キヴォトスでちょっとエッチな精子脳男子をヤってみた話(旧題『カヤ虐曇らせモノ』)   作:ニーガタの英霊

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 原作のヘイトキャラならいくら曇らせてもアンチ・ヘイトにならない。便利な時代になったものです。
 一部不知火カヤについて独自設定(出身校)を挟んでます。


原作開始前
お前のミスでした


「連邦生徒会防衛室所属、不知火カヤです」

 

 私は特別な存在だと思った。

 

 学園都市キヴォトス。そのキヴォトスにおいて多大な影響力を権力を有する組織。それが連邦生徒会であった。

 各自治区から優秀な学生が選抜され、キヴォトスの行政を担う。これはまさしく選ばれた存在にしか出来ない超人であることの証明であった。

 

 ヴァルキューレ警察学校に首席で入学し好成績を収め、赴任自治区における犯罪率の低下とテロリストの捕縛。

 表彰状を貰うことも一度や二度ではなくその働きぶりから二年に進級する直前、連邦生徒会より声がかかった。

 

 当然のことだろう。私は薄い目を開き笑みを浮かべる。

 

 与えられた職務を遂行し、決められた規律を守り、成果を出す。私の優秀な頭脳と肉体はそこらの凡人とは違う。

 

 成功は当然であり、連邦生徒会の目にかかるのは当たり前だ。

 

「同じく連邦生徒会、防衛室の前原イサクだ」

 

 眼の前の男に視線を送る。

 キヴォトスにおいて異性の存在は稀だ。特にヘイローを持たない生徒は皆無と言えるだろう。

 

 筋肉質な身体、髪型はツーブロックで直毛の黒髪。

 身長は190センチはあり、見るからにマッチョイズムの化身と言えるだろう。

 男の妙に澄んだ青い瞳がキラキラと輝いていた。

 

「今日からお前は、カヤぴぃだ!!」

「……は?」

 

 何 い っ て ん だ こ い つ 。

 

「ちなみに俺のことは先輩と呼べ」

「何いってんですか貴方?」

 

 私は困惑した。

 妙に馴れ馴れしい男だとこのときは思っていたのだ。

 

「貴方、私と同学年でしょう?」

「甘いぜカヤぴぃ。キャラメルポップコーン並に甘いぜ、確かに俺達は同学年だが、防衛室に配属されたのは俺が先だ。つまり俺がカヤぴぃの先輩であることは明らかに明白……!」

「どんな論理ですか! 認めませんよ!」

 

 これが、私とイサクさんの出会いだった。

 イサクさんは馬鹿だった。

 

「知ってるかカヤぴぃ……ミジンコは怒ると頭がとんがるんだぜ?」

 

 会うたびにどこから仕入れてきたかわからない無駄知識を披露して来たが馬鹿だった。ウザかった。

 

「俺が嫌いなものは2つある。責任と労働だ……」

「駄目な男だ……」

「素直って言ってくれよ」

 

 イサクさんは駄目な男だった。

 

「良いことを教えてやろう、責任と仕事は押し付けるためにある」

「ぶっ殺して差し上げましょうか?」

「辞めろ、死人が出るぞ……主に俺だが」

 

 ダメダメすぎて一周回ってなんでこんな男が連邦生徒会にいるのか疑問だった。

 

「男だからだろ。ヘイローを持たない生徒なんざ俺しか居ない。客寄せパンダさ」

「ある種の特殊性となればそうですが……」

 

 理解は出来るが納得はできない。

 私のような完璧で究極な超人であるのに対してイサクさんは貧弱で低能な男だからだ。

 

「ふっ…お昼寝の時間だ……」

「赤ちゃんみたいですね」

「バブー」

 

 イサクさんはスキマ時間を見つけるとよく眠る。不思議なことに日常業務を疎かにしたことはなかった。

 なんだかんだいって、会えば話す程度には私とイサクさんはよく会話をしていた。

 

「何を隠そう、俺は振り飛車党──前原システムを魅せてやろう」

「チェスにしませんか?」

 

 不思議なことに趣味もあった。もっともイサクさんは将棋を好み、チェスは私のほうが強かった。

 

「なんでそんな馬鹿みたいに砂糖をぶち込むんですか!!」

「ミルクもぶち込むぞ」

 

 私のブルーマウンテンに砂糖とミルクをこれでもかとぶち込んでカフェオレを作ったときは流石にキレた。

 

