転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3684話

 セイラとのお茶会……うん。まぁ、お茶会は1時間程に及んだ。

 お互いに自分の経験した事とかを話していると、1時間程度はあっという間だ。

 正直なところセイラと話しているのはかなり楽しいので、出来ればもっと長い時間お茶会をしたかったのだが、そうもいかない。

 シャドウミラーの政治を政治班に任せている俺と違い、ルナ・ジオンはセイラにもしっかりとやるべき仕事があるのだから。

 寧ろセイラの普段の忙しさを考えれば、俺とのお茶会に1時間も取れた事がそもそも例外だった。

 そんな訳で、残念ながら……そして最初と違ってある程度落ち着いたセイラは仕事に戻っていった。

 ちなみに今日の予定は、これからペズンに向かってそこからハワイに降下し、そこで1泊。そして明日にはゴップと会う予定になっている。

 

「で、案内は……予想通りというか、予想外というか、そんな感じだな」

「ちょっと、どういう事かしら?」

 

 エレベータを使って1階に下りた俺を待っていたのは、クリス。

 そんなクリスを見て呟いた言葉に、クリスは不満そうな様子を見せる。

 

「UC世界に転移した時にシーマがいて、政庁に来たらモニクが待っていた。そうなるとクリスとクスコがどこかで待っていてもおかしくはないだろう?」

「……本当はクスコもここに来る予定だったんだけどね。アルテミスの方でどうしても外せない実験が入ってるとかで、ここに来る事は出来なかったわ。今度会ったらしっかりとフォローしておいてちょうだい」

 

 数秒前の不満そうな様子はすぐに消え、残念そうな様子を見せる。

 クリスにしてみれば、クスコと一緒にここに来るつもりだったのだろう。

 アルテミスでの実験となると……一体どんな実験なんだろうな。

 ちょっと気になるが、今はその辺についてはいいか。

 フラナガン機関と違い、アルテミスでは非人道的な実験は行われていない。

 きちんと実験を受ける方にも配慮されている筈なのだから。

 この辺は、ルナ・ジオンを率いるのがセイラという、UC世界における最高のニュータイプだというのも影響してるんだろう。

 フラナガン機関の研究者だった者達もアルテミスにはいるが、人権を無視した……それこそ半ば虐待のような研究をしていた者達は、現在も強制労働として農業を行っている。

 無農薬の農業というのは、話だけを聞けばかなりいい野菜に思えるし、実際に農薬とかの心配もいらない。

 だが、農薬を使わないという事は、当然ながら雑草とかは全て自分の手で抜き、あるいは葉っぱについた虫も自分達の手で取る必要がある。

 もっとも、無農薬ではあるが、それでも無農薬農薬とかを使ってある程度は対処してるのだが。

 ちなみに無農薬農薬というのは、その名の通り農薬を使っていない農薬だ。

 矛盾しているようにも思えるが、農薬の類を使うのではなく自然に存在する物……具体的には唐辛子とかニンニクとかコーヒーとか、そういうのを炒めたり、煮出したりして濃縮させて使う農薬だ。

 それが実際にどのくらいの効果があるのかは、俺には分からない。

 無農薬農薬については、話を聞いただけで実際に使った事は一度もないのだから。

 ともあれ、囚人は強制労働としてそういうのを使って農作業を行っている訳だ。

 ちなみに食事は……うん。特別にマブラヴ世界で作って貰って輸入している合成食を食べさせている。

 ちなみにこの合成食は非常に不味い事で有名だが、栄養という意味では全く問題ない。

 フラナガン機関で働いていた研究者達は、朝早くに起きて夜早くに寝る。そして毎日のように農作業し、食事は味はともかく栄養的に何の問題もない合成食。

 つまり、生活の質はともかくとして客観的に見た場合、かなり健康的な生活をしている訳だ。

 実際にセイラとの話の中でちょっと聞いた感じによると、囚人達はかなり健康になっているようだし。

 犯罪者が刑務所で健康になるというのは、そんなに珍しい話ではないが。

 

「今回の用事が終わったら、ホワイトスターに戻る前にアルテミスに顔を出す。……いや、顔を出さない方がいいのか?」

 

