金色の英雄 IS 【更新凍結中】   作:ソウソウ

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気付けば11月………。寒くなってきましたね。
まぁ逆に蒼星達は夏を迎えてるんですけどね。

それはそうと、蒼星と束の関係をどうしようかと悩んでいます。お互いに敵視をするか、また束が蒼星のことを気に入るのか………何か、案があれば感想まで。

───では、スタート!!


第28話 天災の襲来

 次の日、俺は朝ごはんを食べ終えた後に浜辺から離れた岩場へと来ていた。

 これからするのは一般生徒にはあまり関係ないが、専用機持ちや開発者などには必須のことだ。具体的に言うと、ISの各種装備試験運用とそのデータ取り等をしなくてはならないのだ。

 俺の元に新たに送られてきたのは一つだけだったので、後は麒麟の整備に回そうと考えていた。ユカが色々と調整してほしい所があるそうなので主にその対応をするつもりでいる。

 離里亜は俺とは違って、たくさんの装備と“エンドロード”本来の装備である第3兵器の調整に時間を取られるそうだ。

 簪は機体の方はほとんど完成しているので、装備の細かい設定に本格的に入るつもりでいるらしい。

 俺の一番気になっていることといえば、何故か専用機を持っていない箒もここにいるということなのだ。織斑先生の指示だったので説明はあると思うが、考えてもきりはない。

 

「ようやく全員集まったか。───おい、そこの遅刻者」

 

「は、はいっ」

 

 織斑先生に呼ばれて身を竦ませたのは、凄く意外な人物であるラウラだ。

 軍人であるラウラが珍しく寝坊したみたいで、集合時間に五分遅れてやってきたから遅刻となっていた。

 

「そうだな、ISのコア・ネットワークについて説明してみろ」

 

「は、はい。ISのコアはそれぞれが──」

 

 ラウラは織斑先生に言われたとおり説明を始める。しかも一切噛むことなく俺でもあんなに自然に言うのは難しい。あそこまですらすら言えるという事は、ラウラ自身が優秀且つ織斑先生に相当叩き込まれたってところだろう。俺の隣にいる一夏なんてラウラの説明を聞いて凄く感心してる。

 

「さすがに優秀だな。では遅刻の件はこれで許してやろう」

 

 そう言われると、ラウラはふうと息を吐いて安堵した。あの様子を見る限り、恐らく織斑先生のドイツ教官時代にかなりしごかれたようだ。因みに教官をしていたことは一夏から聞いている。

 

「さて、それでは各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行うように。専用機持ちは専用パーツのテストだ。全員、迅速に行え」

 

 生徒一同が一斉にはーい、と返事をする。一学年全員が一斉に並んでいるから、かなりの大人数だ。

 今から始めようと織斑先生は専用機持ち達に声をかけるが、セシリアが「あのぅ………」と恐る恐るといった感じで声を発した。

 

「どうしんだ?オルコット」

 

「箒さんは違うのでは?」

 

「あぁ、そのことなんだが───」

 

 誰もが思っていた疑問をぶつけられた織斑先生は答えようとするが、第3者による大声に遮れる。

 

「ち~~ちゃぁぁぁぁ~~ん!!」

 

「………あの馬鹿が」

 

 織斑先生はため息をついた。

 原因だろうと思われるのは、あの崖から凄いスピードで駆け降りてきている人と思われる。

「やあやあ!会いたかったよ、ちーちゃん!さあ、今すぐにハグハグしよう! そして愛を確かめ───ぶへっ」

 

 遠慮なくアイアンクローをするとは流石織斑先生だろうか。しかも思いっきり指が食い込んでいるから、全く手加減してない。

 

「うるさいぞ、束」

 

「ぐぬぬぬ……相変わらず容赦ないアイアンクローだねっ」

 

 織斑先生の強力なアイアンクローからあっと言う間に抜け出すとは………やはり見た目とは裏腹にかなりの身体能力を持っているようだ。

 隣の簪と離里亜に謎の人物について伺ってみる。

 

「誰だ、あの人?」

 

「さあ?どこかで見たことはあるけど………」

 

「篠ノ之博士だと思う」

 

「へぇ~。あんな人が」

 

 簪の言うとおりだとすると、あんな破天荒な人がISの生みの親だとは見ただけでは思えない。

 そして篠ノ之束は次に箒の方を向く。

 離里亜は時間が惜しいのと、簪は興味がないので作業に入っていってしまった。

 

「やあ!」

 

「………どうも」

 

