転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3690話

 ニュータイプ用の武器をアプサラスに搭載する。

 そんな俺の提案は、ギニアスにとっても完全に予想外だったらしい。

 

「その……何と言えばいいのか分かりませんが、本気ですか?」

 

 そう尋ねてくるギニアスだったが、これは多分相手が俺じゃなければ、正気ですか? と聞いてきたような気がする。

 ギニアスはルナ・ジオンの所属だが、アプサラス計画を全面的にバックアップした事や身体の治療の件もあり、俺に対して強い感謝の気持ちを抱いている。

 そんなギニアスでも今のような反応をするくらい、今の俺のアイディアは予想外だったらしい。

 ちなみにギニアス程に技術に詳しい訳ではないにしろ、軍事的な件でのアドバイザーとしてここにいるノリスの強面の顔も驚きを表していた。

 

「勿論本気だ。とはいえ、実際にそれをやるには色々と問題もあるが」

 

 何より、ニュータイプ用の新技術を搭載するのに、現在ハワイにはニュータイプがいない。

 いやまぁ、もしかしたら俺が知らないだけでどこかにニュータイプがいる可能性はあるが。

 何しろハワイは1年戦争中に唯一安全な場所だった。

 量産型Wやコバッタによって、戦争中とは思えないくらいに治安がよかったし。

 また、新国家のルナ・ジオンに行くにもハワイから行くのが手っ取り早い。

 そんな訳で多くの者が集まっていたのも事実。

 そのような者達の中には1年戦争が終わったという事で地元に行ったり、既に月に向かったりした者も多かったが、ハワイの気候であったり、治安の良さだったり、そういうのが気に入って残った者も結構な数になる。

 そのような者達が大勢いるのだから、その中にニュータイプとして覚醒している者、あるいはその素質を持っている者がいてもおかしくはない。

 もっとも、そのような者がいてもどうやって見つけるかというのがあるが。

 やっぱり無難なところでは、アルテミスからニュータイプを呼ぶとかか?

 

「具体的に、どのような新技術が?」

「俺がセイラから聞いた話によると、有線ビーム砲についてそれなりに研究が進んでいるらしい」

 

 これはセイラとお茶会をした時に出て来た話題だ。

 とはいえ、有線ビーム砲について研究が進むのは、ブラウ・ブロの開発者であるシムスがアルテミスにいる以上、当然だろう。

 ジオングの腕も言ってみれば有線ビーム砲だしな。

 

「あ、でも有線ビーム砲は別にニュータイプじゃなくても使えるのか」

 

 実際、ブラウ・ブロやジオングも複数人で乗り込む事により、ニュータイプではなくても有線ビーム砲は使えていたらしいし。

 ただ、当然ながら本来想定していた動きと比べると劣ってしまうらしいが。

 そういう意味では、有線ビーム砲はオールドタイプでも使える分、悪くない。

 

「ふむ、ニュータイプではなくても使えるのなら……こちらでも研究してみるのはいいかもしれませんね」

「そうしてくれ。アルテミスでは予想外の事でも、ギニアスなら何か思いついたりとか、そういうのがあるかもしれないし」

 

 ギニアスはあくまでも技術者……それもMAの技術者で、ニュータイプの研究であったり、ニュータイプ能力を使って動かすシステムとかそういうのは別に詳しくない。

 だからこそ、当初予想していなかった方法で何か思いつく可能性は十分にあった。

 勿論、何も知らない素人に比べれば、多少は詳しい方に入るのだろうが。

 

「そういうものですか」

「あくまでも俺の考えだけどな」

 

 そう言うも、これは何も適当に言ってる訳ではない。

 シャドウミラーの技術班というのは、レモンを筆頭に天才や秀才の集まりだ。

 それこそ技術班に所属する者なら、普通の技術者であっても他の世界に行けばトップクラスの技術者となれるような優秀な者達が揃っているのだが……そんな優秀な者達ですら気がつけないような事を、多少はその辺の話が分かるとはいえ、技術班と比べると素人でしかない俺の意見によって驚かせ、納得させることが出来たりするように。

 例えば、T-LINKフレームとかがそれだ。

 ……そう言えば今更だけど、どうやって俺はT-LINKフレームについて思いついたんだろうな。

 どうやって思いついたのかはすっかり忘れたが、ふとした思いつきとかでそういう風になったんだろうとは思う。

 

