転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3685話

 月からシャトルに乗ってペズンに到着する。

 それなりに時間が必要だったが、まさかペズンに行くのにニーズヘッグに乗ってシステムXNを使ったりなんて事は出来ない。

 いや、やろうと思えば出来るだろうが。

 それでも連邦軍に転移という能力については……あー、でもどうだろうな。

 ルナ・ジオンは木星との結びつきが強い。

 その最大の理由は、それこそシステムXNを使えば数秒と掛からずに木星に行けるからだ。

 

「クリス、木星との関係について何か聞いてるか?」

「え? 木星? うーん、かなり友好的な関係を築いてるという話は聞いてるわね。私自身が木星に行った事はないけど」

「それは仕方がない。木星に行ける面子は決まってるんだし」

 

 普通に木星と地球の間を航行すると、年単位で時間が掛かる。

 だが、ルナ・ジオンなら転移を使って一瞬だ。

 それこそ転移である以上は数秒と掛からない。

 家の隣にコンビニがあるようなもの?

 いや、寧ろコンビニの中に住んでるようなものか。

 もっとも、実際には木星への物資を運び込んだり、木星にあるコロニーに入ったりと、手間は掛かる。

 移動時間よりもそっちの方がかなりの労力を必要とするのだ。

 そんな訳で、月は木星との取引は圧倒的に有利な訳だ。

 しかしそんな状況でも、連邦は木星との取引を止める訳にはいかない。

 その最大の理由が、木星から運ばれてくるヘリウム3。

 UC世界における核融合には必須の物質だ。

 一応月にも多少はヘリウム3はあるらしいが、それは本当に少数でしかないし、何よりも月はルナ・ジオンの領土だ。

 だからこそ、連邦は片道数年の時間を使ってでも、木星まで行く訳だ。

 ……実際には木星との行き来をしてるのは連邦ではなく、木星船団公社という中立の組織なのだが……まぁ、うん。

 表向きは中立であっても、連邦との力の差を考えれば実態がどうなのかは考えるまでもないだろう。

 ともあれ、連邦にとって木星とは文字通りの意味で命綱とでも呼ぶべき存在だ。

 そんな場所に、実は一瞬で行けるんですと連邦が知ったらどうなるか。

 それこそシャドウミラーを敵に回してでも、ルナ・ジオンを攻めるという選択肢を選ぶ可能性は否定出来ない。

 ただでさえ、強硬派やタカ派といった者達が多くなってきているのだから。

 だからこそ、ルナ・ジオンの中でも転移能力の存在や、それによって木星と行き来しているというのは、多くの者が知らない。

 ディアナのテストパイロットのクリスも、本来ならその件について知る事は出来ない立場にある。

 それでも知ってるのは、俺と親しいからだろう。

 

「そうね。でも、話に聞いた限りだと、木星のコロニーはかなり厳しいらしいわよ? 一応私達と取引をするようになってからは多少は楽になったらしいけど」

「だろうな。地球の側にあるコロニーとかと違って、木星のコロニーは何かがあっても近くに助けてくれる存在はいない。どうしても慎重に、物資を少しでも節約して生活するのが普通になる」

 

 そういう意味では、地球の周辺にあるコロニーはまだ恵まれているのだろう。

 

「そうね。お陰で木星と月の関係は悪くない……どころか、極めて良好だという話よ」

 

 木星にしてみれば、自分達の生活が苦しい中で頻繁に木星までやって来て補給物資を貰えるのだから、友好的になるのも当然だろう。

 もっとも、補給物資を渡すのは間違いないが、それは別に無料でやってる訳じゃないらしいが。

 それこそヘリウム3を代金として貰っての事だ。

 

「ちなみにヘリウム3の貯蔵施設の防衛は問題ないのか?」

 

 月の中でも周辺に何もない場所にヘリウム3の一大貯蔵施設があるのは知っている。

 勿論その場所だけではなく、他にも幾つもあるが。

 ただ、一番貯蔵量の多いのがそこだという話で。

 そんな場所だけに、当然ながら防衛には万全の状態なのは間違いない。

 それは分かっているが、それでも一応という事で尋ねたのだが……

 

「その辺は問題ないわ。バッタやメギロートといった無人機が24時間体制で守っているし」

「なら安心か」

 

