キヴォトスでちょっとエッチな精子脳男子をヤってみた話(旧題『カヤ虐曇らせモノ』) 作:ニーガタの英霊
ぶっちゃけると作者の息抜き。
本編カヤに音声が届くのはエデン条約4章終了後~最終章の間ぐらいのイメージ。
とある音声データ 10分06秒58
『わが友、不知火カヤに捧ぐ。
どうかこの声が届かないことを願う。
それでも、この声が届いたとき。きっと何もかもが終わった時だろう』
『今、俺はゲマトリアの技術室にいる。
もうすぐ、俺は特別な治療器の中で一時的な仮死状態になる』
『きっと、お前に会えることはもうないだろう』
『お前のことだ。誰より図太いサイコパスなお前だ。
たぶん、大丈夫だとは思うが……まぁなんだ。
お前に何も言わずに去るなんてのも、それはそれでよくねぇと思ってよ』
『あぁ…なんだぁ……、あんま上手くしゃべれねぇな……』
『……』
『──俺はもうじき、死ぬ。
どうしようもねぇ、身体にガタが来てる。
ちょっと気合と根性と意志の力で肉体の限界を超越してるみてぇなもんだ』
『……だから早晩、限界が来る』
『今でもよぉ、馬鹿みてぇに頭がいてぇんだ
身体も、なんか崩れそうなぐらいにガタガタで……
気を抜いて寝たら、そのまま帰ってこれなさそうでよ』
『──でもまぁ、男の子だからな。
情けねぇことは言いたくねぇんだ。
ほら俺ってキヴォトスイケメンナンバーワン男子だからよ!!
最後の最期までかっこいいイサクさんで居てぇんだ』
『みみっちぃ男のプライドだけどよ。
そんなちっぽけなプライドが俺をここまで連れてきたみてぇなもんだ。
最期まで、こいつは貫きてぇんだ』
『でもまぁ、カヤぴぃの前だからな。
お前の前じゃあ、そんな格好つけもいらねぇか……』
『……昔の話なんだけどよ』
『ヴァルキューレの捜査局から、えらい頭の切れる生徒が来るって。
そいつを噂で聞いてよ。どんな奴かねぇと思ったんだ……』
『そうしたらよ、えらい性格の悪い貧相な女が来たもんだ。
まぁ、実際頭は切れるんだろうさ。勉強もできるんだろうさ
でもまぁ、友達は出来ねぇタイプだろうなぁとは思ったんだ』
『……悪いな、俺──お前のこと弄ってただろ。
あんまり、いい気分じゃなかったよな。
もしかしたら、俺のことウザったらしいと思ってたろう』
『大好きだぜ、本当に……。
カヤぴぃのことも、防衛室のみんなも、本当に大好きだったんだ』
『──嘘じゃ、ない』
『真面目に仕事するのも。
馬鹿話するときも。
トラブル続きで徹夜でサンクトゥムタワーに寝泊まりした時もあったな』
『馬鹿みてぇにでかい鍋買ってきてよ、みんなで鍋囲んで食ったこともあったよな』
『うまくいかないときも、喧嘩した時も、意見が対立した時も。
そういう時はみんなで同じ卓について、よく飯を食ったもんだ……』
『俺がいないとき、お前が内緒でケーキだかタルトだか買ってきたことも、俺ぁ知ってんだからな?』
『んで、俺がいねぇ時に全部食っちまったこともな』
『怒っちゃいねぇよ。
ただな……なんつうか……そのあと、すまし顔で知らないふりするお前を見てよ……』
『──俺は、安心したんだ。
あぁ、こいつはちゃんとやってるんだなって。ちゃんと、みんなとうまくやれてるんだなって』
『カヤぴぃはさ、みんなと壁を作ってたからよ。
たぶん、周りの人間が馬鹿に見えて仕方なかったんだと思う』
『この娘は一人ぼっちで、同類がいないと思ってるんだろうなって。
孤立して、孤独で、なんつぅかよぉ……見ていられなくなっちまったんだ』
『そういうのがよ、無くなったからよ。
俺は、あぁこいつはこの先ちゃんとみんなと仲良くなれるんだなって。
ちゃんと、俺たちのこと仲間だと思ってくれたんだなって』
『──すっげぇ、嬉しかった』
『俺たちは、最高のチームだった』
『……だからよ、ヒヨリのこと。許して欲しいんだ。
あいつは誰よりも子供なんだから。
俺は大人だって、胸張れるような歳じゃねぇけどよ……。
それでも、年長の奴は年少の奴の面倒を見なきゃダメだろ』
『恨むなとは言わねぇ。
嫌うなとは言わねぇ。
怒るなとも言わねぇ。
ただ、間違ったことは確かだからよ。
そういう時は、叱って、教えてやって、そうやって最後には許してやってほしいんだ……』
『一度の失敗が、一度の間違いが、一度の罪が。
そいつのすべてだと思ってほしくねぇんだ』
『世間は確かに厳しいし。
社会は失敗を嫌うし。
人々は咎人を避けるだろう』
『いい奴は一生いいことをしなければならないのか?
