転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3687話

 SFSの件について話していたところで、シュナイダーが口を開く。

 

「アクセル代表、そろそろシャトルの時間になりますが、どうしますか? もう少しこちらで話していても構いませんが」

「いや、気にしないでくれ。元々ここに来たのは出発の時間までの暇潰しだったしな。……クリスは月に戻るんだよな?」

「ええ、出来れば私もアクセルと一緒に地球に行きたかったんだけど……ディアナでの仕事もあるし、バストライナーやスキウレを使ったSFSの件についても上に話を通す必要があるから」

 

 バストライナーは簡単に言えばメガ粒子砲つきのエアカー? っぽい感じだが、スキウレは移動は出来るものの、基本的には宇宙用だ。

 SFSは宇宙でも使うが、やはり一番必要なのは地球でだ。

 そう考えると、やはりバストライナーをベースにSFSを開発する方がいいと思う。

 とはいえ、俺はあくまでもアイディアを出しただけだ。

 実際にそれを採用するかどうかはディアナの上層部次第だろう。

 バストライナーやスキウレのような強力なメガ粒子砲を使えるという点では有用だが、それは同時にコストが高くなる事も意味している。

 SFSはド・ダイやダラニを現在ルナ・ジオンで使っているが、どちらもコストという意味ではかなり安い。

 いやまぁ、それでも精密機器とか大量に使ってるので結構なコストになるんだろうが、MSとかに比べるとかなり安いのも事実。

 だが、バストライナーをベースにSFSを作るとなると、MSと同じくらい……というのは少し言いすぎかもしれないが、それでもド・ダイとかよりもかなり高コストになるのは間違いない。

 もっとも、コストという点ならシャドウミラーと取引をしているルナ・ジオンはそこまで困る事はない。

 スペースデブリを持ってくれば、幾らでも資源に変えられるのだから。

 

「そうか。上手くいくように祈ってるよ」

 

 そう言い、俺はその場でクリスと別れ、シュナイダーに案内されてシャトルに向かう。

 シャトルは俺が地球に降下するという事で用意されたので、俺以外に客はいない。

 ……その代わり、ハワイに下ろす物資をついでといった様子で積み込まれていたようだったが。

 それに関しては別に構わないので、特に気にしてはいない。

 そもそもの話、このシャトルはそこまで大きい訳ではないので、積み込める物資の量もそんなに多くはないだろうし。

 

「では、私はこの辺で失礼します。ペズンの部隊から地球に降下するまでの間、護衛部隊を出しますので、安心して下さい」

 

 シャトルに乗った俺に向かい、シュタイナーがそう言ってくる。

 それにしても、シュタイナーのような叩き上げの軍人がこうして丁寧な言葉遣いをして俺の接待をするというのは……もしかして、シュタイナーは上司に嫌われていたりするのか?

 そう言えばリボーの時も上司には恵まれていなかった様子だったが……上司運とでも呼ぶべきものがわるいのかもしれないな。

 もっとも、上司に嫌われてるというのはあくまでも俺の予想でしかない。

 実際には違う可能性もあるし、そうであって欲しいとも思う。

 いやまぁ、ジオン軍の時の上司より悪い奴ってのは、そう多くはないと思うけど。

 

「分かった。じゃあ、護衛の方も頼んだ」

 

 実際には混沌精霊の俺を殺す手段は、魔力や気を使う者がいないこの世界には存在しない。

 とはいえ、それはあくまでも俺の話だ。

 俺以外にもこのシャトルにはパイロットとかがいるので、その連中を守る必要があると考えれば、護衛は必須だろう。

 また、ルナ・ジオンとしては重要人物を乗せていると周囲に……特にルナツーやフィフス・ルナにいる連邦軍に見せつけるという意味もあるのかもしれないが。

 

「では、良い旅を」

「ああ、色々と案内助かった」

 

 俺の言葉にシュナイダーは一礼するとシャトルから出ていく。

 そんなシュナイダーを見送ると、少ししてから出発の準備が整ったという報告があった。

 乗客は俺だけである以上、放送された報告は明確に俺に向けてのものだったのだろうが。

 ともあれ、そうして準備が完了したところでシャトルは出発した。

 ペズンのある位置は地球から近い。

 それでも何かがあるといけないと判断し、ペズンに所属するガルバルディβが護衛として出撃していた。

 この辺はシュナイダーの言葉通りだな。

 メギロートやバッタではなくガルバルディβなのは……その方が誠意があると思ったからか?

