金色の英雄 IS 【更新凍結中】   作:ソウソウ

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今回の後半からオリジナル要素を含んでいます。色々と無理矢理感満載になってますが、気にしないで頂ければと思って………ます(;´_ゝ`)

───いざ、出陣!!


第31話 撃墜された白騎士

 織斑先生の宣言から30分が経過しようとしており、ついに作戦決行となる時間が刻々と迫ってきた。

 砂浜で待機している一夏と箒は既にISを展開しており、他のメンバーは全員作戦室に待機している。だが、本来いるはずの蒼星の姿が見られない。

 

『織斑、篠ノ之、聞こえるか?』

 

 ISのオープン・チャネルから織斑先生からの声が聞こえる。一夏は耳を澄ませる。

 

『今回の作戦の要は一撃必殺(ワンアプローチ・ワンダウン)だ。短時間での決着を心がけろ』

 

「了解」

 

「織斑先生、私は状況に応じて一夏のサポートをすればよろしいですか?」

 

『そうだな。だが無理はするな。お前はその専用機を使い始めてからの実戦経験は皆無だ。突然なにかしら問題が出るかもしれない』

 

「蒼星が居ないんですが………何かあったんですか?」

 

『波大は後で遅れてお前たちと合流することになっている』

 

 てっきり一緒に行くと思っていた一夏は少し残念がる。箒の表情に変化はない。

 

『───………一夏、これはプライベート・チャネルだ。篠ノ之には聞かれない』

 

「は、はぁ………」

 

 いきなりのプライベート・チャンネルによる通信に一夏は生返事をしてしまう。

 

『どうも篠ノ之は浮かれているな。あんな状態では何かをし損じるやもしれん。いざというときはお前がサポートしてやれ』

 

「わかりました。意識しておきます」

 

『頼むぞ』

 

 箒が浮き足だっていたということは蒼星が作戦会議で指摘してから注意深く見てみたが、確かにその通りだと薄々一夏は思っていた。

 それから再びオープン・チャネルに切り替わる。

 

『では始め!!」

 

「では、行くぞ!」

 

「おう!」

 

 二人は空へと飛び出していった。

 

 

 

 数分後、誰もいなくなった砂浜に一人のISスーツを着た人が歩いてくる。

 波大蒼星だ。

 麒麟の調整に思ったよりも時間がかかってしまったために一歩出遅れた形での出動となる。

 

「………」

 

 蒼星の意識は最早、銀の福音のみだった。他のことは不要とばかりに切り捨てているかのように。

 織斑先生から通信が入る。

 

『二人と福音の座標を転送する。直ちに、合流しろ』

 

「了解です」

 

 麒麟を展開して、送られてきた座標を確認する。追い付くことは出来ないので、遅れての戦闘参加になるだろうか。それまでに二人が持ちこたえてくれたら、良いのだが。………そもそも蒼星が間に合う前に、福音を撃墜出来れば万事解決だ。

 スラスターを吹かして、一気に上昇。電撃エネルギーを惜しまなく使い、さらにスピードを向上させる。

 

『波大君、織斑君の攻撃は失敗。そのまま戦闘に入っていますので急いでください』

 

『了。急ぎます』

 

 山田先生からの報告に蒼星は舌を巻いた。そして、麒麟のスピードを限界まで上げる。

 一夏の初撃が不発となると、一夏と箒の二人は高速戦闘を余儀無くされる。ましてや、一夏の白式は効率が悪い。あっという間にエネルギーが無くなってしまう。

 ようやく麒麟が二人のISを確認した。

 

 

 

 

 

 

 

 二人の元に山田先生から通信が入る。福音と戦闘中なので聞き取るのがやっとだ。

 

『今波大君がそちらに向かいました!データを送ります!』

 

「はいっ!───っく!」

 

「こうも弾幕が濃いと………!ええい!引いていられるか!一夏!」

 

「おう!」

 

