バーンが戻ってきたのは、エルフ城に向かってから十日後の事だった。
これは、普通に考えれば有り得ない程に時間が掛かっている。
もしバーンがユニコンやそれに牽かれた馬車で移動したのなら、十日というのは常識的な範疇だろう。
あるいは、思ったよりも早いと思ってもおかしくはない。
しかし、バーンはドラムロでエルフ城に向かったのだ。
空を飛んで移動出来るドラムロと、地上を移動するユニコン。
その速度差は、それこそかなりのものだ。
何しろ、空を飛んでいるのならルフト領からエルフ城まで真っ直ぐに移動出来る。
それに対して、地上を移動する場合は道を移動する必要がある。
場所によっては恐獣が棲息している場所もあり、そのような時は迂回する必要もあった。
そうである以上、移動速度に大きな差が出来るのは当然だろう。
そんな訳で、バーンはここを発った日にはもうエルフ城に到着していた筈だ。
だとすれば、バーンがフラオンに面会をするまで……そして面会した後でギブン家をどのように扱うのかというのを決めるのに、何日もの時間が掛かった事を意味する。
いやまぁ、普通の国王なら自分の臣下の1人を討伐する許可を出すのに躊躇し、どうするべきか、もっと他の方法はないのかと考えて、それに時間が掛かってもおかしくはない。
だが、幸か不幸かアの国の国王はフラオンという愚王だ。
即断即決と表現すれば聞こえはいいが、利害関係や……それこそアの国の利益とか、そういったものは全く考えず、その場の雰囲気や気分であっさりと決めてしまってもおかしくはない。
まぁ、だからこそドレイクは今まで色々と貢ぎ物をしてフラオンの機嫌を取っていたのだろうが。
にも関わらず、これだけの時間が掛かったというのは、違和感しかない。
まぁ……その理由も、もうすぐ謁見の間にやって来るだろうバーンが説明するのだろうが。
なお、現在この謁見の間にいるのは、ドレイク、俺、マーベル、ガラリア、トッド、トカマク……それ以外にも騎士や文官の主立った者達。
以前と少し違うのは、ルーザの姿がない事か。
ルーザがいれば、俺との間でまだ何か揉めるかもしれないと考えたドレイクが、出ないようにと言ったのだろう。
ドレイクがルーザにどんな思いを抱いているのかは分からない。
だが、ドレイクは俺の同盟関係が重要だと、そう示したのだろう。
ルフト領の領主としては、当然の考えだ。
「バーンが戻ってくるのに妙に時間が掛かったが、ドレイクとしてはその辺をどう思う?」
俺の隣に座っているドレイクに、そう尋ねる。
ちなみに俺はドレイクの玉座の隣に用意された椅子に座っている。
他の面々は全員が立っているところを見ると、ドレイクが俺と対等の同盟関係を結んでいるというのを、他の者達に示しているのだろう。
「ふむ、正直なところ分からんな。フラオン王の性格を考えれば、このような事があってもおかしくはない。もしくは、ドラムロを欲して無駄に時間を掛けた……といった可能性も否定は出来ん」
「あー……そっちがあったか」
バーンが乗っていったドラムロは、ドレイク軍の中でも最新鋭のオーラバトラーだ。
俺が以前エルフ城に忍び込んだ時に格納庫で見たオーラバトラーは、ゲドだけだった。
ドロも何機かあったが。
我が儘一杯に育ってきて、珍しい物、新しい物を欲するフラオンにしてみれば、新型のオーラバトラーたるドラムロを欲しいと思ってもおかしくはない。
ましてや、完全に偶然ではあるが、その判断は決して間違っていない。
バイストン・ウェルの人間では、ゲドを動かせる者は非常に少ない。
まぁ、フラオンは腐ってもアの国の国王で、国軍の兵士の数はドレイクよりも多く、分母も大きいだけにゲドを操縦出来る兵士がそれなりにいてもおかしくはないが。
しかし、ドラムロはそんなゲドよりも低いオーラ力で操縦出来るように設計されているし、機体性能そのものでもゲドより上だ。
アの国の軍備を整えるという意味では、ドラムロを欲するというのは実は間違っていない。
……ただ、俺が以前エルフ城に侵入した時、格納庫では技術者達がゲドもろくに整備出来ないような有様だったから、ドラムロを入手しても普通に運用出来るかどうかというのは、また別の話だが。
下手をすれば、俺が見た時のゲドのようにろくに動かすことが出来なくなっているといった可能性も否定は出来ない。
