転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3683話

 シーマとの逢瀬――と呼ぶには少し無理があるが――を終えると、次に俺が向かったのは政庁だった。

 本来なら、ゲートを使ってクレイドルに転移してきたら、真っ先に政庁に行く予定だったのだが、その前にシーマに捕まった形だ。

 いやまぁ、俺としても久しぶりにシーマと会えたんだからいいけど。

 日数的には……X世界の件が終わってからすぐに天城屋旅館に向かったから、半月以上、1ヶ月未満ぶりにあったといった感じか?

 普通の恋人だとすれば、長期間会っていない事になる。

 あ、でも遠距離恋愛をしている恋人同士と考えれば、十分に早い再会なのか?

 とはいえ、俺とシーマはとてもではないが普通の恋人同士といったようには言えないが。

 

「シーマ、貴方……抜け駆けかしら?」

「ふふん、機を見るに敏と言って欲しいね」

 

 政庁の中にある専用のエレベータに乗ってそこから下りると、そこにはモニクの姿があった。

 基本的に生真面目な性格をしているモニクが、俺達……というか、シーマを責めていた。

 シーマ本人は、そんなモニクの様子を受けても特に気にした様子はなかったが。

 だが、モニクはそうしたシーマの様子を見て、自分が幾ら言っても効果がないと思ったのか、その矛先を俺の方に向けてくる。

 

「ちょっと、アクセル。ハーレムの主として、そのハーレムに所属している女を贔屓してもいいのかしら?」

 

 モニクのような生真面目な性格の女が、ハーレムに所属しているというのは……何と言うか、こう……うん。いいな。

 生真面目な性格というのは、エリナとかにも当て嵌まるんだが、エリナは最初にミナトと一緒にそういう関係になったのもあってか、ハーレムについてはそこまで気にした様子はないんだよな。

 俺が言うのもなんだけど、悪い男に騙されやすかったりしないか?

 そう思ったが、それをモニクに察知されると危険なので、特に表情に出さないようにして口を開く。

 

「俺がUC世界に来たら、シーマが待っていたしな。……そう言えば今更の話だけど、何であんな見事なタイミングで待つ事が出来たんだ? クスコならニュータイプ能力で納得も出来るんだが」

「女の勘だね」

 

 自信満々に言うシーマ。

 とはいえ、女の勘だと言われれば俺もそれ以上何かを言うことは出来ない。

 何しろ女の勘の凄さは今まで色々と見てきているのだから。

 その経験からすると、シーマが女の勘で俺が転移してくる時間を把握していたと言われても納得してしまう。

 

「モニクは女の勘が働かなかったのかい?」

「……アルテイシア様がお待ちよ」

 

 シーマの挑発するような言葉に、頬をヒクつかせながらもモニクがそう言う。

 シーマはそんなモニクの様子を見て笑みを浮かべると、これ見よがしに俺と腕を組む。

 モニクに見せつける為にやったのだろうが、シーマの成熟した女の柔らかな感触を味わえたのだから、不満はない。

 とはいえ、不満がないのは俺だけで……

 

「ちょっと、シーマ!」

「おや、何か不味かったかい?」

「これからアクセルはアルテイシア様に会いに行くって言ったでしょ! なのに、何でここでシーマがアクセルにくっつくのよ!」

「そう言われても……恋人だからとしか言えないね」

「だから……いえ、じゃあ、アルテイシア様にこの件を知らせた方がいいわね」

「ちょっとお待ち。何もわざわざそんな事をしなくてもいいだろう?」

 

 ん? モニクがセイラに言うと口にした瞬間にシーマが離れたな。

 少し残念に思いつつも、それを表情に出さないようにする。

 もし表情に出した場合、モニクに何を言われるか分からないし。

 

「はぁ……いいから、行くわよ。アクセルも、いつまでもシーマに鼻の下を伸ばしたりしないの」

「そんなつもりはないんだが」

 

 ならモニクの身体を堪能させてくれるのか?