 高レベルの念動力者であり、同時に莫大な魔力を持つ俺という存在は、ニュータイプ能力を持つ者にとっては諸刃の剣だ。

 セイラやクスコのように、俺と接触する事でニュータイプ能力が強化される者もいれば、初めてアムロと会った時のように、トラウマを抱かせるような存在もいる。

 そんな俺が、ニュータイプ研究所に行こうものなら、そこにいるニュータイプ・・・…もしくはニュータイプ候補達にどんな影響を与えるか分からない。

 特に現在アルテミスには、ブリディッシュ作戦においてコロニーの一部がシドニーに落下してくると予知し、その災害から逃れた奇跡の子供達と呼ばれる3人のニュータイプがいる。

 その3人全員がニュータイプなのか、それともその3人のうち1人か2人がニュータイプなのか。

 生憎とその辺については俺も分からない。

 とはいえ、子供のニュータイプがいるのは間違いない以上、俺がアルテミスに行くのは不味いだろう。

 そう説明すると、クリスが難しい表情で頷く。

 

「そうした方がいいかもしれないわね。取りあえずアクセルをペズンまで送っていったら、後で私がクスコにその辺の話をしておくわ。クスコの希望に合わせてちょうだい」

 

 クリスの言葉に素直に頷く。

 シーマ、モニク、クリスの3人と会っておきながら、クスコと会わないとなるとクスコが拗ねそうだし。

 もっとも、モニクとは少し会話をしただけなのだが。

 大人の女の余裕を持つクスコだが、実際にはそれなりに嫉妬深い。

 それだけ俺が愛されているのだと思えば、それもまた悪くないとは思うけど。

 俺がUC世界に来て会えなかったとなると、ジーラインの件が終わった後で月に戻ってきたら、しっかりと時間を作ってデートでもした方がいいかもしれないな。

 幸い、クレイドルはデート出来る場所がかなり多い。

 それこそ郊外で自然の中、ピクニックとかでも悪くないだろうし。

 料理は……まぁ、適当にクレイドルで何かを買うか、あるいは空間倉庫に入ってる何かでもいい。

 ともあれ、自然の中で2人で遊ぶというのは悪くない。

 

「分かった。クスコとはこの件が終わって戻ってきたらだな。……数日くらいで戻ってくると思う。何もなければだが」

 

 もしこの言葉を聞いたのがクリスではなく……そうだな。円や美砂、あるいは綾子だったりすれば、フラグを立てるなと言われただろう。

 俺としては別にそんなつもりはないんだが。

 ただ、言われてみればフラグか?

 そう思わないでもなかったが、ジーラインを受け取りに行くだけだと考えれば、まさか何かトラブルが起きたりは……いや、トラブル誘引体質とでも呼ぶべき俺の性質を思えば、万が一もあるか?

 

「クリス、最近地球で何か騒動があったりするか?」

「え? うーん、そうね。今は戦後復興をしてるし、ジオン軍の中でもジオン共和国の存在を認めない人達もいて、そういう残党がそれなりに頻繁にMSを使ったテロを起こしてるわ」

「ガルマは人気があるって話だったんだけどな」

 

 現在ジオン共和国を率いてるガルマは、ジオン公国時代にはかなりのカリスマ性があった。

 まぁ、分からないではない。

 ガルマはザビ家の中でかなり顔立ちが整っていたしな。

 こう言うのもなんだが、ザビ家はギレン、キシリア、ドズル……それと父親のデギンの、有能な者達が揃ってはいたものの、その顔立ちが整ってるかと言えば、それは否だ。

 ガルマだけが突出して顔立ちが整っていた。

 その上で、兄や姉程ではないにしろ、相応に有能だったのは間違いないらしく、それもあってガルマはジオン公国時代はかなりの人気を持っていた。

 そんなガルマが現在ジオン共和国を率いているのだから、ジオン軍の残党も素直に連邦軍に降伏するなり、どうにかしてサイド3に戻るなりすればいいのにな。

 あるいはそういう連中は既に戻っていて、現在も抵抗活動を続けているのはギレンとキシリアの派閥……というか、その2人に強い忠誠心を抱いてる連中なのか?

