騙されたと思って見てください!!言ってる時点でアウトですけどね!!
───さっさと、どうぞ!
『You lose』
今の一夏は目の前に映っているこの二文字を直視しているだろう。
「うわぁー、また負けたー」
そう言い一夏はバタンと、その場に倒れる。その隣には赤髪の俺と同じような少年がニヤリとゲームパッドを持ちながら一夏をみている。
「ほら、一夏の負けだぞ」
赤髪の少年の名は“五反田 弾”。一夏の友達だという。知り合ったのはつい数時間前のことだ。
一夏はゲームパッドをこちらに渡してくる。俺はテレビの前に移動して居座る。今、俺達がやっているのはTVゲーム“IS/VS”で、その名の通りISを題材にした3Dの対戦格闘ゲームだ。発売月で100万本売れた超名作。
「VRMMORPGのやつの方が良かったな~」
俺の言ったのは頭に専用の装置を付けて簡単に言うと仮想世界に意識を移動してゲームを行えることを言っている。最近になり安全性も高くなり人気も出てきている。
「仕方ないだろ、売ってないんだから」
一夏が寝転びながら諦めが含んだ声で言ってくる。
一夏の言う通り、ゲーム会社も開発しようとしたらしい。だが、それは結果的には成功したとはならなかった。ISを仮想世界にしようとすることまでは出来た。販売まで行き着いた。勿論、人気も出た。
人気の一番の理由が男性でも使えることが出来るようになっているからだ。だが、逆にそのせいで女性達が反抗したのだ。さらに操縦者達が誤差があると主張したのだ。なら、やるなよ!と俺は思うが。
困り果てた会社側はやむ無く販売中止に決断付けたのだ。今ではMMORPGのISのゲームは伝説となっている。
「麒麟がないなー………」
そう呟く俺に一夏は「あったら凄ぇよ」と言ってくる。テレビの画面にはISの選択画面が映っている。取り敢えず俺は打鉄を選び弾と対戦を始めた。
その前に何故、ここにいるのか順を追って説明しよう………。
◇
保健室からも無事退院して平和的な日常を過ごした俺は久しぶりの休みに心が浮きだっていた。
「まあ…あいつらは相変わらず騒がしいが………」
箒とセシリア、さらにスズーこと鈴が混ざったことで余計に騒がしくなった一夏の周り。一夏も唐変木なだけあってなかなか彼女達の思いは進展しない。
話は戻り、急に来た休日に俺はすることがないのだ。璃里亜も璃里亜の両親へと報告するために会いに行っているらしい。璃里亜の専用機の調整も兼ねていると言っていた。
「あー…………暇だ」
《パパ~……暇だね》
俺もユカもやることがない………寝よう。
そう決めた俺はベッドにダイブした。だが、今日に限り目が冴えて寝られない。なんという運命のイタズラなんだろうか…さすがにそこまで大袈裟にしないが、こうなると手持ちが完全になくなったので麒麟をいじくり回そうともしくはユカと何かしようと考えていた時だ────
「蒼星~、暇か?だったら遊びに行こうぜ♪」
俺の部屋の扉を開けるなり、一夏は何処かへと行こうと俺を誘ってくる。
(ちょうどいいや……)
俺は起き上がり扉の方へと歩いていった。
◇
学園から久しぶりに外に出て一夏の友達の家に着いた所だが……。
「ほら、行くぜ」
何故か一夏は目の前の建物に躊躇なく入っていく。
(“五反田食堂”って………店じゃん!?)
