───気にせず、行こう!!(汗)
「あら、蒼星さんですの?」
「セシリアか。どうしたんだ?」
「ええ。一夏さんと夕食をご一緒しようかと思ったのですが……」
「あ、ああ!今ちょっとシャルルの気分が悪くてさ。一夏と俺で面倒見てるんだよ。な、一夏!」
俺は振り返って部屋の中へと声を張り上げる。一夏はどもりながらも俺に合わせた。
「あ、ああ!シャルルがちょっとな!シャルル」
「う、うん。ゴホッゴホッ!!」
(下手だな………)
嘘をつくのが苦手なのか、風邪を引いた真似が恐ろしく下手なシャルル。しかし純真なセシリアはあっさりと騙されてくれたようだ。心配そうな表情をしつつ、部屋の中を覗く。
「そうでしたの……それは大変ですわね。お大事になさって下さい」
あえて、シャルルの風邪の件には触れていないような気がする。早く一夏を連れ出したいがために。
「そ、それでセシリアはどうしてここに?」
「ええ。丁度良い時間なので一夏さんと夕食をご一緒しようかと」
「わ、分かった!行く、一緒に行く!!」
慌てて一夏は飛び出した。シャルルの正体がバレないように必死だ。逆にそれが俺にとっては不自然過ぎるのだが。
「シャルルの事、頼む」
「分かった」
「そういえば璃里亜さんに蒼星さんを見つけたら連れてこいと言われていましたわね……」
うわ……セシリアが思い出してはいけないことを思い出したみたいだ……。
セシリアと目が合う。俺はすぐに逸らした。
「蒼星さんも食堂にいきますわよ」
「う……ごめん、シャルル。俺も行くとことにするわ」
「うん、大丈夫だよ、ゴホッ…ゴホッ」
部屋のなかから聞こえてくる。これ以上やると逆にわざとらしくて怪しいから風邪を引いている真似はやめて欲しいと言いたいが言えない。
「俺、後から追い付くから一夏達は先に行っておいてくれ」
「分かった」
「さあ一夏さん、行きましょうか」
廊下を二人揃って進んでいくのを見送ったあと、俺はゆっくりとドアを閉めて部屋の中に戻る。シャルルは毛布から顔を半分だけ出して待っていた。
「もう大丈夫だ。セシリアは行ったよ」
「ありがとね、蒼星」
「晩御飯は一夏に持ってこさせるから」
「うん、わかった」
「じゃあ俺も行くから」
「……ねえ、聞かせて蒼星」
「何を?」
「何でそんな風に考えられるの?」
「……」
「この事を黙ってたら、二人に迷惑がかかっちゃうんだよ?さっきは迷惑に感じなければいいって言ってたけど、何でそんな考え方が出来るの?」
唐突なシャルルの問いに俺は数秒間考え込む。シャルルはじっと答えを待つ。俺は自分の考えをゆっくり話す。
「一夏は知らないが…こういうことをすることは俺のモットーなんだよ」
「モットー?」
「まあ、自分の信念みたいなもの。俺の場合は“後悔しないように始めから全力"ってのをモットーにしてるんだ。だからシャルルのことを庇うのもほんのそれらの一つでしかないんだ。だからシャルルはこの件については気にしなくてもいいぞ」
「ありがと………それでも僕は救われたんだ。感謝しきれないよ。それに僕は良いことだと思うよ、蒼星のモットー」
「ありがとな」
そう言い残して俺は扉を閉めた…………。
◇
時は過ぎて次の日の朝になり俺と一夏とシャルルは教室へと向かう。
「そ、それは本当ですの!?」
「う、ウソついてないでしょうね!?」
「え、ええーーーーー」
教室に向かっている最中、廊下にまで聞こえる声に何事かと思った。
「なんだ?」
「さあ?」
「さっきの声はセシリアとスズー、それにリリーの声だろうか。あいつらは一体どうしてあんな大きい声を出してるんだ?」
一夏の問いにシャルルは不可解な顔になり、俺も分からなかったが声の主は分かった。因みに今のシャルルは男装バージョンになっている。
「本当だってば!この噂、学園中で持ちきりなのよ?月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君か波大君と交際でき───」
「俺がどうしたって?」
「「「きゃああっ!?」」」
何だろう。教室に入った一夏が声を掛けただけで、クラスの女子達が取り乱した悲鳴を上げてる。
「で、何の話だったんだ?俺の名前が出ていたみたいだけど」
「俺の名前も聞こえたような………」
「う、うん?そうだっけ?」
「さ、さあ、どうだったかしら?」
「ど………どうしよ……」
一夏の問いに鈴とセシリアはあははうふふと言いながら話を逸らしている。璃里亜は一人で慌てている。一体どうしたんだ?