 イサクさんは馬鹿だった。

 愚かで救いようのなくて、つまらない男で、野心の欠片も向上心もない男だった。

 

 だから損をしてしまった。

 

「次の防衛室長は前原イサクさんを指名します」

 

 その言葉に愕然とした。

 

「なんでですか!?」

 

 納得がいかなかった。

 私は優秀だった。私は天才だった。私は完璧だった。

 私は選ばれた存在で、人を超越した超人であるのに。

 

 連邦生徒会長(超人)に選ばれたのは彼だった。

 

「なぁーんで俺なんだろうなぁ」

 

 指名されたイサクさんですら困惑を隠せない。

 

「あの女が選ぶとしたら、カヤぴぃだと思ってたんだがな……」

 

 認められなかった。

 私は認められなかったのだ。

 

『いつか私が連邦生徒会長になったらイサクさんをこき使ってあげますからね』

『いや、無理だろ。カヤぴぃは人の心がないサイコパスだし』

『なんですって!!』

 

 いつの日にかに、冗談めかしていった言葉。

 イサクさんに非がないのはわかっている。

 悪いのは彼よりも優れているという自負を持っていた私なのだ。

 

「なぁカヤぴぃ」

「すみません、もう定時なのであがりますね」

 

 ちょっとした意地悪のつもりだった。

 本気ではなかったのだ。

 本気で嫌いだったとか、本気で消えてほしいとか、そんなこと一度も思っていなかったのだ。

 

 つまらないプライドだったのだ。

 自分より下だと思ってた人間が自分よりも上にいるということに耐えられなかったのだ。

 

「おうカヤぴぃ。いっしょに茶でもシバこうぜ」

 

 それでも彼は私に声をかけてくれたではないか。

 いつもと変わらない屈託のない笑顔でいてくれたではないか。

 

「仕事中にお茶とは防衛室長は随分とお暇なのですね」

 

 私はなんと言ったのだ。歩み寄る彼に私はそんなことを浴びせたのだ。

 縊り殺したくなる。お前は何様なのだと、どうして素直にならなかったのだと。

 

「俺等の仕事なんざ、暇なぐらいがちょうど良い。平和な証拠だろ」

「平和な時間を使って次の備えでもしたらいかがでしょうか? やるべきことはいくらでもあるでしょう?」

「いや、そうはいってもなぁ……」

 

 このときの私はイサクさんを言いくるめたことに得意げになっていた。浅ましい、なんと愚かな女なのだろう。

 

「防衛次長……さすがにあの対応は……」

「あなた、次長である私に意見を言うんですか?」

 

 私とイサクさんの関係に諫言した娘に私はそういった。

 

 ……。

 ………。

 

 ──仕事が忙しくなった。

 理由はわかっている。連邦生徒会長(超人)の不在が原因だ。

 

 仕事の負担は防衛室長であるイサクさんに重くのしかかっている。

 

「なぁ、カヤぴぃ。助けてくれよ」

「室長の仕事を次長である私が手伝うなど……」

「けどよぉ、こういうのカヤぴぃのほうが得意だったろ」

 

 イサクさんは大雑把な男だ。書類仕事はできなくはないが得意という程でもなかった。

 むしろ現場肌の人間でよくSRT特殊学園の視察だったりヴァルキューレ警察学校との交渉や実働指揮のほうが得意と言える。

 誰よりも貧弱だが、誰よりも非常時の備えや判断力の高さを買われていた非常時の人。

 私とは違って人望もあった。

 

 私の不服従は続いた。

 

「すまねぇカヤぴぃ、暫く席を外す。留守は任せたぞ」

「二度と帰ってこなくていいですよ」

 

 ──彼が、死ぬまで。

 

 戻ってきたのは左腕だけだった。

 

 いつも通りの毎日が来ると思ってた。

 いつか謝ればいいと思ってた。

 

 いつかなんて二度と来ないのに。いつも通りなんて絶対に来るとは限らないのに。

 連邦生徒会長のことでわかってたはずなのに。

 私は致命的なミスを犯したのだ。

 

 私はイサクさんになんと声をかけたのだろう。

 彼との最後の言葉になんと言ったのだろう。

 二度と帰ってこなくていいなんて、心にもないことを言ってしまったのだろう。

 

 口から吐瀉物を吐き出す。

 気持ち悪い。気持ち悪くてたまらない。

 他ならぬ私自身がキモチワルイ。

 

 彼に嫉妬していた、事実だ。

 彼に室長の地位を奪われた、イサクさんはそんな人じゃない。

 彼の差し伸べた手を私はどうした?