 それならガルマの事を認めず、今もジオン公国の負けが許容出来なくてもおかしくはないが。

 

「その辺は私には分からないわ。ただ、ジオン軍は1年戦争序盤から中盤に掛けては圧倒的に有利だったでしょう? だから、負けを認められないのはその辺も問題があるのかもしれないわね」

「それもあるかもしれないな」

 

 ジオン軍にしてみれば、1週間戦争やルウム戦役において圧勝した。

 ……実際にはその時の戦いで結構なMSパイロットが死んでおり、それが最終的に学徒兵動員にまで繋がるんだが。

 ともあれ、その後もオデッサや北米といった場所に降下して勝利していった。

 だが……ジオン軍の力では、そこまでが精一杯だった。

 戦線が広がりすぎて、動きが停滞してしまったのだ。

 結果として、その停滞している間にV作戦によってMSの開発が進み……そして最終的にはザビ家の内紛に近い状態で連邦軍に負けた。

 いや、ルナ・ジオンも連邦軍に協力していたので、正確には連邦軍とルナ・ジオン軍に負けたのだが。

 そんな状況だけに、地上に残ったジオン軍の残党の中には自分達が負けたのを許容出来ない者もいるのだろう。

 あるいは終戦のドサクサで宇宙に戻ろうにも戻れなかった者達とか。

 その上で連邦軍に降伏するのもプライドが許さず、抵抗活動をしているとか?

 

「そういう連中がいるとなると、連邦軍としては厄介だろうな。……ちなみに、そういう連中を倒すのに、援軍の要請とかそういうのはないのか?」

「ないわね。いえ。もしかしたらあるのかもしれないけど、私のところまでそういう話は下りてきてないわ。もっとも、連邦軍の性格を考えると、恐らくルナ・ジオン軍に頼んだりはしないと思うけど」

 

 元連邦軍だけに、クリスはその辺についても詳しいらしい。

 実際、1年戦争前の連邦軍はかなり居丈高だったらしいしな。

 そういう意味では、1年戦争はジオン軍に横っ面を殴られて我に返ったようなものか。

 

「とにかく、現在の地球ではアクセルが心配してるような特別な何かが起こっている訳じゃないけど、ジオン軍のテロ……いえ、向こうにしてみればゲリラ行動はそれなりに頻繁に起こっているわ。アクセルが地球に行ったら、その辺に巻き込まれる可能性は十分にあるわね」

「……向かうのが連邦軍の基地だしな」

 

 ジオン軍の残党にしてみれば、襲撃場所として連邦軍の基地は優先目標の1つだろう。

 ましてや、その情報を持ってるかどうかは分からないが、そこにはジーラインという連邦軍の最新鋭MSがあるのだから。

 そう考えると、俺がジーラインを受け取る場所が襲撃されるという可能性は……ない訳ではない、か?

 そうなったらそうなったで、こっちも応戦すればいいだけだし。

 けど、そうなると何かMSを持っていった方がいいかもしれないな。

 ジーラインを受け取る事になってはいるが、さすがに機体を実際に使ってみないでそれを使うのは難しいと思うし。

 いや、やってやれない事はない……か?

 それにジーラインのある基地が襲撃を受けると決まった訳ではない。

 なら、無理にMSを借りていく必要もないか。

 以前はガルバルディβに乗ったので、今度はギャン・クリーガーに乗ってみたいという思いはあったが。

 

「クリスにとってギャン・クリーガーはどういう機体だ?」

 

 クリスはディアナでテストパイロットとして働いている以上、当然ながらギャン・クリーガーにも乗った事がある筈だった。

 スペックとか機体の特徴とかはそれなりに俺も理解しているが、それでも実際に乗ってみた訳ではない。

 ガルバルディβは、それなりに素直な操縦性だった。この辺は原型機となったペズン計画のガルバルディαを改修した結果なのかもしれないが。

 勿論、俺の反応速度についてこられないという欠点はあるが、それはどのMSでも……いや、どんな機体でも同じだ。

 混沌精霊の俺の反応速度についてこられる機体となると、T-LINKシステム搭載機、それもレモンが俺用にカスタマイズしたT-LINKシステムでないと無理なのだから。

 これに関しては、仕方がないと思っている。

 俺が人間ならともかく、混沌精霊なんて存在になってしまったのだから。

 寧ろ人間ではなくなった俺でもT-LINKシステムを使う事が出来ているのは、レモンの優秀さの証だろう。

 

「ギャン・クリーガーは……そうね。操縦性がそれなりにシビアな機体よ。ガルバルディβと比べると、かなり繊細な操縦を要求されるわ。とはいえ、アレックス程ではないけど」

 

 クリスは自分がサイド6のリボーで開発に関わっていた機体について説明する。

 クリスの様子を見る限りだと、ギャン・クリーガーはやっぱりエース級が使うべきMSなんだろうな。

 そんな風に思いつつ、俺はクリスに案内されながら会話を続けるのだった。

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