早朝の訓練が終わり、そろそろ朝食の時間ということで天城屋旅館に戻る。
当然の話だが、堂島は結局五飛に一撃を与える事も出来なかった。
お互いの実力差を考えれば当然かもしれないが。
そして五飛がかなり手加減をしていたのだが、それでも最後まで音を上げなかった。
とはいえ、手加減をされた分だけ長く動く事になり、それによって朝から体力を消耗したのは間違いなかったが。
ちなみに五飛との模擬戦の結果、堂島が怪我をしたという事はない。
五飛の持つ木刀は、その全てが寸止めで止められていたからだ。
もしかしたら寸止めに失敗するかもしれないといったようなことを口にしていた五飛だったが、実際にどうにかなるようなことはなかったらしい。
五飛にしてみれば、念の為言ったといったところか。
あるいは堂島の動きが鈍く、焦って寸止めを失敗するようなことがなかったといった感じなのか。
その辺は俺にも分からないが、それでも堂島が途中で訓練を止めたいと言うような事はなかった。
寸止めされるとはいえ、木刀が自分に向かって振るわれるのには恐怖を覚えてもいいと思うんだが。
それでも堂島は最後まで模擬戦を続けたのだ。
五飛にしてみれば、そんな堂島をそれなりに気に入ったらしい。
模擬戦でも最後の方には、どこが悪いといった指摘をしていたし。
そんな堂島は、五飛との訓練が終わって汗だくなので朝食前に温泉に直行した。
いつでも温泉に入れるというのは、こういう時にいいよな。
普通の家でも、シャワーとかはあるだろうが。
それでも模擬戦が終わった後の疲れを癒やしたり、マッサージをするなら、温泉の方がかなり便利だ。
問題なのは、温泉の中で疲れから堂島が眠らないかどうかという事だが。
その辺は大丈夫だと思っておこう。
あまりに朝食に来るのが遅かったら、様子を見に行くなり、旅館の従業員に頼むなりした方がいいな。
そんな風に思いつつ、大広間に向かう。
いつの間にか、大広間で全員揃って食事をするという流れになってるな。
その日の打ち合わせをするとか考えれば、それでもいいのかもしれないが。
「アクセル、どうだった?」
美鶴の隣に座ると、早速そう尋ねてくる。
それが具体的に何を言ってるのかは、考えるまでもない。
今日の朝食前に五飛と堂島が訓練をするというのは、昨日美鶴に話しておいたのだから。
「堂島が模擬戦で勝利したりはしなかったが、それでも最後まで訓練を続けたという点では見込みがある。元々剣道をやってたようなのが、ちょっと心配で安心だけど」
心配で安心。
矛盾してる言葉だが、俺の言葉の意味を理解した美鶴は真剣な表情で頷く。
安心というのは、剣道をやっていただけあって武器を使うという事に慣れている点。
例えば素人の場合、木刀で敵を攻撃する場合は少しでも大きなダメージを与えようと、そして速度の乗った一撃を放とうと、木刀を振りかぶる。
だが、そんな事をすれば戦いに慣れている者は振りかぶった隙を突いて相手に攻撃する。
しかし堂島は剣道の経験がある為か、振りかぶるといった無駄な動きをしないで敵を攻撃する事が出来る。
これが安心出来る部分。
心配なのは、堂島の戦闘方法はあくまでも剣道……面、胴、小手、突きの4種類しか攻撃しない事だ。
例えばシャドウが人型ならそれでも問題ないかもしれないが、基本的にシャドウは人外の外見をしている。
スライム状のシャドウに剣道流の動きが効くかと言われれば……魔力や気があればもしかしたら、と俺は答えるだろう。
戦車型のシャドウを相手にした場合、剣道でどうにか出来る筈もない。……呼吸や神鳴流とか、そういうのが使えるのなら話は別だが。
だが、堂島の戦闘の基本スタイルが剣道である以上、その動きが身体に染みついている可能性がある。
そういう意味では、全くの素人の方がシャドウとの戦いに向いているのかもしれないな。
「ふむ、そうなると堂島をTVの中の世界に連れていくのはもう少し待った方が……うん?」
「どうした?」
「鳴上を見てみろ。何か妙な感じがしないか?」
話している途中でいきなりそんな事を言い出した美鶴に、俺達から離れた場所で朝食を食べている鳴上に視線を向ける。
妙な感じ……? 妙な感じか。
言われてみればそんな感じがしないでもないが。
「何があったと思う?」
