金色の英雄 IS 【更新凍結中】   作:ソウソウ

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遂に蒼星の過去編になるSAOでの話を別作品で投稿し始めました。勿論、同じ筆者です。もし、良ければそちらの方もご覧ください!!

───とっとと、行こう!!


第21話 学年トーナメント

 一夏はすぐにセシリアと鈴を安全な場所へと移動させる。一夏が見る限り、重傷を負っているようには見えないが心配をすることに変わりはない。

 

「セシリア、鈴、意識はあるか?」

 

「う…一夏……なんとか」

 

「一夏さん…無様な姿を……お見せしまいましたわね…」

 

 二人の反応に一夏は安堵の表情を浮かべる。本当に無事のようでなりよりだ。

 

「……リリーはまだなの?」

 

 周りを確認した鈴がそう尋ねる。一夏はラウラと応戦している蒼星達の方へと目を向ける。と────

 

「一夏!」

 

「シャルル!そうかシャルルが運んでくれたのか」

 

 シャルルがこちらに璃里亜を抱えながらきた。璃里亜の意識はなんとかあるがとても弱々しい……。

 

「シャルル君、もう大丈夫…」

 

 それだけを言うと璃里亜はシャルルに下ろしてもらいその場に立つ。

 

「大丈夫なのか?」

 

 あの二人もなんとか意識を持たせているのに璃里亜はそう感じさせないほどの余裕さがあった。と言っても普段よりは弱々しいが───

 

「それよりも……ソウ君が……」

 

 自分よりも幼馴染みの心配をする璃里亜の視線の先には二機のISが入り交じって交戦していた……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなものか?軍人さん」

 

「ぐっ………好き放題言うな」

 

 俺はラウラの放つ砲弾を回避して動きを停止させる装備も効果範囲が及ばないほどに距離を取る。二人の間に平行状態が続く。そんな状況にラウラは目の前の敵に攻撃が当たらないことに自身のプライドを傷づけていた。

 だが、同時に俺も密かに焦っていた。ラウラの決定打と言えるものは受けてはいないが逆にこちらも攻めることが難しくなっているからだ。やはり電子流砲のみの戦闘だとラウラのISに攻撃を与えることは難しい。故に俺は勝負に出る。

 

《ユカ、エネギア10個展開して》

 

《パパ、分かったよ》

 

 エネギアを展開する。こうしたのにも理由がある。何故ならラウラの動きを止める───いやどちらかというと拘束する停止結界にある。あれはラウラが意識して拘束ることが出来るみたいだ。でも逆に言うと目の前の物にしか影響させることが出来ないのでエネギアによるあちこちからの同時攻撃にラウラは対処できないはず。

 

「君のそのAICは同時攻撃を止めることは出来るのかな?」

 

「貴様………黙れ!」

 

 揺さぶりをかける。ラウラの反応を見る限り予想通りだと確信する。AICに止められても構わないので麒麟のブースターを使って正面から攻めようとする。がラウラは俺よりも先に動いた。プラズマ手刀で俺に振り降ろす。

 

「……やれやれ、これだからガキの相手は疲れる」

 

「……織斑先生」

 

 ───振り下ろされたラウラの一撃を受け止めたのは俺ではなく織斑先生だった。

 しかもその姿は普段と同じスーツ姿で、ISの装着どころかISスーツさえ着ていなかった。

 ───だがその手に持っているのはIS用刀型近接ブレードであり、その長大なブレードをISの補佐無しで軽々と扱っていた。

 

「……模擬戦をやるのは構わん。───が、アリーナのバリアーまで破壊する事態になられては教師として黙認しかねる。この戦いの決着は学年別トーナメントでつけてもらおうか」

 

「……教官がそう仰るなら」

 

 そう素直に頷いたラウラは、ISの装着状態を解除した───と同時に俺も装着を解除し、アリーナへと着地した。

 

「波大、織斑、デュノア、お前たちもそれでいいな?」

 

「了解しました」

 

「あ、ああ……」

 

 そう間の抜けた返事したのは先程戻ってきた一夏だ。

 