「じゃ、じゃああたし自分のクラスに戻るから!」
「そ、そうですわね!わたくしも自分の席につきませんと」
二人は逃げるようにその場を離れていった。そして残ったは男子組と璃里亜だけ。
「ねえ……ソウ君………」
「ん?何?」
「あの噂は本当な───────」
「璃里亜ちゃん、ちょっと!」
「ダメダメ、それ聞いちゃ!」
璃里亜が何かを言おうとしたらクラスの女子達に連行されていった。あまりの速さに俺は口をポカーンと開けているだけだった。
「何だったんだ?………一体?」
「なんだろうね?」
男子組の疑問は深まるばかりであった……。
「蒼星、少し話がしたい」
昼休みになって俺に声をかけてきたのは珍しく箒だった。朝から箒は暗くなっていたのには気づいていたので何かあったのかとは思っていたがこうして箒から頼み事をしてくるのは数えるほどしかない。といっても内容が全部一夏関連だという。
剣道の試合をしてから箒にとって俺の扱いはなんか先輩扱いみたいになっているのだがどうしてかは不明だ。
「じゃ、屋上にでも行こうか」
俺は席を立ち屋上へと移動した。
屋上へと着くと、俺は柵にもたれ掛かりながら箒に本題について問いかける。
「で、話って?」
「ああ…それが…」
それから箒の話をしばらくの間、俺はは頷きを入れながら聞いた。
判明したことは思わず何度も溜め息をついてしまうほどの内容だった。
「…つまり今度のトーナメント、優勝に一夏か俺のデート権が付いてくる。そしてその噂の発端は箒で、箒からすればこの噂は寝耳に水と」
「………そういう事だ」
「まじかよー………おーーーーい!!」
「ど、どうしたんだ……」
頭を抱えて俺は叫んでしまった。そんな怪奇な行動を見た箒はうろたえている。
「ああ…だから…リリーはあんなことになっていたのか……」
「お、おい……」
「ていうか!なんで俺にまで被害を喰らってるんだよ!一夏だけで充分じゃないのか!」
「落ち着け!蒼星」
箒にそう言われてはっ!となる蒼星。ふぅー…と深呼吸をしてひとまず落ち着く。
「悪かった……思わず取り乱したよ」
「ああ…大丈夫か?」
「もう今更、言っても変わらないしな。それは置いといてだ。ひとまず一夏がそれを受け取ったかどうかだけど?」
「…受け取ったさ」
「そうか」
一夏は多分勘違いをして、買い物とかいう結論に至っているだろう。全く、彼女達は一夏の鈍感の恐ろしさを知らないとわかっているはずなのだが何故こうも遠回しに接するのだろうか。
「頑張ったんだな」
「そうだ。あの1言を言うのにどれだけ勇気を出したか…」
勇気を出すところが違うと思いますが言っても箒には無意味なので言わない。
「んで、俺にはどうしろと?」
「私に特訓をしてほしい…」
「というと?」
「私を強くしてほしいのだ」
箒ははっきりと言い切る。俺が箒に近接戦闘のコツとかを教えることは可能だが箒が教えて欲しいのはもっと根本的なものだろう。
剣道をしている者としてだ。
だが箒がしているのは剣道であり、俺のしているのは剣術だ。指導してもいいが、まだいろんな面で未熟な箒にはまだ早いと思う。
「それはちょっと無理だね……」
「どうしてだ!」
「俺が箒に教えることは出来ないから。それに剣道ってさぁ…自分との戦いなんだと思う」
「それはそうだが………」
「ただ助言をすることは出来るから応援はするよ」
「本当か!ありがと、蒼星」
箒の喜ぶ姿を見て悪くはないと思った俺だった。話を終えて教室へと戻る。一夏もどこかに行っていたのか教室へと戻ってきた。シャルルは女子達に囲まれて動けなかったみたいだ。
◇
放課後になり第3アリーナに璃里亜は来ていたが先客がいた。それも身近にいる人物達。
「「あ」」
「スズーにセシリアちゃんまで。二人とも特訓なの?」
同じ目的で来たと思われる鈴とセシリアの間にはもう既にバチバチと火花が走っている。
「リリーもセシリアも奇遇ね。あたしはこれから月末の学年別トーナメントに向けて特訓するんだけど」
「あら、奇遇ですわね。わたくしもまったく同じですわ。璃里亜さんは?」
「私も特訓。どうしても負けられない理由が出来たんでね」
