「アクセル」
「待たせたか?」
「ふふっ、こういう時は今来たところよとでも言えばいいのかしら?」
俺の言葉にレモンはそんな風に笑みを浮かべて言う。
ペルソナ世界の東京。
ゲートが設置されている桐条グループの倉庫の中で俺は久しぶりにレモンに会っていた。
もっとも通信機を使って色々とやり取りをしていたので、久しぶりという気はしないが。
何より、俺は未知の世界に転移して行動をする事が多く、その時は数ヶ月も連絡が出来ないというのは珍しい話ではない。
ゲートを設置しない限り時間の流れが違っていたりするので、場合によっては半日程度で連絡出来たりする事もあるのだが。
そう考えてふと気が付いたのだが、ゲートによってホワイトスターと俺の転移した世界は時間を同期させる。
それは別にいい。
同じ時間ということで、日本とアメリカのように時差がないので連絡をする際とかは快適ですらある。
だが……その時間を合わせるというのは、あくまでもその世界が24時間で1日というのを前提としているのだ。
これが例えば、異世界……それこそファンタジー世界とかだったらどうなるか。
その世界にもよるが、1日28時間、30時間……場合によっては12時間といったような事になったりするのではないか。
幸い、今のところそういう事はない。
ファンタジー世界というと門世界があったが、門世界も普通に1日24時間だったしな。
もし繋がった世界が1日24時間ではなかった場合、これってどうなるんだろうな。
そう疑問に思うが、恐らくあまりそういう可能性を考えなくてもいいか? と思うのも事実。
その理由としては、俺の転移する世界は基本的に原作のある世界だというのが大きい。
つまり原作を読んだり見たりする者達にとって、1日が30時間とか12時間とかだと分かりにくいという事もあり、基本的には多くの作品が1日24時間となっている。
勿論多くのということは全ての作品がという訳ではないので、場合によっては1日が24時間以外の原作もあったりするのだろうが。
……やっぱり大きな問題は、俺がニュクスとの戦いで原作知識を失ってしまった事だよな。
別に全ての原作を知ってるという訳ではないが、それでも知ってる原作の世界に行けば原作知識を使えたのに。……今更か。
無理矢理ポジティブに考えると、原作知識に縛られなくなったという事だし。
それはそれで悪くない……と思う。
「アクセル、そろそろ行きましょう?」
「ん? ああ、そうだな。レモンには時間もないし」
こうしてペルソナ世界にやって来たレモンだったが、長時間こっちにいられる訳ではない。
TVの中の世界について調べたら、泊まらず日帰りでホワイトスターに戻る必要がある。
だからこそ、ここであまり無駄に時間を使うような事は出来ないのだ。
そんな訳で、俺は影のゲートを使ってレモンと一緒に天城屋旅館に向かうのだった。
「レモン、よく来てくれた」
天城屋旅館の大広間に入ると、美鶴がそう言い、笑みを浮かべて俺達を出迎える。
大広間にいるシャドウワーカーの面々は、大半がレモンの美貌に目を奪われていた。
以前映像スクリーンで見たんだし……いや、映像スクリーンで見てそんな状況だったのが、実物を見たから余計に衝撃を受けたのかもしれないな。
そんな風に思いつつ、俺は堂島を見て……
「それが手に入れた武器か」
「ああ、そうだ。……まだ慣れないが」
堂島が手に持ってるのは、日本刀。
木刀で五飛と訓練させたが、そういう意味でも堂島に似合ってる武器だな。
……これで鎖鎌とか、そういうマイナーな武器を手にしていたらどう言えばいいのか分からなかった。
個人的にはマイナーな武器は嫌いじゃないんだけどな。
とはいえ、生身の俺が使う武器は槍のゲイ・ボルクで、武器としてはそこまで珍しい物ではないんだが。
「後は五飛との訓練でその日本刀を使いこなせるようになればいい訳だ。……ただ、一応日本刀の所持には許可とかそういうのがあったと思うけど、その辺は問題ないのか?」
これが俺なら、普段は空間倉庫に収納しておくし、何より別にこの世界の人間でもないので気にしない。
……そもそも、俺の空間倉庫に入っている兵器とかそういうのを考えると、それこそとんでもない事になるだろ。
だが、それはあくまでも空間倉庫を持つ俺だからだ。
堂島は俺じゃないし、何より自分が法律を守らなければならない警察だ。
そんな堂島が無許可で日本刀を持つのは不味いではないかと思ったが……
「桐条グループの力で対処してもらった」
若干苦々しい表情で堂島がそう言う。
堂島にしてみれば、桐条グループに手を回して貰って法律を破るのは好ましくないのだろう。
いや、法律を破った訳じゃないのか?
