金色の英雄 IS 【更新凍結中】   作:ソウソウ

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今回からは会話間の行間を詰めて、書いてます。作者の他の作品と書き方を同一にするためですね。驚かないでください。といっても、あまり変わらないですけど。

そして、今後の予定をある程度………。
一学期での話を後、閑話を含めて3話程度。
夏休みはついに念願の対面を果たす予定であり、また姉妹喧嘩を勃発させます。最低では4話は必要かも。
二学期ではしばらくは原作通りですかね。

───では、どぞ!!



第41話 力の代償

「さてと、用意は良いかしら?」

「何の用意ですか………」

「あら?そりゃ、もちろん───」

「そういうのは良いから早く本題に入ってください」

 

 何か余計なことを言わせまいと、蒼星が先手を打つ。楯無は不満そうに口を尖らせた。

 現在の彼女は寝巻き姿。先程まで着ていたエプロンは収納されている。着替える際にエプロンの下に着ていたという水着を見せびらかそうとしてきたが、蒼星が一刀両断したために、渋々着替えていた。女性の着替えを拝見する訳にはいかないので、その間、彼は部屋の扉まで待機していた。

 互いのベッドに向かい合うように腰を下ろしている蒼星と楯無。楯無はいつもよりハイテンションな様子。だとすると、彼女の度が過ぎた行動の裏には生徒会の仕事が大変だったのだろうと推測される。

 

「ちょっと!!お姉さんのタメになる話は最後まで聞くものよ!!」

「………はぁ」

 

 まぁ、今の彼女に付き合うのも生徒会の仕事の内に入ると思えば、どうにか乗り越えられるだろうと蒼星はため息をついた。

 ユカはというとテレビに釘付けとなっており、今は小さな子供向けのアニメ番組を観ている。しばらくはあのまま放っておいて平気だろう。

 

「まぁ、それもそうね。とっとと、入りましょうか」

 

 楯無は軽く頷きを入れる。

 

「まず、一つ目の本題は篠ノ之箒ちゃんの紅椿と、所属について」

「ん?あぁ………そうでしたね」

「今最先端の第四世代のISを持ちながら、どの国家にも属していない。これが結構重大なんだけど………」

「問題は、本人の自覚がまったく無しってことですね」

 

 言えば今の箒は国にとって最高級の餌。

 紅椿をぜひ、自国にと考える政府の者は多数。どんな手段を使ってでも引き込もうとする者も現れない可能性は完全に否定出来ない。それほど、紅椿の存在は大きいのだ。

 だが、肝心の本人にはその事実を認識していない。確証は箒の行動から見て分かる。

 

「専用機は本来、あっさりと貰えることはないのよ。数が限られてるのも一因であるけど、何より操縦者本人の技量が求められるから。自分の専用機を持つということを目標としている生徒だっているし、努力の証と見ている生徒も少なくないわ。けれど、蒼星君と織斑君は例外として、篠ノ之箒ちゃんはいとも簡単に手に入れてしまった」

 

 蒼星と一夏は男だ。男がISに乗れるのは異例なのだが、実際に乗れてしまっている。なので、その原因を突き止めるために彼らに専用機を与えて詳しく調べようとするのはまだ納得出来る享受の範囲内だ。

 それに他の面子。

 セシリアと“ブルー・ティアーズ”。

 鈴と“甲龍”。

 シャルロットと“ラフォール・リヴァイヴ・カスタムⅡ”。

 ラウラと“シュヴァルツェア・レーゲン”。

 璃里亜と“エンドロード”。

 後は一応専用機なのだが、未完成であるので微妙な立ち位置の簪と“打鉄弐式”。

 見たことはないが、楯無と“ミステリアス・レイディ”。

 彼女達は全員、どこかの国家に属する代表候補生。楯無に至ってはロシアの代表でもある。

 普段接している彼女達からは、代表候補生という肩書きにあまり凄みを感じないのだが、実際は違う。

 そもそも代表候補生の座を狙っている者は何人なのだろうか。数百人、いや下手をすれば数千人ものライバルが数少ない代表候補生の席を取り合うのだ。

 そのレースに彼女達は勝利をもぎ取り、その座に見事に居座っている。そして、さらなる高みを彼女達なりに目指して進んでいるのだ。

 生半端な努力ではなれない。

 だからこそ、専用機が彼女達に与えられても可笑しくない。そこまでに辿り着いた過程に十分努力が滲み出ているから。例え不満があっても、だったら正々堂々と正面から勝ってみろと言い返されればぐうの音も出ない。

 だが、箒はどうだろうか。

 篠ノ之束博士の妹。彼女の最大の肩書きと言われれば、真っ先にこれが上げられる。とは言うものの、それは血縁関係に過ぎず、それ以下でも以上にもならない事実だ。

 束の妹なので箒もISが得意───とは謙遜にも言えず、蒼星が多目に見ても箒のIS操縦技術は下手でもなく平坦だ。剣道の経験からか、近接が少し得意なぐらいだろうか。だが、それでも剣道の癖で常に足を地につけていたので空中戦は苦手な様子だ。

 つまりは箒の強さを保証する要素は何一つない。男でもなければ、代表候補生でもない。言い換えれば、一般生徒と同じレベルなのだ。

 他の専用機組に刺激されて、訓練機をよく積極的に使用していた為、普通の生徒よりは搭乗時間が多いものの、根本的な所は変わらない。

 

 結論───箒に専用機はまだ早かった。

 

 それでも、箒は求めてしまった。力が欲しいからと、入学当初は束を姉として拒絶していたにも関わらず、姉からのプレゼントを意図も簡単に受け取り、一人で舞い上がる。

 今はある程度改善されているが、紅椿を授かった当初、箒は完全に浮かれていた。彼女は浮かれていると実感もないままに紅椿を手に入れたことに歓喜していたのだ。

 

