で、やっと福音との戦闘も終盤に!!
思ったよりも長かったですね………まぁ、まだ続くんですけどね(´д`|||)
───では、どぞ!!
蒼星はやがて、現実の世界へと意識を戻した。重い体を起こすと、そこは小さな島のような所だった。人気がなく、どうやら無人島のようだ。
あの時、蒼星は海面へと墜落しながらも麒麟を解除すると同時にたまたま近くを漂流していた大きな流木に掴まっていた。殆ど無意識での行動だった。そして、潮の流れに身を任せている内にどっと疲れが押し寄せて掴まるだけでも既に限界だったせいで意識が飛んでしまっていた。そのまま流されていき、いつの間にか知らずの内にこんな地図に乗りそうもない名もなき無人島へと投げ出されたのだろう。
蒼星は首にかかっている稲妻のペンダントを握りしめた。
《ユカ、いるか?》
《うん!いるよー!!》
念のために確認を取ってみると、相変わらずの無邪気な返事が帰ってきた。思わず蒼星も苦笑する。いつになってもユカにはこういう面で頼ってばかりだと蒼星は思う。彼女がいないとこれからすることも夢のまた夢だからだ。
《ここから数キロ離れた所で、戦闘中の機体をたくさん確認したよ、パパ》
《………あいつらか。やっぱり来たんだな》
ユカの報告に蒼星は口を緩ました。
《どうする?行くの?》
《ユカはどっちだ?》
《行く!》
《なら、行こうか》
そして、蒼星は自身のIS“麒麟”を展開さした。が、麒麟の姿形がだいぶ変わっていた。
装甲が幾つかなくなっており、代わりに黒光りのコートを羽織っていた。
麒麟の特徴であるエネルギアも少し縮小されており、 代わりに二つに増加して蒼星の両肩の後ろに浮かぶようにしていた。
麒麟は二次形態移行をしていた。
「これが………“月歩”か。運命は皮肉だな。また、この名前と会うことになるとは」
蒼星はそんなことを呟く。と、地面を思いっきり蹴って飛翔した。
そして、宙に
ここでユカの然り気無い一言が蒼星の脳内に入る。
《パパ、スラスターは使わないの?》
《………あるんかよ!!》
このままジャンプだけで、移動するのは疲れると考えていた蒼星は思わず突っ込んだ。てっきり、見た目からスラスターなどはないと思い込んでいたのだ。
展開してみたスラスターはどんな原理で浮遊しているのか気になる所だったが、後回しにして今は空を飛んで行くことにした。
今のうちに蒼星は武装の確認をしてみることにした。主に変わっている様子はなく、追加武装も見当たらない。変わったことと言えば、新たな機能が追加されたことぐらいだろうか。
《パパ!!皆が!!》
ユカの慌てたような声に、蒼星は気を引き締めて移動速度を上げた。
ようやく視認出来るほどの距離に入ると、ちょうど福音が離里亜と簪に襲い掛かっている所だった。福音は前にいる離里亜をスルーして簪に接近。対する簪も大量のミサイル弾を発射して応戦するが、福音にとっては時間稼ぎすらならない。
福音の巨大な翼が簪を包もうとするその瞬間、離里亜が簪に体当たり。そのお陰で簪は福音から逃れるが、代わりに離里亜が犠牲になろうとしていた。
『みんな………ごめんね………』
今にも泣きそうなほどの脆い声がコアネットワーク越しに蒼星の鼓膜を震わせる。
彼女は昔から自己犠牲してしまう性格なのは、長年の付き合いから蒼星は知っている。故にそんな無茶苦茶なことをした後処理をするのは自分だってことも蒼星は身をもって知っている。
『ソウ君も………ごめんなさ───』
「謝るのは早いんじゃないか?」
『え?』
展開したムーンテライトで福音の巨大な翼を斬り捨てる。離里亜の府抜けた声が聞こえたが、そんなことは気にせずにそのまま福音を吹き飛ばす。
「な、そうだろ?リリー」
「ソ、ソウ君!?」
「ん?そんなに驚くことか?」
「お、驚くよ!!」
「そんなことより、他に言うことあるだろ?」
「うん………ありがとう、ソウ君」
「どういたまして、リリー」
にっこりと頬筋に涙が通りながらも、エンドロードに負けないほどの笑顔を浮かべた離里亜。蒼星もそれに答える。
他の皆は唖然としているようで、体が固まってしまっている。
「あれ?お前ら、今ので死んだのか?」
「死んでませんわ!!」
「そうよ!!ちょっと、驚いてみただけよ!!」
「兄様、無事だったのか!?」
「だ、大丈夫なの!?」
軽口を叩いてみると、即答とばかりに次々と返ってきた。まだまだ彼女達は元気そうである。
