「さて、今日はこれからどうするかだな」
朝食が終わり、皆がそれぞれの仕事を始めた頃、俺はそう呟く。
ちなみに堂島は最初菜々子を小学校まで送っていくつもりだったらしいが、早紀が菜々子と一緒に小学校まで行くという事になり、そちらに任せたらしい。
菜々子、随分と早紀に懐いたな。
それにしても、堂島は気が付いているのか?
自分の外堀が次第に埋められているという事に。
このままだと、なし崩し的に早紀が堂島の後妻……もしくは恋人という形になりそうだが。
まぁ、早紀にとっては恋が叶うので問題はないだろうし、堂島にとっても若くて美人な恋人が出来るんだから、悪い話ではないと思う。
実際のところ、本当にどうなるのかは俺にも分からなかったが。
「アクセル、少しいいか?」
「美鶴? ああ、構わないが。何かあったのか?」
「映像を見て貰えば分かる」
そう言い、美鶴は俺をとあるコンピュータの前まで連れていく。
堂島もそのコンピュータの側にいる。
だとすれば、これは……
「足立の件か?」
「そうだ。どうやら昨夜もジュネスで色々と盗んでいったらしい」
美鶴が俺の言葉に頷き、それを聞いた堂島は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
殺人程ではないが、不法侵入や窃盗も立派な犯罪だ。
足立が堂々とそれをやっているのに、コンビを組んでいた堂島が何も出来ないのが悔しいのだろう。
「けど、ジュネスには警察から人が派遣されていた筈だろう?」
一昨日の夜……というか夜中にも足立はジュネスから食料やら何やらを盗んでいった。
その事は既に昨日の時点で堂島から稲羽署に報告されており、その報告を聞いた稲羽署から何人も派遣はされていた筈だった。
足立が厄介なのは、あくまでもTVの中に入る能力を持っているからだ。
ペルソナに覚醒していた場合はちょっと危険――俺達の基準で――かもしれないが、今のところそんな様子はない。
あるいはもうペルソナに覚醒しているものの、単純にそれを使っていないだけなのかもしれないが。
とにかくそうして何人もがいたのに、足立を捕らえられなかったのは問題だろう。
足立がどこに行くのか分からないのならともかく、食品を扱っている場所に向かうのは、一昨日の件から明らかだったのだ。
なのに捕まえられないとなると……あれ? もしかしてこれ、実は本当にペルソナ使いとして覚醒していたりしないか?
その為に、ジュネスにいた者達は足立の存在を確認出来なかったとか?
もしくはペルソナに覚醒していなくても足立は相応の能力があって、敵に見つかる事はなかったとか。
「ペルソナだったか? それが使われた形跡はない」
堂島がそう言うのは、美鶴のペルソナのアルテミシアを実際に見た事があったからだろう。
「アルテミシアを基準にしてるのかもしれないが、ペルソナの中にはああいう大きさじゃなくて、もっと小さい奴もいるぞ?」
分かりやすいのは、有里のペルソナだろう。
他の面々は1人につき1つのペルソナしか持っていないのに、何故か有里だけは多数のペルソナを使いこなす。
そんなペルソナの中にはピクシーという小さい……それこそ妖精という表現が相応しいような小さなペルソナもいる。
もし足立がペルソナ使いとして覚醒しており、そのペルソナがピクシーのように小さな場合、それによって見回りをしている警察官達に見つからない可能性は十分にあった。
「むぅ……そういうものなのか」
アルテミシアしか知らない以上、堂島がそんな風に疑問に思ってもおかしくはない。
しかし、それはそれでちょっと疑問だが。
足立の性格を考えると、いきなり自分が強い力を入手した場合、かなり有頂天になり、増長してもおかしくはない。
実際、山野真由美を殺し、早紀も同様に殺そうとしたのだから。
もし足立がTVの中に出入り出来るような力がなければ、山野真由美の事件は起きなかった……起きなかったか? 足立の性格を俺は少ししか知らないが、それでも短絡的なのは分かる。
だとすれば、もしかしたらTVに出入り出来る能力がなくても、山野真由美の事件は起こしていた可能性が高い。
もっとも、その場合は足立もTVのアンテナにぶら下げるといった事は出来なかっただろうが。
そう言えば結局TVのアンテナに死体をぶら下げたのって足立の仕業……でいいんだよな?
何の為にああいう事をしたのかは分からないが。
足立の性格を考えれば、愉快犯か?