 人間のパイロットが護衛をする場合、どうしても慣れとかそういうのが出てくる。

 あるいは誰も敵が襲ってこないという事で気を抜いたり。

 往々にして、そうして万全の状況ではない点を突かれて大きなダメージを受けるのだ。

 そう考えれば、気の緩みとかそういうのは一切存在しない無人機が護衛をするというのは悪い話ではない。

 バッタはともかく、メギロートは純粋な性能として考えれば、現時点においてUC世界のMSの大半を凌駕してるのだから。

 ……とはいえ、それで絶対に安全といった訳ではないのも事実。

 無人機はパイロットがいない分、無茶な動きも出来る。

 だが、それでも世の中には非常に高い操縦技術を持つパイロットもいるのだ。

 例えば、アムロ・レイ。

 俺が1年戦争の時にホワイトベースで乗っていた時、一緒に戦った仲間だが、当初はともかく最終的には高いニュータイプ能力と共に、最高峰のパイロットであれば多少機体性能が劣っていてもメギロートやバッタを倒す事は可能だろう。

 ……もっとも、無人機の強みは無人機故にパイロットの事を考えず無茶な動きが出来るというのもあるが、それ以上に物量で押すというのがある。

 アムロがメギロートやバッタを数機撃破したところで、数百、数千、数万……そんな数のメギロートやバッタが襲ってくれば、勝ち目はない。

 倒すまでにはこっちの無人機も結構な被害を受けるのは間違いないだろうが、無人機であれば新たに作ればそれでいいだけだ。

 無人機を作る資源も、ホワイトスターのキブツがあればどうとでもなるし。

 そんな風に考えつつ、俺はクリスと共にシャトルを下りてペズンに入る。

 すると……

 

「待っていました、アクセル代表」

「シュタイナー? ……ああ、そう言えばサイクロプス隊はペズンにいるんだったか」

 

 俺とクリスを出迎えたのは、サイクロプス隊の隊長を務めるシュタイナーだった。

 ちなみにサイクロプス隊というのは、本来ならジオン軍の特殊部隊だったのだが、今となってはルナ・ジオン軍の特殊部隊のサイクロプス隊として活動している。

 メンバーは基本的に以前と変わらない。

 まぁ、特殊部隊というのは基本的に隊員の仲間意識が強い。

 そこに下手に何も知らない者を組み込むと、問題となる可能性が大きかった。

 そしてサイクロプス隊の今の職場は、このペズンな訳だ。

 ルナ・ジオン軍に所属するサイクロプス隊がペズンにいる。

 だが、これは別に左遷とかそういうものではない。

 寧ろペズンというのはルナ・ジオンにとって非常に大きな意味を持つ。

 月から地球に下りる際の経由地としての場所であったり、MSの開発を行っていたり。

 また、連邦軍に対する牽制の意味合いも強い。

 ルナツーであったり、シーマから聞いたフィフス・ルナであったり。

 地球の周辺には何だかんだと連邦軍の拠点となる場所がある。

 軍事拠点という訳ではないが、サイド7なんかもそんな感じだろう。

 実際にV作戦でガンダムとかを開発していた場所だし。

 そんな重要な場所だからこそ、サイクロプス隊のように腕の立つ者達が配備されている。

 とはいえ、別に配備されているのはサイクロプス隊だけではない。

 他にもルナ・ジオン軍から派遣されている戦力は相応にある。

 場合によっては連邦軍と衝突した時、月からの援軍が来るまでペズンにいる戦力で持ち堪える必要があるのだから。

 その時の為に、ペズンには結構な戦力がある。

 そんな戦力の中でも目玉というか、奥の手というか、そんな存在がサイクロプス隊な訳だ。

 

「ええ。バーニィの奴はアクト・ザクを使って色々と行動してますが」

「ペズン計画の機体か」

 

 このペズンで行われていたMSの開発計画がペズン計画だ。

 そのペズン計画で開発された機体の中には、ガルバルディβのベースとなったガルバルディαもある。

 アクト・ザクというのも、報告で見た覚えがあった。

 アクト・ザクは、ジオン軍の象徴とも呼べるザクなのだが、関節駆動にはジオン系MSで使われている流体パルスモーターではなく、フィールドモーターを使っているのが特徴だ。

 そういう意味では、ルナ・ジオンのディアナで開発されている、ジオン系MSと連邦系MSの技術の融合の実例といったところか。

 

「はい。バーニィが操縦してるというのを抜きにしても、かなり高性能な機体ですね」

「シュタイナーがそこまで褒めるとなると、優秀な機体なのは間違いないのか」

「ええ。ですが……」

 