「でも、結局ドラムロは渡さなかったんだろ? もし渡していれば、もっと早くフラオンとの面会は出来ただろうし」
「うむ。ドラムロはそれなりに高額なオーラバトラーだ。それに渡すとなれば、一度戻ってきてドラムロを持っていく必要がある。それならそれでもよかったとは思うのだがな」
ドレイクにしてみれば、ドラムロをフラオンに渡しても出来るだけ早くギブン家を討つ許可が欲しかったのだろう。
そんな話をしていると、やがてバーンが謁見の間に入ってくる。
「お館様、時間が掛かってしまい申し訳ありません」
「構わん。それで、結果はどうであった?」
「は。ギブン家の行動は許しがたく、お館様の行動が認められました」
「そうか」
バーンの言葉に、ドレイクは微かにだが安堵した様子を見せる。
これだけ無意味に時間が掛かった以上、もしかしたらギブン家の討伐が許可されないと思っていたのかもしれないな。
しかし、そんなドレイクの言葉を前に、バーンは言いにくそうにしながら口を開く。
「ですが……」
「……何かあったのか?」
「実はその……フラオン王は此度のギブン家の行動をとてもではないが許せないと仰せでして、臣下が問題を起こした場合、それを正すのは主君の役目だと……」
「何?」
バーンの口から出た言葉は、ドレイクにとっても完全に予想外だったのだろう。
普段は冷静なドレイクにしては、珍しく驚きを露わにしている。
「つまり、それは……ギブン家との闘いにフラオン王も参加されると、そういう事か?」「は! その為、戦力を整えて派遣するのに、二十日程待って欲しいと」
バーンの言葉に、謁見の間はざわめく。
当然だろう。ドレイクの命令があれば、すぐにでもギブン領に攻め込めるだけの実戦準備は既に整っている。
それこそ、もしバーンがフラオンからギブン領を攻めてもいいという許可を貰ってくれば、明日にでも……いや、それこそ今日にでもギブン領に攻める事が出来たのだ。
だというのに、そこで二十日も待てというのは、ドレイクにとって許容出来ないに違いない。
実際、バーンの話を聞いていた者達がざわめく中、ドレイクは明らかにバーンのその言葉を許容出来ないといった様子で視線を向けていた。
そして、ドレイクが黙ったまま一体どれくらいの時間が経ったか。
10秒、20秒といったような時間ではない。
数分といったところか。
「バーン、改めて尋ねるが、フラオン王は20日待てと、そう言ったのだな? 先に攻めている中で20日後に援軍を送るといったような事ではなく」
「は。その……くれぐれも先走らないようにと」
先走らない、か。
寧ろ今は先走る方がいいんだが。
フラオンも一体何を考えてこんな真似をしてきたんだ?
考えられるとすれば、ゲドやドロがあるので、攻め込めば無条件でギブン家が降伏し、それによって自分が活躍したという情報が広まるのを狙っているとか?
とはいえ、ギブン家にはダーナ・オシーがある。
ダーナ・オシーはドラムロよりも性能は低いが、それでもゲドよりは上だ。
その上、ゲドは操縦出来るパイロットが非常に限られているのに対し、ダーナ・オシーはドラムロ並に多くのパイロットが操縦出来るようになっている。
つまり、オーラバトラーの数でも、ギブン家はフラオンを上回っている。
実際にショウがリムルを連れて脱走した時のギブン家は、かなりの数のダーナ・オシーを出してきていたのを、俺は自分の目で確認していた。
そう考えれば、ドレイクがフラオンを待つ必要はない。
それも、20日という馬鹿げた時間を。
それだけの時間があれば、当然だがギブン家の方でも今まで以上に防衛を固めるだろう。
……まぁ、20日あればギブン家の方でも防衛力を高める事が出来るが、同時にドレイクの方でも今まで以上に戦力を整える事が出来るのだが。
「そう考えると、20日という時間は決して悪いものじゃないのか?」
「アクセル王?」
俺がフラオンを愚王と断じているのを、ドレイクは知っている。
それだけに、まさかここでフラオンの命令に賛同するような事を口にするとは、思ってもいなかったのだろう。
「20日あれば、ギブン家は防衛戦力を整える。だが、それはドレイクの方でも今まで以上に戦力を整える事が出来るんじゃないか? オーラバトラーを製造出来る機械の館は、数でも質でもギブン家よりドレイクの方が上なのだから」