どうやって死体をアンテナにぶら下げたのか、分からないだろ? それをやる俺って凄いだろ、みたいな。
「ともあれ、足立が昨日ジュネスの中で行動したのなら、稲羽署から人員が派遣されているのは既に理解している筈だ。そうなると、今夜からはそう上手くいかないな」
またジュネスに姿を現すかどうかが、既に疑問だろう。
あるいはもう姿を現さないという予想の裏を突いて、またジュネスに現れるという可能性は否定出来なかったが。
足立は元刑事……いや、今の足立の立場が具体的にどうなっているのかは、分からない。それでも足立のやった事を考えれば懲戒免職になっていてもおかしくはない。
ともあれ、足立が元刑事なのだから現職の刑事の考えそうな事は普通に理解しているだろう。
それを考えると、意表を突いたりは簡単に出来そうな気がするな。
「そうなると、やはりTVの中の世界で捕らえるしかないという事か」
「だろうな。もっともそのTVの中の世界についても、濃霧をどうにかしないと探索が出来ないんだが。それまでに自分の身を守れるようになっていたらいいな。……そう言えば、武器を入手するって話だったけど、それはどうなったんだ?」
「今日、時間が出来たら取りに行く予定だ」
「では、ある程度の仕事が終わったらパトロールにでも行って貰おうか。足立がいつどこで姿を見せるか分からないのでな」
俺と堂島の会話に、美鶴がそう言ってくる。
気を遣っての言葉なのだろう。
堂島も最初は少し驚きつつ、やがて美鶴に頭を下げる。
「すまない、助かる」
「気にするな。TVの中の世界で行動出来る者が増えるのは、私達にとっても利益となる」
美鶴が本気でそう思っているのかどうかは、分からない。
普通――シャドウの存在を知ってる者として――に考えれば、ペルソナを使えない一般人がタルタロスのようなシャドウの巣に近い場所に行くのは、足手纏いになると思えたからだ。
あるいは堂島がペルソナ使いとして覚醒する事を期待してるのか?
まぁ、その可能性はない訳ではないが。
桐条グループのエルゴ研の研究によると、ペルソナというのは基本的に素質がなければ覚醒出来ない。
それはつまり、素質があれば覚醒出来る訳だ。
……コロマルのような犬であっても。
アンドロイドと呼ぶべきアイギスの場合は、黄昏の羽根を使っているので少し例外だが。
つまり、才能さえあれば犬ですらペルソナ使いとして覚醒するのだから、堂島もペルソナ使いとしての素質があれば覚醒する可能性はある。
もっとも、美鶴が特別課外滑動部のメンバーとしてペルソナ使いを集めるのを苦戦していたように、ペルソナ使いの素質を持つ者というのは非常に希少だ。
とてもではないが、そう簡単に才能の持ち主を見つけられない。
ただし、堂島は原作主人公と思しき鳴上の叔父だ。
実は鳴上がTVの中の世界を探索する仲間として協力する可能性は十分にあった。
そういう意味では、堂島がペルソナ使いとして覚醒する可能性はあるのだろう。
「じゃあ、俺は……そうだな。適当に街中を見て回ってくるよ。ちょっとした事で何らかの手掛かりを拾えるかもしれないし」
明確な手掛かりがない以上、今の状況ですぐに動けるという事はない。
だとすれば、ここでじっとしていても意味はないし、街中を適当に見て回るのが最善だろう。
もしかしたら……本当に可能性は低いが、それでも足立と遭遇出来る可能性は否定出来ないのだから。
とはいえ、実際にはそのような事になる可能性はまずないだろう。
それでもある程度動く事によってその小さな可能性を掴めるかもしれない。
何もせず旅館から出なければ、可能性は0のままなのだから。
「分かった、アクセルはそれでいい。ムラタと五飛はどうする?」
「放っておけば、戦闘訓練でもしてるだろ。一応山菜採りとかハイキングに来た相手には見つからないように言っておいたから、問題はないと思う」
ムラタも五飛も、気配を察知する能力はある。
一般人が山菜採りとかハイキングに来たのを察知出来ない程ではないだろう。
……熊に遭遇しないように、気配を消す技術を持つ人物とかいなければ、だが。
素人がその手の技術を持ってるとは思えないし、もし持っていてもムラタや五飛ならそれを察知出来るだろうから、心配はいらないと思う。
「あの2人ならそうか。では、アクセルは適当にしていてくれ」
美鶴の言葉に頷くと、俺は大広間を出る。