「アクセル代表がそう言うのでしたら、少し検討してみましょう。もしかしたら、それがアプサラスⅣにとって悪くない結果となるかもしれませんし」

「そうしてくれ。MAの欠点として、近接攻撃に弱いというのがある。アプサラスの場合は護衛をつけることでその辺に対処してるが、アプサラスの方でその辺の対処が出来るようになれば最善だ」

 

 ギニアスに向かってそう言うものの、有線ビーム砲でMSの近接攻撃に対処出来るのかと言われれば、ちょっと難しいような気もする。

 これが例えば大量に有線ビーム砲を使えるのなら、それでどうとでもなる。

 だが、ブラウ・ブロやジオングの機体性能を見ると、ニュータイプであっても使いこなせる本数は決まっているだろう。

 オールドタイプが有線ビーム砲を使う場合、大量に使うとなると……うん。それこそアプサラスに搭乗する人数がそれだけ増える事になる。

 とはいえ、アプサラスは基本的に大きいので、やろうと思えば有線ビーム砲担当として大量に乗せたりも出来るのか?

 

「考えてみます。ただ、正直なところ有線ビーム砲はアプサラスに合わないと思いますが。どうせならもっと違う技術を試させて貰えれば」

「違う技術か。ちょっと難しいな」

 

 有線ビーム砲はニュータイプ以外にオールドタイプでも普通に使える。

 そういう意味で、アプサラス……というか、アイナが使うにも問題はない。

 だが、それ以外でとなるとすぐに思いつくのは、それこそサイコミュとかだろう。

 サイコミュというのは、ニュータイプが発する脳波を受け取って動くシステムだ。

 それはつまり、サイコミュを使うには有線ビーム砲と違ってニュータイプが必須ということになる。

 これは正直なところ、かなり痛い。

 実際にはセイラのように突出したニュータイプだけではなく、アルテミスにいるニュータイプ候補のようにニュータイプ能力があるかどうか分からない。あるいはあっても微弱な者といった者達もいるので、そのような者達ならサイコミュは動かせるかもしれないが。

 ただ、アルテミスにいる候補生を連れてくるのならともかく、アイナに操縦をさせるのは難しい。

 

「もし本当にニュータイプ用の技術……例えばサイコミュが一般的だろうが、そのサイコミュをアプサラスに搭載するとなると、それこそアプサラスⅣのテストパイロットはアイナ以外の者にした方がいいかもしれないな」

「むぅ……それは……」

 

 俺の言葉にギニアスが微妙な表情を浮かべる。

 ギニアスにしてみれば、アプサラスⅣのテストパイロット……いや完成した後のパイロットもアイナにやって欲しいらしい。

 別にそこまでアイナがパイロットをしなくてもいいとは思うんだが。

 

「アプサラスⅣのテストパイロットは、アイナじゃないと駄目なのか?」

「絶対に駄目という訳ではないですが、アイナはこれまでずっとアプサラスのパイロットをしてきました。言わば、アプサラスⅠからⅢまでの違いを知っています。その為、今回Ⅳを開発するにあたって、今までの違いからどこかおかしいといったようなことを説明しやすいのです。それに……これはアクセル代表に言うのはどうかと思うのですが、アイナは私の妹なのです。そうである以上、裏切ったりする事はありません」

「……なるほど」

 

 ギニアスにとって、恐らく前者よりも後者の方が大きな理由なのだろう。

 ジオン公国にいた時、サハリン家は名家だった。

 しかし、両親が死に、ギニアスも宇宙線によって身体が弱くなり、そう遠くないうちに死ぬと周りから思われていた。

 残るのはアイナだけ。

 そうなるとサハリン家から離れていく者も多かっただろう。

 あるいはこれ幸いと名家を乗っ取るべく近付いてくる者達も。

 そんな中、ギニアスは妹のアイナと、そして忠臣のノリスと共に頑張ってきた。

 そんな経験があるだけに、レモンの治療によって健康になり、アイナにもガトーという相手が出来て……それでも見ず知らずの者を自分の研究結果となるアプサラスのパイロットにしたくはないのか。

 なら、いっそノリスやガトーをアプサラスⅣのパイロットにと思わないでもないが、この2人は基本的にMSに乗ってこそ、その実力を発揮出来る。

 実際に以前MAの適性を調べてみたところ、MS程ではなかったらしいとギニアスから報告を受けているし。

 勿論、その辺の平均的な実力を持つパイロット……いや、ベテランも含めてもMAの適性は高い。

 だがそれでも、やはりMSの適性の方が非常に高いのも事実。

 そうなるとMSからMAに乗り換えるというのは、決して好ましいことではない。

 ギニアスが命じれば、ノリスも……そしてガトーもそれに従うだろうが、だからといってギニアスもわざわざ適性の落ちるMAに無理に乗せようとはしない。

 それはハワイという領土を守る上で、避けるべき事なのだから。

 

