転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3679話

 ペルソナ世界での一件がある程度落ち着いたので、ジーラインを貰いにUC世界に行こうと思ってホワイトスターに戻ってきたのだが……交流区画を適当に歩き回っていたところ、明日菜とステラと遭遇した。

 そうして俺は何故か明日菜の料理を食べる事になったのだが……どうしてこうなった?

 

「いい? じゃあ、ちょっと料理を作ってくるから、待ってなさいよ!」

 

 超包子に到着すると、明日菜はそう言って厨房に向かう。

 ちなみに超包子で料理をするという事は、当然ながら四葉の許可が必要なのだが……その許可はあっさりと出されてしまう。

 その四葉は、母性を感じさせる笑みを浮かべながら明日菜を見ている。

 俺の恋人の中でも、マリューや千鶴は母性の強いタイプだ。

 しかし、四葉はそんな2人とはまた一味違う母性を持っていたらしい。

 けど、明日菜が料理を作るのを見つめるのに、何故あんなに母性を感じさせる視線を向けるのやら。

 

「明日菜の料理の先生が五月だからだよ」

 

 俺の前にコップに入った水を持ってきたステラが、いきなりそんな事を口にする。

 いや、俺は今、別に言葉に出したりはしてなかったよな?

 もしかして、実はニュータイプだったりしないだろうな? もしくは念動力者だったり。

 

「明日菜のご飯、美味しいから期待していてね」

 

 そう言うと厨房に戻っていく。

 あの様子だと、ステラは明日菜の作った料理を食べた事があるのだろう。

 ステラは基本的に明日菜と一緒に行動しているらしい。

 いや、それはおかしな話ではないのか。

 明日菜とステラはシャドウミラーの庶務に所属している。

 言ってみれば生活に必要な色々な仕事をしているのだ。

 悪く言えば雑用だが。

 明日菜とステラはそんな仕事を行っている。

 もっとも、本当の意味で2人だけという訳ではない。

 ホワイトスターの大きさを考えると、明日菜とステラだけで庶務の仕事を全てこなすのは不可能に近い。

 もっとも明日菜もステラも魔力や気による身体強化は出来るので、素早く仕事をこなせる。

 明日菜にいたっては、究極技法と呼ばれる咸卦法を使えるし。

 ただ、それでも手に負えないところがあったりするので、量産型Wやコバッタも色々と仕事をしている。

 今日はホワイトスターでゆっくりして、明日にはUC世界に行こうと思っていたんだが……まさか、明日菜の料理を食べる事になるとは思わなかったな。

 そうして明日菜が料理を始めてから20分程が経過し……

 

「はい、出来たわよ!」

 

 そう言って明日菜が持ってきたのは……炒飯だった。

 まさか炒飯を作ってくるとは思わなかった。

 あ、でも明日菜が四葉から料理を教えて貰ったと考えれば、炒飯はおかしくないか。

 四葉は色々な料理が出来るが、それでも本職は中華だ。

 そして炒飯は中華料理の中でも人気の料理なのだから。

 実際、以前四葉に作って貰った黄金炒飯はかなり美味かった。

 材料は卵と葱だけなのだが、強火で一気に炒めることによって飯粒の1粒1粒に全て卵がコーティングされている、シンプルだが作るのが非常に難しい炒飯。

 俺の恋人の中ではマリューや千鶴が料理を得意としており、その辺の店で食べるよりも美味い料理を作れるのだが、そんなマリューや千鶴でも四葉の作るような黄金の炒飯を作ることは不可能だ。

 勿論、プロが作る訳ではなく家で作るような炒飯はそんなに難しくはない。

 どの世界でもスーパーでは炒飯の素とか撃ってるし。

 明日菜が出してきた炒飯は……

 

「へぇ、普通に美味そうだな」

 

 テーブルの上の炒飯を見て、素直に感想を告げる。

 四葉に以前食べさせて貰った黄金炒飯のように、卵が飯粒を完全にコーティングしているといったことはない。

 だが、それでも見るからにパラッとしており、強火で一気に炒めたのが分かる。

 ちなみに千鶴から聞いた話だが、強火で炒めるにしても下手に長時間炒め続けると飯粒から水分がなくなってしまうらしい。

 パラパラの炒飯とはまた違う……カラカラの炒飯? とかいうのになるとか。

 つまり炒飯というのは、炒める速度と技量、鍋振りの技術が大変だとか。

 そして超包子で使っている鍋は当然のように中華鍋。

 普通だと男でも長時間使い続けるのは難しい鍋なのだが、咸卦法を使える明日菜にしてみれば、鍋の重量は気にしないだろうし、四葉も元々中華鍋を振るっていたのに加え、ある程度の戦闘訓練は受けていて、身体強化も多少は出来る筈だ。