 銀の福音と接触後、一夏の零落白夜の1撃は躱され交戦に入る。必殺の1撃を躱された後福音はその背に装備した翼型のマルチスラスターで方向転換をして、脅威の機動性を2人に見せつける。その姿は離里亜のエンドロードとはまた別の天使を催すものだった。同じく翼に付いた砲口を向けて光弾を次々と発射。機動性と火力を惜しみなく使われ攻撃は当たらずエネルギーをいたずらに消費するだけだった。

 

「おおお!」

 

「いけぇ!」

 

 幾度となく突撃と回避を繰り返す。箒も紅椿の機能を使い攻撃するが全て避けられ逆に打撃によるカウンターを返されてしまう。このままでは苦戦する一方だ。

 

「チィ!たあアアアア!」

 

 箒が紅椿の武装を全て使い2刀流で怒涛の斬撃を放つ。これに福音は後退を強いられた。その際隙が出来る。しかし福音も攪乱の為か光弾を拡散させて放つ。しかし出来た隙を埋めるには弾幕は足りなかった。

 

「一夏ぁ!」

 

「うおおおお!」

 

 その隙を逃さない様にと箒は一夏に叫ぶ。そして一夏は最大加速で飛ぶ。

 ………下方に。零落白夜で海面に落ちる弾幕の幾つかを消す。そんなことは無駄だと箒は一夏の行動に文句をつけようとした。

 

「何をしている一夏ぁ!?」

 

「船が居るんだ!海上は先生方が封鎖していたはずなのに…!密漁船が!」

 

 既に辺り一帯は封鎖しているはずなのに、下には船が停滞していた。つまり、あれは封鎖の隙間をくぐり抜けて危険区域の海域に入っているのだ。

 

「馬鹿者!犯罪者などをかばって…!そんな奴等は!」

 

「箒ッ!」

 

「!?」

 

「箒、そんな、そんな寂しい事は言うなよ。力を手にしたら、弱い奴の事が見えなくなるなんて………らしくないじゃないか。箒らしくないぜ。蒼星があんなこと、言うのも少しは理解できるな………」

 

「わ、私は………」

 

 箒は明らかな動揺をその顔に浮かべ、それを隠すかのように手で覆う。そのときに落とした刀が光の粒子となって消える。

 その瞬間───白式にも異変が発生する。

 具現維持限界───つまりエネルギー切れだ。今は実戦の真っ最中にあるので、決定的なピンチになる。

 

「箒ぃぃぃっ!!」

 

 一夏は残りのエネルギーを全て注ぎ込み、瞬時加速を行う。ISはシールドエネルギーが無ければもろい。視線の先では福音が一斉射撃モードへと入っており、その標準は箒にかかっていた。

 そしてちょうど発射されるタイミングで一夏は箒と福音の間に入り込み、箒を庇う様に抱き締める。

 

「ぐあああああっ!!」

 

 爆発光弾が一斉に背中に降り注ぎ、シールドバリアで相殺し切れないほどの衝撃が連続で続き、みしみしと骨があげる軋みがす聞こえる。同様に悲鳴をあげる筋肉、アーマーが破壊され、熱波で肌が焼かれるのを感じる。気が狂いそうな痛みの中、一夏は箒を見る。

 一夏は意識が朦朧としているなか、微かに見えた箒のロングヘアー姿。彼女のリボンが焦げてしまったことを残念がった。

 

「一夏っ、一夏っ、一夏ぁっ!!」

 

 一夏と箒は爆発で海に落ちていき、福音の姿を最後に一夏の意識はそこで途絶えた。

 そこに黄金が現れる。

「くそがぁぁぁぁぁああ!」

 

 海へと落下していく一夏と箒を海面ギリギリで現場に到着した蒼星が抱える。彼はモニター越しに一夏が被弾したのをこの目でしっかりと見ていた。

 絶望に満ちたような態度の箒に色々と言いたいことはあったが、全て飲み込む。今はどうにか状況を打開しないといけないからだ。

 