 ともあれ、そこまではいい。そこまではいいのだが……

 

「ジム……いや、ジム・コマンドか?」

 

 何故かこちらに向かってくるジム・コマンドの姿がシャトルの窓から確認出来た。

 

『アクセル代表、こちらに近付いてくるMSを発見しました。所属はルナツーのものですが、現在何の為にこのようなことをしているのか確認する為の通信を送っています。暫くお待ち下さい』

 

 船長の声が客室に響く。

 ジム・コマンドがルナ・ジオン所属のMSではないのは知っている。

 一応ジム・コマンドもこっちでは所有しているものの、ルナ・ジオンの主力MSは現在ガルバルディβとギャン・クリーガーだ。

 あるいは1年戦争時代にまで遡っても、それはヅダだろう。

 ……MAという意味ではビグロとかビグロマイヤーとかヴァル・ヴァロとかいるが。

 ともあれ、ルナ・ジオンがジム・コマンドを使う事は……ディアナで機体の性能を確認するという意味ではあるかもしれないが、こういう状況ではない。

 識別がルナツーとなってる時点で、連邦軍に所属するMSというのは明確だったが。

 とはいえ、一体何をしに来たのかというのが問題となる。

 思いつく可能性は幾つかある。

 強硬派がちょっかいを出してきた。

 あるいは、単純に護衛をする為に。

 このどちらかの可能性が高いだろう。

 とはいえ、この状況で強硬派が出てくる可能性はあまりないと思うんだが。

 ただでさえ、今回俺が地球に行くのは以前の強硬派の一件の謝罪としてMSを譲渡するからだ。

 この状況で、更にこっちに強硬派がちょっかいを出してくるというのは……ちょっと疑問だ。

 いやまぁ、これまでの強硬派の行動を見ていると、ただ目先の感情で動いているようにしか思えないので、ここでまたちょっかいを出してきてもおかしくはないと思うんだが。

 

『その……アクセル代表、近付いて来たMSからアクセル代表と通信をしたいと連絡があったのですが……』

「俺と?」

 

 船長の言葉に訝しげに答える。

 俺を指名してきて連絡をしてきたという事は、それはつまりこのシャトルに俺が乗っているのを知っていたという事になる。

 自分で言うのもなんだが、俺はルナ・ジオンにとって……いや、連邦にとっても非常に重要な人物だ。いわゆるVIPって奴だな。

 そんな俺が地上に向かう……つまり俺の行動予定を何で知ってるんだ?

 普通、そういうのは重要な情報とするんじゃないか?

 もっとも、連邦の諜報分野はジオンやルナ・ジオンよりも上でもおかしくはない。

 ともあれ、俺に通信という事は俺に用事なんだろう。

 それが具体的にどんな用事なのは分からないが。

 俺をいつでも殺せるとして脅迫してくる……とか?

 実際にはそれは無理だが、俺が混沌精霊で、しかも魔力や気による攻撃でないとダメージを受けないというのは、基本的に知られていない。

 強硬派の件を考えると、そうしておいてよかったんだろうな。

 

「分かった、俺が出る。映像をこっちに回してくれ」

 

 このシャトルは重要人物が使う物だけに、席には映像モニタがある。

 本来なら暇潰しとして映画とかを見たりする為の物なんだろうが、通信を行ったりも出来る。

 

『分かりました』

 

 その言葉と共に、映像モニタに1人の顔が映し出され……俺はその顔を見た瞬間、呆れと楽しさを感じる。

 

「何だ、お前かヤザン」

『はっはっは。久しぶりだな、アクセル』

 

 パイロットスーツを着ていても分かる、凶悪さを表したかのようなヤザンの顔。

 三白眼……とでも呼ぶんだったか?

