転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3691話

 ギニアスとの会談は特に何の問題もなく終わる。

 その後はギニアスが用意してくれたホテルに向かい、宿泊する。

 そして特に何かすることもないので、部屋の中でゆっくりとしていたのだが……

 轟、と。

 爆発音と、その衝撃がホテルを揺らす。

 一体何があった?

 そう思って窓に近付き、外の様子を確認する。

 するとそこには爆発の光が見える。

 

「おいおい、マジか」

 

 俺が思い出したのは、ギニアスと話していた内容。

 最近勢力を増してる連邦軍の強硬派についてだ。

 そんな俺の予想が正しいのかどうかは分からないが、ともあれ何者かがハワイに攻撃をしてきたのは事実。

 そうなると、俺の立場としてもこのままここでじっとしている訳にはいかないか。

 ……いや、普通に考えれば1国を率いる、それもハワイを領土としているルナ・ジオンを従えているシャドウミラーの代表の俺が、この状況で前線に出るというのがそもそも有り得ない。

 有り得ないが、俺は普通ではない。

 

「まずは基地か。ギニアスの基地に行くか、それとも他の基地に行くか。……やっぱりギニアスの基地だな」

 

 サハリン家が治めているハワイは、正確にはハワイ島を中心に複数の島々から構成されている。

 そうである以上、当然ながらハワイにある基地だけでどうにか出来る訳がない。

 複数の島があり、その島々は海によって隔てられている。

 だからこそ、全ての島に基地を用意する……といった事は出来ないまでも、複数の基地がある。

 もっとも基地のない場所にもメギロートやバッタが用意されているので、全くの無防備という訳でもないのだが。

 そんな訳で、俺が行くべき基地は幾つもあるが……問題なのは、俺が行ってもすぐに俺がアクセル・アルマーだと認識されるかどうか微妙なところだろう。

 その基地に個人的に俺を知っている面々でもいればいいのだが、もしそのような者がいない場合、俺を混乱に乗じてMSか何かを盗もうとしたり、あるいは基地を爆破する為にやって来た相手……という風に認識されてもおかしくはなかった

 だからこそ、俺としてはここで向かうべきなのは今日俺が行った基地……ギニアス達が住んでいる基地となる。

 そんな訳で、俺は影のゲートを使って素早くホテルを出るのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル代表!? 一体何故ここに!?」

 

 パイロットスーツを来たガトーが、俺を見て驚きの声を上げる。

 ガトーにしてみれば、俺がここに来るのは完全に予想外だったのだろう。

 

「ホテルからも爆発が見えたからな。それで俺が乗れるMSは何がある?」

「ですが、アクセル代表がわざわざ出撃するのは……」

「爆発があった海域は、かなりハワイに近かった。それを考えると、戦力は少しでも多い方がいい。これでも月の大魔王の異名持ちだ。戦力になるぞ?」

「いえ、そちらについては心配してませんが……現在の状況で使えるのは、ドム・トローペンとドワッジがあります」

「ああ、そう言えばホバー関係でどちらかを採用するって話だったな。その関係か?」

「はい。どちらもドム系の中でも高性能機ですので、試験をして使いやすい方をハワイでの主力MSとして使う予定でした。他にもギャン・クリーガーの予備機がありますが……」

「いや、ドワッジでいい」

 

 ギャン・クリーガーはルナ・ジオン軍の中でもエース用のMSだ。

 そういう意味ではちょっと乗ってみたいとは思うものの、この場合問題なのはギャン・クリーガーはホバー移動とかではなく、普通に歩いて移動する必要があるという事だろう。

 つまり、海上を移動出来ない。

 一応SFSとしてドダイがあるので、それに乗れば空中でもある程度戦えると思うが、ギャン・クリーガーは射撃武器もあるが、基本的には近接攻撃を重視した機体だ。

 戦闘が海中という事になると、ドム系の方がいい。

 それでドワッジを選んだのは、正直なところ何となくとしか言いようがないが。

 ドワッジもドム・トローペンも、双方共にドムの最終形とでも呼ぶべきMSだ。

 あくまでも今の時点での話だが。

 

「分かりました。……おい、アクセル代表をドワッジの場所に案内を頼む」

「え? アクセル代表? ……え?」

 

 偶然近くを通ったメカニックに、ガトーが声を掛ける。

 するとそのメカニックは俺を見て混乱した声を上げた。

 シャドウミラーを率いる俺がここにいるとは、まさか思っていなかったのだろう。

 ガトーですらあんなに驚いたのだから、それも当然かもしれないが。

 ガトーもメカニックが混乱する理由は理解しているのか、特に怒鳴るのではなく言葉を続ける。

 