 

 振り払ったじゃないか。彼の優しさにつけ込んで、甘えて、その結果がこれじゃないか。

 

 涙は出ない。ああ、これじゃ彼の言う通り人でなしじゃないか。

 

「ごめんなさい、カヤ次長……わた、わたし……っ!」

 

 眼の前で防衛室の職員の娘が泣いている。イサクさんに連れられてトリニティに向かった娘だ。

 

『連邦生徒会はあくまで調停機関だ。各自地区に介入するほどに強い権力があるわけじゃねぇ』

『連邦生徒会長が提言したエデン条約。こいつの調印を成し遂げる。三大自治区であるトリニティとゲヘナが安定すれば、俺等の仕事も楽になる』

 

 連邦生徒会長の残した仕事であるエデン条約。イサクさんはこれの締結に強い関心を持っていた。

 そのために調停室と連携しトリニティ総合学園内部との交渉を行っていたのは周知の事実だった。

 

 だからこそ、狙われた。

 

 イサクさんを守ろうと必死に護衛をしたらしい。胸の傷が痛ましい。立っているのもやっとだろう。

 最初の襲撃でイサクさんは左腕を欠損し、頭部に火傷を負ったらしい。

 彼女が気絶する程度のダメージでもイサクさんにとっては致命傷だ。目が覚めた時、彼女はトリニティ内部の救護騎士団に保護されていたという。

 

『俺達が暇ってことはそれだけキヴォトスにおいて平和ってことだろ』

『知ってるかカヤぴぃ、鮭ってのは本来白身魚でエビやカニに含まれるアスタキサンチンを摂取するから赤くなるんだぜ』

『俺は五人ぐらいのいろんな属性の女の子に囲まれてハーレムを作りたい』

『おっぱいはデカさじゃねぇ感度が重要なんだ』

 

 馬鹿みたいな男だった。実際馬鹿なのだろう。

 彼がアホなことを言って、私が窘めて、なんだかんだ防衛室は彼を中心に穏やかな日々を過ごしていた。

 

 二度とそんな話は出来ないのに。

 

『カヤぴぃはすげぇな』

『ははーん、お前さては頭いいやつだろ』

『助けてぇ! カヤぴぃ助けてぇー!!』

 

 信頼されていたのだ、私は彼に信頼されていた。

 

『カヤぴぃはサイコパスで人の心がわかんねぇクソ女だが。俺はこいつを一番信用してるし尊敬してる』

『だってこいつは俺が出来ねぇことができる奴だからだ。俺がやれないことをやれる女だからだ』

『だからカヤぴぃが出来ねぇことは俺がやってやる』

 

 反吐が出るほど嫌いでした(羨ましかった)

 あなたは常に私の()にいて、自信があって懸命で。なんとも誇らしい人生を送っていたのでしょう。

 あなたは凡人でした。世界を変える天才(特別な大人)でもたった一人で総てを為す超人(連邦生徒会長)でもありませんでした。

 凡庸でつまらなくてありきたりで……そんな日常を好む惰弱な男でした。

 私はあなたが嫌い(好き)でした。

 私を残して死んだあなたが、大嫌い(大好き)でした。




前原イサク
 前原逝作→原作前逝くから取ってます。
 カヤぴぃを曇らせるために生み出され作者に消費された命を持つオリ主くんです。
 基本的に精子脳で夢はモテモテなろうハーレム主人公になりたかったタイプの男キャラのため、最強オリ主になるために筋肉モリモリマッチョメンになりましたが、ヘイローが無いためキヴォトスでは貧弱ボーイという設定になりました。無駄な努力だったね。
 カヤぴぃとの相性は良く、おっぱいはデカい小さいよりも感度であり自分の手で快楽に喘ぐ女の子が好きというタイプ。
 生きてたらたぶんエデン条約編の裏で暗躍するキャラとして登場するか死んでたらカルバノグの兎編で……。

不知火カヤ「でも先生はイサクさんを救えなかったじゃないですか」

 とか言われてしまうキャラになります。
 連邦生徒会長やオリ主くんへの拗れた感情からカヤぴぃは拗らせクソ女になります。面倒くさくて可愛いね。
 オリ主くんへの死に目にも会えず、最期の会話が心にも無い嫌味で、信頼してくれたのにその信頼に応えることもなく棺にはちっぽけな左手しか帰ってこなかったよ。
 おめでとう カ ヤ 防 衛 室 長 。
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