───では、どぞどぞ!
俺は席を立った。
「え~と、女性は男性よりも強いってなっているけど、それはおかしいということです」
「何故あなたはそう思いますの!!」
セシリアが聞いてきた。そんなに大声で言わなくても言うつもりだ。しかも俺のいう内容は少し考えれば分かることなのに。証拠は目の前にあるんだから。
「女性が強いのはさあ、あくまでもISが使えたらっていう話だということだよ。つまり、女性がISを使えない状況に陥った場合、もしくは男性がISを使えるとなったら話が変わってくるんじゃないかと言っています」
「「「「「「「…………っ!」」」」」」
クラスのほとんどが目を見開いた。ここまでこんな簡単なことに気付いていなかったとはこっちも目を見開きたい気分だ。
「現に今、ここにISを使える男性が一人ならず二人いるじゃないですか。だから、男性は女性より弱いのはのはあながち間違っていると思います……………それと、一夏!」
「………!!」
急に自分の名前を呼ばれるとは思っていなかったみたいでつい、一夏は驚いてしまった。
「こんな奴等にハンデなんて与える必要なんてないからな!!思いっきり打ちのめしてこい」
「おう、任しとけ」
一段落がついたと思った織斑先生はざわついているのを静めた。
「それでは、勝負は次の月曜、第三アリーナで行う。織斑とオルコットと波大はそれぞれ、準備をしておけ」
「分かりました」
「承知しましたわ」
「………了解です」
うわ、俺も決闘するのかよ………と巻き込まれてしまった蒼星だった。あんなことを言った意味がないではないか。
一夏に全てを託す感じで言ってみたのだが、結局は巻き込まれる羽目になった。
授業終了後、何人かのクラスメイトの女子が何故か謝りにきた。俺は───「気にしてないから」と言い和解した。それに璃里亜が顔を赤くしながら「かっこよかったよ」、と言って逃げ出してしまったことについてはよく分からない。
一夏の方はというとセシリアから何か言われていた。
「う、ぅ………」
放課後、一夏は、机にぐったりもたれ掛かっていた。
今、教室にいるのは俺と一夏だけだ。
「なんで……こんなに難しいんだ?」
「さあね、頑張るしかないんじゃないのか?」
「蒼星は分かるのか?」
「ある程度は分かるよ」
「へえ~、すごいな」
「そりゃ、誰かさんとは違って予習してますから」
「う………それを言われるとおしまいだ」
「取り敢えず、試合までにはどうにかしないとな」
「誰かに教えてもらうか」
「まあ、それが一番かな」
「誰が良いだろうか………千冬姉はちょっとあれだし………そうだ!山田先生はどうかな?」
一夏はそう蒼星に提案をしてくると教室の扉がガラリ、と開いた。
「あ!ここにいたんですね、織斑君、波大君」
山田先生、タイミングが良すぎるのは気のせいだろうか。
「それで、どうしたんですか?」
一夏が話を進めようとする。山田先生は何かを思い出しながら言った。
「えっとですね………寮の部屋が決まりました」
そう言って部屋番号の書かれた紙とキーを、一夏と蒼星に渡す山田先生。
IS学園は全寮制だ。その表立っての理由は生徒の安全確保とか言うもの。何処の国も優秀な操縦者の確保に必死になっている現状、妥当な制度と言える。一夏や蒼星が自宅から通学すると確実に学園にたどり着かないだろう。
蒼星は元々、寮で暮らすものだと思っていたので驚きは少ないが、一夏はそうではなかったようだ。
「あれ?俺の部屋、決まってないんじゃなかったんですか?前に聞いた話だと、一週間は自宅から通うって話でしたけど」
「そうなんですけど、事情が事情なので一時的な処置として部屋割りを無理やり変更したらしいです」
「しかも俺と一夏は同じ部屋じゃないんですね…………」
「うわ、まじかよ」
「すみません…………ちょっと時間がなくてこんなってしまいました。ちなみに織斑君は1025室。波大君は1026室となっています」
「隣だな、一夏」
「おう」
「それでですね、織斑君と波大君の荷物のことなんですけど────」
「私が手配しておいてやった。ありがたく思え」
「ど、どうもありがとうございます……」
「まぁ生活必需品だけだがな。着替えと、携帯電話の充電器があればいいだろう」
そう言う織斑先生はいかにも感謝しろというような態度を取っている。ていうかそれだけって大丈夫かよ。一夏よ、どんまいだなと心の中で密かに思っておく。
「波大の方はお前が世話になってるところの両親方が送ってくれたぞ」
「そうですか。分かりました」
「ん?蒼星の両親はどうしたんだ?」
一夏はふとそんな疑問が沸いてきたので思わず蒼星に聞いていた。
「俺の両親は知らないっていうか────記憶がないんだ………」
「───っ!…わ、悪い………」
軽い気持ちで聞いてしまった一夏は慌てて謝る。だが、蒼星は特に気にした様子はない。
「別にいいけど、小学2年のことだし俺はもう気にしてないしな。」
少し暗い雰囲気になってしまった。それに気づいた山田先生は────