「箒っ!一夏と早く離脱しろ!」

 

「だが、蒼星一人では………!」

 

「良いから!早くいけ!」

 

『LaLa………』

 

「っ!来るぞ!」

 

 福音が隙を逃すまいと光弾を大量に放ってくる。蒼星はエネギアを10個展開。電撃弾を光弾に向けて発射。ダメージを負わないようにする。命中弾を相殺された福音は驚いたのか一瞬、ひるむ。

 

「今だ!撤退しろ!」

 

「わ、分かった!」

 

 一夏を抱えて離れようとするが、福音はそれをそう簡単に見逃してくれなかった。

 福音から放たれたエネルギー誘導弾。だが、箒は一切振り返らない。

 間に巨大な影が入り込み、福音の攻撃が全て無効化される。

 爆発が晴れたそこには、ムーンテライトを展開した麒麟が電撃をバチバチと弾きながら、福音を見ていた。

 

「お前の相手は俺だ。かかってこい!」

 

 蒼星は大剣を構えた。

 麒麟vs福音がいざ、開幕する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 作戦室の内部では暗い雰囲気が包んでいた。

 先程一夏と箒が旅館へと帰ってきた。一夏は重態だったので、即座に部屋へと運ばれ治療に専念する。箒は落ち込んでしまい、もぬけの殻のようになってしまっている。ようやく自分の失態に気付いたようだった。

 

「………波大君、既に福音と数十分近く交戦しています」

 

 静かに響き渡る山田先生の報告。離里亜は不安でまだ5分も経過していないんじゃないかと思っていた。

 海岸で一夏の出迎えを終えた専用機持ち達は少し前に作戦室に戻ってきてはいるが、誰も声を発しようとはしない。

 みんなの視線の先にはモニターに映し出された2機のIS。麒麟と福音。黄金と白銀。

線を帯びるかのように舞う2機はとても綺麗だった。

 

「麒麟の状態は?」

 

「………ダメージはそれなりに受けていますが、戦える状態ではあります」

 

 織斑先生も蒼星の容態を気にしている様子だった。だが、彼でもあとどのくらい保つことが出来るのか分からない。

 

「波大、貴様も帰還しろ!」

 

『あぁ………そうしたいのは山々なんですけどね~、どうやら気に入られちゃったようで、逃がしてくれないです』

 

 彼も先程から離脱を何回も試みているが福音がそれを完全に防いでおり、彼は余儀無く戦闘をしている。

 エネギアで飛んでくる光弾を無効化しているが、それでも福音が一度に放つ弾幕はエネギアだけでは到底防ぎきれない。彼は残りの弾を大剣で弾くという荒業で耐えているが、それでも集中力を相当必要となってくるのでできる限り対応しなくてはいけない。

 だが、織斑先生はそこまでわかっていながら何も出来ない自分に歯を食い縛る。

 教師陣を増援として送っても確実に彼の足手まといになるのは目に見えている。最悪、彼の動きを妨げるかもしれない。

 するとラウラが突然立ち上がり、部屋を出ようとする。

 

「ちょっとあんた!どこに行くのよ!?」

 

「そんなの決まっている、師匠の援護に向かうんだ」

 

「お待ちなさい!いくらあなたでも福音が相手では返り討ちにされるだけですわ!」

 

「そうよ!今行ってもただやられるだけよ!」

 

「…いくら何でも危険……」

 

「ならこのまま黙って見てろと言うのか!?私は1人でも行くぞ!!」

 

 そして部屋から出ようとしたところを、離里亜が部屋の入り口の前に立ってラウラを止める。

 

「…どけ」

 

「どかないよ」

 

 ラウラの殺気を含めた言葉に意にもかかさず離里亜は頑なにどかない。

 

「どけと言っている!!」

 

「………」

 