 嫌そうに答える箒。姉妹であるはずなのに、箒は拒絶の態度を示している。

 

「えへへ、久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかなぁ。おっきくなったね、箒ちゃん。特におっぱいが───」

 

 今、物凄い音が鳴ったような気がした。

 

「殴りますよ」

 

「殴ってから言ったぁ!しかも日本刀の鞘で叩いた!ひどいよ箒ちゃんひど~い!」

 

 殴られた頭を抱えて涙目で訴える束。俺は勿論、周りの皆は状況に追い付けないようで表情がポカーンとしている。

 

「あ、あのうこの合宿では関係者以外立ち入り禁止の───」

 

「これは、珍妙奇天烈なこと言うね。ISにおいての関係者は私をおいて他にいないよ!」

 

「そ、そうですね」

 

 山田先生ですら撃沈。だが、この人を止めようなんて俺はしない。そんなことをしても無駄に疲れが溜まりそうだからだ。

 

「おい、束。自己紹介ぐらいはしろ。私達以外の生徒が驚いている」

 

「ええ、面倒だな。私が天才束さんだよ~、よろしく。はい終わり」

 

 そして全員がこの人があの篠ノ之束だと分かると全員が驚愕した。これがあのISの生みの親だとは俺も思いたくはない。しかしこれだからこそのISなのかもしれない。

 ユカが通信で話すが、些か口調が暗い。

 

《パパ~、早くしてよ~》

 

《そうだな。早くやりますか》

 

《私、あの人は苦手~》

 

《苦手?ユカを作ったのはあの人じゃあ?》

 

《そうだけど、苦手なの~》

 

 ユカとはどこか気の合わなかった所があったのだろう。ユカがこうして嫌そうな感じをするのは滅多にない。

 騒動の場から離れた所で、作業を開始した俺は麒麟のデータをユカのサポートと、麒麟の開発の担当しているレクトから送られてきたデータを参考にして進める。コンテナも送られてきていたようだが、それは後回しにする。

 

「うおっ!?なんだ!?」

 

 突如襲ってきた揺れに俺は作業を中断した。周りを見渡して確認すると、一夏達の方にとてつもなく大きなコンテナが地面へと突き刺さっていた。あれが揺れの原因のようだ。

 

「波大君、今のは………?」

 

「多分、あそこにある物体のせいだろ。………というか簪ちゃんはもう終わった?」

 

「ちょっと蒼星君に聞きたいことがあって………」

 

「ん、どれ?」

 

「でも………邪魔するのも………」

 

「そんなに急ぐ必要はないから、大丈夫だって」

 

 遠慮する簪を説得さして、俺は簪の疑問に答える。

 内容は装備の細かな調整についてだった。これなら俺でも相談に乗ることが出来るほどだったので正直に答える。

 

「────でどうかな?」

 

「うん。試してみる」

 

 簪は頷くと、俺の麒麟の調整の邪魔にならない位置で再び作業を始めた。

 俺もほとんど終わりかけの作業にてをかけているが、最後の難関が立ち塞がりどうしうもなく頭を掻いていた。

 

「………ナニコレ?」

 

 レクトとからはデータと共にコンテナも送られてきていたが、その送られてきた物が目を疑う物だった。

 

「でっかい盾だな………」

 

 とてもない大きさの盾がコンテナの中に居座っていた。これを麒麟で持てるかどうか不安なほどの巨大さを誇っていた。丁寧に盾の所に“蒼星君専用~”と書かれた貼り紙が貼られていた。これを張ったのは、離里亜の母親だ。遊び心満天で作られているような気がした。

 

 ───『ジャイアントシールド』───

 

 この名前を見たとき、確信した。自分の考えは正しかったのだと。

 よく見ると隣に“冗談だよ~”と追加書きがされていた。ちょっとした出来心で書いたようだ。

 

 ───『ヴォルスシールド』───

 

 ………これが本当の名前らしい。

 

「なみむー、何してるの?」

 

「のほほんさんか。これをどうにかしようとしてる」

 

 コンテナの中で巨大盾をどうしようかと頭を捻らせていると、本音がピョコと顔を出した。簪の様子を見に来たついでにこちらにも顔を出したのだろう。

 本音はこれを見ると「ほぇ~」と声を出した。

 

「凄いね~、これ」

 

「こんなの使う機会あるのだろうか…」

 

「ないよね」

 

「だよね~」

 