一夏の友達はお店を経営しているのだろうか……取り敢えず一夏の後ろについていくことに俺はした。
裏口から一夏は扉を開けて誰かがいるか声を上げる。と、家の階段から一人の男性が降りてきたではないか。
「おー、一夏。久しぶりだな」
「遊びに来たぜ、弾」
一夏の友達なのは真実みたいだ。
「で、そちらの方は?」
「俺と同じ男性操縦者の波大 蒼星」
「俺の名前は“五反田 弾"。 弾って呼んでくれて構わないぜ、よろしく」
弾はこちらに手を出して握手を求めてくる。
「俺のことも蒼星でいいぜ、よろしく」
俺と弾は固く握手したのだった。
これが俺と弾の出逢いだったのだ─────
◇
「負けたー~ー!」
時は戻り現在。俺と弾の対戦に決着がついた。勝ったのは─────
「まだまだ甘いな、弾よ」
俺だった。俺はこういうゲーム関連のことは得意なのだ。
「なんで蒼星はそんなに強いんだ?」
「俺の趣味がゲーム関連だといったはずだが?」
「あー……そんなこと言ってたわ」
そんなやり取りの後、一夏と弾が選手交替して入れ替わる。お互いに機体を選んでから第二ラウンドが開幕した。
「で?」
「“で?”って、何がだよ…っおぅ!」
「ん?行き成り何の話だ?っと!」
「だから、女の園の話だよ。いい思いしてんだろ?お前ら」
後ろから弾が妨害をしてくる。一夏はとても苦戦しているように思える。俺のせいでもあるのだが、気にせずに目の前の画面に集中する。
その間、一夏は弾にそんなことはないと言っていたが、それを聞いた弾は即答した。
「嘘をつくな嘘を。お前のメール見てるだけでも楽園じゃねぇかコノヤロ!そのヘヴンに招待券とかねぇの?」
「ねぇよバカ」
「あるよ」
「え!まじか!」
「学園祭の招待券があるらしいな」
俺がそう言うと弾はガッツポーズを取る。だが、弾よ……お前の想像以上にあそこは男子にとってきついんだぞ……。
「一夏にもらいなよ、俺はもう渡す人は決めてあるから」
「そうか…一夏!俺にくれるよな」
「あ…ああ………」
そんなに欲しいのか凄い勢いで一夏に詰め寄る弾。
その時にだ。
勢いよく扉が開いた。扉を開いた本人は弾と同じ赤髪の少女だった。
「お兄!さっきからお昼出来たって言ってんじゃん!さっさと食べに───」
「あ、久しぶり。邪魔してる」
「いっ、一夏……さん!?それに………」
「あ!俺?波大 蒼星。蒼星でいいからね」
「あ、よろしくお願いします。私は五反田 蘭です。そこのくそ兄の妹です」
「蘭ちゃんだね。よろしくー」
弾の妹である蘭が一夏と俺を見て固まっていたので取り敢えず声をかけて自己紹介をしておく。
「弾、お前尻に敷かれてるな」
「ああ…昔はこうじゃなかったのに…」
兄としての立場が一切ない弾はしくしく悲しい表情になる。
俺はもう一度蘭の方をを見てみる。今の蘭の格好はとてもラフな格好である。肩まである髪を後ろでクリップに挟んだだけの状態で、服装もショートパンツにタンクトップという機能性重視の格好だ。
「い、いやっ、あのっ、き、来てたんですか……?全寮制の学園に通っているって聞いてましたけど……」
一夏に対しての態度が急に変わった。ということはこの子も………。
「ああうん、今日はちょっとした外出。家の様子見たついでに寄ったんだ」
一夏は蘭の急変した態度を気にせずに普通に答える。
「俺はその付き添い。一夏の友人さんとも会ってみたかったしね」
「そ、そうですか…」
「蘭、お前なぁ、ノックぐらいしろよ。恥知らずな女だと─────」
弾がそう言った瞬間、蘭は弾を睨み付ける。余計なことを言わないでとばかりに迫力があり、弾は思わず萎縮する。
弾よ…兄としての威厳はどうした?
