転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3692話

 ドワッジに乗って基地を出撃する。

 ドワッジが持っているのは、右手にジャイアントバズ、左手にザクマシンガン。

 最初はザクマシンガンは腰のラックに掛けておいたのだが。よく考えたら出撃するのは海上なので、ヒートサーベルの出番はあまりないんだよな。

 敵はジオン軍の水陸両用MSなので、海上にいるドワッジを攻撃するのに魚雷やミサイルを使う可能性もあるが、近接攻撃を挑んでくる可能性もある。

 何しろジオン軍の水陸両用MSが持つアイアンネイル、あるいはそれに準じた武装はかなり強力だ。

 ルナ・チタニウムの装甲すら貫けるだけの威力を持っているのだから。

 そしてドワッジの装甲はジオン軍の殆どのMSと同じく超硬スチール合金だ。

 アイアンネイルを使えば、それこそ容易に貫けるだろう。

 ……あくまでも当たればの話だが。

 海中を移動する敵MSに比べ、ドワッジはホバー移動で海上を移動出来る。

 どちらの速度が速いのかは、考えるまでもなく明らかだろう。

 そんな訳で、俺がやるべきなのは敵の攻撃を回避しながら撃破する……ではなく、撃破しない程度にダメージを与えて捕らえる事か。

 この襲撃を行った者の正体を知る必要があるのだから。

 普通に考えれば、ジオン軍残党だろう。

 ジオン軍で開発された水陸両用MSを使ってるのを見れば、それが一番可能性が高い。

 だが……ジオン軍残党は、ハワイにどれだけの戦力が集まってるのか知っている筈だ。

 ただでさえ残党で補給に問題があるのに、わざわざそんなハワイに攻めてくるとは到底思えない。

 そうなると、やっぱり連邦軍の強硬派か。

 強硬派だけに、1年戦争が終わって水陸両用MSを確保するのも難しくはなかっただろうし。

 もしくは、ジオン軍残党でも連邦軍の強硬派でもない第3勢力……具体的には海賊とかか?

 水陸両用MSを所持していれば、海賊として活動するのは難しくない。

 いや、難しくないどころか圧倒的なまでに有利だろう。

 そして戦後という事で、1年戦争中に難民になった結果海賊となった者、連邦軍やジオン軍を脱走した兵士が海賊になった者、戦後の混乱に紛れて海賊となっても問題ないと判断した者。

 その辺の諸々の理由を考えると、その可能性は十分にある。

 そんな相手の情報を入手する為にも、捕虜にするのは必須な訳だ。

 

「あそこか」

 

 基地を出撃して暫く。

 海中での戦いが行われているのか、爆発によって海水が巻き上げられている光景がドワッジの映像モニタに映る。

 戦場になっている場所は、基地のある島からそれなりに離れている。

 だが、ドワッジはドムよりも推進剤を大量に搭載が可能で活動可能時間も延びているのが特徴だ。

 それでも遠くに移動する時は基地に戻る分の推進剤も必要なんだが……俺の場合、推進剤切れになっても最悪空間倉庫に収納すれば問題はなかったりするし。あるいは影のゲートを使って基地まで転移するという手段もある。

 勿論、普通に基地に戻れればそれが最善なのは間違いないのだが。

 そんな風に思いつつ、海上をホバー移動で進んでいると……

 

 

「っと」

 

 レーダーがこちらに近付いてくる魚雷を察知し、機体を移動させる。

 ホバー移動というのは、実際に空を飛んでいる訳ではなく、あくまでも地上――この場合は海上――の少し上に浮かんでいるだけだ。

 その為、空を飛んでいる時のように大きく上に移動して敵の攻撃を回避する……といったような事は出来ない。

 そういう点では地上を移動してるのと空を飛んでいるのの中間みたいな感じな訳だ。

 慣れればそこまで気にするような事はないが、それでも普通のMSで地上を移動していたり、SFSとかを使って空を飛んでいるのに慣れていると、思わぬところでポカをしてもおかしくはなかった。

 数秒前までドワッジのいた場所を、海中から飛んできた魚雷が通りすぎ、空中で爆発の花を咲かせる。

 ん? 魚雷と表現したが、今のは魚雷というよりも対空ミサイルとかだったりするのか?