 本音に断言されて、俺も頷く。

 防御用装備を欲しいとなんとなく伝えてはみたが、まさかこんな代物が届くとは思いもしない。

 取り敢えず麒麟の中にしまっておくことにして事なきを得ることにした。

 麒麟を装備しながら、一度どのくらいの重量なのか試しに持ってみたが意外と軽かった。

 その時に気付いたのだが、これの縁に沿って何かを嵌めるようなくぼみがあった。それも5ヶ所。

 データによる説明によると、この巨大盾の中にコイルの働きをする部品も入れておいたらしい。それも俺の考えていた使い道に絶好な所にだ。

 そうなると、案外これの用途は広くなるかもしれない。さらに言うと、これは完全に麒麟専用装備になる。

 コンテナを出ると、簪が空を見上げている様子が目に入る。つられて俺も目線を上へと上げる。

 空にはISが舞っていた。

 

「あれは………見たことないISだな」

 

「篠ノ之さんのISらしいよ~」

 

「箒のか?」

 

 だから、専用機持ちが集められた時に箒も織斑先生に呼ばれていたのか。納得だ。

 それにしても箒の乗っている深紅のISはとてつもないスピードで空を舞っている。麒麟のスピードよりも早いかもしれない。そこが、大事というわけではないので俺は特に気にしないが。

 箒は2本の刀を取り出した。右手に握っていた片方を左肩に持っていき前へと突きを放った。あれは確か、剣術で防御型に入るものだったはずだ。

 すると赤色のレーザーの球体が出現したかと思うとそれらは弾丸と化して辺りいったいの雲を四散さした。

 

「ミサイル………」

 

 突如、どこから現れたのか分からない大量のミサイルが箒の方へと向かっていく。

 箒は問題ないとばかりにもう一本の刀を振り上げた。帯状のレーザーが現れてミサイル全てを撃墜した。

 

「なみむー、どうしたの?」

 

「いや………あれはちょっと危ないなって思っただけだ」

 

「あのISが?」

 

「違う。箒のほう」

 

 今までのが、テストだったのか箒は一夏達の方へと降りていく。そこと俺のいる場所は距離があるため遠目になってしまうがそれでも分かった。

 ───今の箒は浮かれている。

 玩具を貰った子供のように箒は嬉しそうな表情をしていた。いつも通りの態度をとっているつもりなのだろうが、俺から見ればいつもと違うのは丸わかりだ。

 そこまで思考が走ったとき、離里亜からのプライベート通信が入ってきた。

 

『ソウ君。あのIS凄く高性能みたいだよ』

 

「そうだな。世界は広いもんだなぁ」

 

『やっぱりそんなに驚かないの?』

 

 離里亜には予想通りといった感じで返事をされてしまった。まあ、これも想定範囲内なので驚きはしないが。

 

「使い手があれだと、持ち腐れだろ」

 

『う~ん、私も同じ考えだけど………ソウ君は紅椿に勝てるの?』

 

「微妙だな。曖昧な所だからやってみないと分からない。というかリリーはもう終わったのか?」

 

『あ!まだ残ってたんだ!』

 

 それを最後に通信は切られた。箒の方へと気を取られていたらしい。

 離里亜の言葉の中にあったのだが、あの深紅のISは“紅椿”と言うらしい。さらにあれほどのスピードを出せるのは、敵となれば強敵となりうる存在になるだろう。

 それでも、搭乗者があの状態だとそんな心配をする必要はない。本人が慢心だという自覚に気づけば良いのだがその可能性は今の箒を見る限り、薄い。

「なみむ~、来るよ~」

 

「ん?誰が?」

 

「織斑先生」

 

 本音に言われて、ようやく織斑先生がこちらに向かって歩いてきていることに気付いた。

 その表情は複雑そうな感情に惑わされているような感じだ。

 

「波大、付いてきてもらっても良いか」

 

「何かあったんですか?」

 

「束がお前を呼んでるんだ」

 

「俺を?ISはどうすれば?」

 

「………すまんがそのままで構わん」

 

 織斑先生はいつもとは違って申し訳なさそうに話している。これは異例だ。

 麒麟を待機状態にしたまま織斑先生に付いていこうとしたのだが、制服の袖を引っ張られて足を止める。

 

「………」

 

「簪ちゃん?」

 

 掴んだのはISの調整に夢中になっていたはずの簪だった。彼女の目はどこか不安げに儚くなっていた。

 

「私………嫌な予感がする」

 

「大丈夫だって。話をするだけだから」

 