 ラウラは平手打ちをかまそうとしたがその手を止めた。ラウラは離里亜の表情をその時にようやく見たのだ。彼女は必死に涙を抑えていた。自分も彼の元へと行きたいが、必死に押さえている。そうラウラには感じられた。

 ラウラは問う。

 

「…何故だ?離里亜は兄様の事が心配じゃないのか?」

 

「…心配だよ。でもラウラちゃん達を行かせるなってソウ君から言われているんだ…」

 

「何!?」

 

「……私にも“もしも福音と戦うことになっても彼女達は行かせないでください”と聞かされている」

 

「………教官………」

 

 織斑先生が増援に専用機持ち達をいれないのはその為である。

 その時、蒼星から独り言のような通信が入ってくる。

 

『福音倒したらさぁ、なんか貰えるのかな?こいつは、ボス級だからな。ん?そうなると、ラストアタックボーナスとか俺独り占めになるんだよな……はは』

 

「ラスト………アタック………ボーナス?」

 

「ソウ君?」

 

 離里亜は直感的に感じた。蒼星はこの場で秘密をばらそうとしているのだ。彼らしく遠回りに。

 

『元々、俺ソロだったからこういうのはお手の物だったな………まあ、最後はリリーやキリトと一緒に居たことが多かったか』

 

「ソロ?独りと言うことでしょうか?」

 

「キリトとは、なんだ?」

 

「いきなり何を言い出してるのよ?」

 

『そういやぁ、最近行ってないなぁ………あいつらに色々と文句言われそうだけど………仕方ないだろ。現実では忙しいんだから』

 

「誰に弁護してるんだろう?」

 

「まったく分からないな」

 

 誰もが、蒼星の呟きに首を傾げる。唯一の離里亜だけは、暗い表情になっていた。

 

「リリー、あんた、何か知ってるの?」

 

 鈴が離里亜の異変に気付き、問いかけるが彼女が答える前に山田先生が驚きの声を上げる。

 

「織斑先生っ!福音を撃墜しました!」

 

「何!?」

 

 モニターに映し出されたのは、ちょうど蒼星が福音の頭上からムーンテライトを降り下ろしているシーンだった。福音は吹き飛ばさせて、海面へと衝突。大きな水飛沫を上げる。

 

「………やった!」

 

 今までじっと見ていた簪が思わず声をあげてしまうほどの急展開だった。

 慌てて山田先生は何度も彼の元へと名前を口にする。

 

「波大君波大君波大君波大君波大───」

 

『聞こえてますって!───ってあれ!?通信入れっぱなしじゃねぇか!?うわぁ!』

 

「………あれ、独り言だったんだね」

 

「にしては昔のこと振り返りすぎでしょ」

 

 モニターには、頭を抱えている蒼星の姿が映る。そんな彼の周りには、慰めるようにエネギアがぐるぐると回っている。なんともシュールな光景である。

 

「今のうちに、こちらに帰還しろ」

 

『分かりました』

 

 そう言うと、彼はその場を後にした。後は彼が帰ってくれば一段落なのだ現実はそうはさせてくれなかった。

 

『織斑先生、先生達はISを使って俺の方に来てますか?』

 

「いや、来ていないが………」

 

 一体なんのことを聞くのかと思った織斑先生は自信なさげに答える。

 返答を聞いた彼の取った行動はその場に停止することだった。

 

「なっ!?何があったんだ!?」

 

「織斑先生っ!大変です!」

 

「どうした!」

 

「未所属の謎のISが旅館に向かって急接近しています!」

 

「こんな時にか!」

 

「それも1……2……3機です!性能の高い光学迷彩を使用しているようで、感知が遅れています」

 蒼星が不審に思ったのも、その謎の機体を確認したからだろう。

 問題はまだ続く。

 

「さらに福音が再起動しましたっ!こちらは、場所を変えて日本に向けて移動しているようです!」

 

「厄介なことになったものだな……」

 

『俺は侵入者の方を相手にします』

 

「いや、波大は急いで帰還しろ!」

 