「教師には『はい』と答えろ。馬鹿者」

 

「は、はい!」

 

 一夏のここの所はどうも直らないらしい。

 

「僕も…それで構いません」

 

 返事をし直した一夏に、シャルルも追従する形で返事をした。

 その言葉を聞いて、織斑先生は改めてアリーナ内全ての生徒に向けて言葉を言い放った───

 

「では、学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する。解散!」

 

 そう言い放つと、織斑先生が強く手を叩きアリーナ中に強く、鋭く鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから一時間が経過して現在俺は保健室へと来ている

 あの後、簪の専用機の起動テストをどうするかを二人で話し合った結果後回しにした。後日にすることにして今は三人の容態を心配することにしたのだ。さすがにあの後でやるのは気が重いと考えていた俺を簪は気遣ってくれたのだろう………ありがたい……。

 ベッドの上では治療を受けて頭部や腕、脚に包帯が巻かれた璃里亜、セシリア、鈴の三人が居てる。

 ────ただ璃里亜は表情が若干暗く、セシリアと鈴は若干膨れっ面になりながら視線を別方向へと向けていた。

 

「……別に助けてくれなくてよかったのに」

 

 ───と、鈴は此方に視線を向けず壁側に顔を背けていた。

 

「……あのまま続けていれば勝っていましたわ…」

 

 ───セシリアも、鈴とは反対側の壁の方へと顔を背けている。

 二人がこんな態度をとっているのは俺の隣に一夏がいるからだろう。思い人に恥ずかしい姿を見られるのは嫌だから誤魔化している。因みに簪はのほほんさんと一緒にどこかに行ってしまった。打鉄弐式の調整でもするのだろうと思われる。

 

「ありがとね、助けてくれて」

 

 そんな二人とは対称的にお礼を述べる璃里亜。だがいまだに表情は暗い。

 

「リリー、なんでそんなに落ち込んでるんだ?」

 

「だって…私………」

 

 俺の質問にそれ以上何も言わない璃里亜。だが言いたいことは分かった。自分の力で何も出来なくて悔しかったのだ。せっかくの力を無駄遣いして本番にはまったく出せなかったことに璃里亜自身腹が立っているのだ。

 

「まあまあ。でも、3人の怪我が大した事無かったみたいで良かったぜ」

 

 改めて言う一夏だったがそれに反論する二人がいた。

 

「こんなの怪我の内に入らな───いたたたっ!」

 

「そもそもこうやって横になっている事自体無意味───つううぅっ!」

 

(馬鹿なんだろうか………)

 

「バカって何よ一夏! アンタの方が馬鹿じゃない!」

 

「一夏さんこそ大馬鹿ですわ!」

 

「うわ、織斑君ひどっ!」

 

「また心読まれた!」

 

「お前は分かりやすいんだよ……」

 

 と、順に鈴、セシリア、璃里亜が声を荒げた。

 そして、保健室のドアが開くなり入ってきたのは飲み物を抱えたシャルルだ。

 

「好きな人達に格好悪い所を見られたから、恥ずかしいんだよ?」

 

「ん?なんだって?」

 

 さっきのシャルルの言ったことに何故か聞こえていない一夏。よくこういう特殊能力が発生しているが大丈夫かよ…こいつ…と、つい思ってしまうことが多々ある。

 

「なななな何を言っているのか全然分っかんないわね!こここここれだからヨーロッパ人って困るのよねぇっ!」

 

「べべべべ別に私はっ!そ、そういう邪推をされるといささか気分を害しますわねっ!」

 

「私の場合はもうたくさん見られてるから今更なんだよね……………」

 

 二人は顔を赤くして否定する。璃里亜は余計に落ち込む。

 

「あはは…はい、ウーロン茶と紅茶。それに緑茶。これ飲んで落ち着いて、ね?」

 

「ふ、ふん!」

 

「不本意ですが頂きましょう!」

 

「ありがとー、シャルル君」

 

