「さて、じゃあ試してみるか」
俺はTVの中の世界で、近くにムラタと五飛がいるのを確認してから、そう呟く。
これからやるのは、上手くいけばTVの中の世界の探索を進める……いや、ようやく始められる契機になるかもしれない事だ。
もっとも、これはあくまでもそういう可能性があるというだけで、実際に試してみないと何とも言えないが。
それでもこのままだとTVの中の世界の探索が進まない以上、やはり出来る事はやった方がいいのも事実。
「頑張ってくれ」
そうムラタが言うのは、今の状況ではシャドウと戦う事が出来ないからだろう。
五飛もまた、実際に言葉に出したりはしないものの、可能な限り早くどうにかして欲しいといった様子を見せている。
「任せろ……と言いたいところだけど、実際にどうなのかはやってみないと何とも言えないな」
ムラタに言い、俺は公園の外に存在する濃霧に意識を集中する。
「白炎」
その一言。たった一言だったが、それによって混沌精霊としての俺の力は発揮される。
濃霧そのものを燃やすかのような炎。
白炎の名前通り、白い炎が公園の外に突然生み出され、濃霧そのものを燃やしていく。
「おお!」
五飛の口から、驚きとも喜びとも取れる声が出る。
そう言えば、五飛が白炎を見るのは初めてだったか?
いや、炎獣も白炎で生まれている以上、初めてって訳でもないだろうが。
ともあれ、白炎は生み出された周辺の濃霧そのものを燃やしていく。
これは俺が予想したように、霧も魔力か何かによる存在なので燃やされているのか、それとも単純に白炎の熱に反応して霧が消えているのか。
その辺の詳細については分からないものの、霧が白炎によって消えていくのは間違いない。間違いないんだが……
「駄目か」
1分程白炎の様子を見ていたが、やがて俺の口から出たのはそんな言葉だ。
白炎が濃霧を燃やしているのは、間違いのない事実だ。
だが同時に、濃霧は燃やされても全く減ってるようには思えない。
燃やされた場所には、すぐに補充の濃霧……という表現は間違ってるのかもしれないが、とにかくそんな感じで再び濃霧が姿を現す。
「駄目なのか?」
「ムラタも見れば分かるだろう。俺の白炎が濃霧を燃やしているのは間違いないが、燃やしても濃霧が次々に押し寄せてくる以上はどうしようもない」
「それでも燃えているのだろう? なら、延々と燃やし続けるというのはどうだ?」
「俺がいつまでもTVの中の世界にいる訳にはいかないしな。かといって、白炎をこのまま置いていった場合、最悪TVの中の世界に大きなダメージを与えるかもしれない」
それで足立を殺す事が出来れば……堂島的には完全に納得は出来ないのだろうが、それでも今の状況を打破するという意味では悪くないかもしれない。
だが問題なのは、その場合は足立が死んだというのが俺には分からない事だろう。
気が付かない間に足立が死んでいて、それが不明なまま足立を捜し続けるのは、不毛極まる。
足立はこの事件の黒幕という訳ではないだろうが、色々と事情を知ってるのは間違いない。
そんな足立が気が付いたらいつの間にか死んでいたとか、そういうのは出来れば遠慮したい。
だからこそ、白炎を出したままで俺が現実世界に戻るというのは却下だった。
……もしくは、この公園そのものが燃やされ、魔力的な影響によって映像スクリーンからTVの中の世界に入れなくなってしまう可能性も否定は出来ないし。
とはいえ、こっちに関しては別に映像スクリーンからTVの中の世界に入れないのなら、別のTVなり、美鶴、ムラタ、五飛が持っている通信機の映像スクリーンからTVの中の世界に入るという事も出来るのだが。
「とにかく、濃霧を完全に燃やすというのは難しいな」
そう言い、手を振って白炎を消す。
すると今まで濃霧を燃やし続けていた白炎が即座に消え、次の瞬間にはそこに白炎があったのが嘘のように濃霧が押し寄せる。
白炎が燃やし続け、かろうじて濃霧がなくなっていた空間は、一瞬……とまではいかないが、それでも数秒で完全に消え去り、再び公園の周囲は濃霧によって覆われてしまう。
「厄介だな」
「ああ。アクセルでもどうにも出来ないとなると、根本的に何か別の方法を考える必要がある」
ムラタと五飛の会話が聞こえてくるが、実際その言葉は間違っていない。
今のこの状況において、濃霧を白炎で焼くのが無理だというのは、俺にも十分に理解出来たのだから。
そうなると、やはりもっと他の……何らかの、今はすぐに思いつかないような方法でこの状況をどうにかする必要があった。
俺がこの方法をどうにかするのはちょっと分からないが……いや、待てよ? 原作の主人公、恐らくは鳴上だろうと予想しているものの、その原作の主人公もこのTVの中の世界に入るのは間違いない。
だが、その原作の主人公達はこの濃霧をどうするんだ?