 ポンポンと簪の頭に手を置いて、安心させる。今はそれで納得してもらえたようで掴んでいた手が離される。簪の頬が少し赤く染まっていた。

 本音と簪に見送られて、一夏達の方へと移動する。そこは一目では表しにくい状況になっていた。

 セシリアが落ち込んでいるようで、鈴が慰めながら篠ノ之博士の方へと敵意を向けている。一夏はどうすれば良いのか判断出来ずにおろおろしているし、ラウラは考え事をしているのかその場から動く気配がない。

 そして………箒は申し訳なさそうな瞳で俺のことを見ていた。何故そんな視線を送るのか疑問だったが、それはすぐに解決されることになる。

 

「波大、単刀直入に言う。すまないが箒と戦ってもらってもいいか?」

 

「藪から棒にですね。どうして、俺なんかが?」

 

「説明しろ、束」

 

「えぇ~、めんどくさい~」

 

「理由もなしに私の生徒に手を出させるわけにはいないからな」

 

「しょうがないなぁ~。ただ単に箒ちゃんがその子のことを尊重していたからね~。この紅椿とどこまでやれるのかこの目で直に見てみたいんだよぉ~」

 

「だそうだ」

 

 そんなことを言われたって、俺としては興味はない。ただ………織斑先生も教師というよりは個人としての頼みのようなので、何か考えでもあるのだろうか。

 でも俺の考えを変えることはない。

 

「お断りします」

 

「………理由を聞こうか、波大」

 

「そちらには利点があるのですが、俺にはない。ましてや、まだその機体に慣れてない箒と試合をするのは時間の無駄だと思います」

 

「なっ………!!」

 

 箒が絶句したようだが、そんなことは気にしない。束は想定済みとばかりに、新たな提案を出してくる。

 

「もし箒ちゃんに勝てたら、私がそこの金髪に謝って、ついでにISを見てやっても良いよ?」

 

 この提案に俺はなんのことかさっぱりだったが、織斑先生は驚愕していた。セシリアと一夏の方も同じように驚いていた。

 織斑先生は束を見据えて尋ねる。

 

「束、お前それは本気で言ってるのだろうな?」

 

「勿論だよ、ちーちゃん」

 

 あっさりと頷く束に織斑先生はまだ信じられないような顔をしていた。話が読めない俺は話の分かりそうな鈴と一夏にプライベートチャンネルを開いた。

 

『セシリアに謝るって何があったんだ?』

 

『セシリアがISを見てくれるように頼んだのに一刀両断されて、罵倒されたのよ!』

 

『なるほど。一夏は他にあるか?』

 

『束さんが謝罪するって性格からしてあり得ないんだ。束さんは他人にはまったく興味を示さない人だから』

 

 そう言われると織斑先生が驚くのも無理はない話だ。話を聞く限り、噂の天才はまったく他人には関わりを持たないらしい。

 そこに出た俺が箒に勝てれば、謝罪するの一言。先程から怪しい笑みを浮かべている束が何を考えているかは読めない。

 

『分かった。サンキューな』

 

『え!?蒼せ───』

 

『ちょっと!?何する───』

 

 こちらから一方的に通信を終了さして、束の方へと向き直る。

 

「答えは決まったかなぁ~?」

 

「分かりました。こちらにも利点が出来たのでやってもいいですよ」

 

そう言うと同時にユカにも確認をとる。

 

《機体の方は大丈夫か?》

 

《うん!準備万端だよ!》

 

 ユカの許可も取れた所で、俺は覚悟を決める。

 再び俺の台詞に織斑先生は驚愕する羽目になるが、俺の覚悟を決めた瞳に言っても無駄だろうと判断したのかため息をついた。

 

「…………はぁっ。束、模擬戦をやるにしても制限時間を付けさせてもらうぞ。良いな?」

 

「オーケーだよ~ちーちゃん。その子がやってくれるなら文句は言わないよ~。箒ちゃ~ん、今から模擬戦を───」

 

 織斑先生から模擬戦許可を貰った俺が準備をすると、篠ノ之束は箒に通信をしていたのであった。

 ………あ。後で簪ちゃんに謝らないと…。

 話をするだけと言っただけなのに、試合をするといつの間にか話が大事になってしまった。

 離里亜にも一言言っておかないと色々と言われそうだし、少し試合を許諾したことを後悔した俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 岩場から離れて、海面の上に向き合う2機のIS。周りに被害が及ばないようにこちらへと移動してきた。

 ───“麒麟”と“紅椿”。

 麒麟の搭乗者は呑気に肩を回したり、ストレッチしたりと試合前の準備体操をしていた。

 紅椿の搭乗者はまだこの展開に躊躇しているのか些か、覇気がない。

 