「………」
ただ唯一声を発していないのは簪。一瞬、目を見開いたかとおもうと両手を口元に当てて───
「簪ちゃん!!泣いたら駄目だって!!」
うるうると号泣しそうな彼女の姿に蒼星も流石に慌てる。
「………本当に……本当に良かった………!!」
どうにかそれだけを口にした簪。蒼星は何も言わずにただ頷いた。
そうこうしている内に、吹き飛ばしたはずの福音がまたこちらへと近付いてきていた。懲りない機体だ。
「さて、ちゃっちゃと終わらして帰りますか」
「うん」
蒼星はコートを纏いながら、簪達から距離を取るようにして福音の方へと移動した。
そして、何も持たずに両手を広げ出した。
「ちょっと!!なにしてんのよ!!」
「蒼星さん!!危ないですわよ!!」
まるで攻撃してくださいと主張しているかのような蒼星に鈴とセシリアは声をあらげて、注意をするが彼はそんなことを無視するかのようにさらに福音に徐々に近づく。
「さあ!!勝負だぁ、福音!!かかってこい!!」
さらに煽るかのように叫んだ蒼星。一体何を考えているのか分からずに、けど邪魔をするわけにはいかずにオロオロする鈴達だったが、離里亜と簪は慌てることなく普通に彼の背中を見つめていた。
そして福音は真っ先に蒼星へと狙いを定めた。
「俺達の闘いはまだ終わらない!!なぁ!!そうだろぉ!?
蒼星にぶつかり合う寸前に、突然割って入るかのように何かが福音に命中してそのまま吹き飛んだ。簪の荷電粒子砲に似ているが、簪は蒼星の後ろにいるので違う。
「ああ!!俺の仲間は、誰一人としてやらせねえ!」
突然の乱入者を来ることが分かっていたかのように蒼星はその乱入者へと視線を向けた。
皆も同じように視線を向ける。
そこには、白式なのだが一風変わったかのよう白式を纏った一夏がいたのだ。
一夏は蒼星の隣まで来ると、先程の攻撃をしたかと思われる左手に装着された武装を切り換えていた。
「蒼星、よく俺が来るって分かったな」
「勘だ」
「勘かよ!!もし、俺が射たなかったからどうするつもりだったんだよ!?」
「その時は別の方法で避けてた」
「くそっ………蒼星のことだから嘘に思えないのが悔しい………」
「それよりお前のせいで、福音さんがお怒りのようだが?」
「知るかよ!早く終わらす!」
「なら、お前はまずあっち」
蒼星はある方向を指差した。その指先の先には箒がいた。
「一夏ぁ………」
「おう!箒、大丈夫か?」
「なっ!一夏こそ大丈夫なのか!?」
「見ての通り、元気だぜ」
「………俺が相手してくるから、しばらく一夏は飲まれろ!」
「おい!どういう意味だ!?」
「知るか!ってね!じゃあ、お先!」
感動の対面を邪魔させないように、蒼星は一人で福音を相手にするつもりで接近。だが、それはあっさりと裏切られる。
『ソウ君!私も手伝う!』
『私も………!』
『分かった。リリー!ツーマンセルで行くぞ!簪ちゃんは援護を頼む!』
『『了解!』』
福音は銀の鐘を発動して、蒼星の接近を防ごうとする。が、対する蒼星はエネギアを限界まで展開してこちらも負けじとエネルギー弾を発射して相撃ち。それでも、無理だった場合は回避を繰り返して徐々に福音へと近づく。
攻撃範囲まで入ると同時に、蒼星はムーンテライトを展開して構える。そして、そのまま福音へと降り下ろした。
福音はまたしても再生機能により復活した翼を重ねて盾代わりで防ぐ。蒼星は一旦、大剣を引くと、今度は振り上げた。大剣の勢いに負けて、福音の翼がバサリ!と羽ばたかれて機体が露となる。
「スイッチ!!」
完全なる福音が見せた隙。そこを突いたのは蒼星ではない。入れ換わるようにして、選手交代した離里亜だ。手には銃剣を構えている。
離里亜は三度銃剣による突きを浴びせた後、蒼星と共に距離を取る。福音も負けじと反撃をしようと体勢を整えるが、そこに簪の荷電粒子砲による援護砲撃が入る。絶妙なタイミングだった。
「簪ちゃん!ジャストタイミングだ!」
蒼星に褒められたことで、簪の頬が少し赤く染まる。正直、二人の剣技の速さに惑わされそうになったのだがどうにか狙いを定めた一撃は上手く成功したようで一安心する。
だが、福音も負けてはいない。
大きく翼を広げて、煙を一気に巻き上げる。次の瞬間、瞬間加速を使用して一番の危険と認識している蒼星を狙った。
福音は大きく光の翼を広げる。より一層大きくなった翼が蒼星を大きく包み込む。