そう。あの噂が本当だとすると蒼星が誰かにとられてしまう可能性があるのだ。とられるのは言い過ぎだけどそれだけは絶対に食い止めないといけない───
「ちょうどいい機会だし、この前の実習の事も含めてどっちが上かはっきりさせとくってのも悪くないわね」
「あら、珍しく意見が一致しましたわ。どちらの方がより強くより優雅であるか、この場ではっきりとさせましょうではありませんか」
「あ……私、来る場所間違ったみたいだね…」
───が…………特訓はしたいと思ったいたがそれ以上に二人の火花が散っている中には入りたくない……と離里亜は冷や汗をかいていた。
「ちょっと二人とも。今は駄目だよ。決着はトーナメントでつけるとして、せっかくだから三人で一緒に特訓しよ、ね」
璃里亜の説得に二人はどうにか渋々納得してくれたみたいで火花が散らなくなった。
「───そうですわね。戦って実力差を見せあうよりも、ライバルと切磋琢磨した方が建設的ですわね」
「……うん。トーナメントで当たった時に決着つければいいんだし。今は休戦って事で。それでいいわよね、リリー?」
「そうだ────」
「ね」と璃里亜が喋ろうとすると、それを遮るように砲弾が飛来する。
「「「!?」」」
緊急回避の後、璃里亜と鈴とセシリアは揃って砲弾が飛んできた方向を見ると、そこには漆黒の機体が佇んでいた。
機体名“シュヴァルツェア・レーゲン”。登録操縦者は確か───
「ラウラ・ボーデヴィッヒ……」
セシリアの表情が苦く強ばる。恐らく以前話していた欧州連合のトライアル関連の事を思い出しているのだろう。そうでなければ、あのセシリアがあのような表情はしない筈だと璃里亜は推測する。
「……どういうつもり?いきなりぶっ放すなんていい度胸してるじゃない」
連結した『双天牙月』を肩に預けながら、鈴は衝撃砲を準戦闘状態へとシフトさせた。
「ふ、二人とも落ち着いて?確かにいきなり砲弾が飛んできたのはびっくりしたけど…」
璃里亜もさっきと同じようになだめようとする。
璃里亜は争いは苦手であり出来る限り戦闘は避けたいところなのだ。
「中国の『甲龍』にイギリスの『ブルー・ティアーズ』、それと日本の『エンドロード』か。……ふん、お前らの第三世代型はデータで見たときの方がまだ強そうではあったな」
いきなりの挑発的な物言いに、鈴とセシリアの両方が口元を引きつらせ、璃里亜はラウラの挑発に乗らずに二人を落ち着かせようとはしているものの、二人には届いていなかった。
「何?やるの?わざわざドイツきんだりからやってきてボコられたいなんて大したマゾっぷりね。それともジャガイモ農場じゃそういうのが流行ってんの?」
「あらあら鈴さん、此方の方はどうも言語をお持ちでないようですから、あまりいじめるのはかわいそうですわよ?犬だってまだワンと言いますのに」
「スズーもセシリアちゃんも落ち着いてって。───ボーデヴィッヒさんも同じ学年の人にそんなことを言ったら駄目だよ」
「はっ……。二人がかりで量産機に負ける程度の力量しか持たぬものが専用機持ちとはな。よほど人材不足と見える。数くらいしか能のない国と、古いだけが取り柄の国はな」
そのラウラの挑発とも言える言葉に、鈴とセシリアは頭に来て装備の最終安全装置を外す──が。
「ちょっとボーデヴィッヒさん。今のは酷すぎじゃないかなー」
間に仁王立ちする璃里亜。その表情はニコヤカだが目が怖い。
「ふん。貴様…あの男の近くにいたやつか。───あいつもヘタレだったが、貴様もそうみたいだな」
「なっ…………!私………もう無理………セシリア、スズー誰がやるか決めるよ!」
「………いいわよ。どっちでもアタシはいいわよ」
「ええ、そうですわね。わたくしとしてはどちらでもいいのですが───」
「はっ!三人がかりで来たらどうだ?一をいくら足しても一ずつしか増えん。下らん種馬を取り合うようなメス達にその種馬の相手に、この私が負けるものか」
明らかな挑発で、堪忍袋の緒が切れた二人にはどうでもよく、璃里亜もその発言に完全に怒っていた。
「───今なんて言った?あたしの耳には『どうぞ好きなだけ殴ってください』って聞こえたけど?」