「…お兄、何で言わないのよ………」
「い、いや、言ってなかったか?わ、悪い。ハハハ…」
もう完全にから笑いで誤魔化す弾。
「そ、それで………よかったら一夏さんと蒼星さんもお昼どうぞ。お昼、まだですよね?」
「あー、うんそうだな。頂くよ」
一夏がそう言うので俺も頂くことにした。と、蘭は扉を閉めて階段をかけ降りてしまった。
「いやしかし、蘭とはかれこれ3年の付き合いになるけど、未だに俺に心開いてくれないのな」
「ハァ?何言ってんのコイツ」
「それは本気なのか!?」
一夏の衝撃発言に思わず俺と弾は声が弾んでしまった。
「いやほら、だってよそよそしいだろ、俺と話している時は。今もさっさと部屋から出ていったし」
「「…………ふぅ」」
「なんだよ2人して」
「いやー何て言うのか、お前はわざとやっているんじゃないかと思うな」
「お前、相変わらずだな。中学生でもこんなんだったのか、弾よ?」
「ああ、蒼星よ。今までこいつが何人撃ち抜いてきたのか…」
「やはりな…弾。悲しいかどうか微妙だが大事なお知らせがある」
「というと?」
「こいつ!金髪の美少女を撃ち抜いてるんだぁ!」
「何!?一夏ぁ!お前ずるいぞ~!」
「それってセシリアのことか?撃ち抜いた覚えがないんだけど」
「いや、撃ち抜いているからな」
「そういう蒼星はどうなんだ?」
弾はニヤリと笑みを浮かべる。
「そうそう、蒼星は璃里亜って言う幼馴染みがいてお互いあだ名で呼ぶ仲なんだぞ」
おい、一夏。余計なことを言うでないぞ。
「そうか…残念だ………」
「ちょっと、まて。そういう一夏だって鈴と幼馴染みだろうが」
「ん?鈴ってあいつのことか?」
「そう。中国から帰ってきたんだってさ」
「え!?じゃああの約束はどうなったんだ?」
弾は一夏と鈴との約束の内容を知っているみたいだ。
「弾の想像通りだと、思うよ。残念、無念!」
「やっぱり!お前は敵だ、一夏ぁー!!」
俺が弾の耳元で結果をボソッと教えたら弾が声を張り上げる。
「ていうか、早く行こうぜ」
俺の一言により、三人は一階へと移動していったのであった………。
「うげ」
「ん?」
「どうかしたのか?」
「…………………」
露骨に嫌そうな声を出す弾に、一夏と俺は後ろから覗く。
そこには俺達の昼食が用意してあるテーブルがあるんだけど、先客が無言で立っていた。
「なに?何か問題でもあるの?あるならお兄だけ外で食べてもいいよ」
「聞いたか蒼星?今の優しさに溢れた言葉。泣けてきちまうぜ」
「ま、それだけ妹さんは一夏と二人で食べたいって言う魂胆が見え見えなのが良く分かるよ。俺も弾とさよならでもしますか」
「んなっ!な、何を言ってるんですか蒼星さん!」
手で涙を拭う弾を見て俺がちょっとばかり嫌味を言うと、蘭は図星を突かれたかのように顔を真っ赤にした。
「いや、別に四人で食べればいいだろ。それより他のお客さんもいるし、さっさと座ろうぜ」
「そ、そうよバカ兄と蒼星さん。さっさと座ったらどうですか?」
一夏の発言に蘭が頷きながら座るように促してきた。さっきと言ってる事が矛盾してるんだが。
「へいへい……」
「はい……」
弾と俺は蘭の台詞に呆れながらテーブルに座った。因みにテーブルには俺、一夏、弾、蘭の並びで座っている。
そんな時、一夏が今更何か気付いたように蘭を見る。
「蘭さぁ」
「は、はひっ?」
「着替えたの?どっか出かける予定?」
「あっ、いえ、これは、その、ですねっ」
なにかを躊躇うようになかなか答えようとしない蘭。と、一夏は思いついた表情になり───「デートか?」と自信ありげにあった。
今のが正解………そんなわけがない。
蘭は勿論───
「ち、違います!!」
バンッと即座に否定をして机を叩く。一夏の鈍感は相変わらずだ。
「ご、ごめん」
「あ、いえ……。と、とにかく、違います」
「違うっつーか、むしろ兄としては違って欲しくもないんだがな。何せお前そんなに気合を入れて化粧するのは数ヵ月に一度むぐっ!」
「っ!………っ!」
「!………………!」
弾がこちらに助けてーと目で訴えてくるがどうしようもないんだ…弾よ自業自得だ…。
「おお、怖い怖い。それにしても、仲いいよな、お前ら兄妹」
「「ハァ!?」」
蘭が弾にアイアンクローをかましアイコンタクトで弾に釘を刺す。4人で騒いでいると店の調理場から弾に向けて鋭い視線が向かられる。