「間違いなくアクセル代表だ」

「わ、分かりました。ドワッジですね?」

「頼む。ギニアス殿には私が連絡をしておく」

 

 俺が来たのを知った以上、ギニアスに連絡をしない訳にはいかないか。

 その件についてはガトーに任せておくとして、俺はメカニックに案内されて格納庫を進む。

 

「それで連邦軍の戦力は?」

「え? 連邦軍、ですか?」

 

 ドワッジのある場所まで移動中にメカニックに敵の戦力を尋ねたのだが、向こうは足を止めることなく戸惑ったような表情でそう返してくる。

 うん?

 

「攻めてきたのは連邦軍じゃないのか?」

「はい、ジオン軍残党です」

「……そうなのか」

 

 まさかの展開だな。

 いや、ジオン軍残党がハワイを面白くない……いや、これだとちょっと甘いな。憎んですらいるのは知っていたが、それでも戦力差を考えるとジオン軍残党が攻めてくるとは思わなかった。

 とはいえ、それでも攻めてきた以上は対処をする必要があるのは間違いない。

 地上に残っているジオン軍残党は、ギレン派かキシリア派、あるいはどの派閥にも入っていないような連中だ。

 そのような者達にとって、繁栄しており悠々自適――実際には色々と大変なのだが――なハワイは許せないといったところか。

 

「はい。ゴッグやズゴックといった水中用MSが確認されてます」

 

 メカニックの言葉に、そう言えばホテルで見た爆発は海で起きたものだったなと思い出す。

 そして水中での戦いとなると、ジオン軍の方が優れているのは間違いない。

 1年戦争中、水中用MSとかもかなり熱心に開発されていたし。

 勿論、そんなジオン軍に対抗するように連邦軍も水中用MSを開発したのだが……元々連邦軍はMSの開発が遅れていたので、水中用MSはそこまで多くはない。

 アクア・ジム。これは簡単に言えばジムの水中型だな。

 これについては元々連邦軍は基本的にジムを開発し、そのジムのバリエーションという形で開発期間を短縮したからこういう感じになった。

 ゴッグを始めとして、水中用MSとして別個に開発したジオン軍とは違う。

 いや、一応ジオン軍でもザク・マリンタイプのようにザクを水中型にした機体はあったんだが、性能的に満足出来ずに専門の水中用MSが開発された経緯がある。

 アクア・ジムも性能的にはそこまで高くないのだが、連邦軍の場合は物量で攻めるのが基本だから、その性能でも問題ないと判断したのだろう。

 そして水中型ガンダム。

 ガンダムと名付けられてはいるが、別にこの機体はガンダムとして開発された訳ではない。

 アクア・ジムを改修し、頭部をジムタイプからガンダムタイプに変えただけのものだ。

 とはいえ、頭部がガンダムタイプになった事によって性能が上がったのも間違いない。

 基本的にはアクア・ジムの上位互換といった認識でいいだろう。

 また、MSではないがフィッシュ・アイというMA……いや、MAじゃないな。戦闘ポッドとでも呼ぶべきか? 簡単に言えば水中用のボールも存在する。

 とはいえ、ボールはボールだ。

 どういう兵器も使いようではあるものの、それでも性能的には決して高くはない。

 総じて、純粋な水中用MSの性能という点ではジオン軍が勝っていた。

 とはいえ……

 

「それが見せかけではない可能性は?」

 

 俺が心配するのは、今回の襲撃がジオン軍残党に見せ掛けた連邦軍の強硬派によるものではないかというものだった。

 これが1年戦争中の出来事なら、ジオン軍残党――当時は残党ではなかったが――の仕業と認識するだろう。

 だが、1年戦争が連邦軍の勝利で終わった現在、連邦軍はジオン軍の技術者をかき集めている。

 実際には有能な技術者の多くはシャドウミラーが引き抜いたり、中にはアクシズに向かったりした者もいるし、それで残った中でもアナハイムが雇ったりしたので、実際に連邦軍が手に入れた技術者は能力の低い者が多いのだが。