 そこで一旦言葉を止めたシュナイダーはクリスの方を見る。

 リボーでの件もあって、クリスとシュタイナーは別にこれが初対面という訳ではない。

 というか、俺が知らない間にクリスとシュタイナーが会っていてもおかしくはなかった。

 

「現在ルナ・ジオン軍で運用されている、ガルバルディβに匹敵するかと言われると、少し難しいかと。一部の能力では勝ってますが、総合的な性能で見るとアクト・ザクはガルバルディβには勝てません。当然、エースが乗るギャン・クリーガーにも」

 

 なるほど。クリスがディアナのテストパイロットをやってるから、一度見たのか。

 それでも一部の能力が勝っているという事は、何かあった時の為にある程度は戦力として残しておいた方がいいのかもしれないな。

 

「その辺はルナ・ジオン軍での話だし、そっちで決めてくれ。……それで、俺がハワイに下りる件だが、そっちの準備はどうなっている?」

 

 基本的にペズンからハワイに下りる時は降下シャトルであったり、HLVであったりを使う。

 HLVは何だかんだと物資を地上に送るのにちょうどいいんだよな。

 ハワイではどうしても足りない物資とかあるし。

 ホワイトスターのキブツとかがあればともかく、そういうのもないし。

 つまり物資は自分達で……いや、ルナ・ジオンで用意しないといけない。

 連邦と取引をしてもいいんだろうが、今の連邦は強硬派が多い。

 取引をしようとしても、余計なちょっかいを掛けてくる可能性が十分にあった。

 そんな訳で、ハワイにはHLVによってペズンから頻繁に物資を送っていた。

 ちなみにだが、一方的にハワイが物資を送られているだけではなく、ハワイからも色々な物資がHLVで打ち上げられている。

 一番多いのは、新鮮な魚らしいが。

 コロニーとかペズンのような小惑星基地で生活していると、新鮮な魚なんてのは食べる機会があまりない。

 金持ちの上流階級とかならともかく、一般市民はかなり難しい。

 一応コロニーの中でも海洋コロニーがあったり、そこで養殖していたりもするんだろうが、それでも一般市民が気軽に買うのはちょっと難しいらしいし。

 そういう意味では、ハワイ……正確にはハワイ諸島か。とにかく海に囲まれた島である以上、魚を手に入れるのは難しくはない。

 

「もう1時間くらいで準備は完了します」

「それはまた……予想外に早いな」

 

 シャトルである以上、HLVと違って荷物とかを積み込む必要はない。

 だが、それでも出発の準備には色々と手間の掛かるものも多かった。

 だというのに、こうしてペズンに来たばかりでもう1時間程で準備が終わるというのは、俺がこの時間にペズンにやってくると予想した上での行動だったのだろう。

 もっとも、シャトルの準備をして待機しておけばいいだけと考えると、俺が来るのは決まっていたのだから、そんなに難しくはないのかもしれないが。

「どうします? 準備が出来るまではどこかで休みますか?」

 

 シュタイナーの言葉に少し考え、首を横に振る。

 

「いや、どうせだし、さっき話題になったアクト・ザクをちょっと見てみたいな。見る事は出来るか?」

「それは構いませんが……あまり面白いものではないですよ?」

 

 そう言うシュタイナーの言葉は、どこか少し無理をしているように思える。

 シュタイナーの立場としては、俺を相手に普段通りの言葉遣いをする訳にもいかない以上、仕方がないのかもしれないが。

 その辺は慣れか。

 

「クリスはどうする?」

「アクセルがそれでいいのなら、私もそれに付き合うわ。アクト・ザクはディアナでも少しデータを見たから少し興味もあったし」

 

 どうやらクリスも俺の意見には賛成らしい。

 シュタイナーはそんな俺達の様子に、仕方がないといった様子を見せる。

 別にアクト・ザクを絶対に俺達に見せたくないとか、そういう訳じゃないと思うんだが。

 シュタイナーが言うように、アクト・ザクはそれなり高い性能を持つが、それでもガルバルディβや……ましてや、ギャン・クリーガーよりも上という事はない。

 であれば、別にどうしても見せたくないとか、そういう事ではないと思うんだが。

 あるいはシュタイナーは何かを企んでるのか?

 そうも思ったが、量産型Wやコバッタのいるペズンで何か……具体的にはシャドウミラーやルナ・ジオンに被害を与えるような何かを企めるとは思えない。

 だとすれば、もっと別の何かの理由がある訳で……それをちょっと見せて貰おうか。

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