくまでも一般人が調べた限りの筈だ。俺達の目から見れば、何か違ったものがあるかもしれん」
「俺が見た感じでは特にそういうのはなかったけどな。……けど、そうだな。なら五飛がちょっと調べてみてくれないか?」
「構わん。元からそのつもりだった」
その言葉通り、五飛は最初からそのつもりだったのだろう。
公園の中にある遊具を調べ始める。
映像スクリーンから繋がっている場所にある公園の遊具……そう考えると、確かに何かあってもおかしくはないんだよな。
だからといって五飛に言ったように俺が調べたり、堂島が調べた限りでは特に何もなかったのだが。
「では、俺は公園の周囲を調べてみよう」
五飛が公園の中を調べ始めると、不意にムラタがそう言う。
「おい、本気か? あの濃霧がどういう性質を持ってるのか、まだ分かってないんだぞ? 場合によっては、何らかの罠の可能性もある」
考えられるとすれば、あの霧は魔法的な効果を持ち、方向感覚を失わせたり、あるいは酸で出来ていたりといった感じか。
スライムで探索した時は特に何も問題はなかったが。
もっとも、濃霧がもし酸の霧だとしても、それがスライムに通じるかどうかはまた別の話だが。
だが、ムラタがそういう可能性がある濃霧の中に入るのは、やはり危険だと思う。
「問題ない。何か怪しいところがあったら、すぐに戻る。それに……結局のところ、あの濃霧に入ってみなければ何も分からんのだからな」
「……分かった。けど、本当に何かあったらすぐに戻れよ? 今のところ、あの濃霧がどういう存在なのか、そして濃霧を通り抜けた先に何があるのか、全く分からないんだから」
ここが、例えば現実世界でどこかの湖の近くで朝方に濃霧があるのなら、まだ自然現象で理解出来るし、その濃霧に入っても迷ったりする可能性はあるものの、それだけだ。
だが、ここはTVの世界の中という、とてもではないが普通ではない場所だ。
ニュクスの件に関わっていた者なら、タルタロスを思い浮かべるだろう。
そういう意味では、やはりここはダンジョンといった感じなのだろう。
今のところ、具体的にどこにどう行動すればダンジョンとしてのTVの中の世界に行けるのかは分からないが。
やっぱりこの公園が何らかの起点なのだろうが。
「任せろ。……シャドウが出て来たら、倒してみせる」
「いや、俺の言葉を聞いてたか?」
ムラタの様子を見る限り、とてもではないが俺の話を聞いていたようには思えない。
……まぁ、ムラタだし。
それにムラタは戦闘を好むものの、自分の限界については十分に理解している筈だ。
何だかんだと、ムラタとの付き合いはそれなりに長いので、その辺については理解している。
もっとも、時にはそんな俺の予想を超えた行動をするのもムラタなのだが。
「気を付けろよ」
結局最後に俺がムラタに言ったのは、それだけだった。
そんな俺の言葉にムラタは頷いた様子を見せながら公園を出る。
「大丈夫なのか?」
公園を調べていた五飛がそう聞いてくる。
五飛もムラタの力については知ってるのだろうが、それでも今のこの状況で完全に安心するような事は出来ないのだろう。
「ムラタならそこまで問題はないと思う。もし何か問題があっても、ある程度は自力で切り抜けられるだけの実力を持っているし」
神鳴流がシャドウを相手にどこまで効果があるのかは、正直なところ分からない。
だが、それでも恐らく問題はないだろうと思えるのも事実。
……もし本当にどうしようもなかったら、それこそ刈り取る者でも召喚して……いや、刈り取る者の召喚は止めた方がいいか?