『大丈夫です。まだ、麒麟は余裕なんで。それに多分、あいつらの目的は俺だと思うんで』

 

「どういうことだ!?」

 

 蒼星からの返答はなし。代わりに麒麟が移動方向を変えて、謎の機体を方へと進んでく様子がレーダーで確認された。

 やがて、蒼星から送られてきた映像には3体のISが映っていた。2体は量産機である“ラファール”。真ん中にいるリーダー格の機体は見たことがないものだった。すると、さらに映像が細かく映し出された。中央の肩の装甲を映し出されていた。そこに映っていたのは棺桶のようなマーク。

 これに一番、狼狽えたのは珍しく離里亜だった。

 

「な、なんで!?なんで、あれがあるの!?」

 

「リリー、どうしたのよ!?」

 

 離里亜の仰天ぶりに鈴もたまらず驚きながらも彼女を落ち着かせる。

 

「遠堂、何か知ってるのか?」

 

 織斑先生が離里亜に尋ねる。皆の視線も離里亜の方へと向けられる。やがて、離里亜は決心がついたかのようにポツリと答えた。

 

「………あいつらは………私とソウ君にとって“許すことの出来ない敵”…です………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嫌な胸騒ぎの原因はこいつらだ。

 向こう側に相対しているISの操縦者。女性なのは当たり前だが、普通………とは言い難い。顔は隠されて見えないので、正体は分からない。

 嫌、俺は知っている。だがどうしても、思い出せない。

 この雰囲気、何処かで会ったような気がする。どこだ。どこでこいつと言葉をまじらわした。

 それに後ろの二人………見たところ機体はラファールだろうか。

 

「………誰だ」

 

 俺は張り詰めた声で訊ねた。

 目の前のリーダー格の機体の操縦者が答えた。

『あなたに会いに来たのよ“空剣士”さん』

 

「っ!帰還者か!」

 

 今ので、出会った場所は確定した。よりにもよって、あの世界とは………。あの世界でこいつとは剣を打ち合った。その時に会話をしたのだ。

 

「何の用だ」

 

『今回は挨拶に来ただけよ。そんな怖い顔をしないの』

 

 そのわりには、後ろの二人は敵意がこちらに向いている。

 目の前の機体はその場を一回転する。

『ふふ、どう?この“ラメイル・コフィン”は?結構お気に入りなのよ~』

 

「………どこで手に入れた」

 

 専用機は普通では手に入らない。だが、目の前のこいつの機体は見たことがないものだった。

 紫を基準としてあちこちに赤が斑点模様のように付いている。装甲は俺よりも薄く、離里亜のエンドロードよりは多いと言ったところか。それに最大の特徴は大きな棺桶。あれが名前の由来だろう。

 俺は胸くそ悪い気分になる。そんなものを見たら、どうしてもあれを思い出してしまうからだ。棺桶に刻まれた一番見たくないマーク。

 

『………亡国機業(ファントムタスク)って知ってるかしら?私はその組織に最近入ったのよ』

 

「………」

 

 “亡国機業”………楯無からそんな名前の組織があるとは薄々聞かされていた。というよりも、彼女の愚痴の中に出てきただけだったような………今は関係ない。

 悪の組織に自ら入るとは、本当に懲りないやつだ。

 

『まぁ、自慢のコフィンちゃんを見せびらかしたいんだけどぉ、私の出るまでもなさそうだしぃ~ロゼリア、アマス出番よ』

 

 すると2機のラファールは1歩前へと出てくる。この二人の表情は確認できた。

 片方は見覚えがある。赤髪の大人の女性。そして、俺があの世界で罪人として捕まえた人物でもある。

『お久しぶりね、空剣士さん』

 

『“ロザリア”………また、牢獄にでも入れられに来たのか』

 

『いいえ、もう遠慮しておくわ』

 