桐条グループの力を使って、日本刀の所有を許可する書類とかを最優先で用意したとか、そんな感じで。
この場合に法律を破るというのは、そういう許可証を偽造したりする時の事だ。
今回の場合は、犯罪ではない。
……決して適法とも呼べない、一種のグレーゾーンに近いが。
ただし、きちんと公の許可証が発行されている以上、限りなくホワイト寄りのグレーといったところだが。
「なら安心だな。とはいえ、それを堂々と持ち歩くのは止めた方がいいと思うが」
「それくらいは分かっている。俺もそんな事をするつもりはない」
そう言い、堂島は少し離れた場所にある布……布袋? に視線を向ける。
ああ、あれは多分剣道とかで竹刀を入れる奴だな。
なるほど、あれに入れておけばいきなり日本刀を見られて騒がれるといったような事はないだろう。
もっとも、一目見て分からないのは間違いないが、改めて見れば何故そんなのを刑事が持ってるのかと、疑問に思われるが。
堂島が刑事だと知らない者にしてみれば、普通のおっさんが細長い何かが入っている布袋を持ってるといったように思い、結果として怪しい男と思われても仕方がないが。
そう思うが、考えてみれば堂島がTVの中の世界に入るのは俺の映像スクリーンからだ。
わざわざ日本刀を持って人前に出るといった事は……ない訳ではないかもしれないが、そこまで機会は多くないだろう。
「だといいんだけどな。……それで、これから俺はレモンと一緒にTVの中の世界に行くけど、堂島はどうする?」
「何? 行ってもいいのか? 前の話では、自分の身を守れるようになってからという話だったが」
「それはシャドウと戦う時だろう。今までの経験からすると、あの公園でシャドウと戦闘するような事はないと思う」
「……なるほど。そう言えばあの公園でシャドウと戦ったという話は聞いてないな。なら、頼めるか?」
「分かった。堂島がTVの中の世界で活動するのなら、まず向こうの世界に慣れる必要があるしな」
普段なら、堂島をわざわざTVの中の世界に連れていくといった事はしない。
だが、堂島はこの事件の原作の主人公だろうと俺が思っている鳴上の叔父だ。
そして刑事で、事件と関係のある足立とコンビを組んでいた。
ここまで今回の一件に関わっているのなら、恐らく原作でも堂島は鳴上と行動を共にしていた可能性は高い。
なら、少しでも早くペルソナ使いとして覚醒させた方がいいのも事実。
……もっとも、エルゴ研の研究結果を知っている美鶴にしてみれば、堂島の年齢でペルソナ使いに覚醒する可能性は極めて低いらしいが。
この極めて低いというのが、具体的にどのくらいかは分からない。
5%とか10%とかなのか、0.0000000001%とかなのか。
10%とかだと、確率は低いけど極めて低いとまではいかないか?