「場にいない人間の侮辱までするとは、同じ欧州連合の候補生として恥ずかしい限りですわ。その軽口、二度と叩けぬようにここで叩いておきましょう」
「私の悪口はいくら言っても構わない───でもね、あなたには知らないソウ君の悪口を聞いて黙ってられるほど…私は心が広くないんだよ!」
得物を握りしめる手にきつく力を込める三人、それを冷ややかな視線で流したラウラ。
──そしてラウラは僅かに両手を広げると、自分側に向けて振った。
「とっとと来い」
「「「上等!!」」」
今、第3アリーナで幕がおりようとしたしていた。
◇
「起動テストかぁ……もう少しだな」
「うん………本体はほとんど出来てる……」
やっと簪の専用機『打鉄弐式』の本体が出来たのだ。後は簪本人に乗って操縦してもらって稼働データをとって細かい調整をして学年トーナメントには出れるようにはしておきたいところ。武装は間に合わないので打鉄の初期装備を頼るので火力は不安だがしょうがない所だ。
「ロックオンシステムは色々大変そうだなー」
「打鉄弐式の中で一番の曲者だと思う」
ロックオンシステムが未成熟な上、稼働データもほとんど満足に取れていない。そのため、データ取りは急務だった。
「アリーナに行こうか、確か………」
「…第4アリーナ」
簪に言われながらも目的地へと向かっていく俺。と、行く途中ガヤガヤ生徒達が密集して何かを見ているのを発見した。その中にのほほんさんを発見した俺は何が起きているのかを聞く。
「どうかしたのか?」
「今、第三アリーナで代表候補生同士が模擬戦やってるんだって~」
「そうなんだ。ありがとう」
一先ず、簪の所へと戻る。後ろからのほほんさんも付いてきた。
「第三アリーナって言うと……一夏達が特訓している所か?」
「でも……凰さんとオルコットさんが模擬戦するだけでこんなに人が集まるなんて、考えにくい」
「リリーも行くっていったよー」
「じゃあ、リリーと戦ってるのか?」
「あ、それにボーデヴィッヒさんも見かけたよ」
「そう言えば……ラウラ・ボーデヴィッヒはドイツの代表候補生、だったはず……」
「それじゃ、戦ってるのはスズー達とボーデヴィッヒさんだってのか?」
「寄ってみたらいいと思う」
何か嫌な予感を感じながらものほほんさんを連れて三人で第3アリーナに行った。
「「「!!!」」」
「いまのは?」
「…爆発音」
第3アリーナから爆発音が聞こえてきた。ただ事ではなさそうな事態になっていたら大変だ。
慌てて階段をかけ上がり、上空の爆発した場所に視線を向けると、その煙を切り裂くように影が飛び出してくる。
「……リリー!?セシリア!スズー!!」
特殊なエネルギーシールドで隔離されたステージから此方に爆発や衝撃波が及ぶことはない───が、此方側からの声も三人には聞こえない。
セシリア、鈴は苦い表情のまま視線を爆発の中心部へ、璃里亜は直ぐ様体勢を整えると二人が視線を向けている中心部へと銃剣を構えたまま突撃していった。
その爆発の中心部にいたのは、漆黒のIS“シュヴァルツェア・レーゲン”を駆るラウラの姿だった
よく見ると、突撃したのISは翼の形をしたブラスターはボロボロ、セシリアと鈴も璃里亜程ではないがISにかなりのダメージを受けていた。
「リリー、あの時とは違うねー」
のほほんさんはそう言うがそれもそうだ。璃里亜の戦闘スタイルは二人を庇いながらも必死に足掻いているからだ。
辺りを見回すと同じようにくいるように見つめている一夏、箒、シャルルがいたので直ぐ様駆けつける。
「一夏、これはどうなってるんだ!?」
「蒼星!俺も来たらこうなっていて……ってその子誰だ?」
一夏の言ったその子とは俺の後ろにいる簪のことだが今はそんなことは言っていられない。
三対一の模擬戦だが、明らかに追い込まれているのは璃里亜、セシリア、鈴達だった。
「くらえっ!!」
鈴のIS“甲龍”の両肩が開く。
そこに搭載されている第三世代型空間圧作用兵器・衝撃砲『龍咆』の最大出力攻撃だ。
当たりかたが悪ければ専用機のアーマーも破壊し、訓練機だとそのまま沈められるかもしれない危険性を含んだその砲撃を、ラウラは回避行動をとろうともしなかった。