 一瞬そう言おうと思ったが、シーマとのやり取りを考えると、そんな事を言った瞬間、鋭い視線が飛んできそうだ。

 ……とはいえ、そんな生真面目な性格のモニクだが、ベッドの上ではかなりの甘えたがりだ。

 シーマやクスコ、クリスといった面々もそれを知ってるからこそ、モニクの言葉にあまり堪えた様子もないのだろう。

 セイラに報告するというのは避けたいようだったが。

 ともあれ、モニクに案内されて俺達はセイラのいる執務室……ではないな。

 執務室の前を通りすぎ、何度かセイラにお茶会に招待された部屋に向かう。

 

「こっちなのか?」

「ええ。アクセルとの会話だし、プライベートな場所の方がいいだろうとアルテイシア様が判断したのよ」

「そうなのか? まぁ、俺はどっちでもいいが」

 

 プライベードな場所でも、執務室のような公式な場所でも、結局は俺達とセイラだけで話すんだろうし。

 だとすれば、どのみちそこまで変わりはない……と思う。

 あくまでも俺がそう思うだけで、セイラにしてみれば違うんだろうけど。

 だからこそ、実際にこうしてお茶会の部屋に案内されてるんだろうし。

 そうして以前にも何度か……というか、実は結構な回数入った事のあるお茶会の部屋に到着する。

 

「いらっしゃい、アクセル。X世界では色々と活躍したようね」

 

 自分で淹れたのか、それともメイドが淹れたのか、それは分からなかったが、紅茶を飲んでいたセイラが部屋の中に入ってきて俺を見てそう言う。

 笑みを浮かべているが、その目はジト目だ。

 あー……うん。やっぱりまだその件については怒っていたのか。

 いやまぁ、セイラの気持ちも分からないではない。

 黒い三連星とその中のオルテガと付き合っているマリオンはともかく、それ以外の4人と一気にそういう関係になったんだし。

 

「そうだな。セイラのお陰で戦力に困る事はなかったよ」

「……へぇ」

 

 怖っ!

 今一瞬、セイラがもの凄く怖く感じたんだが?

 いや、でも怖く感じたのはあくまでも一瞬だった事を考えると、俺の気のせいなのか?

 ……うん。気のせいという事にしておこう。

 かなり無理があるように思えないでもなかったが、気のせいだったのは間違いない。

 

「どうしたのかしら? いつまでも立っていては疲れるでしょう? 紅茶も用意したのだし、座ったらどう?」

「あ、じゃあ、私は海兵隊の方で用事があるからこれで失礼しますね」

「私も部下から至急の報告があるという話があったのを思い出しました。これで失礼します」

 

 そう言い、シーマとモニクは部屋から出ていく。

 ……逃げたな。

 ニュータイプでもないのに、このままここにいるのは不味いと判断したらしい。

 いやまぁ、俺もそれは分からないではないが。

 ともあれ、シーマとモニクがいなくなった事により、現在部屋の中にいるのは俺とセイラの2人だけとなる。

 せめてもの救いは、モニクが俺とシーマの事を言わなかった事か。……言えなかった、というのが正解のような気もするが。

 ともあれ、俺は大人しくセイラの向かいに座る。

 するとすぐに、セイラが俺の分の紅茶も用意した。

 普通に考えれば、ルナ・ジオンの女王から紅茶を淹れて貰うというのはもの凄い贅沢なんだろうな。

 しかもその紅茶を淹れているのが月の大魔王と呼ばれる俺というのが、何と言うかこう……うん。

 取りあえずこの辺についても聞かない方がいいだろう。

 

「それで、アクセルはゴップ提督との取引で来たと話を聞いてるのだけれど」

「そうだな。以前の件もあって、連邦軍の最新鋭MSのジーラインというのをくれるらしい」

「……あの時のアクセルは、アクセルではなかったと思うのだけれど」

 

 セイラのその言葉に、俺は素直に頷く。

 実際、あの時はアクセル・アルマーという名前を使うのは不味いと判断して偽名を使っていたのは間違いない。

 

「そうだな。けど、どうやら向こうは引っ掛からなかったらしい。さすがゴップといったところか」

「……そうですね。ゴップ提督が手強い相手なのは分かります」

 

 俺の言葉に素直に頷くセイラ。

 どうやらセイラもゴップを相手に色々とやり込められた事があるらしい。

 セイラの前に出て来れば、UC世界最高のニュータイプとしての力で相手の考えを読むのは難しい話ではない。

 だが、それでもこうしてゴップにセイラがやり込められている事を考えると、恐らくその上でどうとでも出来るか、あるいは直接セイラに会うのではなく、通信を使ってやり取りをしてるのかもしれないな。