「さて……そうは言ったものの、一体どこに行くかだな」
足立を捜すという目的はあるものの、それはあくまでもついで……見つかればラッキー程度でしかない。
そうである以上、俺がやるのは純粋な暇潰しに近い。
それでどこに行くのかを考えるも、特に行きたい場所ってないんだよな。
これが昼近くなったら、ジュネスのフードコートで売っている高級ホットドッグを買いに行ってもいいんだが。
今は朝食を食べたばかりだ。
勿論、俺の身体は食べればすぐにそれを分解して魔力として吸収するので、そういう意味では食べようと思えば食べられるのだが……そもそも今はまだ8時くらいだ。
ジュネスがそもそも開いていない。
いっそ、鳴上と一緒に八十神高等学校に行っても面白かったかもしれないな。
鳴上がこの事件の原作の主人公だとすれば、学校にも今回の事件の何らかのヒントはあるかもしれないし。
早紀を捜して足立が姿を現す可能性も否定出来ない。
何しろ学校というのは何だかんだとTVの類がかなり多く置かれている。
足立にしてみれば、そこから侵入するのは難しい話ではないだろう。……もっとも、足立が出て来られる大きさのTVの数となると大分少ないが。
それに早紀は現在学校を休学中だから、そもそも八十神高等学校に行っても意味はない。
早紀以外の小西一家を東京に逃がしたのに、肝心要の足立に狙われている早紀をそのまま八十神高等学校に向かわせるという真似が出来る筈もない。
今日、早紀が菜々子を小学校まで送っていったが、その時も実際にはシャドウワーカーが護衛に付き添っていたし。
そんな訳で、もし足立が八十神高等学校で早紀を捜そうとしても見つけるのは不可能だ。
もっとも足立にもそれくらいの事は分かっているのだろうが。
以前八十神高等学校に行った時は、桐条グループの影響力のお陰で特に問題なく見学を出来たものの、今の俺の状況では見学するのは難しいだろう。
校長が俺の事を覚えていれば、美鶴との関係を考えて見学を許可してくれる可能性もあったが。
「取りあえず適当に歩き回るか」
今の時間は学生の登校時間でもある。
だとすれば、ここで適当に歩き回って登校途中の学生達が話しているのを盗み聞きして情報を集めるというのはありだろう。
もっとも、放課後とかと比べて学生達はこれから勉強だったり、朝という事もあってまだ眠いとか、そういう感じで何かいい情報を入手出来るとは到底思えないが。
それでも何か俺の知らない情報を入手出来るかもしれないので……と思って天城屋旅館から出ようとすると……
「あら……おはようございます」
こちらもちょうど学校に出掛けようとしている雪子と遭遇する。
俺を見ると少し驚いた様子を見せ、頭を下げてくる。
「これから学校か? 鳴上は少し早く出たみたいだが」
「少し家の仕事があったので。それにしても、鳴上君がうちに泊まっていたのを見て驚きました」
そう言う雪子の言葉は、鳴上を知っているのを前提としてのものだった。
「鳴上を知ってるのか?」
「はい。一緒のクラスですし、千枝……私の親友ですけど、千枝とも仲が良いので、自然と話す事が多くなりましたから」
「意外な繋がりだな」
同じ学校だし、もしかしたらお互いを知ってるかもしれないとは思っていた。
雪子は見るからに大和撫子といった美人で、身体付きもかなり女らしい。
そして鳴上は転校生という……聞き慣れてはいるが、実際にはなかなか見る事はない存在だ。
それだけに、お互いに八十神高等学校の中では有名人である以上、そういう意味でお互いを知っていてもおかしくはないと思っていたが、雪子の親友繋がりで鳴上と親しいとは思わなかった。
「そうですね。私もそう思います。……ただ、聞いた話によると、少し事件に巻き込まれたとか。大丈夫なんでしょうか?」
「絶対に大丈夫という訳じゃないが、それでも普通に暮らしているよりはいいと思う。……そう言えばこれから学校に行くんだよな? 途中まで一緒に行ってもいいか? 色々と噂とか聞きたいし」
「え? ええ、それは構いませんけど、噂にはあまり詳しくないですよ?」
「マヨナカテレビの件とか知ってたし、自分では知らないだけで十分詳しいと思うぞ」
こうして、俺は学校に行く雪子と行動を共にする事になるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820