普通に考えて、この濃霧をどうにか出来るとは思えない。
自分で言うのもなんだが、白炎というのはそれだけの存在なのだ。
そんな白炎ですら、濃霧を消す事が出来ない。
正確には一時的に濃霧を燃やす事は出来るものの、燃やされた場所にすぐ補充されてしまうのが厄介極まりない。
つまり、原作には濃霧を燃やすといったような方法でどうにかする事は出来ないと思ってもいい。
だとすれば、燃やす……というか、濃霧をどうにかする為に、何かもっと別の方法がある筈だった。
問題は、それが一体どうやってそれをやっているのか。
その方法が分かれば、こっちでもどうにか出来るんだが。
……そう考えると、やっぱり主人公を見つけるのを最優先にするべきなのだろう。
問題なのは、その主人公をどうやって見つけるか。
これで鳴上が本当に主人公なら、こっちもどうにか出来るんだが。
単純に敵を倒す事が出来れば次の事をどうにか出来るとかだったら、かなり便利なのだが。
具体的には、ボスがいるのか。
そしてボスを倒せば、濃霧が晴れるとか。
……考えるだけ無理か。
この公園のどこを探してもボスなんていそうにないし。
もしかして、地面の下にボスが埋まってるとか、そういうことはないよな?
そんな風に思いつつ、口を開く。
「取りあえず白炎でも駄目となると、何か別の方法を考える必要がある。それが具体的にどういう方法なのかは、生憎とまだちょっと分からないが。とにかくこの件は美鶴に知らせる必要があるから、そろそろ出るぞ」
そう言い、俺はムラタと五飛と共にTVの中の世界から出るのだった。
「アクセルの白炎でも無理、か。……それは厄介だな」
天城屋旅館の大広間、そろそろ夕食の時間という事で仕事が一段落したところで丁度俺達は戻ってきた。
そうして大広間の中で旅館の従業員に資料の類を見られないように片付けられている中で、俺は美鶴に事情を説明する。
「ちょっと待ってくれ。その白炎というのは何だ?」
俺と美鶴の話を聞いていた堂島がそう尋ねる。
そう言えば堂島には白炎をまだ見せていなかったか。
「俺の能力の1つだよ」
パチンッ、と軽く指を鳴らすと堂島のすぐ近くに白炎が生み出される。
純白の炎という、普通に暮らしている場合は一生見る機会がなくてもおかしくはないような白炎。
それが数秒、堂島の側で燃え……再び俺が指を鳴らすと白炎は消える。
一瞬前までそこに白炎があったのが嘘のように、綺麗さっぱりと。
「これが……白炎?」
「ああ。読んで字の如く。白い炎だっただろう?」
そう言うが、実際には俺のイメージ的に白って全く合わないんだよな。
これが黒だったら、まだ俺らしいのかもしれないが。
「こうして見れば分かると思うが、この炎は炎であっても普通の炎ではない。俺の魔力によって生み出されている炎だ」
これは嘘ではないが真実でもない。
混沌精霊としての俺の身体は、白炎によって出来ている。
魔力によって、普通の身体と変わらない姿形となっているが。
とはいえ、それについては言えば面倒な事になるだろうから言わないが。
「そしてTVの中の世界に入る時に魔力を纏っている状態で入れるのをみれば分かるように、魔力や気が大きく関係している。そんな訳で、白炎なら公園の周囲に存在する濃霧を燃やせるのかと思ったんだが……」
「駄目だったか」
「そうなるな。いや、正確には濃霧を燃やす事は出来た。けど、燃やすと即座に周囲にある濃霧から燃えた場所に補充される」
ただ燃やされにくいというだけなら、対処法はある。
それこそ生み出す白炎にもっと魔力を込めるとか。
しかし、燃やした端から補充されるとなると、対処するのが難しい。
いっそニーズヘッグでどうにか出来ないか?