 そんな明日菜だけに、炒飯を作る際の鍋振りもその辺のプロと比べても体力的には問題ないだろう。

 実際には、鍋を振る際のタイミングであったり、鍋の振り方とかそういうのがあるので、そっちはプロには及ばないだろうが。

 ともあれ炒飯と一緒に明日菜が持ってきたレンゲを手にし、炒飯を食べる。

 見た感じ、材料は卵、長ネギ、焼き豚といったシンプルな炒飯だ。

 よくある、丸いドーム状になった感じで皿に盛り付けられているのをレンゲで崩す。

 ベチャっとした感じになってないのは、それだけ強火で一気に炒めたからだろう。

 後はどこまでパラパラに仕上がったか。

 そう思って口に運び……へぇ、これはなかなか。

 四葉が作る炒飯のように、完全にパラパラにはなっていない。

 飯粒が完全に卵でコーティングされていない証だろう。

 味付けはそんなに悪くないが、そこまで突出してはいない。

 具材の焼き豚や長ネギも一定の大きさで切られているのは褒めてもいいだろう。

 総合的に見れば……

 

「うん、美味い」

 

 そう言うと明日菜が嬉しそうに笑う。

 

「へへん、どんなものよ? 私がその気になれば、これくらいは出来るのよ」

 

 自慢げな様子の明日菜。

 実際、プロの料理人でもない素人が作ったにしては、十分に美味い。

 それはつまり、四葉のようなプロの料理人と比べるとどうしても味は落ちるという事なのだが……それは仕方がないだろう。

 プロと素人の差とは、どうしても存在するものなのだから。

 また、喜んでいるところに水を差すのもどうかと思うので口にしないが、明日菜の作った炒飯が美味いのは、超包子の設備を使っているというのもある筈だ。

 炒飯を作るのに必要な要素として、火力がある。

 この火力というのが問題で、それこそ一般の家庭にあるガスコンロやIHの火力ではどうしても火力が足りない。

 いやまぁ、工夫をすればある程度の炒飯は作れるものの、それはあくまでもある程度でしかなく、本職の料理人が店で大火力によって作る炒飯には劣る。

 そういう大火力を使えたからこそ、明日菜の炒飯はここまでの味になったという点もある。

 これが家にある調理器具で炒飯を作った場合、間違いなく今回の炒飯より味は落ちるだろう。

 

「そうだな。明日菜がいつの間にか料理が出来るようになって……俺は嬉しい」

「いや、それは誰目線の言葉よ」

 

 褒めたというのに、何故か先程の笑顔からジト目になる明日菜。

 

「誰目線と言われても、明日菜を中学校の時から知ってる身としては、今回の件は素直に脱帽だよ。俺の負けと言ってもいい」

「アクセルが負けを認めたのはいいけど……うーん、何だかあまり嬉しくないわね。そもそも、今の私は1人暮らしをしてるのよ? 外食をする事もあるけど、自炊くらいはそれなりにするわよ」

「それもそうか」

 

 中学、高校と寮暮らしだった明日菜だが、今はホワイトスターで1人暮らしをしている。

 学生時代にルームメイトだった近衛は、今はもう恋人の桜咲と同棲してるしな。

 そう考えると、明日菜がそれなりに料理を出来るようになったのというのは、必要に迫られてといったところか。

 もっとも、シャドウミラーのメンバーの給料はかなり高額だ。

 色々と比較するのは難しいが、明日菜やステラもちょっとした大企業の重役くらいの給料は貰っている。

 それを考えると、全ての食事を外食にしても問題はないのだが。

 だというのに明日菜が料理をしてるのは……何か考えでもあったのか。

 

「そうでしょ。ふふん、私だってこのくらい出来るのよ」

 

 そう言う明日菜の言葉に、何故か四葉とステラは見守るような笑みを浮かべているのだった。

 

 

 

 

 

「はい、これ。取りあえず新しい通信機ね。もっとも、ペルソナ世界に戻るまでの短い間しか使わないんでしょうけど」

 

 夜、夕食が終わって皆でゆっくりする時間。

 俺は家のリビングで寛いでいた。

 その最中、マリューから新しい通信機を貰う。

 俺が今まで使っていた通信機は、ペルソナ世界に置いてきた。

 そうなると、当然ながらホワイトスターと連絡を取る事が出来なくなる。

 いやまぁ、どうしても連絡を取る必要があるのなら、ニーズヘッグとかを使えばいいんだが。

 毎回通信をするのにニーズヘッグを出すのは問題があるので、こうして新しい通信機を貰った訳だ。

 通信機が非常に希少な物であれば、こういう事も出来ない。

 だが、通信機は別に貴重ではなかった。

 いや、シャドウミラーの面々に連絡出来るという事を考えると、間違いなく希少だろうが。

 