「けど、アプサラスⅣを最高のMAにするのなら、テストパイロットも妥協はしない方がいい。それに……ルナ・ジオンの女王のセイラが戦場に出る時、やっぱり機体はMAが最善だと思うし」

「……アルテイシア女王が、戦場に? そのような事が起こると?」

 

 俺の言葉が理解出来ないといった様子のギニアス。

 普通に考えれば、それは間違っていない。

 戦場に出るにしても、精々が士気を上げる為であったり、後方から指揮を執ったりする程度、最前線に出るような事は……俺を始めとした特殊な例でもない限り、ないだろうし。

 とはいえ、俺の場合はそれでも普通に出来たりするんだが。

 その辺はやっぱり混沌精霊だからというのが大きいだろう。

 それ以外にも、俺が乗るのはレモン達が開発したニーズヘッグというのも大きい。

 実際にはレモン達が開発していない、その世界独自の機体にもかなり乗っていたりするんだが。

 UC世界で活動していた時も、ジオン軍のMSから連邦軍のMSまで……結局どのくらい乗った?

 ちょっと数えるのが面倒なくらいのMSに乗ったのは間違いなく、その辺の状況を考えれば……うん。何気に俺がシャドウミラー製の機体に乗ってるのって、自分で思ってる程に多くないのかもしれないな。

 とはいえ、その辺についてもやっぱり俺が混沌精霊だからこそ、特に問題ないというのも事実だったりする。

 

「あくまでも可能性だ。ただ……最近、連邦の中に強硬派が増えてきているのは知ってるだろう?」

 

 その問いに、ギニアスは無言で頷く。

 ギニアスにも、強硬派の件についての情報は届いているのだろう。

 そもそも連邦軍にとって本拠地は地球だ。

 正確にはジャブローか。

 ルナツーやフィフス・ルナといった場所は連邦軍にとっても重要なのは間違いないものの、それでもあくまでも重要拠点でしかない。

 だからこそ、連邦軍が本格的に動くのなら地上での話で、ルナ・ジオンが持つ唯一の地球の領土であるハワイを治めているギニアスにしてみれば、強硬派の件は他人事ではない。

 いや、寧ろギニアスこそが本気で対処する必要のあることだった。

 だからこそ俺の言葉にも真剣に頷いたのだろう。

 

「連邦軍が動くと?」

「元々本格的なものではないにしろ、ちょっかいを出しては来ていたんだろう? なら、本格的に動いてもおかしくはないと思うが」

「それは……」

「そして地球でそのように動いた場合、当然ながら宇宙でも動く」

 

 というか、実際に宇宙では動いているしな。

 今回俺が地球に来たのも、その件の謝罪としてジーラインという新型のMSを貰う為だし。

 もっとも、あの時は強硬派にとっても月の偵察のようなつもりだったんだろうが。

 そんな中で俺の操縦するガルバルディβと偶然遭遇してしまい、そして俺が小隊とかそういうのではなく1機だけでいたこともあって、ちょっかいを出してきたと。

 強硬派にしてみれば、まさかあんな場所にアクセル・アルマーがいるとは思ってなかったんだろうな。

 もっとも偽名を使ったので、俺を俺だと認識出来ていたとは限らなかったが。

 

「そうなった場合、もしかしたらセイラが出撃する機会というのはあるかもしれない。そしてセイラが乗るのなら、個人的にはMAの方が向いてると思う」

 

 現在UC世界において最強のニュータイプ能力を持つセイラだ。

 その実力を存分に発揮するのなら、運動性や機動性が高いMSの方がいいだろう。

 ニュータイプ能力によって相手の行動を先読みしたりするのは間違いなく向いているのだから。

 だが、MSにあってMAにないのは積載スペースだ。

 ビグ・ザムのIフィールドであったり、強力なメガ粒子砲であったり、ミノフスキークラフトであったり。

 それらを搭載出来ると考えると、やっぱりセイラが乗るのはMAの方がいい。

 そう言う俺に、ギニアスはなるほどと納得した様子で頷くのだった。

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