 三人は渡された飲み物を受けとると、そのまま一気に飲み干していく。

 ───余程喉が乾いていたのだろう、あっという間に空になっていた。俺はタイミングを見計らって璃里亜に近づき話を切り出す

 

「なあリリー。あいつらがさあ久し振りに会おうって言ってるけどさぁ今度行くか?」

 

「え!本当に!?」

 

「まあ時間があえばの話だけどな」

 

 いつまでも璃里亜を落ち込むさせるわけには行かないので話の話題を変える。それも璃里亜が楽しみにしている話にすることで璃里亜の機嫌も良くなる。

 

「ま、先生も落ち着いたら帰っていいって言ってるし、暫く休んだら───」

 

 と、シャルルの言葉を遮るように地鳴りみたいな音が聞こえてきた。

 

「な、何なんだ?」

 

「うわ………嫌な予感しかしない……」

 

 そうして揺れが近付いてくるのを聞いていると勢い良く扉が文字通り吹き飛ぶ。扉を吹き飛ぶ所を見たのは初めてだ。そりゃそうだろう………普通の光景では目にしないものだからだ。

 

「織斑君!」

 

「デュノア君!」

 

「波大君!」

 

「な、何だ何だ!?」

 

「み、皆どうしたの!?」

 

「「「「「「これ!」」」」」」

 

「なになに…」

 

「『今月開催する学年別トーナメントでは、より実践的な模擬戦闘を行うため、2人組で参加を必須とする。尚、ペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。締切は───』」

 

「ああ、そこまででいいから!」

 

「「「「「「私と組んで!」」」」」」

 

 全てを読み終える前に告知文を没収され、一斉に一夏やシャルルに向かって伸びていく女子の手───そして、俺にも手が伸びてきていた。

 

「私と組もう、織斑君!」

 

「私と組んで、デュノア君!」

 

「私と組もうよ、波大君!!」

 

 それよりもだ、シャルルが女の子なので他の女子と組むと色々不味いことになりそうな気がする……。

 

「悪いな、俺はシャルルと組むから諦めてくれ!」

 

「「「「「「………」」」」」」

 

「まぁ、そう言う事なら…」

 

「他の女子と組まれるよりはいいし…」

 

「男同士って言うのも絵になるし…」

 

 先手を打った一夏はシャルルと組むことになり特に反対しない女子達。すると俺の方に目線が注目していき───

 

「だったら波大君!」

 

「優勝目指して!」

 

「私と組んで!」

 

「いや、俺はもう組む人決めてあるから」

 

「え……それってもしかして………」

 

「教えてほしいのか?」

 

 女子達は同時にうん!と、頷く。

 

「四組の更識さんだが?」

 

「それなら…………」

 

「大丈夫よね……」

 

 何が大丈夫なのかは分からないがとにかく納得してくれたみたいだ。女子達は保健室を出ていき保健室が静かになる。と思ったら今度は室内の方から───

 

「一夏!」

 

「一夏さん!」

 

「あ、あたしと組みなさいよ! 幼馴染でしょうが!」

 

「いえ、クラスメイトとしてここは私と!」

 

「駄目ですよ!」

 

 二人の言葉を遮ったのは保健室に入ってきた山田先生だった。

 

「えっとお2人のISの状態をさっき確認しましたけど、ダメージレベルがCを超えています。あ!遠堂さんのISのダメージレベルはBだったので大丈夫ですよ。二人の場合は当分は修復に専念していただかないと、後々重大な欠陥を生じさせますよ?ISを休ませる意味でも、トーナメントに参加は許可出来ません」

 

「うっ、ぐっ………!わ、わかりました………」

 

「不本意ですが…非常に、非っ常に!不本意ですが!トーナメント参加は諦めます……」

 

「分かってくれて先生嬉しいです。ISに無理をさせるとそのツケはいつか自分で支払う事になりますからね。肝心なところでチャンスを失うのは、とても残念な事です。あなた達にはそうなって欲しくはないですからね」

 

「はい………」

 

「わかりました………」

 

 渋々引き下がる二人。だがまだ引き下がらない人がいた。

 

「ソウ君!更識さんと組むって本当なの!?」

 

