取りあえずTVの中の世界の件についての話が終わり、今までのように大広間での食事の準備が始まる。
とはいえ、いつもと違うのが……
「うわ、凄いねお姉ちゃん」
「え? 凄い? 何が?」
「だって、こんなに一杯の人とご飯なんて……初めてだよ」
手を繋ぎ、大広間に入ってきた菜々子と早紀がそんな風に会話をしている。
菜々子は人見知りするタイプだと思ったのだが、早紀が一緒にいるからか、そこまで緊張した様子はない。
もっとも、恐らくそれは早紀と話しているからで、シャドウワーカーの面々が話し掛けたりすれば人見知りを発揮するのだろうが。
ちなみに鳴上はそんな2人から少し遅れて大広間に姿を現す。
鳴上にしてみれば、話す相手がいないのだろう。
早紀は初対面の年上の女……しかも美人で見るからにモテる感じだ。
鳴上の性格は知らないが、菜々子と話しているとはいえ、早紀に声を掛けるのは難しいのだろう。
菜々子の方は早紀と話しているので、今は声を掛けるのに少し戸惑っているといったところか。
こうして考えると、鳴上と年齢の近い男となると……五飛が一番近いか?
ただ、五飛の性格を考えると気楽に人と話すといったような事は基本的にしない。
話して気が合えばそれなりに友好的な関係を築けるかもしれないが。
次に年齢が近いのは俺か?
いざとなれば15歳くらいの姿にもなれるし。
後は……性別は違うが、美鶴か?
とはいえ、美鶴の雰囲気は軽々しく声を掛けるのは難しいと思う。
その辺を無視して声を掛けると、それなりに友好的に接してくれるのだが。
「アクセル、どうした? 食事の用意も出来たし、そろそろ食べるぞ」
「ん? ああ、悪い」
美鶴に促され、俺は美鶴の隣に座る。
ちなみに美鶴の席はいわゆる上座……というのか?
それについてはそこまで気にするわけでもないので、特に問題はないのだが。
「では、今日も1日ご苦労だった。明日の為にも英気を養って欲しい。……乾杯」
『乾杯』
美鶴の言葉に合わせ、それぞれが持っているコップを掲げ、近くにいる相手のコップとぶつける。
とはいえ、全員がウーロン茶とかお茶とかジュースとかで、アルコールはないが。
何しろ今回の事件はいつ何が起きるか分からないのだから、それも当然だろう。
場合によっては、こうして食事中に何らかの進展……もしくは騒動が起きないとも限らない。
足立はTVの中の世界を自由に行き来出来るのだから、TVのある世界でならどこでも姿を現す――TVの大きさが十分にあればだが――可能性がある。
……それにしても、足立がTVの中の世界を自由に動き回っているのは分かるのだが、足立は濃霧をどうしてるんだろうな。
美鶴や近くにいる堂島とウーロン茶の入っているコップを軽くぶつけ、それを飲みながらそんな風に思う。
俺やムラタですら、濃霧の中を移動は出来ない。
いや、正確には濃霧の中を移動する事は出来るのだが、濃霧によって何も見えないし、場合によっては方向感覚すら失ってしまうだろう。
だというのに、足立は恐らくジュネスの中にあるTVから出入りして食料とかを集めているのを見れば分かるように、恐らくTVの中の世界を自由に動き回っている。
何らかの特殊な能力を持ってるとか、そんな感じか?