犯罪を一度でも犯した奴は、一生悪い奴のままで居なきゃならねぇのか?』
『そんなことはねぇよ。
確かにこれはきれいごとで、大層な題目で、理想論だよ』
『でもよ、だからこそ本気でやってみようぜ。
理想だから無理なんて決めつけて、より低い目標を設定しちゃ、
そいつはいつまでたっても理想には届かなくなっちまう』
『あの子は俺らより世間を知らなくて。
俺らより幼くて。
俺らより弱かっただけだからよ』
『──それによ、仲間だったんだ。
アイツさぁ、飯食う時に泣きながら美味しい、美味しい言ってよ。
かわいくてたまんなくてよ。
だから、幸せになってほしいんだ』
『まぁ、私情だよ。
けど、今のお前なら……きっとできるって俺は思う。
カヤぴぃは俺の友達だから、カヤぴぃを信じてるからよ』
『──お前はすごい奴だよ、不知火カヤ』
『……人生ってのはよ、道みてぇなもんだ。
まっすぐ進んでるようで、実は斜めに進んでいたり。
あるいは、誰も進まない山道やけもの道をあえて進んだり。
時には誰かと交差したり、あるいは誰かの後ろについて行ったり……
そして、道の終わりも人それぞれだ』
『……俺の道は、人より短く、ゴール地点は崖下にあったみてぇなもんだ』
『後悔はねぇよ。
俺は精一杯生きたからよ。
このキヴォトスで、この銃弾一つが致命になる世界で、
俺は精一杯生きた。懸命に生きた。胸張って生きた。
俺は胸を張ってこいつが俺の人生だったって言えるからよ』
『……』
『──でもよ、それでもよ……』
『……やっぱり、死にたくねぇよ』
『……後悔はないし、自分の人生に胸を張れる。
嘘じゃねぇ。本心だ。
けどよ、それでもよ……やっぱり、俺は生きてぇって思っちまうんだ』
『未練だよ──』
『彼女が欲しかった。セックスもやってみたかったな』
『恋愛もデートもしてみたかったし、年取って親父と酒を飲んでも見たかった』
『連邦生徒会長に一発殴ってやりたかったし、ヒヨリにもっといいもん食わせてやりたかった。
ヨシノにまだ教えてやりてぇこともある。仕事も碌に引継ぎもできてねぇし迷惑かけちまった』
『モモチューブの防衛室ちゃんねるの動画作成も途中だしよ。
カンナちゃんに行きつけの店教えてもらう約束も果たせなかったしな……』
『……お前とも、いや……お前と、だな』
『──お前と一緒に、卒業したかった』
『……。
…………』
『……次に目覚めた時が、俺の最期のロスタイムだ』
『……俺は、俺の死によって苦しんだ奴が居る。
そいつを助けなきゃならねぇ。
俺にしかできない役目で、俺がやらなきゃいけねぇ役目だ』
『俺にしか、祓えない使命だ』
『だから、全部の未練をここで捨てる。
俺の弱音は、全部ここに置いていく』
『カヤ──不知火カヤ』
『俺は、お前じゃない。
お前は、超人でもない』
『カヤ……お前が何をするのか、何をしたいのか。
俺は何も知らないし、介入もできない』
『だからよ、こいつは俺のお願いだ』
『自分の幸せを捨てちゃいけねぇ。
自分の好きを否定するな。
カヤ、お前の道はまだほんの少しでこの先ずっと続くんだ』
『振り返っていい、立ち止まっていい。あるいはもと来た道を進んでもいい。
皺くちゃの婆になって、いろんなことを経験して……』
『──不知火カヤにしか生きれない人生を過ごしてほしい』
『自分の道を自分で作って。
お前がお前の人生に満足することを……俺は、願っている』
遺書概念を欲しがる人が感想欄でいたし、本来遺書なんて後ろ向きなことを書かないタイプのイサクさんですが、状況が状況で自分の死が確定しているので黒服くんに俺が死んだら渡してくれと頼んだボイスレコーダー的な遺書です。
CVはたぶん小西克幸さん辺りです
カヤぴぃだから適当でいいかなぁとやってみたら思ったより言葉が出てきてイサクさん自身が一番びっくりしてたりします。
こんなことより本編を進めろ、と? ごもっともです。