「本当だ。本人に頼まれたからな」

 

 簪に頼まれたのは先程話し合った時にだ。特に反対する理由もなかったので俺は快諾したのだった。簪が密かにガッツポーズをとっていたような気がするが………そんなに嬉しいのだろうか……。

 

「うぅー…………ソウ君がいじわるだ!」

 

 自分が選ばれなかったことで不機嫌に戻ってしまう璃里亜。ぷくっーと頬を膨らまし顔を背け出した。

 

「はぁ……しょうがない……もしリリーが俺に勝ったら俺のこと一日自由にしていいから…」

 

「本当?!本当だね!」

 

 取り敢えずこう言っておけば後はどうにかなる………多分………。

 

「話は変わるけどさぁ、なんで鈴とセシリアと璃里亜はラウラと戦うことになったんだ?」

 

 さっきシャルルに何か難しいことを教えられていた一夏がそう言う。

 と、彼女達はギクッとあからさまに態度が変貌した。

 

「え、いや、それは……」

 

「ま、まあ、何と言いますか……女のプライドを侮辱されたから、ですわね」

 

「なんでって……向こうが────ふぐっ」

 

「黙っててくださいまし!」

 

 セシリアが璃里亜の口元を封じて言わせないようにしている。どうせ一夏と俺の悪口でも言われたからそんなことになったんだろうと思うが……。

 

「ああ。もしかして蒼星や一夏の事を───」

 

「あああっ!デュノアは一言多いわねぇ!」

 

「そ、そうですわ!まったくです!おほほほほ!」

 

 今度は鈴がシャルルの口を封じようとする。

 口を覆われたシャルルは苦しそうにもがいている。

 

「こらこら、やめろって。シャルルが困ってるだろうが。それにさっきからケガ人のくせに体を動かしすぎだぞ。ほれ」

 

 そう言って一夏は鈴とセシリアの肩を指でつつく。

 

「「ぴぐっ!」」

 

 痛みが走った二人は変な言葉かつ甲高い声を上げて、その場で凍りついた。

 

「ソウ君、私もやって?」

 

「なんでだよ!」

 

「…………けち」

 

「俺、なにもしてないよね!」

 

「あ……すまん。そんなに痛いとは思わなかった。悪い」

 

 鈴とセシリアの沈黙と恨みがましい視線に一夏はすぐに謝る。璃里亜が変なことを言ってくるが俺は相手にしない。

 一夏の後のことが残念なことになるがどうでもいいので俺は保健室を出たのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『学年トーナメント』

 

 それは全校生徒が参加するIS学園独自のイベントである。女子達は各自にそれに向けて色々準備をしたり、またはめんどくさいと感じたり、目標を立てたりしたりと様々である。

 学年ごとにトーナメントを組まれるので大掛かりなイベントになる。それも何日間かけて。それはあまり関係ないが今回の学年トーナメントはいつも以上に気合いが入っていた。

 何故なら優勝したものには“男子の誰かと付き合える"という特典付きだからだ。2,3年生はどうなるの?という先輩からの意見も飛び交っている。こんな機会は滅多にない。しかも誰でも狙える絶好のチャンスにほとんどの女子達が張り切っていた。

 そこに一つのルール変更が入り込んだ───それは急遽、タッグ戦に変更するという今までにはない異例の事態だった。何故こういうことになったのかと言うと学園側の意図は単にこの前の無人機襲来があったので今回も何かあった際に出来る限り人数がいたほうが良いという判断からだ。

 そんなことは露知らず女子達は一夏派、蒼星派、シャルル派に別れてお互いに重なりあわないようにタッグを組んでいった。優勝したときに取り合わないようにするためだ。噂は本当になっているが一夏とシャルルはそんな事は知らないのに急にそんなことにされても困るだけなのだが今更になってどうすることも出来ないので流れに任せることに蒼星はしていた。