彼は意外にも冷静そうな表情をしていた。そして、引っ掛かったなと言いたげな感じである言葉を口にした。
「何を捕まえ気でいるんだ?」
次の瞬間、蒼星が消えた。代わりに出てきたのは、バチバチと音を立てた電撃の塊ような物だった。
そして───爆散。
辺り一体に電撃が走り、近くにいた福音は巻き込まれる。簪は一部始終は見ていたはずだったのだが、彼を見失った。
「え………どこ………」
「ここだよ、簪ちゃん」
「っ!!」
まるで瞬間移動でもしてきたかのように、簪の隣で前を向いていた蒼星がいた。移動してくる瞬間がまったく見えなかった。あの電撃は彼が仕掛けたので間違いはなかったが、何が起こったのかはまったく検討がつかなかった。
「今のが“幻影裏月”。麒麟の
「あれが………」
「まぁ、初めてだから“幻弾”しか使ってないが」
「げんだん?」
麒麟の単一使用能力───“幻影裏月”。
機体に限界ギリギリまで電撃による負荷をかけて最速の移動を可能とする能力だ。その速度は福音の最高速度を余裕で越える。故に速すぎて残像が残ってしまうほどであり、所謂影分身のようなものを作ることも出来る。
“幻弾”。先程福音が巻き込まれたのも、それの爆発によってである。言わば、それは雷の塊と言っても良い。蒼星が幻影裏月を発動したと同時に置き土産のように幻弾を宙に放つことで、確実に敵に当てる。因みに両肩上にあるエネルギアの真ん中の空洞で、幻弾は作られている。
他にも幻影裏月はいくつか能力が秘められているが、今の蒼星には使いこなせる自信が無いために使う気はなかった。
「ふぅ~、ソウ君。速すぎだよ」
そして、遅れるように簪の隣で蒼星の反対側に現れたのは離里亜だった。彼女も“透先天使”を使用して、姿を眩ましていたのを解除したおかげでようやく先程簪でも視界で確認出来たのだ。
「気を抜いてたら意識吹き飛びそうだな、これ」
「だったら、多用は駄目だよ?」
「大丈夫。慣れたから問題はないって」
「本当?」
「本当だ」
「なら、信じるよ」
二人は簪を間に挟んで、楽しそうに会話をし始めた。聞いているだけなら楽しそうなのだが二人の視線は福音の方へと向けられており、どちらも真剣な眼差しだ。
やがて、煙が晴れる。そこにはしぶとくも倒れる気配は一切有り得ないと言わんばかりの福音がいた。だが、幻弾が効いているのか所々からバチバチと火花が散っている。
『蒼星!俺らも参加するぞ!』
『よし。しばらくの間は動きが鈍るはずだ。今のうちにけりをつけるぞ!』
『『『『『了解!』』』』』
一夏達も参戦することになり、勢いもこちらに乗ってきたと感じた蒼星はここで一気に勝負に出ることにする。
機能の低下を余儀無くされている福音を倒すのには、まだまだ油断は出来ないがそれでもこれまで以上の可能性は見込める。
『行け!』
ラウラの合図を皮切りにまず、鈴とセシリアが牽制をするために衝撃砲とレーザー砲を放った。
あっけなく福音には避けられてしまうが、今までのよりかは幾分余裕がなさそうに見られた。
追撃が止むことはない。当たり前だ。こんな絶好のチャンスを逃すわけにはいかない。だが、福音もしぶとく動き回り近距離戦を出来る限りしないような素振りを見せていた。
時折、一夏が福音の動きがとまる瞬間を見計らって零落白夜による一撃必殺を試みるが、掠りともせずに抗戦状態が続く。
『一夏ぁ!これで、三度目よ!早く当てなさいよ!』
『分かってる!もう少しなんだけど!!』
鈴も痺れを切らしているほどに、一夏の決定打はなかなか当たらない。一時的に機能を低下していると言っても忘れがちだが福音は軍用ISなのだ。その為に圧倒的な容量を誇っている。競技用にリミッターをかけられている蒼星達のISとは根本的に違う。
福音の弾幕を一夏はシールドモードに切り換えて防ぎながらも、内心では慌てていた。
この調子だと一夏のIS“雪羅”のシールドエネルギーが空になってしまうのだ。さらなる消費は避けたいところだ。二次形態移行をした後でも、この機体の消耗の早さは変わらなかったのだ。
『来るよ!』
離里亜の一言と共に、福音は攻撃の予兆へと入る。それぞれが動きを見せるなか、福音はそれを撃つことはしなかった。いや、撃てなかったのだ。新たに割り込んだ影によって。
「ハァアアアア!!」
───箒だった。