「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね。夕食は六時から七時、寮の一年生用食堂で取ってください。ちなみに各部屋にはシャワーがありますけど、大浴場もあります。学年ごとに使える時間が違いますけど……えっと、お二人は今のところ使えません」
───と言った………。
「え!入れないんですか?」
すると一夏が爆弾発言した。一夏は少し発言に気を付けて欲しいところがある。
「お前、女子と入りたいのか?」
「いや!そんなわけはない!」
「え!織斑君、女の子に興味ないんですか。それはそれでちょっと────」
変な方向へと山田先生が暴走し始めてしまった。さらに────
「織斑君って男好きなの?──」
「じゃあ、波大君は攻めかな?───」
「きゃあー!やばいよ、それ──」
「いますぐに織斑君の交遊関係をしぼって──」
いつの間にか廊下に固まっていた女子達にも聞こえてしまい酷いことになっている。
「おい、一夏。あれをどうにかしろ!」
「どうにかしろって言われてもなぁ………」
「じゃあ、私は仕事があるのでこれで…」
そう言い山田先生はどこかへと逃げてしまった。
「さっさとここを抜けて行くぞ、一夏よ」
「そうだな」
蒼星達は苦笑いを浮かべるしかなかった。
「…………え~と、ここか!」
「俺も見つけた。隣だしな」
無事教室から寮まで迷わずに来れた俺達は渡された鍵の部屋へと来ていた。
「じゃあな、蒼星」
「隣だから言う必要ないだろ」
「それもそうか」
そう言い俺達は部屋へと入ろうとした。が、その前にドアをノックする。
そういえば、一夏はノック無しで入ったようだが、大丈夫なのだろうか。まあ、そもそも俺の心配することでもないので、思考から省く。
コンコン…………。反応はない。
「よし、誰もいないみたいだ」
俺は中に人はいないことを確認してから中へと入っていった。
「おお!すごいな、これ」
中には想像してたよりも綺麗な部屋があった。ひとまず俺は荷物を適当に置いてからベッドへとダイブした。
「気持ちいいな、これ………」
感傷に浸っているとドアがノックされていることに俺は気づいた。
「誰ですか」
「───俺だよ」
一夏だった。
「とにかく部屋に入れてくれ」
一夏がそう言うので俺は部屋に入れてやった。
「なんか、色々大変だな………」
俺は一夏のどんな目にあったのかを聞いてきた。
一夏が部屋に入ると誰もいなかったみたいだか荷物は置いてあったみたいで一夏はとりあえず荷物を置こうとしたら洗面所からバスタオル1枚だけを身につけた一夏の幼馴染みである篠ノ之箒がいたという。思わず箒は竹刀を振り回してしまい危険を感じた一夏はこっちに避難してきたというわけだ。
「謝ってこい、一夏が!」
「なんでだよ!?」
「女にとって裸を見られることは一生の恥だって俺の知り合いが言ってたし、それに一夏が確認もせずに部屋に入るからだ」
「そ、そうか………」
「ほら、行ってこい」
一夏は自分の部屋へと歩き出した。
しばらくして、一夏がドアをノックしてきた。開けると、そこには一夏と後ろに箒がいた。
「蒼星も食堂行かないか?」
無事一夏と箒は和解できたみたいで元通りになっていた。────箒が一夏に好意を抱いていることも分かった。一夏は気付いていないみたいだ────
未だに俺のルームメイトが来ないのでとりあえず俺は食堂へと向かうことにした。
食堂での料理はとても美味しかったと言っておこう。ただ周りからの目線が凄くてあまり味わうことが出来なかった。ごめんなさい、作ってくれた人。
部屋に戻った俺はすることがなく、相変わらずルームメイトもいないのか帰ってこないのかは分からないがとりあえず今、ここにいないので暇である。
「シャワーでも浴びるか………」
そう決めた俺はシャワールームへと向かった。
「はあ、疲れたよ……」
璃里亜は放課後からずっと自分の両親がいる研究所への報告等をかねて電話を母親にしていたがその母親が自分にソウ君のことばかりを聞いてくるので対応に困ってしまい時間がかかってしまった。食堂へとぎりぎりの時間に向かって食事を取ってから寮にある自分の部屋へと荷物を持って行った。
(あ!ルームメイトって誰だろ?)
ふとそんな疑問が頭に思い浮かんだが、出来るなら大人しい人がいいなぁと思っている璃里亜であった。
自分の持っている鍵の番号と同じ部屋の前へと到着した璃里亜はとりあえず深呼吸した。なぜ、これをする必要があるのか自分でもよく分からないが気持ちが落ち着いたのを確認して扉を開けた……。
ガヂャリ・・・と音がして中に入ろうとした璃里亜だが目の前にある確かシャワールームだったはずの扉が勝手に開いた。出てきたのは下にジャージを着ていて、上半身は裸で肩にバスタオルをかけている人がいた。
「リリーか……どうしたんだ?」
目の前にソウ君が現れて気が動転してしまい私は思わず────
「え…………」
その場で固まってしまった。
続く───────────────────────────
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