 苦笑気味に答えたロザリア。彼女とは嫌な思い出しかないので、再会に余韻に浸ることはない。

 毒々しい笑みを浮かべるのは会ったときから変わっていない。

 俺はもう一人の方を見た。

 俺と同じ青みがかかった髪のロングヘアーの少女。簪よりも冷徹な無表情を見せる彼女と会ったという記憶はない。つまり初対面のはずなのだが、どうしてか初対面とは心の何処かで思えなかった。

 アマスと呼ばれた少女は無表情を変えない。何も言わないことから無口らしい。その反動なのか、ロザリアがよく喋る。

 

『そういえば、あの子は元気?』

 

「お前に答えても意味はない」

 

 あの世界で、ロザリアと俺が会ったきっかけはある少女だ。

 ロザリアが罠にかけようとしていた一人の少女を結果的に俺はあの時、その子を逆に囮に利用してロザリア達を誘きだし検挙する手段をとった。ロザリアは俺の作戦に見事に上手くはまった。そのお陰でその子はロザリアの罠にかかることもなく、無事だった。ロザリアを牢獄に送り込んだのもその時だ。

 俺は囮にしたことを謝ろうとしたが、少女は気にしていない様子だった。

 だが、これらは全てロザリアが知る必要はない事実。さらに教えたとしてもろくなことがない。

 

『それもそうね。………あの日以来、アタシはアンタに復讐を誓ってたのよ。それが今、こうしてチャンスが訪れたってわけ』

 

「元とは言え攻略組を甘くは見ない方がいいぞ。オレンジプレイヤー」

 

『そうかしら?アンタ、さっきまで福音とやりあってたんでしょ?』

 

「………関係ないな。今の俺でもお前らを倒すには、充分すぎるだろう」

 

 内心、ロザリアの台詞に驚きながらも表に出さないようにして答える。

 俺が福音と戦闘していたことをまるで当たり前かのように知っていた。もしかすると、福音の暴走さした犯人はこいつらではないかと一瞬疑ったが、即座に有り得ないと否定する。

 悪の組織となると、福音を暴走させるよりかは、確実に福音のコアをとってくるはずだ。そちらの方が利点が高い。例え、福音を暴走さしたとして亡国機業は何を得るのかを考えたら、確実にコアを手に入れて戦力を上げる方が良いと俺は考える。

「………とっとと終わらして帰ってもらう」

 

『前は油断したけど、今度は負けないわ!』

 

『───滅殺』

 

 アマスの第一声は不気味なものだった。

 これは油断していると揚げ足を取られそうだ。

 ───第二ラウンドの幕が開いた。

 

 

続く──────────────────────────────




 “SAO帰還者内密談笑会”

アスナ「では、そろそろ始めようか、ユカちゃん」

ユカ「うん………」

アスナ「元気が無いようだけど………大丈夫?」

ユカ「大丈夫………」

アスナ「リリーちゃんとソウ君は二人とも忙しいから、今回は休みって言ってたからね。心配だよね………」

ユカ「うん………」

ユイ「ソウ兄とリリ姉なら、大丈夫ですよ!!ユカ!!」

ユカ「え………ユイ姉………なんで、ここに………!?」

アスナ「私が連れてきたの。少しでも不安が無くせればと思ってね」

ユイ「ユカはダメダメです!!何をそんなに不安がることがあるんですか!!」

アスナ「ユイちゃん………張り切ってるね………」

ユカ「………そうだよね。私のパパとママなら、大丈夫だもんね。うん!!大丈夫!!」

アスナ「ユカちゃん、元気になったようだね」

ユカ「うん!!私は信じる!!」

ユイ「では、今回のお題に………と思ったのですけど、時間がもう迫ってますね。ママ、どうしますか?」

アスナ「次に回して今回はここまでってことに、で良いかな?ユカちゃん」

ユカ「うん!!良いよ」

ユイ「なら、お別れですね。ご覧くださった皆さん!!」

三人「「「さようなら~!!」」」

 ───以上。
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