 ヤザンは1年戦争の時、俺と共にホワイトベースに乗っていたMSパイロットの1人だ。

 印象深かったのは、ホワイトベースにいた避難民のうち、カツと仲が良かった事だろう。

 かなりの操縦センスを持ち、アムロのようなニュータイプではないものの、オールドタイプとしてはかなりの腕を持っていた。

 ガトーのような異名持ちには少し及ばないものの、それでも1年戦争に参加したMSパイロットの中では間違いなく上位に位置する実力を持っていただろう。

 1年戦争が終わって俺はルナ・ジオンに……というかシャドウミラーに戻ったが、ヤザンは連邦軍に残った。

 一応、ルナ・ジオンに来ないかと誘ったんだが、断られたんだよな。

 何故断ったのかは……ヤザンの性格を考えれば分かりやすい。

 ルナ・ジオン軍は1年戦争が終われば基本的に戦う場はない。

 いや、ルナ・ジオンに所属する商船とかがジオン軍の残党に攻撃されたりすれば、その排除に乗り出したりするかもしれないが、言ってみればそれだけだ。

 ハワイは若干危ないが。

 ともあれ、そんなルナ・ジオンと違い、連邦にいればヤザンは積極的にジオン軍の残党と戦う事になるだろう。

 つまり、ヤザンは戦えるから連邦軍に残ったのだ。

 そしてホワイトベース隊に所属していたヤザンは、まさにエース級と呼ぶべき能力を持つ。

 そんなヤザンが戦闘狂とでも呼ぶべき行動をしてるのだから、連邦軍にとってはこれ以上ありがたい事はないだろう。

 もっとも、そう簡単にヤザンを飼い慣らせるかと言えば、それは否だ。

 下手にいいように使えると思って手を伸ばした場合、その手を喰い千切られるかもしれないのだから。

 

「それで、一体何をしにここに来たんだ?」

『俺は今、ルナツーに所属してるんだよ。それでゴップのおっさんに頼まれて護衛に来たんだ』

「あー……なるほど」

 

 そう言われると、ヤザンがここにいる意味を理解する。

 ゴップにしてみれば、地球に向かう俺が強硬派に襲撃されるというのは絶対に避けたかったのだろう。

 今でさえ大きな弱みがあるのだから、それが余計に強くなるのは避けたいといったところか。

 その為、護衛としてヤザンを派遣した訳だ。

 つまり、ヤザンはゴップの派閥にいるのか?

 ヤザンの場合は派閥とかそういうの関係なく動きそうな気もするが。

 

「それで護衛はハワイまで……じゃないな、その機体を見ると」

『ああ、地球に降下するまでだ。その時間は短いが、強硬派の連中に配備されてるMSはつまらねえ機能が搭載されていてな。ルナ・ジオン軍のパイロットでも無人機だと負ける可能性がある』

「……何?」

 

 ヤザンの言葉に疑問を覚える。

 ルナ・ジオン軍のMSパイロットは、平均的に技量が高い。

 特にペズンに派遣されている者達は、それこそ場合によっては連邦軍――実際には強硬派――と戦う事になるかもしれないし、ジオン軍の残党と戦う可能性もあるので、それなりに腕利きが揃っている。

 サイクロプス隊を見ればその辺は分かりやすい。

 だというのに、そのペズンのMS隊がやられるかもしれないというのは、どういう事だ?

 

『一応これは機密なんだが、ゴップのおっさんから話してもいいって許可を貰ってるしな。それに……多分アクセルなら、強硬派のMSが動いてるのを見れば分かると思う』

「何がだ?」

『アムロ……覚えてるだろう?』

「それはまぁ」

 

 この世界の主人公にして、連邦軍最高のニュータイプ。

 もし俺がセイラに接触しなければ、UC世界最高のニュータイプはセイラではなくアムロになっていたのではないかと思えるような人物だ。

 とはいえ、俺は第一印象が悪かったせいか、決して好かれてはいないが。

 

『アムロの1年戦争の時の戦闘データ……特に回避データを移植したジム・コマンドを強硬派が使ってるらしい。その為に、殆どオート操作だが回避能力だけは高いMS部隊というのが増えている』

「それは……また」

 

 ヤザンも乗っているジム・コマンドは、1年戦争中に開発されたジム系MSの中では最高性能の1つだ。

 ジム・スナイパーⅡのように。

 何しろ純粋なスペックだとガンダムを上回るらしいし。

 もっとも、装甲の面ではどうしてもルナ・チタニウムを使っているガンダムには劣るが。

 戦後まだ間もない連邦軍だが、多数のバリエーションを持つジム系のMSを統合しているとも聞く。

 実際にはジムの前期型だったり後期型だったり、そっち方面の統合が主らしいが。

 ともあれ、ジム・コマンドはそういう中でも高性能なジムという事で未だに使い続けられているらしい。

 ヤザンやその部下達が乗ってるのも、その辺が影響しての話だろう。

 

「何で回避だけなんだ? どうせなら攻撃のデータも使えばいいんじゃないか?」

『さぁ? 俺にもその辺は分からねえよ。データ容量的に無理とか、そういう理由があるんじゃねえか?』

 

 アムロの回避データを使っているという事は、アムロ並……とまではいかないが、それでも普通のパイロットよりも高い回避能力は持つだろう。

 強硬派がそういうのを入手したという事は……面倒がないといいんだけどな。

 そんな風に思いつつ、俺はヤザンとの会話を続けるのだった。

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