箒の機体は既に限界までに達しようとしていたので、戦闘への参加はしていなかったはずなのだが、確かに箒は福音へと斬りかかっていた。
彼女はそのまま斬撃エネルギーを放ち、牽制をする。
「皆!!少しの間だけ福音を抑えておいてくれ!!」
「何をする気ですの………?」
「よし、了解だ。リリー、指揮を頼むぞ」
「うん。シャルロットとラウラは左右に旋回して援護射撃を、スズーはソウ君と私と接近戦をかけるよ。かんちゃんは箒ちゃんと織斑君の援護に回って」
「ラウラ、行くよ!」
「了解だ!!」
「了解よ」
「………うん。分かった」
「私の質問はスルーですの!?そうですの!?分かりましたわ!!」
「セシリアちゃんは後方からの援護射撃をお願い!」
「承りましたわ!!」
セシリアが一人で突っ込んでいたが、誰も相手にはしなかった。代わりに来たのは離里亜からの指示。やけくそぎみに彼女は返事をしていた。
福音へと攻撃を仕掛けることで、福音の意識が完全に自分から蚊帳の外に出たことを確認した箒は、一夏へと近づいた。
「箒、何を……?」
「いいから、そのままだ……!」
箒は瞳を閉じて、意識を研ぎ澄ます。思い出すのだ……あの感覚を。
すると、展開装甲が開き、金色の光が溢れ出た。それはそのまま、白式を包みこんで行った。
◇
蒼星と一夏の福音戦の参戦の影響は作戦室にも伝わっていた。主に山田先生が感激のあまりに涙ぐましくなっているのが、要因なのだが。
「波大ぐ~んに、織斑ぐ~んも無事だったんですね~!!!」
二人の連続の登場により、戦況はこちらの流れへと来ていることを織斑先生は感じ取っていた。
その時、蒼星は不可思議な行動を取った。まるで瞬間移動のような動きをとった。
「波大君の今のは………何でしょうか?」
「はっきりとは断定出来ん。今のは私でも追うだけでやっとだ」
動きを追うだけでも一苦労した織斑先生。もし今のを実戦で使われたとしたら、上手く対応できるかどうかは分からない。
そういう意図を含んだ織斑先生の物言いに山田先生は仰天する。
「織斑先生がそうなると………誰も反応出来ないのでは………」
「分からん」
そうなると、蒼星の操る機体の麒麟は一種の驚異的な存在となりうるのではないのだろうか。さらに彼本人の技術も重ね合わせになると、もはや対抗策すら浮かび上がらなくなるのではとさえ思ってしまうほどの驚異的なスピードを誇っていた。
山田先生の意識はもう一つの新しい機体の方へと注がれる。
「あ!!織斑君の機体に新武装が搭載されたんですね!!」
福音の攻撃を一夏がシールドで防いでいるのをモニター越しに見た山田先生は、まるで我が子のように嬉しそうな表情になっている。
「………」
対する織斑先生は何も言わず、ただじっとモニターを凝視していた。
───たったの一人の彼の姉として。
続く───────────────────────────
“SAO帰還者内密談笑会”
ユカ「ついに帰ってきたよ!!」
ユイ「やりましたね!!」
キリト「ソウのISの新しい名前が月歩とはねぇ。なら、俺の場合は二刀流ってことになるのかな?」
ユカ・ユイ「「ない」」
キリト「だよなぁ………俺がIS乗れても、二刀流使えれるのかなぁ………」
アスナ「それって普通に両手に持ったら大丈夫でしょ?」
キリト「あ、それもそうか」
ユカ「キリト兄さんは天然ということで、本題に入るよ!!」
キリト「どういうことだよっ!?」
ユイ「ソウ兄のユニークスキルについてです」
キリト「えっ~と、確かスキル名が“月歩”で………」
アスナ「最大の特徴は空中を自在に飛び移れることだよね。それにオリジナルのソードスキルも何個あったような………」
ソウ「さらに俊敏値が1,5倍になるのは卑怯だろ」
アスナ「でも時間制限が厳しかったはず」
ユイ「はい、ママ。常に使える訳ではなかったようです。最高でも10分が限界のようだとリリ姉が言ってました」
ユカ「ゲームマスターからは、空間認識能力が一番優れているプレイヤーに与えられるって聞いてるよ」
キリト「昔からあいつは射撃とか得意だったからな」
ユカ「あ、だからISの遠距離攻撃も命中率高いんだね 」
ユイ「パパ、ママ、そろそろ時間なので、ここまでのようですよ」
キリト「なら、今回は区切りも良いしこれで終わるか」
アスナ「今度こそは私がやるね。皆さん、さようなら~」
ユイ・ユカ「「さようなら~」」
───以上。