 まぁ、どっちでも大して変わらないか。

 とはいえ、問題なのは敵が海という天然の防壁を上手く使っている事だろう。

 ジャイアントバズを使えば海にいる敵でも狙えるが、それでも海中にいる敵を狙うとなると、少し……いや、かなり面倒だ。

 ドワッジのジャイアントバズも、海中で使えるというのは間違いないが、それはあくまでも海中で使えるというだけで、海中で使うのに最適化している訳ではない。

 そうである以上、出来れば出来るだけ敵の近くでジャイアントバズを撃ちたいというのが正直なところだった。

 もっとも、向こうにしてみればこっちがそういうのを狙っているのは知っているだろうから、わざわざ自分達の有利さを捨ててこっちに弱点を見せてくれる筈もないか。

 

『こちらルナ・ジオン軍のニッキ・ロベルト少尉、接近中のMS、聞こえるか?』

 

 不意に聞こえてきた通信に、少し驚く。

 別に通信自体に驚いた訳ではない。

 その通信を送ってきた相手が驚きだった。

 ニッキというのは、闇夜のフェンリル隊に所属するMSパイロットで、1年戦争時代にジオン軍で行動していた時、少し面識がある人物だった。

 その闇夜のフェンリル隊もルナ・ジオンにいるのは分かっていたが、ハワイにいるとは思わなかったのだ。

 

「ニッキか。久しぶりだな。俺はアクセルだ」

『……え?』

 

 返事をしつつ、映像モニタを起動する。

 そこに映し出された俺の顔を見てか、ニッキが驚きの声を上げる。

 いやまぁ、当然か。

 あの時はともかく、今はニッキも俺が誰なのか知っている。

 自分が所属している国の上位組織を率いる人物がいきなり映像モニタに表示されたのだから、それに驚くなという方が無理だろう。

 

「驚くのもいいが、戦闘中だろう? というか、上から連絡が来てないのか?」

 

 俺がドワッジに乗って出撃するのは、ガトーが知ってる筈だ。

 ガトーの性格を考えれば、すぐに上に連絡した筈だ。

 そうである以上、その上から現在出撃している者達に緊急で連絡が来てもおかしくはないと思うんだが。

 特にニッキは、俺が向かうと言っていた場所で戦っているMSパイロットなのだから。

 

『アクセル代表!? 何故アクセル代表がこんな場所に!?』

「ちょっと連邦との取引があってな。それで今日はハワイに泊まっていたんだよ。その途中でこうして襲撃があったから、俺も援軍として参戦した訳だ」

『いや、あの、その……』

 

 俺の言葉に何も反応出来なくなる……というか、完全に困惑しているニッキ。

 普通に考えれば、国のトップが戦場に出てくるというのは明らかにおかしいのだから当然だろうが。

 あるいは国のトップが戦場に来る事はあっても、それは兵士達の士気を上げる為に演説をするとか、そういう感じだろう。

 ……実際、セイラが前線で慰問をした場合、その美貌もあって兵士の士気が上がるのは間違いないだろうし。

 だがそんなセイラとは違い、俺がいるのは前線も前線、最前線だ。

 ニッキが動揺してもおかしくはない。

 

「とにかく、安心しろ。俺はこう見えても異名持ちだぞ? この程度の戦いでどうにかなるような事はないからな……っと!」

 

 再び海中から飛び出してきた魚雷を回避し、そちらの方向にジャイアントバズを向けるが……結局トリガーは引かない。

 かなり深い場所から攻撃したらしく、ジャイアントバズの攻撃は間違いなく届かない場所に敵はいたのだ。

 これがビーム兵器……UC世界ではメガ粒子砲か。その手のエネルギー系の兵器なら残弾の心配はしなくてもいいのだが、ジャイアントバズは弾倉があるものの、決して残弾は多くはない。

 そうである以上、無駄になる……精々が敵の牽制程度しか出来ない使い方よりは、敵を確実に撃破するのに砲弾を使った方がいい。

 

『それは、分かりますけど……』

 

 当然だが、ニッキの俺に対する言葉遣いは以前……俺がジオン軍として行動していた時のように、気軽なものではない。

 あの時と今とでは、俺の立場が大きく変わったのだから。

 正確にはあの時もシャドウミラーを率いていたのは変わらないが、あの時のニッキはそれを知らなかったのだ。

 

「とにかく、まずは敵を倒す……よりも前に、ニッキの意見を聞きたい。敵はジオン軍の水陸両用MSを使ってきたという話だったが、ジオン軍残党だと思うか? それとも、連邦軍の強硬派が接収した水陸両用MSを使って攻撃してきたと思うか?」

 

 そうニッキに聞きながらも、俺としては出来れば連邦軍の強硬派であって欲しいと思う。

 明日にはジーラインの受け取りがある。

 今回のジーラインの譲渡は、色々と表向きの理由はあれども、その本質は強硬派が俺に絡んできた事に対する謝罪だ。

 その謝罪を受ける前に、また強硬派がハワイに対してちょっかいを出したとなれば……うん。明日受け取るMSの種類や数が増える事になるだろう。

 そう思ったのだが……

 