「食わねぇなら下げるぞガキども」
「く、食います食います」
「すみませーん。頂きまーす」
「「「いただきます」」」
「おう。食え」
五反田食堂調理人にして五反田家の頂点、五反田
一夏達が昼食を食べるのを満足そうに見た後は調理場に戻り中華鍋を豪快に振るう。なかなか繁盛している為、注文はそれなりに入るみたいだ。
(旨いな~、これ)
そんなことを思う俺を余所に弾と一夏が会話を始めた。
「でさぁ一夏。鈴と、えーっとなんだっけ、ファースト幼馴染?と再会したって?」
「ああ、箒な」
「ほうき…?誰ですか?」
「俺とのファースト幼馴染」
「一夏、そのファーストとかセカンドとか付けるものなのか?あ、セカンドは鈴らしいよ」
「らしいってなんですか。っていうか鈴さん、複雑だろうなぁ…」
「ん?鈴が帰って来ている事に驚かないのか?」
「いえ、鈴さん、帰ってきた時1度ここに寄ったんですよ。なんで驚きはその時に済ませました」
「え!そうなの!?」
「お兄はその時、どっかに行ってました」
「あ…そうですか………」
「そうそう、その箒と同じ部屋だったんだよ。まぁ今は…」
「お、同じ部屋ぁ!?」
「蘭、落ち着け」
「………!」
「うっ…」
相変わらず妹に弱い兄貴。俺の知っている兄弟とは真逆だな………いや、案外そうではないかもしれない。
「…弾ェ…」
「い、一夏さん?つまりその箒さんと寝食を共に…?」
「まぁ、そうなるかな。あ、でもそれは先月までの話で、当然今は違って1人部屋だけどな」
「い、1ヶ月以上同せ…同居していたって事ですか!?」
「そうなるな。まあ、蒼星も似たようなもんだよ」
「あはは…………」
“ここで振ってくるなよ"と心の中で思いながらなんとか笑って場を乗り切る俺。
蘭は拳を握り締め何やら体を小刻みに震わせて、瞳に決意の光りを宿した。
「…決めました。私、来年IS学園を受験します」
「なっ…!?───っと」
「お!取れた。俺、すげぇ~」
「サンキュー、蒼星」
弾が椅子から音を立てて立ち上がった時、厳から顔面目掛けておたまが飛んできた。弾は反応出来なかったが、ぶつかる直前で俺がおたまをキャッチ。自分でも感心するぐらいの威力だった
「さ、流石だな蒼星。俺はとてもじゃないが出来ないぜ……って受験?なんで?蘭の学校はエスカレーター式で大学まで行ける有名校だろ?」
「大丈夫です。私の成績なら余裕です」
「IS学園に推薦は無いぞ…」
「お兄と違い筆記で余裕です」
「で、でもなぁ…蒼星!あそこって実技あったよな!」
「ん…ああ。ISの起動試験の事か?適正が無ければ即落選、有ればそのまま適正ランクの判定だったと思うが」
すると蘭はポケットから1枚の紙を取り出し3人に見える様にテーブルの上に置く。
「げぇっ!?IS簡易適正試験…判定A…」
すごいな…………。
「既に問題は解決済みですが…」
「これって確か希望者なら誰でも受けられるやつだよな?政府がIS操縦者を集める為にやってるやつ」
「はい。タダです」
「タダはいい…タダであるほどいい」
「で、ですので!い、一夏さんにはその時是非先輩としてご指導をお願いしたいのですが!」
「おう、いいぞ。受かったらな」
「はいはい、 安請け合いか、修羅場確定か。…弾、これが日常茶飯事なんだよ…」
「ほっ本当ですか!?や、約束ですよ!?」
「お、おう」
「お、おい蘭!なに学校勝手に変える事決めてんだよ!」
「あらいいじゃない別に。一夏君、蘭の事、よろしくね」
「あ、はい」
「はいじゃねぇ!お袋も何言ってんだ!」
一夏の安請け合いで蘭はテンションを上げ、話を聞いていた食堂の自称看板娘、五反田 蓮(れん)───弾と蘭の母親と教えてもらった───の発言で弾が大声を上げる。蓮さんはぱっと見20代にしか見えない美人。いつもニコニコしており性格も柔らか。
「だあーっ!親父も居ねぇし!いいのか!じーちゃん!?」
「蘭が自分で決めた事だ。どうこう言う筋合いはねェわな」
「いやだって」
「弾、お前文句あんのか?」
「………ありません」
弾の立場は一体どうなっているのだろうと何度も考えさせられる。はっきり言って俺には関係ないことだが、一夏関連で共感出来る仲間として一応考えておく。
結論から俺がどうこう出来ることではないことが分かった。
だが、蘭がIS学園入学希望ならあれを伝えておく必要がある。