 タッグと言えば………ときたところで1,2組の生徒はある事を思い出した。それもとても重要な事だ。

 それは蒼星と璃里亜にタッグを組まれたらやばい!ということ。

 あの二人のコンビネーションを目の当たりにした生徒はそう焦りを感じた。というかほとんど組む可能性が高いのだ。

 専用機持ち達はリミッターをかけられるので性能では訓練機とほとんどなんら変わらない。まあ、一夏と言う例外もいるが。

 なので勝負の決めてとなるのは操縦技術とお互いのコンビネーションが鍵となる。操縦技術は一年生の間ではまだそんなに訓練しておらず専用機持ち以外ではそんなに差がないので必然的にコンビネーションがどれだけ取れるかに勝敗が変わってくる。

 けれどあの二人は組ませたら無敵といってもいいレベル。あれに対抗するために今から特訓しようがもう遅すぎる。だから根本的にあの二人のタッグを組ませないことに生徒達はしたのだ。

 この女子達にとってある意味危機な情報はすぐに広まる。そして直ぐ様、行動を開始したIS学園の生徒達。色々模索したところで保健室に男子達が全員いるのが判明した。

 ………ということで突入。

 結果、扉を突き破ってしまうほどの勢いだった(後で織斑先生に怒られそう……)がそんなことは関係なしにと単刀直入に本題に入る。一夏はシャルルと組むとなったがこれはこれで一部の女子達は大喜び。ほとんどの生徒の納得にいく選択だった。だが、まだ終わっていない。蒼星が誰と組むということだ

 

「俺もう組む人決めてあるから」

 

 この言葉を聞いた女子達は終わりと絶望的な何かを感じた。その相手が璃里亜だと自分達が優勝できる可能性が大幅にダウンしてしまう。女子達はどうにか蒼星のタッグの相手が聞き出そうとしていた。

 と、本人からそう言ってきてもらえるようだ。女子達は絶望を感じながら───同時にもしかしたら……の可能性をかけて耳を傾ける

 

「四組の更識さんだが?」

 

 思わず女子達は安堵のため息をつく。そして良かったぁー!と心の中で全力で喜ぶ。だが顔に出してはいけない。とにかく目的は達成されたので女子達は軽い気持ちで保健室から去っていった。

 

「ちょっと待って…更識さんって確か………日本の代表候補生だったよね……」

 

 誰かがそう言った瞬間空気が固まった。一気にその場の温度が下がったような幻覚さえ覚える。

 こうして女子達の苦労はほとんど意味をなさなかったのである────────

 

 

 

 

 

 

「………一つお願いがある」

 

 起動テストはまた後日にすると決めて一段落ついた時に簪は改まってそう言う。

 

「何かな?」

 

「私とタッグを組んでほしい」

 

 ここまで蒼星にはっきりと言ったのは初めてだった。簪は恥ずかしくなり顔を俯ける。そして目の前の人からの返事を待つ。

 

「タッグって言うと……学年トーナメントのやつか?」

 

 「うん……」と簪は俯きながら答える。

 

「いいよ」

 

 蒼星はあっさりとそう答えた。何故蒼星が既にタッグの事について知っていたのかと言うと部屋で蒼星は会長に教えてもらったからだ。

 予想外のあっさりさに簪は顔を上げて蒼星を見つめる。そしてつい一番の不安要素について尋ねてしまう。

 

「遠堂さんは………」

 

 てっきり蒼星は璃里亜と組んでいると簪

は考えていたので断られる覚悟までしていたのにこれはこれで驚きを隠せない。

 

「ああ……リリーともいいけど……まだあの時の決着もついてないからね……」

 

 あの時が何を指しているのかは簪は分からなかったがそんなことよりも嬉しさで胸が一杯になる。こんなに嬉しいと思ったのは久し振りだ。すっかり忘れていた感情に浸されながら簪は思わず手を握りしめガッツポーズを小さくとった。

 一人の少女の小さな勇気が叶った瞬間だった───

 

 

続く──────────────────────────────

 




蒼星のパートナーは離里亜と見せかけてのまさかの簪ちゃん。
因みに蒼星と離里亜が対戦する可能性は低いです。筆者の実力不足なもので………すみません。
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