 数分前───

 

『なあ、俺、試合をすることにしたから』

 

『ええ!?なんで!?』

 

『やっぱり………話をするだけじゃなかったの?』

 

『………ごめんなさい。後で埋め合わせはするから簪ちゃん』

 

『分かった』

 

『もぅ~!ソウ君!後で聞くから覚えておいてよ!』

 

 先程二人の少女に試合をすると伝えたら、少し説教させられそうになった蒼星は箒の様子を見かねて近づく。

 

「箒、通信は切ってるか?」

 

「あぁ………言いたいことがあるのなら、言ってくれ………」

 

「んじゃあ、折角なんだし楽しもうか」

 

「楽しむ?」

 

「別に迷惑かけてるって思ってるなら気にすんなよ」

 

「………だが」

 

「こうなるとは思ってなかったんだろ?今は試合に集中だ。後のことは一夏と一緒にでも考えればいいさ」

 

「………分かった。蒼星、私は一切手を抜くつもりはないぞ」

 

「そうか、そうか。その調子でかかってこい」

 

「それと………一つ頼みがある……」

 

「何?雷でも落としてほしいのか?」

 

「いや…それは遠慮しておく」

 

 冗談を言ってみたが、箒は苦笑いで返した。実際に雷は流石の麒麟でも落とせない。

 

「本気で勝負してほしい」

 

「俺、本気出す主義じゃないんだよ」

 

「それを承知で頼んでるのだ!お願いだ!」

 

「なら………そうだなぁ………箒が攻撃を3回当てれたら、本気を出しとくか考えとくわ」

 

「3回………分かった。ではよろしく頼む」

 

 するとちょうど良いタイミングで、織斑先生から通信が入ってきた。箒もそれに気付いたのか蒼星から距離をとる。

 織斑先生の態度は依然として変わらない。

 

『こちらの準備は終わった。二人とも準備は良いか?』

 

『はい。大丈夫です』

 

「あ、今緊張で手足がカチカチになりました」

 

『特に問題はないようだな』

 

「そうですよね………スルーですよね~」

 

『余計なことをしとらんと、さっさと武器を構えんか馬鹿者が』

 

「ラジャーです」

 

『それでは試合、始め!!』

 

 蒼星の目付きが変わる。まだ完全に慣れていない箒とは言え、油断していたら危険だからだ。

 

「さあ、行こうか………」

 

 麒麟vs紅椿が今、開幕した。

 

 

続く─────────────────────────────

 

 




 “SAO帰還者内密談笑会”

リリー「では、始めます!!」

ユカ「始めよ♪始めよ♪」

リリー「あれ?ソウ君は?」

ユカ「パパは試合中だから、お休みだって~」

リリー「あ!そうだったね。じゃあ、どんどん進めようか、ユカちゃん」

ユカ「うん!!まずはあれだね!!」

リリー「よし、あれだね!!ではでは、ユカちゃんがお待ちかねのゲストの登場でーす!!」

アスナ「結城明日奈です。よろしくね、リリーちゃんにユカちゃん」

ユカ「わーい、アス姉だぁ!!」

アスナ「ユカちゃん久しぶりだね」

ユカ「うん!」

リリー「じゃあ、アスナ。早速本題に入っても良い?」

アスナ「良いよ。何かな?」

リリー「発表します!!今回の話題は!!………あれ?…………あれあれ?」

ユカ「ママ?」

リリー「………無くしたかも………」

アスナ「どこかに落としたの?」

リリー「う~ん………何処で落としたんだろう………」

アスナ「なら別の話でも良いんじゃない?」

リリー「例えば?」

ユカ「あっ!私、アス姉とパパがどんな関係か知りたい!!」

アスナ「ソウ君と?」

リリー「むっ………」

アスナ「そうだね。よくソウ君にはキリト君関連について相談に乗ってくれたりしてたよ」

リリー「………本当?」

アスナ「本当だってば!!リリーちゃん!!それに既にソウ君には予約相手がいたから、そんな気はないよ!!」

ユカ「アス姉はキリトさん一筋だもんね~」」

アスナ「ユカちゃん!!余計なことを言わないの!!」

ユカ「ごめんちゃーい」

リリー「うん、分かった。アスナを信じるよ」

アスナ「ありがとう、リリーちゃん」

ユカ「あ、もう時間だよ」

リリー「あっ………ホントだ。今回はここまでにしてまた次話でお会いしましょう。さようなら~」

ユカ・アスナ「「さようなら~」」

 ───閉幕。

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