「それじゃあ、先輩として一言だけ注意点を言っておこうか」
「坊主………赤の他人が口を挟むなよ」
厳さんが睨み付けて来るが、もう別の機会に慣れてしまっているので気にしない。
「そうつもりじゃないですよ。蘭ちゃん、君はISをどう思っている?」
「え?………スポーツだと思いますが……」
「やっぱりそうか………次に俺の一番言いたいことを聞いてもいい?…………命ってなんだと思う?」
「……?」
俺の質問の意図が掴めず困惑する蘭と一夏と弾。
「一夏、君は誰かを傷つけたことはあるかい?それも殺すほどの」
「…ないはずに決まってるだろ」
確かに一夏の言うとおりだ。だが───
「波大の坊主はあるような言い方だな」
「ええ、ありますよ。友人を守る為だといってね」
「!!」
一夏と弾、それに蘭。話を聞いた人が驚きの表情に包まれる。
「表では俺はただの男性操縦者。でも、俺は殺人者とほとんどかわりないことしてしまったんです」
「………でも、蒼星」
「その時に学んだんです。人の命は重い。けど、一度奪ってしまうと軽いものになってしまうってね」
「その話はどういう関係に?」
「自分でも話すのは嫌なんですけど…まあ、いいです。俺は武器を使って自らの手で殺したんですよ。幾ら友人のためだと、相手が悪者だといってもね、自分が殺ったことには変わりがないんだよ。分かる?分かるはずがないよな。普通はそういうことは経験しないんだよ。けど、ISは別の見方をすれば兵器だ。よって人を傷つけることも殺すことも簡単に出来る。すると段々と人を傷つけることに抵抗が薄くなる。蘭ちゃん、君はそんな世界に飛び込むことになるんだよ」
あくまで、これらは俺一人の考えに過ぎない。他人がどういう意味で受けとるかはその人次第なのだ。
「さらに言うのなら、この世界は矛盾していることが沢山ある。それも相当重大なことでだ」
「具体的に言うと?」
「───ISの軍事利用」
「もっと詳しく説明してもらおうか、坊主」
「波大で良いですよ。何故、軍事利用に矛盾点が生じているかと言うとおかしいんです。どうして、戦車や戦闘機の存在が徐々に薄れていっていることに。俺の予想だとそれらは不必要となったから、つまりそれ以上の代物を手にいれたからだと思うんですよ」
「なるほどね、あなたの言っているその代物がISってことかしら?」
「そうです。でも、ISの軍事利用は禁止されているんですよ。これっておかしいじゃないですか。ISの軍事利用禁止なのに、唯一の戦力となる戦車等の放棄。話が噛み合わないです」
「………」
一夏は思い詰めた表情になり、思考に浸っていた。弾に至っては話のスケールが大き過ぎて付いていけずにポカーンと口を開けていた。
後、何点か指摘したい点は幾つもあるがそれらは自身の心の中に閉まっておくことにした。ここで、言っても何も変わりはしないのだから。
「わ、私は…………」
「考える時間はあるさ。それで決めたことに俺は反対しない。学園に来るなら一夏共々歓迎するさ」
「蒼星……それは璃里亜もか…?」
「璃里亜は関係ない。あいつの手は潔白だ。俺の親友も彼女を守るために俺と同じ運命を辿っているからな、そいつに聞いてみればいいさ」
「……そうか……」
「はい、話は終わり!!」
俺はそう言い暗くなった雰囲気を戻す。
「そうだ!今度、一夏たちにも俺の親友を紹介してやるよ」
一夏達の表情はまだ暗い。
「ありがとよ、坊主」
厳さんがそう言ってくる。
「いえいえ、そろそろいくぞ。お前ら、厳さん、ご馳走さまでーす」
「蒼星、待てって!あ、ご馳走様でした、厳さん、蓮さん」
「えっと、じーちゃん、お袋、それに蘭。行ってきます」
「…おう」
「…行ってらしゃい」
「………」
もうこれ以上言う必要はないと判断した俺は五反田食堂を出る。
「……一夏」
「ん!何だ?」
「皆を守るんってなら覚悟しておけ。自分の手を汚してまで守りたいんだったら」
「…おう」
「あと、あの話は璃里亜には言わないでくれな」
「分かった」
そのあとは三人でゲーセンに回ったりして色々と楽しんだのであった
続く──────────────────────────────
蒼星の密かに感じてた疑念です。どうして、そんなことを知っているのかと言うと暇潰しにユカに協力してもらって色々と調べていたんです。