 もっともガンダムを始めとした連邦軍のMSについて考えると、そちらにも有能な技術者は多数いる。

 アムロの父親は……うん。残念だとは思うが。

 とにかく技術者に関してはそんな感じだが、残っていたMSとなれば話は別だ。

 連邦軍がジオン軍のMSを接収するのは当然だし、そのMSを解析したりするのも当然だが、接収した数が多ければ普通に戦力として運用するだろう。

 ましてや、ジオン軍にしてみれば最終的には地球を追い出されたのだ。

 ザクのように宇宙でも使えるMSならともかく、水中用MSのように宇宙では使い道の存在しないMSをわざわざ宇宙に持っていく余裕はない。

 水中用MSを持っていくのなら、可能な限り軍人を多く運んだだろう。

 地球に残ったジオン軍残党は水中用MSを確保していったかもしれないが、それでも全てを持ち去る事は不可能だろう。

 本来なら残していくしかない水中用MSなら、破壊するなり、あるいは動けないようにする必要があるものの、敗戦したジオン軍にそんな余裕があるとは思えない。

 だとすれば、ある程度はきちんと処理したかもしれないが、無事な水中用MSを連邦軍が確保し、そして人数が増えて影響力も高くなっている強硬派がそんなジオン軍の水中用MSを確保してもおかしくはない。

 そして自分達の正体を隠し、あるいはジオン軍残党とルナ・ジオンをぶつける為にハワイを襲ってきても。

 

「分かりません。ただ、ジオン系の水中用MSを使ってるのは間違いないようです」

 

 そう言われると、俺も確認する方法がない以上はどうしようもないのは事実。

 無理に話を聞こうとまでは思わないが。

 

「こちらです。もうすぐに動かせるので、いつでも出撃可能です」

 

 メカニックが足を止め、ドワッジの前でそう口にする。

 ドワッジの姿がそこにはあった。

 

「分かった。こっちは任せていいから、そっちも仕事に戻って構わない。結構忙しいんだろう?」

「ありがとうございます」

 

 頭を下げ、去っていくメカニック。

 その後ろ姿を見送ると、俺は空中に浮かんでドワッジのコックピットに向かう。

 ちなみに少し離れた場所にはドム・トローペンの姿もある。

 あっちも……多分、誰か乗るんだろうが。

 そんな風に考えつつ、コックピットでドワッジの状態を確認していく。

 ドワッジはドム・トローペンと同じくドム系のMSだが、特徴として一番大きいのはドム系……というかジオン系MSとしては珍しく、頭部バルカンを持っている事だろう。

 俺が以前乗っていたFS型のザクも頭部バルカンを持っていたが、このドムも頭部バルカンを装備している。

 それもガンダムとかと同じく60mmのバルカンを4門も。

 威力的にはそこまで強力ではないのだが、頭部バルカンは非常に便利な武装なのは間違いない。

 撃たれたミサイルを迎撃したり、あるいはMSではなく戦闘車両とかを破壊するには十分な威力を持つ。

 また、MSであっても関節部分に攻撃すれば大きなダメージを与えられる。

 他にもドムの最終生産型というだけあって、通常のドムよりも熱核ジェット推進装置が強化されていたり、燃料タンクの増設によって稼働時間も延びている。

 武器は……バルカン以外は普通のドムと同じく、ジャイアントバズとヒートサーベルだけか。

 いや、ザク改が使うマシンガンも用意されてるな。これは腰のラックにラックが追加されているので、そこに装備しておこう。

 何かの資料ではヒートトマホークも使えるとあったんだが、このドワッジにはないな。

 まぁ、武装はシンプルな方が使いやすい。

 機体の状態は先程のメカニックが言っていたように万全の状態だ。

 よし、出るか。

 

「アクセル・アルマー、ドワッジ、出るぞ!」

 

 通信でそう告げ、ドワッジの武器となるジャイアントバズとヒートサーベルを装備して格納庫から出る。

 

『ア……アクセル代表!? 本物ですか? え? 何でアクセル代表が出撃を……』

 

 基地のオペレータの混乱した声が聞こえてくるものの、それについてはスルーしておく。

 後でガトーから報告が入るだろうし。

 そうなれば、そういうものだと理解するだろう。……理解するしかないというのが正しいが。

 何しろ俺は1年戦争においても普通に戦場に出ていた。

 そういう意味では、俺がこうして戦場に出てもおかしくはないだろう。

 実際にオペレータをやっている軍人にしてみれば、ストレスで胃薬が必要になるかもしれないが。

 とはいえ、俺が参加することで戦力的な意味では間違いなく上がるんだろうし、その辺については我慢して貰うしかない。

 そんな風に考えつつ、俺はドワッジの操縦性を確認しつつホバー移動で海上に向かうのだった。

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