そうも思ったが……ニーズヘッグで迂闊にそういう真似をすると、それこそTVの中の世界が破壊される可能性はかなり高い。
それだけニーズヘッグというのは常識外の存在なのだ。
以前なら、正直そこまででもなかった。
グレートグランドマスターキーがヒュドラに装備されてるので、それによって放たれる魔法は凶悪な威力を持ってはいるが、言ってみればそれだけだ。
だが、Fate世界で宝具となった事により、今のニーズヘッグは魔力属性とでも呼ぶべきものを持っている。
具体的には、全ての攻撃……グレートグランドマスターキーを使った魔法だけではなく、ヒュドラやファントムの攻撃は勿論、尻尾による攻撃、更には頭部のビームバルカンですら魔力属性を持つ。
つまり、俺みたいに普通の攻撃では何の意味もない相手に対しても、魔力属性を持つ以上はビームバルカンで普通にダメージを与えられるといったように。
そんなニーズヘッグが、TVの中の世界で攻撃をしたらどうなるか。
……まぁ、本当にTVの中の世界をどうにかしなければならず、それをしなければ世界が滅ぶとかなら、フレイヤを使うしかないのかもしれないが。
魔力属性を持つフレイヤを使ったら、TVの中の世界はどうなるのか。
あまり考えたくはないので、それ以上考えるのは止めておく。
「とにかく、俺の白炎でどうにかしようとしても濃霧の物量に負けるのは間違いない。そうなると、何とか別の方法を考える必要がある」
「別の方法と言っても、アクセルでもどうしようもないのなら、どうにかするのはまず難しいだろう」
美鶴が難しい表情でそう言う。
シャドウの研究という点で、桐条グループは恐らく最高峰のものを持っている。
だが、それでもTVの中の世界にある濃霧をどうにかする方法はとなると……それに対処出来るかどうかは、また別の話だった。
「やっぱりレモンとかを呼ぶしかないか。……出来ればこっちでどうにかしたかったんだが」
「そのレモンという人物を呼べば、あの濃霧をどうにか出来るのか?」
堂島が俺と美鶴の会話を聞いてそう尋ねてくる。
堂島にしてみれば、足立がこれ以上何かをやらかす前に捕まえたいのだろう。
……とはいえ、実際には今のところ足立って明確な犯罪を犯してる訳ではない、のか?
いやまぁ、早紀に強引に言い寄ったのを考えると、暴行とかそういう犯罪になるのかもしれないが。
だが、殺人とかそういうのは……山野真由美の件は半ば黒と決まってそうだが、それだって正確にはTVの中に入れたというだけなので、明確に殺した訳ではない。
だからといって、放っておく訳にはいかないだろうが。
実際にもし足立が捕まって、証拠不十分で釈放とかになったとしても、桐条グループが……あるいはそれ以外でも、何らかの裏の組織が足立に手を出すだろう。
捕らえて研究素材とするのか、危険だと判断して殺すのか、あるいは洗脳してTVに出入り出来る能力を何らかの目的で使うのか。
その辺は生憎と俺には分からなかったが、そういう風になる可能性はかなり高いと思う。
「どうだろうな。TVの中の世界の危険性を考えると、すぐにどうこうとは出来ないと思うけど。何でも研究をしてすぐに結果が出る訳じゃないのは、想像出来るだろう?」
一応堂島にそう言うが、実際にはレモンの事なのでさっさと研究結果を出してくれそうな気がする。
ホワイトスターには魔法球もあるし。
「そういうものか」
だが、堂島は俺の言葉に納得した様子でそう言う。
レモンの天才さが分からないと、この反応も当然か。
レモンは天才や鬼才、秀才……そんな者達が集まっている技術班の中でも、更に天才と呼ばれるだけの実力を持つ。
まさに天才の中の天才、万能の天才とでも呼ぶべき能力の持ち主だ。
そんなレモンだけに、濃霧の方は多分どうにかなるんじゃないかとは思ってるんだが。
……本格的にTVの中の世界を探索するのは、やっぱりレモンが来てからの方がいいのかもしれないな。
「そういうものなんだよ。俺については色々と特殊だから、あまり気にしすぎない方がいい」
「そういうものか」
再度同じ言葉を口にする堂島。
だが、そこには一体俺が何者なのか、訝しむような色があるのは間違いなかった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820