小ボスや中ボスといった感じなのだろうし、そう考えるとそういう能力を持っていてもおかしくないとは思うが。
「結局TVの中の世界を探索するには、あの濃霧をどうにかしないといけない訳だ」
「それで、どうにか出来そうなのか?」
鹿肉の鍋を食べながら、堂島が聞いてくる。
鹿肉というのは下処理や調理方法、火を通しすぎると硬くなるのだが、この1人用の鍋に入っている鹿肉はその辺は全く問題ない。
もっとも1人用の鍋は温める為に下に固形燃料の火がある。
食べるまでに時間を掛けすぎると、肉が硬くなってしまうだろう。
俺もまた、その鹿肉を食べながら堂島の言葉に首を横に振る。
「残念だが、今すぐにどうこうというのはちょっと難しいだろうな。さっきも言ったが、俺の白炎でも難しかったし」
こうして堂島と話しながら食事をしているが、その声は小声だ。
離れた場所にいる鳴上に聞かせない方がいいだろうと判断してのものだ。
菜々子の方は、早紀と会話をしながら食事をしているので、こっちの事に気が向いている様子はないし。
「そうか」
残念そうな、それでいてどこか安堵したかのような、そんな声。
さて、一体これはどういう感情でそんな風に思ったんだろうな。
「そう言えば、武器についてはどうにかなったのか?」
「……いや、まだだ」
一度はTVの中の世界に連れていった堂島だったが、基本的にシャドウとの戦いが本格的になったら、堂島をTVの中の世界に連れていくつもりはない。
何しろ今の堂島は刑事としてそれなりに鍛えてはいるのだろうが、それではあくまでも一般人としてだ。
もしくは犯罪者に対処する為か。
それが悪い訳ではないし、刑事としては当然の事だろう。
しかし、シャドウは人ではない。
いや、実際には人型のシャドウもいない訳ではないが、そういうのはかなり少ない。
スライム状だったり、テーブルの形をしていたり、戦車だったり……そんなシャドウを相手に、刑事として鍛えた柔道や剣道、空手といったものが効果があるかと言われれば……微妙だろう。
勿論、何も鍛えていない者と比べると頼りになるが、それはあくまでも何も鍛えていない者と比べての話だ。
俺達のようにシャドウと戦い慣れている者にしてみれば……そして美鶴のようにペルソナを使えるような者にしてみれば、柔道や剣道、空手というのは素人がちょっと強くなった程度でしかない。
勿論、柔道で地面を割ったり、剣道で岩を切断出来たり、空手で大木を折ったり……そういう真似が出来れば、話が別だが。
だが、生憎と堂島にはそんな事は出来ない。
格闘技のプロとかなら、そういう事が出来てもおかしくはないのかもしれないが……堂島は刑事であってもプロの格闘家ではない。
いや、プロの格闘家というのはちょっと表現が違うか?
あくまでも俺のイメージだが、プロの格闘家というのは人前で戦うような者……格闘大会とかに出て、それで稼いでいるような奴の事を言うといったイメージがある。
「繰り返すようだが、堂島をTVの中の世界に連れていくのは、あくまでも堂島が自分の身を守れるならだ。それも人が相手じゃなくて、シャドウを相手にしてな」
「分かっている。ただ、武器に関してはさっきちょっと署に連絡した時、いい情報を貰った。どうやら商店街に武器として使えそうな物を作っている店があるらしい」
「……は?」
一瞬、堂島が何を言っているのか俺には分からなかった。
武器として使える物……それは例えば鍛冶師とかか?
まぁ、ここはペルソナ世界とはいえ、日本だ。
日本刀とかは、今でも芸術品として作られているし、中にはヤクザとかが使っていたりするイメージがあるので、一応実戦で使われていたりはするのかもしれないな。
とはいえ、商店街はそれなりに見て回ったが鍛冶の店とかそういうのはなかったと思う。
だとすれば、そういうのじゃなくて……モデルガンとか?
モデルガンと言えば玩具を想像する者も多いが、モデルガンは改造すれば空き缶とかを貫く威力があったりする。
人は勿論、シャドウを相手にするにもある程度は有効かもしれない。
それを堂島が使うつもりになるかと言われれば、それはそれで微妙だが。
ただ、堂島は刑事として拳銃を撃つ訓練とかもしてる筈だ。
だとすれば、改造したモデルガンというのはそんなに悪くない選択肢なのかもしれない。
とはいえ、それらは違法……違法なのか?
その辺の法整備がどうなっているのかは、ちょっと分からない。
もし違法だとしても、堂島が本当に足立を自分の手で捕らえたいのなら、それくらいは受け入れるかもしれないが。
いや、けど堂島の性格を考えると、それはちょっと難しいか?