刈り取る者の魔法は、基本的に広範囲にダメージを与える魔法が多い。
そうである以上、もしかしたらムラタにも被害が出る可能性は十分にあった。
そうなると、狛治か。
五飛や狛治、ムラタ……どれも相性が良いような、悪いような。
そんな疑問を抱きつつ、俺は公園の周囲を囲っている濃霧を見る。
だが、幸か不幸か濃霧の中で大きな騒動の類はない。
具体的には、神鳴流の技を使ったりとか。
神鳴流の技の中には派手なものが多いんだよな。
それこそ実際に使ったら周辺に大きな被害を与えるような技も決して少なくない。
この場所で神鳴流を使ったら、場合によっては公園にも被害が来そうな気がする。
とはいえ、だからといって何かあった時にムラタに何もするなとは言えないし。
……いやまぁ、ムラタの性格を考えればそういう事を言ってもこっちの指示を聞くとは思えないが。
ムラタは我が道を行くといったタイプだし。
もしそれでムラタが死んだのなら、それはそれでムラタも満足するだろう。
「随分と信用してるんだな」
「ムラタだしな」
時々暴走したりする事もあるムラタだったが、その性格はかなり単純だ。
それだけに、ムラタの行動を先読みするのはそう難しくはない。
……もっとも、性格は単純だが、だからといって御しやすい訳ではないのだが。
いざとなれば、それこそ周囲を無視してでも自分の目的を果たす為に敵に向かって突っ込んでいくし。
前に進むことしか出来ない猪……文字通りの猪突がいるとして、その猪に上手く対処出来るかどうかというのは、別の話だ。
話を聞くだけなら、何とでもなりそうな気はするのだが。
しかし、実際にそれをやろうとして上手く出来ないのが普通だ。
一直線にしか走っていないと分かっていても、その迫力が圧倒的なら、動くことは難しいのだ。
ムラタは一見すると単純に見えるが、実際にそれをどうにかするのは難しい。
しかもそれを行うのがシャドウだとしたら……うん、シャドウだからといって、特に何が出来る訳でもなく斬り殺されてるのが容易に想像出来てしまうな。
タルタロスの中でも上層部に現れたようなシャドウが相手なら、ムラタにとってもそれなりに戦い甲斐があるかもしれないが。
「俺も早くアクセルにそう言って貰えるようになりたいものだ」
「これについては、別に褒められるって事でもないと思うけどな。……まぁ、それはいいとして。公園を調べて何か分かったか?」
五飛が公園を調べるのを止めて俺に声を掛けてきたという事は、もう一通り調べ終わったからこそなのだろうと判断し、そう尋ねる。
「いや」
俺の言葉に首を横に振る五飛。
どうやら五飛が調べても特に何かこれといったものは見つからなかったらしい。
「公園の霧はともかく、周囲にある濃霧をどうにか出来ればいいんだけどな」
「アクセルの力でどうにか出来ないのか?」
「例えば白炎で燃やすとかか?」
普通の霧なら、暖かくなれば消える。
そういう意味では、俺の白炎によって霧を消す事は可能だ。……あくまでもその霧が自然現象によって出来た霧ならの話だが。
あ、いや。でも白炎は普通の炎じゃなくて俺の魔力によって生まれた炎だ。
そう考えれば、TVの中の世界にある濃霧を消す……もしくは燃やす事が出来たりするのか?
そんな疑問を抱く。
魔力によってこのTVの中の世界に来たのだから、この世界は魔力によって……あるいは気によって影響を与えられるという可能性は十分にある。
だとすれば、それを試してみる価値は十分にあるか。
「どうだろうな。それは実際にやってみないと分からない。だから試してみるか」
「何? 本気か? 今のは話の流れで適当に言ってみただけだぞ?」
「それでも実際に出来るかどうか、やってみて損はないだろう? 出来なかったら、そういうものだと認識すればいい。けど、出来たらこのTVの中の世界の探索が飛躍的に進む……いや、そもそもまだ始まってないから、ようやく始まると言ってもいい」
今のところ、俺達が把握してるのはあくまでもこの公園だけだ。
このTVの中の世界のどこかに足立がいる以上、足立を見つける必要がある。……もっとも、このマヨナカテレビについては足立が関わってるのは間違いないが、足立が作ったのかと言われると、それはそれで微妙なところだが。
俺は足立の性格とかをしっかりと知ってる訳ではないにしろ、早紀に身体の関係を求めて強引に迫るような奴が、こんな力を持ってるとはちょっと思えないし。
もっとも、世の中にはいきなり巨大な力を手に入れ、それによって気が大きくなるような奴もいるので、絶対にそうだとは言えないが。
ともあれ、この世界の原作があるのなら、その原作で足立がラスボスという可能性は……うーん、どうだろうな。
漫画、アニメ、ゲーム、小説、あるいはそれ以外の何か。
原作の媒体によっては、実は足立が黒幕だったとか、そういう事になってもおかしくはないのかもしれない。
それでも多分ないと思うんだが。
その辺については、今のところはまだ考えない方がいいか。
「分かった。アクセルがそう言うのなら、それで構わない。……けど、ムラタはどうする?」
「呼び戻す。……ムラタ! ちょっと試したい事があるから、戻ってこい! でないとお前も巻き込まれるかもしれないぞ!」
ムラタに聞こえるように、そしてまずないとは思うが足立以外にもし誰かが近くにいた場合、その相手に被害が及ばないように叫ぶ。
実際にいるかどうかは、また別の話だが。
「戻ってくるのか?」
五飛の疑わしそうな言葉。
真っ先に濃霧に突っ込んだムラタの事を考えれば、俺が声を掛けただけで戻ってくるとは思えなかったのだろう。
「ムラタは馬鹿じゃない。俺の言葉を聞いて、それで俺が本気だと知れば……」
その言葉の途中でムラタが濃霧から姿を現す。
「な?」
五飛は俺の言葉を聞いても納得出来たような、出来ないような、微妙な表情を浮かべる。
五飛にしてみれば、ムラタが俺の言葉に従って大人しく濃霧の中から出てくるとは思わなかったのだろう。
あるいはもっと単純に、濃霧の中から出られるとは思えなかったのか。
「どうした、アクセル。試してみたいというのはなんだ?」
ムラタの言葉に、俺は公園の周囲にある濃霧を見て口を開く。
「この濃霧が魔力や気に関係するものだったら、もしかしたら俺の白炎でどうにかなると思ってな」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820