「悪いな。UC世界での用事が終わったら返すよ」

「別にそのまま持っていてもいいのよ? 通信機を複数持つのが禁止されてる訳じゃないんだから」

 

 マリューの言葉にそれもそうかと納得する。

 空間倉庫を持つ俺にしてみれば、複数の通信機を持っていても特に問題はないのだから。

 

「こっちで何か変わった事はあったか?」

「クマから貰った眼鏡の解析が進んでるわね」

 

 俺の言葉にそう返すのはレモン。

 レモンにしてみれば、TVの中の世界の濃霧をどうにかする為に頑張って仮面を作ったのに、その仮面はクマの眼鏡よりも性能が劣っていたのが面白くなかったのだろう。

 実際には、別にそこまでの違いがある訳ではない。

 眼鏡と比べればどうしても大きいが、それはつまり顔の上半分を防御しているという事でもある。

 クマの眼鏡は小さいし取り回しもいいが、防御力という点においては期待出来ない。

 ……まぁ、俺やムラタ、五飛、美鶴といった面々は敵の攻撃を食うような事は今のところないので、仮面よりも眼鏡の方があってるのかもしれない。

 だが堂島を始めとした他の面々は、敵の攻撃をそれなりに食らってる以上、防御力のある仮面の方がいいという考えもあった。

 そう考えると、俺達が仮面を使ってるのと鳴上達が眼鏡を使ってるのは本来の使用用途と逆転してるのかもしれないな。

 

「具体的には?」

「仮面はそのままだけど、濃霧を見通せる機能については以前よりも少しだけ上がったわね」

 

 少しというのが、実際にどのくらいなのかは分からない。

 しかし、それでも性能が上がったのは悪くない話だろう。

 このまま眼鏡の研究が進めば、そのうち仮面の性能は更に上がるだろう。

 最終的には……最終的には……うん、一体どの辺りまで目指すつもりなんだろうな。

 そんな疑問を抱いたものの、仮面の性能が上がる分には俺にとって悪い話は全くない。

 

「そうか。その調子で、出て来たシャドウの能力とかも分かればいいんだけどな」

「それは……ちょっと難しいわね。もし本格的にそういう機能をつけるなら、それこそ仮面程度ではなくてヘルメットとか……場合によってはもっと大きな装置が必要になるかもしれないわ」

「後は、黄昏の羽根とかも必要になるかもしれないな」

 

 影時間の時には基本的に時間が停まってる……というのとはちょっと違うかもしれないが、とにかく普通の機械は動かない。

 それを動かす為には、美鶴のバイクであったりアイギスのように黄昏の羽根が必要となる。

 とはいえ、それはあくまでも影時間での話だ。

 TVの中の世界で黄昏の羽根は何らかに使えるのか?

 性能が上がるという意味では使い道がない訳でもないかもしれないが。

 

「そうね。それも少し考えてみるわ」

「頼む。後は……そうだな、ああ、そう言えば土産があったのを忘れていた」

 

 ふとTVの中の世界での事を思い出し、空間倉庫から色々なマジックアイテム、あるいは素材となるだろう諸々を取り出す。

 これは雪子を助ける時、俺達が通りすぎた場所に炎獣を配置しておき、その炎獣が見つけて倒したシャドウから入手した物だ。

 いわゆるドロップアイテムだな。

 桐条グループで研究する為に多少は向こうに置いてきたが、大半は俺が持ってきた。

 それをレモンに渡す為に空間倉庫から取り出したのだ。

 

「へぇ、これは……」

 

 一目見ただけで、レモンはこれがペルソナ世界の……それもTVの中の世界でシャドウから入手した物だと理解したのだろう。

 感心したように呟く。

 タルタロスで入手した諸々もレモン……というか技術班に預けている以上、これを見てペルソナ世界の物だと理解してもおかしくはないのかもしれないが。

 

「これがあれば、仮面の研究がもう少し進むんじゃないか?」

 

 ペルソナ世界の物質で、しかもTVの中の世界に存在するシャドウから入手した諸々だ。

 レモンの研究の……そして技術班の研究の役に立つのは、多分間違いない。

 

「父、それは珍しいの?」

 

 俺がレモンに渡すのを見ていたラピスが、興味深そうに聞いてくる。

 そんなラピスの横にはルリの姿もあり、こちらも少しだけ興味深そうにしながらこっちを見ている。

 

「そうだな。今のところはちょっと珍しい物なのは間違いない」

 

 そう言うと、ラピスとルリは座っていたソファから立ち上がってこっちの方にやって来るのだった。

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