転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3694話

 結局襲撃してきた敵は、大半が捕らえられた。

 撃破された機体もそれなりにいたし、中には逃げ出す事に成功した連中もいた。

 とはいえ、俺は最初のズゴックを捕らえる手伝いしかしてないが。

 何しろ俺がズゴックの四肢を撃破してからそう時間が経たないうちに、ハワイのMS隊が到着したし。

 ガトーと会った基地にはドワッジとドム・トローペンが1機ずつあったが、実際にはテスト運用してそれなりの数が揃っていたらしい。

 しかもそれを率いるのは荒野の迅雷ヴィッシュなのだから、襲撃してきた敵にしてみれば最悪の相手だろう。

 あるいは単純に、ヴィッシュが出て来るまでに目的を果たして撤退するつもりだったところに、俺が乱入したのかもしれないが。

 また、出て来たのはヴィッシュだけではない。

 ド・ダイに乗ったグフ・カスタムが2機。ガトーとノリスの2人がそれぞれに部下を従えて出て来たし、アプサラスⅢに乗ったアイナまで出て来た。

 ……うん。まさに戦力過剰だよな。

 俺も素直にそう思う。

 とはいえ、ハワイを攻めてきた以上はそれだけの戦力が出てくるのは向こうも予想していた筈だが。

 寧ろせめてもの救いは、闇夜のフェンリル隊から出て来たのがニッキだけだった事か。

 あるいは俺が知らないだけで闇夜のフェンリル隊も出撃していたのかもしれないが。

 ともあれ、それだけの戦力が来た以上は奇襲を仕掛けたからといって、どうにかなる筈もなく……

 

「感謝すればいいのでしょうが、国の代表が真っ先に最前線に出るというのは、あまり感心出来ませんな」

 

 ギニアスが呆れと心配、そして何故か興奮? そんな感情が交ざった感じで言ってくる。

 呆れと心配は分かるが、興奮ってのは一体どこから来たんだ?

 もしかして、ギニアスにも自分が前に出て戦いたいという思いがあるのかもしれないな。

 隣の芝生は青いと言われるように、ギニアスもそういう風にやってみたいとか。

 特にギニアスの場合は、宇宙線の影響で身体が弱いまま育ってきた。

 生まれた時から身体が弱かったのならともかく、ギニアスは小さい頃は健康で元気だったのだ。

 それがアイナを庇って宇宙線によって身体が弱くなったのだから、小さい頃に元気だった事を覚えている分だけ、そういうのに憧れるのかもしれないな。

 うーん……今のギニアスは健康なんだし、身体を鍛えようと思えば普通に鍛えられる。

 そして魔法や気を習得しようと思えば出来る訳で……うん。ギニアスが本気なら、エヴァの訓練とは言わないがそれなりに訓練はつけてやってもいい。

 あるいはいっそペルソナ世界に連れて行ってTVの中の世界で戦わせてみるのもありか? 素の状態のままでTVの中の世界に入れば、恐らくシャドウが出て来てペルソナ使いとして覚醒するし。

 恐らくだが、現状において特殊な能力を得る方法で一番手っ取り早いのはペルソナ使いとして覚醒する事なんだよな。

 

「そう言われてもな。俺の場合はもし撃墜されても特に問題はないし。……それはいいとして、捕虜から何か情報は聞き出せたか?」

 

 取りあえず今はそっちの方が重要なので、聞いておく。

 もし鍛えるという話をギニアスにして、それをギニアスがやりたいと言っても、そう簡単に時間を作る訳にはいかない。

 ギニアスは曲がりなりにもこのハワイを治めている人物……領主と言えばいいのか?

 ともあれそんな感じな立場だけに、数日の休暇を取るのも大変だろう。

 ましてや、ペルソナ世界で自分のシャドウに遭遇するとなると、数日程度でどうにか出来るかどうかは分からない。

 里中の場合は入ったその日に……いや、違うな。鳴上が最初にTVの中の世界に入った時、花村と一緒に入ったんだったか。

 堂島も何度かTVの中の世界に入ってそれでようやく自分のシャドウと遭遇したし。

 それに、TVの中の世界でペルソナ使いとして覚醒した場合、現実世界ではペルソナを召喚出来ない。

 うん、やっぱりこれについては止めておくとしよう。

 

「そうですね。まだ詳しい事は聞いてませんが……ただ、少し話を聞いた限りでは、ジオン軍残党で背後に誰かいるといった様子はないようです」

「そうか」

 