 これはそうおかしな話ではない。

 セイラは月の女王として非常に忙しい毎日だし、ゴップもまた連邦軍の中では最高権力者の1人だ。

 そんな2人が気軽に会うといった時間は取れない。

 それこそ国家的な行事とかでなければ、会ったりは出来ないだろう。

 その結果が、セイラの今の様子を表していた。

 セイラが月の女王として大きな成果を残してきたのは、ニュータイプ能力を使って相手の考えが読めるからというのが大きい。

 それ以外にも、ルナ・ジオン建国の際にジオン公国から引き抜いた政治家達……反ギレンの政治家でワルキューレという集団に所属していた者達の功績も大きいが、それでもやはりセイラの力が大きい。

 だが、そのセイラのニュータイプ能力が使えなければ、どうなるか。

 セイラは頭脳明晰なのは間違いないが、それでもまだ10代の女でしかない。

 頭は良いが、長年連邦軍の中で軍政家として活動してきたゴップと比べると、どうしても経験の面は圧倒的に劣ってしまう。

 それをフォローするニュータイプ能力が使えなければ、ゴップにしてやられても仕方がないのだろう。

 

「ゴップは出来れば引き込んだ方がいいと思うけど……無理だろうな」

「そうね。政治家達が色々と動いていたようだけど、最終的には諦めたらしいわ」

 

 ルナ・ジオンの政治家達は決して無能ではない。

 そうでもなければ、建国まではシャドウミラーが助けたものの、建国した後で上手い具合に国を運営出来ないだろう。

 結果として、ルナ・ジオンがしっかりと運営されているのを見れば、政治家達が優秀なのは間違いない。

 ……まぁ、不老という餌もあるしな。

 能力のある者であれば、不老になる為の受信機を手に入れる為に必死になって仕事をするだろう。

 裏切る奴がいないのかというのも、セイラがいればそこまで心配しなくてもいいだろうし。

 そのような面々でもゴップを引き入れる事が出来ないとなると、やっぱりゴップは地球に対して強い思い入れがあるのだろう。

 確かゴップは地球の中でも自然公園に関係する家柄だった筈だ。

 それだけに、月に来るよりも地球に……自然のある地球にいたいと判断してもおかしくはなかった。

 自然という事なら、このクレイドルにも十分あるんだけどな。

 このクレイドルはマクロス世界で作られた新型……いや、試験型と言うべきか? ともあれ、そんな移民船だ。

 基本的に移民船団というのは、その名の通り複数の船が纏まって行動する。

 その方が効率がいいと判断されたのだろう、

 だが、複数の船ということは小さな船も多く、何らかの理由で動けなくなったり、場合によっては破壊されてしまったりする事もある。

 その為、1隻の船で移民船団……いや、移民船として行動出来るかもしれないという考えで作られてたのが、このクレイドルだ。

 その大きさは、何と北海道と同じくらいだというのだから、普通に驚く。

 そのクレイドルがルナ・ジオンの首都だけに、そこには自然も多数ある。

 それこそマクロス世界特有の動植物も多数いる訳で、それを目当てに結構な数の学者が来ていた。

 他にも単純にそういうのに興味がある観光客とかも最近は多いらしい。

 いやまぁ、ルナ・ジオンの建国は1年戦争中で、その中で移住希望者を集めたので、当初は戦火から逃げたい者達が多く集まって来た。

 しかし、今は違う。

 戦争が終わり、完全にではないにしろ平和な時代に戻っている。

 特に地球では結構な被害を受けた場所が多かったが、コロニーの場合はコロニー単体で存在してるので、住んでいるコロニーが攻撃を受けなければ、そのままコロニーが残っている事は多い。

 そんな訳で、無事だったコロニーの住人は特に戦後復興とかはなく……いや、もしかしたら戦後復興の名の下に税金が増えているかもしれないが。

 特にジオン軍の残党に対抗する為という名目で戦後復興税という名前でも防衛費に回され、しかもその為に戦後復興税を当初の予定よりも長く支払う事になり、結果としてその税金を臨時の税金ではなく固定の税金という形にしようと考えている可能性もあった

 もっとも、それはあくまでも連邦での話で、ルナ・ジオンではそのような税金は取らない。

 というか、ルナ・ジオンの場合は税金は連邦やジオンと比べてもかなり安かったりする。

 その為に、ルナ・ジオンに移住してくる者もいるくらいなのだから。

 ……ともあれ、戦争が終わってコロニーも大分落ち着いたので、クレイドルに存在する異世界の自然や動物を見学に来る観光客もいる訳だ。

 そんな風に、俺は暫くの間セイラと一緒に話し……そのうち、当初の不機嫌そうな様子もなくなったことに安堵するのだった。

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