以前から大々的に周辺諸国と取引をし、それで得た金を設備投資に注ぎ込んできたのだ。
ある意味で自転車操業といったような感じではあるが、それでもルフト領にある機械の館は、量と質共にギブン家を上回っている。
大々的に機械の館を増やしていったドレイクとは違い、ギブン家の方は俺が襲撃した機械の館のように、基本的には隠れ家的な意味合いを持ってるしな。
設備の方も、ショットやゼットの元部下が亡命したからといって、ドレイクが建てた機械の館と同レベルの物を期待するのは難しい。
「ふむ、なるほど」
苛立ち混じりだったドレイクが、俺の説明を聞くと少しだけ納得した様子を見せる。
そして、フラオンからの報告を持ってきたバーンは、俺に驚きの視線を向けていた。
まさか、俺に庇われるとは思ってもいなかったのだろう。
実際にはバーンを庇った訳ではなく、純粋に時間はドレイクの敵ではなく味方だと思ったから、そう言っただけなのだが。
とはいえ、俺にそのつもりがなかったが、バーンが勝手に俺に対して感謝してくれるのなら、こちらとしてもそれにどうこう言うつもりはない。
これで俺を敵視しないようになってくれれば万々歳なんだが、バーンの性格を考えると、それはまずないだろうな。
「で、どうする?」
「アクセル王の言う通り、時間を掛けるというのは賛成だ。だが……それでも20日というのは長すぎる。バーン、これから手紙を書くから、それをフラオン王のところまで運んでくれ」
「は!」
一瞬、ドレイクの言葉に反応するのが遅れたバーンだったが、それでもすぐに返事をする。
バーンにしてみれば、フラオンに手紙を届けるだけなら自分ではなく他の者にして欲しかったのだろう。
実際、ギブン家を討つ許可なら、フラオンと直接交渉をする機会もあり、ドレイクの使者としてそれなりに重要な意味を持つ。
しかし、ドレイクの書いた手紙をフラオンに届けるだけなら、それこそ別にバーンではなく誰でもいいのだから。
とはいえ、ドレイクにしてみればフラオンと交渉してきたのはバーンなのだから、手紙を持っていくのもバーンに任せた方がいいと、そう考えてもおかしくはなかったが。
「フラオン王が来るというのであれば待つが、それでも待てるのは10日だ。それ以降になるのなら、フラオン王を待たずにギブン領を攻める。皆も、そのつもりでいてくれ」
『は!』
ドレイクの言葉に、騎士や文官達がそれぞれ返事をする。
にしても、10日か。
何か理由があっての10日なのか、それとも単純に20日では長すぎるから半分で10日にしたのか。
もし後者なら、行き当たりばったりといったような気がしないでもない。
どうせなら5日とかにした方がよかったような気がする。
元々ドレイク軍だけでギブン領を攻め落とすには十分な実力を持っており、更に俺とマーベルがいるのだから。
「アクセル、どう思う?」
ドレイクの言葉で部下達がそれぞれいなくなり、ドレイクも謁見の前から去る。
そうして残ったのは、俺とマーベル、トッド、トカマクの4人で、その中のトッドが俺にそう声を掛けてきた。
俺とマーベルはともかく、トッドとトカマクはドレイクの部下といった立場である以上、色々と準備があると思うんだが。
「どう思うって、何がだ?」
「だから、ドレイクの考えだよ。何でわざわざフラオン王とやらを待つんだ? そのフラオン王ってのは、そんなに凄いのか?」
「凄い? まぁ、凄いか凄くないかで言えば凄いな。……凄い馬鹿って意味で」
ぶっちゃけ、あれだけの愚王ってのはちょっと見たことがない。
門世界の帝国のゾルザルだったか。
あの王子くらいに、ちょっと見たことがないような愚王だ。
まぁ、人に迷惑を掛けないだけ、ゾルザルよりはマシかもしれないが。
それでも仕えたいとか、忠誠を誓いたいとか、そんな風には全く思えない。
「なら、何でドレイクは待つなんて事にしたんだ?」
「幾ら愚王でも、主君である事に変わりはないからな。それにドレイクはフラオンに色々と献上して、かなり優遇して貰っている。そういう意味で、何とかとハサミは使いようってとこか」
そんな俺の言葉に、トッドは微妙な表情を浮かべる。
1980年代に生きているトッドにしてみれば、国王とか貴族とか、そういうのはあまり理解出来ないんだろうな。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650