「それを私に聞かれてもな。そもそも私は鳴上とあまり話をした事がない。寧ろアクセルの方が話す機会は多いのではないか?」
「そうでもないんだけどな。……あ、もしかしてマヨナカテレビで何かあったとかじゃないよな?」
鳴上は引っ越してきたタイミングから考えて、恐らくこの事件の主人公だと俺は思っている。
ただ、ペルソナ使いではないらしいのがネックだ。
鳴上が引っ越してきて、山野真由美の件がある以上は原作はもう始まっていると考えてもいい。
だというのに、まだペルソナ使いとして覚醒していないのは……それが唯一にして最大のネックだった。
ただ、主人公である以上はマヨナカテレビとの間に何らかの関係があってもおかしくはない。
本人が望むか望まないかは別として。
そんな鳴上の様子がおかしいというのは、何かあったという可能性は否定出来ない。
……勿論、実はシャドウとかマヨナカテレビとかに全く関係なく、単純に慣れない場所でなかなか眠れなかったとか、夢見が悪かったとか、そういう理由である可能性も否定出来ないが。
人というのは、環境が変わると……それこそ枕が変わっただけで眠れなくなったりしてもおかしくはない。
鳴上はまだここに引っ越してきたばかりで、その上で堂島の家から天城屋旅館で寝泊まりするようになったのだから、そうおかしな話ではない……と思う。
もっとも、そこまで神経が細いというか、神経質なのかどうかはちょっと微妙なところだが。
「後で話を聞いておいた方がいいかもしれないな」
「……アクセルがか?」
「俺以外に誰にやらせる? 他に聞けそうな面子となると、五飛とか早紀か? けど、五飛はそういうのに向いてないし、そうなると早紀だけか」
五飛の性格を知ってる身としては、とてもではないが上手く話を聞き出せるとは思えない。
そもそもの話、五飛と鳴上は親しくない……どころか、話した事すら多分ないだろう。
昨日の夕食の時にでもその機会があればよかったのだが、生憎とそういうのはなかったみたいだし。
だとすれば、残るのは早紀になるが……早紀の場合は年齢的に近いし、菜々子との関係も悪くないし、その関係で鳴上ともそれなりに話しているのは間違いないが……女だというのがネックだ。
別に女だから話を聞き出せないとか思っている訳ではない。
単純に、鳴上の性格的にまだ知り合ってから少ししか経っていない早紀に何があったかと言われて素直に答えるかと言われれば微妙だというのが俺の予想だ。
俺も鳴上と親しい訳ではないが、それなりに年齢が近い……近い……しまったな。どうせなら外見年齢を15歳くらいに変えておけばよかった。
そうなればもっと自然に鳴上と接触出来たかもしれないのに。
もっとも鳴上がまさかこの事件の主人公だとは思ってもいなかったのだから、今更の話だが。
寧ろここで俺が今の20代の姿から15歳の姿に変わった方が、稲羽署とかの関係から問題があるだろう。
あるいは鳴上と話す時だけそういう外見にしてもいいが……いや、鳴上にしてみれば、15歳になった俺が誰なのか理解出来ないだろうし、理解したらしたで面倒になりそうなのは、止めておいた方がいいか。
「やっぱり俺が直接鳴上に話を聞いてくるよ」
「そうか? 分かった。なら、アクセルに任せよう」
そうして話をしてると、風呂上がりの堂島が姿を現す。
本人が望んだとはいえ、朝から五飛との模擬戦を行った疲れを癒やす為に温泉でゆっくりしてきたんだ。
朝から温泉に入れるというのは……それも天城屋旅館という老舗旅館の温泉に入れるのだから、五飛との訓練も堂島にとって悪いものではないのかもしれないな。
もっとも、本人にしてみれば温泉で強張った筋肉のマッサージをしたりで、それどころでもないだろうが。
特に堂島は、これからが仕事の本番だ。
そうである以上、今は少しでも体力を回復する必要があるのは間違いなかった。
……それはそれで、緊急の体力回復の訓練という事になるのかもしれないが。
俺を始めとして、シャドウミラーの実働班のように気や魔力を使える訳ではない以上、短時間で可能な限り体力を回復するというのは何気に結構重要な技術だ。
TVの中の世界でシャドウと戦う時、当然ながらシャドウはこっちの行動を待ってくれる訳ではない。