 連邦軍の強硬派がいるかとばかり思っていたし、そっちの方が俺にとっては好都合だったのは間違いないんだが……いないのなら仕方がないか。

 ジオン軍残党というのが本当なら、連邦軍の強硬派に忠誠を誓って、それで命令された事を秘密にしている……という訳でもないだろうし。

 

「アクセル代表としては、連邦軍の強硬派がいた方がよかったのですか?」

「そうだな。ゴップとの取引を考えると、その方が好都合だったのは間違いない」

「……なら、そういう事にしても構いませんが?」

 

 そう言い、ギニアスは意味ありげに俺を見てくる。

 そういう事にするというのは、ようは捕虜にした連中がそう自白したという事にしてはどうかと提案してるのだろう。

 実際、捕らえた捕虜を尋問してるのはハワイの者達……ルナ・ジオンに所属する者達である以上、ギニアスが言ってるような事をやろうと思えば出来ない訳でもない。

 出来ない訳でもないが……俺はギニアスの提案に首を横に振る。

 

「いや、それは止めておこう。もしその件について話が広まったら、かなり厄介だ」

 

 自白を強要したというのが広まると、連邦軍との関係……強硬派ではなく、ゴップのようにこっちと繋がりの深い者達との関係にも問題が出る可能性がある。

 俺の考えでルナ・ジオンと連邦の関係を悪化させたりするのは色々と不味い。

 連邦軍もシャドウミラーが後ろにいるルナ・ジオンとそう簡単に敵対するとは思えないが、それでも俺の行動が理由でそうなるかもしれないというのは、出来るだけ避けたかった。

 

「そうですか。アクセル代表がそう言うのであれば、私はそれで構いません」

「悪いな。そうなると襲撃してきて捕らえられた連中はどうするんだ?」

「月で強制労働でしょうね」

「ああ、農業か。人手は幾らあっても困る事はないらしいしな」

 

 月で行われてる、無農薬の農業で出来た野菜の評判はいい。

 このUC世界において、野菜というのはそんなに珍しくはない。

 コロニーの中にはそういう農産物の栽培を専門にしている農業コロニーとか珍しくはないし。

 だが、そういう場所で作られる野菜というのは、味よりも効率が最優先にされる。

 農薬とかも普通に……いや、効率の為に普通以上に使われているのだ。

 とはいえ、それでも人体に悪影響はない範囲に留めているとは思うが。

 だが、そんな効率重視で作られた野菜はどうしても味も劣る。

 それに比べると、犯罪者となって月で強制労働をさせられている者達が作った野菜は、無農薬で効率性ではなく味を重視している野菜という事で、囚人達に掛かる費用を考えても圧倒的に黒字らしい。

 ……うん。囚人達の管理の中で一番金が掛かるのは食費なんだが、その食費は3食全てがマブラヴ世界から購入している合成食という事で、普通の食費よりも大分抑えられているし。

 そして犯罪者達が暴動を起こしたり、農園から逃げ出したりしないように量産型Wやコバッタが見張っているが、そちらも人件費とかは必要ない。

 建物は最初に建てた時はそれなりにコストが掛かったが、一度建てればそれ以後は普通に使えるので、農産物の売却による利益でとっくにプラスになっている。

 そんな諸々の状況だけに、農作業をする者は幾らでも欲しいのだ。

 ましてや、軍人……つまり身体を鍛えている者達であれば、何も身体を鍛えていない者よりも効率的に農業が出来るだろうし。

 

「では、そういう事で。……個人的には、月にあるような農場をハワイでも作りたいのですが、どうしても土地の問題がありまして」

「だろうな」

 

 ハワイと一口に言っても、実際には小さな島の集まりだ。

 勿論、それは地球規模で見た場合に小さな島だというだけで、実際にはそれなりに広い。

 具体的には、ハワイ諸島全ての面積を合わせると大雑把な計算だが、大体クレイドルの3割くらいか。

 ただ、クレイドルの場合は山や森、林もあるが、その多くは平地だ。

 それに対して、ハワイ諸島を構成する島々は山とかが多い。

 そうなると、どうしても農業には向かないのだ。

 一応段々畑とかの方法もあるので、絶対に向かない訳ではないんだろうが、手間を考えるとわざわざやるまでもないとなるのだろう。

 

「いっそ農業じゃなくて牧畜とかそっち方面ならどうだ? 鹿とかなら、それこそ山で放し飼いにすればすぐに増えるだろうし。もっとも、そうなると山の植物が軒並み食べられて禿げ山になるから、山菜とかそういうのを採るのは難しくなるだろうが」