「無駄だ。このシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前ではな」
右手を鈴の方へと突き出すラウラ、放たれた衝撃砲による一撃が本来なら当たるはずが、その攻撃はいくら待っても届くことは無かった。
「くっ!まさかこうまで相性が悪いだなんて……!」
見る限りではバリアー等を展開しているようには全く見えない、だが衝撃砲が無力化されているのも事実だ。
そして、そのまま攻撃へと転じるラウラ。
肩に搭載された刃が左右一対で射出、鈴のISへと飛翔する。
その武器は本体とワイヤーで接続されているためか、複雑な軌道を描いて鈴の迎撃射撃を潜り抜け、鈴の右足を捕らえた。
「そうそう何度もさせるものですかっ!」
「私だって…まだまだ動けるんだよっ!!」
鈴の援護のため、射撃を行いつつビットを射出、ボーデヴィッヒを包囲するように向かわせる。
璃里亜も銃剣を銃モードに変型し、援護射撃を行った。
セシリア、璃里亜による十字砲火による射撃を交わしつつ、先ほどと同様に腕を突き出す、だが今度は左右同時であり、その交差させた腕の先では目に見えない何かに捕まれたかのようにビットと、拳銃の弾丸がその場で固定されたように止まった。
「動きが止まりましたわね!」
「貴様もな」
セシリアの正確な射撃、だがボーデヴィッヒの肩の大型カノンの砲撃で相殺されてしまう。
「私も忘れないでね!」
「なっ!いつの間に!」
背後を璃里亜に取られたラウラは思わず慌ててしまうがすぐに落ち着きを取り戻し背後を振り向くと同時に右手をつき出す。
セシリアは直ぐ様連続射撃に移行しようとするが、ラウラは捕まえていた鈴音をぶつけて阻害した。
「きゃああっ!」
「セシリアっ!スズーっ───」
「貴様、なにか使っているのか?この私が先程から見失うことが多いが……」
璃里亜はもしかしてエンドロードの第3兵器の一部を使っているか……。
ラウラは璃里亜はワイヤーで掴んで飛ばしてから二人を攻撃し出す。鈴とセシリアはラウラの展開するワイヤーブレードに捕まり、身動き一つ取れない。対するラウラは二人に拳を打ち込み続けている。やり過ぎなのは火を見るより明らかだった。
「止めろおおおおっ!!」
その時、光と共に観客席のシールドが破れ、隣にいた白式を纏った一夏がアリーナに躍り出た。
「俺も行く、簪ちゃんはここにいて」
俺も即座に麒麟を展開してアリーナに出る。
「一夏、鈴とセシリアを運べ」
「分かった」
ラウラに突進した後、即座に離脱した一夏は俺の電子流砲でラウラを動かした隙をついて鈴とセシリアを回収してその場を離れる。一安心する俺を余所にラウラはレールカノンを璃里亜の方へと向けていた。
「これで終わりだ」
璃里亜は壁にもたれ掛かるようにして動けそうにない。だったら………。
「おりゃああぁぁ」
ムーンへライトを盾代わりに使いどうにか璃里亜に攻撃がいかないようにする。
「…ソウ君……」
「リリーは休んでな……」
「ふんっ…すぐに貴様もあいつらと同じ目に逢わせてやる」
ラウラは右手を俺につき出す。動きを止めるあれをするつもりだろうが甘い。
「そうはさせないよ!」
シャルルの援護射撃が入り、ラウラも思わずその場を退避する。
「シャルル、助かった」
「いやいや、当たり前のことしただけだよ」
「あと、リリーを運んでやってくれないか?」
「え!でも、蒼星一人で相手にすることになるよ」
「大丈夫だ、心配ない」
シャルルはまた何かを言おうとしたが俺の真剣な眼差しを見て小さくため息をつく。
「分かった、でも気を付けてね」
「ああ。感謝するよ」
シャルルは璃里亜を担いで鈴達の所へと運んでいった。目の前に対峙しているラウラはなにもしてこない──
「貴様、どういうつもりだ、この私に一人で挑もうとは、アホだな」
「そうだ。お前にはアホ一人で充分だからな」
「なっ…貴様、その減らず口も叩きのめしてやる!」
「やってみろやぁ!軍人野郎ぉ!」
麒麟対シュヴァルツェア・レーゲンの戦いが今、始まった。
続く──────────────────────────────
よし!早く次の話を仕上げる!
閑話もいつか投稿する!………………(はず)