場合によっては連戦になったり、そこまでではなくても短時間のインターバルで次の戦闘があったりするのは珍しい話ではない。
もしくは非常に頑丈な相手との戦いで長時間の戦いになったり。
そういう時、必要なのは少しでも体力の消耗を減らしたり、少し……数分や数十秒といった時間でどこまで体力を回復出来るのかというのは大きな意味を持つ。
勿論、気や魔力を使えるのならそういう時間をある程度短縮したりも出来るんだが。
あくまでもそういう技術を持っていればの話だが。
ともあれ、堂島にとってはTVの中の世界で足立を捕らえるにはもっと鍛える必要があるのは間違いない。
具体的にどこまで堂島を鍛えられるのかは……本人のやる気次第か。
ただ、レモンを呼んでTVの中の世界で公園の周囲にある濃霧をどうにかする手筈が整ったら、探索を開始する。
それがいつになるのかは、生憎と俺にも分からないが。
そんな風に考えつつ、旅館の朝食を楽しむのだった。
「鳴上、ちょっといいか?」
「はい? 何ですか?」
朝食が終わり、それぞれが自分のやるべき事……鳴上なら学校に行く準備をしようとしていたところで、俺はそう声を掛ける。
鳴上も特に何かを感じた様子ではなく、返事をしてくる。
「朝食を食べている時にちょっと様子がおかしかったのが気になってな。何かあったか?」
単刀直入な問いだったが、それでも鳴上はピクリと反応する。
本人は隠してるつもりなのかもしれないが、今の反応を見逃す事はない。
「いえ、特に何も。ただ、こういう高級旅館に泊まるのは初めてだったので、それで少し寝付きが悪かったんですよ」
「……そうか」
それは明らかに言い訳だった。
だがそれでも、ここで無理に聞き出そうとしても素直に話すとは思えない。
であれば、ここで強引に話を聞こうとしても、恐らく失敗するだろう。
「いつまでになるかは分からないが、今日から暫く天城屋旅館で生活をするんだ。早めに慣れておいた方がいいぞ。慣れればかなり快適だし。……そう言えば、この天城屋旅館の若女将の雪子は鳴上と同じ学校じゃないか?」
「あ、はい。同じクラスです」
「そうなのか。それは偶然だな」
偶然というか、これで鳴上が主人公である可能性がまた高くなったのだが。
見るからに大和撫子といった様子の雪子だけに、ヒロイン役としては……もしくは仲間役として原作に出て来るというのは十分に有り得るだろう。
「そうですね」
「あんな美人と同じクラスなのに、あまり乗り気じゃないみたいだな」
俺が聞いた話だと、雪子はかなりモテる。
ただ、誰がアプローチしてもそれを受け入れる事はなく、今となっては天城越えと呼ばれるようになってるらしい。
そんな八十神高等学校のヒロインと呼んでもいいような雪子と同じクラスで、しかもこの旅館の娘という事でその気になれば一緒に学校に行くといった事も出来るのに、鳴上は何故そこまでやる気がないのか。
あるいは単純にまだ女に興味がないだけという可能性もある。
一般的に考えれば、高校生ともなれば彼女が欲しいといったように女に興味津々になってもおかしくはない。
だが、それはあくまでも一般的な話だ。
中には高校生になっても女に興味がない者もいるだろう。
鳴上がそういうタイプであっても……いや、違うな。
この前堂島の家で美鶴と会った時の反応を見れば、鳴上は女に興味がない訳ではない。
そうなると、年上にしか興味を持たないとかか?
もしくは……女に興味があっても、今はそれどころではない状態なのか。
その辺は生憎と俺にも分からなかったが、やっぱり鳴上に何かが起きたのは間違いないと思う。
それが具体的にどういう事なのかは、生憎と俺にも分からなかったが。
「いえ、そうでもないですよ。ただ……その、もう行ってもいいですか? 学校があるので」
「ああ、構わない。呼び止めて悪かったな。何か相談があったら、言ってくれ。もしかしたら力になれるかもしれないから」
そう言うと鳴上は不思議そうな表情を浮かべる。
鳴上にしてみれば、俺が一体どういう人物なのかまだ分かっていないので、そういう反応になってもおかしくはない。
それでも特に何か言ったりせず、鳴上は俺の前から立ち去るのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820