それに商店街でそれらしい店を見つけたって話だったし。
「一体どういう店なんだ?」
「アートを売りにしている金属細工店だ」
「……えっと、それはどういう店なんだ?」
鹿の出汁を吸い込んだ肉厚の椎茸を食べながら、疑問を抱く。
あまりに疑問で、間違いなく美味いだろう椎茸の味をしっかりと堪能することが出来なくなってしまう程だ。
「簡単に言えば、金属細工の店だという事になっているが、実際には武器や防具を作っているらしい」
「……それ、よく取り締まられないな」
「アートだからだろうな。美術品としてなら、日本刀を持っていてもおかしくはない」
「そういう事にしておくよ」
堂島の様子を見る限り、何かを隠しているのは間違いない。
だが、それを言う堂島ではないだろう。
ここで無理に追及をすると、堂島が妙な行動をしかねない。
例えば、自分だけで足立を捜すとか。
基本的にTVの中の世界を拠点としている以上、足立はそう簡単に見つかったりはしないだろう。
だが、ジュネスで食料を集めていた件を見れば分かるように、足立は現実世界に出てくる事もある。
その時に足立を捕らえようとすれば、一体どうなるか。
もしそれで上手い具合に足立を捕らえられれば、それでいい。
しかし、もし堂島が接触した事によって足立が暴走したら……最悪の場合を考えると、現実世界でペルソナを使って大暴れするといった可能性は十分にあった。
足立がペルソナ使いとして覚醒してるかどうかは、分からない。
だが、小ボスか中ボスである以上、ペルソナ使いとして覚醒していない方がおかしいだろう。
そんな足立が暴走したら、どうなるか。
最悪、ペルソナが全国ニュース……場合によっては全世界のニュースで流されてしまう可能性があった。
それは絶対に避けたい。
いやまぁ、もしかしたらそれによってこの世界のペルソナ使いが多数出て来る可能性もあるが、最悪魔女狩りが起こる。
そうなると、最悪の場合はペルソナ世界を切り捨てるか、あるいは桐条グループに全面的に協力して世界征服でもするか。
そんな感じになるだろう。
それは絶対に避けたい。
「その店で武器を手に入れるのは分かった。……なら、そうだな。どういう武器を入手するのかは分からないが、五飛に鍛えて貰うといい」
「五飛? それはあの……悠よりも年下の少年だろう?」
「そうだな。外見は若いが、その強さは間違いない」
何しろたった5人で地球に喧嘩を売った奴だから。
そう言おうと思ったが、もしそれを言えば五飛がW世界という異世界から来たと説明しなければならないので、それは止めておく。
「それはまぁ、アクセルがわざわざ呼んだんだから、強いのは間違いないんだろうが。もう1人の方は駄目なのか?」
「死にたいのか?」
「……どういう意味だ?」
俺の突然の言葉に、堂島が訝しげに尋ねる。
堂島にしてみれば、何故今の状況でそのような言葉が出て来たのかが理解出来なかったのだろう。
「ムラタは強い。だが、人に教えるのには向いてない。もし堂島が鍛えてくれと言えば、鍛えてくれるだろうが……その鍛え方は、あくまでもムラタ基準となる」
鬼滅世界で獪岳がムラタに鍛えられて強くなったが、それはあくまでも獪岳だからだ。
色々と性格的に欠点の多かった獪岳だったが、純粋に戦闘能力という点ではかなりの強さを持つ。
それこそ堂島とは比べものにならないくらいに。
つまり、獪岳ではない……気や魔力は勿論、ペルソナや呼吸も使えない堂島がムラタの訓練を受けたらほぼ確実に死ぬだろう。
あるいは死ななくても重傷を負う可能性は高い。
それに耐えられれば、一足飛びに強くなれるのは間違いないが。
実際獪岳も元から相応の強さを持ってはいたが、ムラタに鍛えられることによってそれまで以上の力を手に入れたし。
だが、それはあくまでも耐えられればだ。
こう言ってはなんだが、堂島にはそもそもムラタの訓練に耐えられる基礎が出来ていない。
……この場合の基礎というのは、あくまでもシャドウミラーの実働班基準での基礎だ。
寧ろ堂島を訓練するのならエヴァの方がいいと思う。
ただ、エヴァはエヴァでムラタ程ではないがスパルタなんだよな。
普通に相手を凍らせるような魔法を使ってくるし。
それに対抗出来なければ駄目な訳で……やっぱり基礎が出来ていない。
せめて、気や魔力くらいは使えるようにならないと駄目だろうが、堂島にそれを習得している時間はない。
実は堂島がもの凄い才能を持っていて、すぐにコツを掴んで数日程度で気や魔力を使いこなせるようになれば、話は別だが。
原作の主人公でもない堂島にそんな事はまず無理だろう。
それでも実戦を経験すれば、多少なりとも腕は上がるかもしれないが。
「それでどうする? ムラタと五飛……どっちに鍛えて貰うか」
「……五飛に頼む」
少し悩んだ末に、堂島はそう言う。
堂島にとってもムラタとの訓練でTVの中の世界を探索する前に大きなダメージを受ける事は避けたかったのだろう。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820