「すまん、助かる」
「気にするな。俺にも色々と思惑があっての事だ。……レモン、準備はいいのか?」
堂島と話している途中で、美鶴との話を一段落させたレモンが近付いてくるのを見て、そう声を掛ける。
「ええ、美鶴とは挨拶をしただけだもの。特に何か急いで話さないといけないような事はないし」
「分かった。じゃあ、早速行くか。……TVの中の世界に入るのは、俺とレモン、それと堂島だけでいいんだよな?」
「あら、堂島ってそこの男よね? 貴方も行くの?」
「あ、ああ」
レモンの言葉と視線にどこか気圧された様子の堂島。
美鶴と初めて話した時……いや、稲羽署に行くといって呼びに来たのが初めてだから、その後か。とにかく美鶴とも普通に話せた堂島だったが、その堂島はレモンを前にすると圧倒されたかのような様子で、何とか返事をする。
慣れればそこまできにならなくなるんだけどな。
「じゃあ、全員準備も出来たみたいだし、そろそろ行くか」
そう言い、俺は映像スクリーンを空中に展開する。
「レモンは魔力があるから、それで身体を覆って入ってみてくれ。それで入れる筈だ」
「そう? じゃあ、行くわね」
そう言い、レモンは空中を蹴って映像スクリーンの中に入っていく。
当然の話だが、レモンは虚空瞬動とかを普通に使いこなせる。
空中を蹴るといった程度は容易に出来た。
「あっさりと入ったな」
レモンの様子を見た美鶴が、若干呆れたように言う。
美鶴にしてみれば、TVの中の世界については思うところがあるのだろう。
それだけにレモンがあっさりと中に入ったのを見て、思わずといった様子で呟いたのだろう。
タルタロスの時と違い、今は普通にゲートが繋がっている。
なら、もし公園の周辺の濃霧をどうにかして普通に探索出来るようになったら、シャドウミラーから出来るだけ多くの実働班を呼び寄せて徹底的に探索をするのはありかもしれないな。
タルタロスでは勝手が分からず、最終的にはマジックアイテムを希望するだけ入手する事は出来なかった。
しかし、TVの中の世界がタルタロスと同じような場所だと把握出来たら、それを最大限利用しない手はないし。
もっとも、これはあくまでもそういう理由があればだが。
「堂島、行くぞ」
「おう」
堂島をぶら下げつつ、俺もまた映像スクリーンの中に入る。
堂島は魔力や気を使える訳でもないので、虚空瞬動や身体強化は使えない。
また、俺と一緒でなければTVの中の世界に入ることも出来ない。
そういう意味では、堂島をTVの中の世界に入れるのはかなり面倒なのは間違いなかった。
特に何の苦労もなく、俺と堂島はTVの中の世界に入る。
入った場所はいつものように地面が5m程上空。
特に苦労したりせず、そのまま地面に着地する。
「ほら、もういいぞ。堂島はこのTVの中の世界に慣れておけ。ただ、言うまでもないけど、公園から出るなよ」
「分かっている。それにしても、この世界はやっぱり妙だな」
そんな風に言う堂島をその場に残し、俺はレモンの姿を捜す。
この公園はそこまで広い訳でもないので、レモンを見つけるのは難しい話ではなかったが。
堂島が日本刀を手に、いつ何が起きてもいいようにしながら公園の中を歩いているのを横目に、レモンに声を掛ける。
「レモン、どんな感じだ?」
「少し待ってちょうだい。……この霧、やっぱり普通の霧じゃないわね。魔力が混ざってるわ」
濃霧を見ていたレモンは、そう言う。
何か特に器具のような物を使った訳でもないのだが、それでも魔力が混ざってるというのはあっさりと理解出来たらしい。
試験管のような形をしている物……ただし、魔法陣であったり何かよく分からない文字と思しき物が書き込まれているが、その試験管を使って公園の一番端、濃霧のすぐ近くまで移動すると、その濃霧を試験管に入れる。
濃霧を採取してるのだろうが、本当に大丈夫か?
「問題ないか?」
「ええ、濃霧は魔力による影響があるけど、完全に魔力で出来た霧という訳ではないみたいね。これだと……そうね。この濃霧をどうにかする方法は近いうちに見つけられると思うわ」
それはレモンだからこその言葉だろう。
美鶴も一応この濃霧を調べたし、ある程度の情報を桐条グループの研究施設にも送っている筈だ。
しかし、今のところまだその辺についての情報は何も報告がない。
もっとも濃霧の情報を渡したとはいえ、レモンのように直接濃霧の一部を採取出来たりする訳ではないのを考えると、それについてはそうおかしなものではないのかもしれないが。
「分かった。なら近いうちにTVの中の世界の探索が出来そうだな」
レモンが言うのなら、その言葉は決して嘘ではない筈だ。
間違いなくそう断言出来る。
それは俺がレモンを信じているからというのが大きい。
何よりそう思えるだけの実績を、これまで何度となく積み上げてきたのがレモンだ。
そんなレモンが言う以上、俺がその言葉を信じない訳がなかった。
もしこれが別の相手……よく知らない相手が言ったのなら、そこまで信用するような事はなかったかもしれないが。
「さて、こっちの準備は出来たし……そろそろ戻りましょうか。この濃霧の解析が出来ない限り、ここにいても恐らく意味はないでしょうし。シャドウだったかしら。この公園に入ってくるような事でもあれば別なんでしょうけど、そういうのはないんでしょう?」
レモンの問いに頷き、俺は堂島を呼ぶのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2295
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1820