『いえ、多分ですけど、ジオン軍残党かと』

「……何でそう思った?」

『MSの扱いが慣れているように思えました。勿論、連邦軍にもMSの扱いに慣れているパイロットはいるでしょうが、連邦系とジオン系では細かなところに違いがあります』

 

 その説明は俺を納得させるにも十分だった。

 何しろ俺は1年戦争の時、ジオンと連邦、両方のMSに乗っているのだから。

 その際の操縦性の違いというのは……今はともかく、1年戦争時代は俺以上に分かっている者はいなかったのではないかと思える。

 もっとも、今となっては連邦軍がジオン軍のMSを接収して性能実験とかを行っているので、本当に今更の話なのだが。

 ただ、ニッキの言葉からすると……

 

「襲ってきた連中はジオン軍のMS、それも水陸両用MSの操縦に慣れていると?」

『はい。戦ってみてそう感じたのは間違いありません』

 

 ニッキがそこまで言い切るとなると、その言葉はやはり間違っていないのだろう。

 そう納得は出来るが……

 

「ジオン軍残党がハワイを攻めてどうする?」

 

 結局のところ、純粋にそんな疑問がある。

 あるいはハワイがルナ・ジオンの領土で、そのハワイにはルナ・ジオンのMS……いや、旧ジオン軍のMSを使っているのを知っているからこそ、部品とかそういうのを欲して襲ってきたとい可能性もあるのか?

 ニッキが何のMSに乗ってるのかは分からないが、恐らくズゴックがハイゴッグ辺りだろうし。

 また、ズゴックであっても通常型、S型、E型となる。

 通常型はズゴックが開発された当初に生産されていた機体。

 S型は通常型をベースに改修された機体。

 E型は統合整備計画によって改修されたズゴックで、この3つの中では最も性能が高い。

 また、他の機体とのパーツの共用性を考えて、ハワイで使われているズゴックはE型が基本だった筈だ。

 また、ハイゴッグはゴッグを統合整備計画によって改修した機体で、ズゴックに対するズゴックE型よりも、ゴッグに対してのハイゴッグの方が圧倒的に外見に差があった。

 何しろゴッグは相応に高性能ではあるが、ずんぐりむっくりとした機体で、重装甲だが機動性や運動性の面で問題がある。

 それに対して、ハイゴッグは装甲という面ではゴッグよりも劣るが、それ以外の能力は全てが上回っている。

 また、同じ統合整備計画の機体という事で、ズゴックEとハイゴッグの間ではパーツを共用出来るというのも大きい。

 まぁ、ハワイ……というか、ルナ・ジオンの工場の規模を考えれば、別に共用出来なくてもそこまで問題はないんだが。

 それでも共用出来ないよりは出来た方が効率がいいのは間違いないし、何よりもやっぱり性能が高いというのが大きく影響していた。

 そんな水陸両用MSを大量に使っている以上、ジオン軍残党にしてみれば自分達の使っているMSの予備部品……そして何より、もしかしたらMSを鹵獲出来るかもしれないと考えてもおかしくはなかった。

 あるいはジオン軍のMS以外……W世界やSEED世界の水陸両用MS、あるいは水中用MSを使っているのを知って、未知のMSを欲してるという可能性もある。

 

『恐らく物資の強奪が目的ではないかと』

「ジオン軍残党となると、ギレン派かキシリア派か、あるいはデギン派か……もしくはどの派閥でもない連中になるだろうな」

 

 ドズル派はガルマがドズルの後継者となった事で、大人しくジオン共和国に戻っている。

 ドズルの部下は軍人気質の者が多く、またドズルがガルマを可愛がっているのを知っている者も多かったので、その辺は特に問題なかったらしい。

 ……これがギレンやキシリア派となると、ガルマを認めていても、それ以上にギレンやキシリアに忠誠を誓っている関係もあって、大人しくジオン共和国に戻るという事はない。

 デギン派は……うーん、これはどうなんだろうな。

 1年戦争の時はもう殆どギレンに実権を譲っていて表に出てこなかった。

 半ば隠居状態だったし。

 それでも公王という立場である以上、それなりに慕ってる奴がいてもおかしくはないが……それでもやはり派閥として見ると数が少ない。

 後はダイクン派がいるが、こっちはジオン・ズム・ダイクンの後継者としてセイラがルナ・ジオンを建国した時にその多くがこっちに来たから、その辺は心配しなくてもいい。

 それらの派閥のどれにも入ってないのは……まぁ、そういう連中もいると思っておけばいいだろう。

 つまり、ハワイを襲ってきた敵は倒すべき敵という事だ。

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