「それは困りますね。肉は連邦との取引であったり、それこそルナ・ジオンから運べばどうとでもなります。ですが、ハワイ特有の植物が駄目になるのは惜しいかと」

「だろうな。まぁ、その辺はハワイを治めるお前が考えればいい。段々畑とかを作って小さな農作業から始めるとか、そういう風にしてもいいだろうし。ただ、犯罪者じゃなくて普通に人を雇って農作業をさせるとなると、月のように大きな利益にはならないと思うぞ」

「それは惜しいですが、ハワイを任された以上、少しでもハワイを発展させる必要がありますから。特産品が増えるのは悪くない事です」

「ギニアスがそのつもりなら、俺からはもうこれ以上何も言わない。……そう言えば今回の戦いでヴィッシュ達がドム・トローペンやドワッジを使ってたけど、それなりに動けていたな」

 

 ハワイの農産物についてはギニアスにも色々と考えがあるらしいので、これ以上は突っ込まない。

 そもそも俺だって別にそこまで農業に詳しい訳ではないので、詳細な話をされても困るというのがあるが。

 ああ、ただ農産物とかの天敵として、鳥や野生動物がいるが、それに対してはコバッタ辺りを使えばどうとでも対処は出来るな。

 これについては後で話しておこう。

 

「ええ。試験的に使って貰っていたのですが……やはり、ホバー移動は便利な反面、水中の敵に有効な打撃を与えられないのが問題ですね」

「それは俺もそう思った」

 

 水陸両用MSは、海という絶対的な地形を最大限に有効活用出来る。

 ……俺に攻撃をしてきたズゴックのように、海から飛び出して空中から攻撃をするといったような事をしてくれるのなら、こちらからもある程度の対処は出来る。

 だが、慎重に海中にいられると……浅い場所にいるのならともかく、深い場所にいた場合はこちらから対処するのは難しい。

 ジャイアントバズなら一応届くかもしれないが、水の抵抗によって砲弾の軌道が変わったりするし。

 ザクマシンガンではそもそも海中の余程浅瀬にいなければどうしようもない。

 その辺の状況を考えると、ドム系のMSで海中の敵に対処するのは難しい。

 

「とはいえ、ハワイでドム系のMSを採用したのは、別に海中の敵に対処する為じゃないんだろう? 今回は偶然敵が水陸両用MSだったからそういう感じになっただけで」

 

 本来の目的は、それこそミデアでMSを輸送しているのをハワイから離れた場所で撃破したり、海上を移動する軍艦や空母を撃退する為にホバー移動が使えるドム系のMSを用意した筈だ。

 SFSもその手の対処は可能……特にミデアのような輸送機が高度を上げて飛んでいる場合は、SFSに乗っている方が有利ではあるものの、それでもコスト的な問題を考えるとMS1機とSFSよりも、ドム系を1機揃えた方が安くてもおかしくはない。

 

「そうですね。とにかく敵をハワイに近付かせないのを最優先にしてますし。それに水陸両用MSとかに対しては、こちらもそれを出せばいいだけですし」

「ハワイの水陸両用MS、それに水中用MSはかなりの戦力があるしな。……ああ、グラブロもあったか」

 

 現状において唯一の水中用MA、グラブロ。

 ビグロをベースに開発されたそのMAは、水中という場所においては非常に大きな力を発揮する。

 もっとも、その大きさから浅瀬では的になったりするのだが。

 ただ、一定の深さではその巨大なアームによって潜水艦に対しては圧倒的な攻撃力を持つ。

 水中用MSとの戦いにおいても、相応の威力を発揮してくれるだろう。

 

「グラブロ、ハワイの周辺で役に立つのか?」

「それなりに、ですね。特に潜水艦を相手にする時は大きな戦力となります。今回の戦いでもユーコン級を拿捕しましたし」

 

 どうやら俺が思っていたよりはグラブロは活躍出来ているらしい。

 そのことに驚く。

 実際に1年戦争で活躍していたのを思えば、そこまで不思議ではないのか。

 とはいえ、ビグロがビグロマイヤーやヴァル・ヴァロになったように、グラブロも出来れば強化した方がいいと思うんだが。

 

「アプサラスみたいに、グラブロは強化しないのか?」

「今のところ考えてはいませんね。そもそも水中用MAがこのまま発展していくかどうかも分かりませんし。何より、私はアプサラスの方で一杯一杯ですから」

 

 そう言うギニアスに、俺はそうかと頷くのだった。

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