「虚ちゃんはあまり好印象は持っていないようね。彼女がそれなりの力を手にいれるまで、IS学園が預かっておくって言う考えも出てたわ」

「宝の持ち腐れは避けたいですからね」

 

 蒼星は真面目な表情になる。

 

「俺はこう思ってるんです」

「?」

「力は代償の象徴」

「つまり?」

「何かしらを犠牲にし得ないと得られない非効率的な存在。それが力だと。俺は実際、二年間を向こうで過ごしてきて結果的に今のIS操縦の手枷となった」

「………」

「過去に何があろうと、残るのは結果だけというのがこの世界。酷いもんですよ。過程なんて大事だとも世の偉人は言っていると思いますが、実際は赤の他人にとってはそんなものはどうでも良い。理由は簡単、見えないから、分からないから。だからといって、そもそも興味がないので知ろうとはしない。最終的に、都合の良いように知ったこっちゃないって言われてしまえば終わりです」

 

 箒にだってそうだ。

 彼女の姉がISを開発したのが原因で、家族は別れ離れとなり、たったの一人で孤独な時間を過ごす。友達なんて出来ない。常に監視を浴びて、学校は数ヵ月経てば転校を繰り返すそんな生活。

 一夏から聞いた限りだと、箒はそんな生活を6年ほど過ごしていたようだ。

 そんな過酷な過去を持ってしても自分から知ろうとしない限り、誰も彼女の過去を知る機会はない。箒の性格からして、彼女の口から出ることはまずないだろう。故に形に出ないからこその必然的な運命かもしれない。蒼星だって、一夏の口から間接的に呟いたのを問いただしたお陰で知ることが出来たが、それがなければ一生知らないかもしれない可能性だってある。

 よくよく慎重に考えれば彼女がそんな生活を耐えて乗りきってきたことは分かるかもしれない。けれど人って指摘さればそれが川切れとなってどっと溢れるが、自分から気づくと言うのは本当に稀だ。ましてや、他の感情に覆われた心では気付く素振りすら見せない。

 

「俺としては箒が専用機を持つことに賛成もしなければ、反対もしないです。今更、専用機を返せと怒鳴られても無理なもんは無理ですし、要は箒が強くなれば万事解決な話ですからね」

 

 楯無は珍しく黙って聞いている。

 

「結局は箒の専用機持ちについての件についてはしばらく様子見をするのが、妥当だと俺は思います」

「ええ、そうね。それにぶっちゃけ、例え彼女が専用機を持ってどこかの国に所属するかは、まだIS学園にいる間は構わないのよ」

 

 IS学園はどこからも一切の干渉を受け付けない。楯無はそれを利用するつもりだ。シャルロットもその校則を使って、一応卒業するまでは安全とされている。

 決断の先送りような感じになってしまうが、仕方ない。問題は卒業後に流してしまうが、楯無が懸念していたのはまた別の問題。

 

「私の予想だと、2,3年生が黙ってくれないのよね~」

「やっぱり女って恐いなぁ………」

「何か言った?」

「いえ!!それで、やっぱり対策とかするつもりなんでしょ!?」

 

 楯無は話を拗らせたことで不満そうに口を尖らせるが、彼の質問には答える。

 

「生徒会………私と虚ちゃんの二人だけど、予想では二学期まで動きはないと見ているわ。夏休みにできる限りの手回しはするつもりだけど、本人の意識がない限り無意味となるから蒼星君にはそこ辺りの対処をお願いするわ」

「つまりは夏休みの間に箒を鍛えろと?」

「そっちもお願いしたい所だけど、蒼星君は自分のことで精一杯でしょう?」

「………そうですね。俺も早く新しい機体には慣れておかないといけないですから」

 

 二次移行した蒼星のIS“麒麟・月歩界”。

 本人の蒼星でさえ、まだ未知数となる単一仕様能力は完全に把握できていない。なので、夏休みという長期休暇を利用して、麒麟の担当である璃里亜の両親の元で色々と詳しく調べる予定なのだ。

 

「それに………」

「それに?」

 

 蒼星は他に理由はないのだが、楯無にとっては譲れないものらしい。

 

「生徒会の仕事が山積みよ!!」

「え?俺もやるんですか?」

「生徒会の一員として、当たり前のことを今更言うんじゃないわよ!!」

 

 蒼星の気分は憂鬱だ。

 主に書類関係の分類となるので気苦労の多い作業となり、とにかくしんどい。

 

「で、今はその話は置いといて………蒼星君には主に人間関係の方を頼みたいのよ」

「というと………あぁ、一般生徒、一夏や専用機持ち達の反応に対しての応対ですね」

「えぇ。織斑君とはまだ会ってないから、これは想像に過ぎないんだけど、彼は正義感が強いようね」

 

 楯無の言う通り、一夏は正義感が人一倍強い。何か問題が発生すれば、確実に解決へと走ってくるだろう。例え、それが無謀で危険であろうとも関係ない。

 弱くては何も出来ない。それは楯無と蒼星はよく痛感している。楯無は今までの暗部としての経験から、蒼星はSAOで味わった残酷さから学んでいる。

 正直、一夏と箒は弱い。一夏は代表候補生に滅多に勝てることはなく、負け続き。箒も今のままでは紅椿は宝物の持ち腐れとなっている。

 

「彼なら彼女に何かあれば、身をもって介入すると私は見たわ」

「だけど、一夏は弱いから───」

「───彼女にとっては逆効果となる」

 

 弱い者に守られて、強くなるなんて矛盾した酷い妄想は現実に絶対に起こらない。

 

「夏休みまでは大丈夫として、二学期からは相当な確率でイジメが起きるはず。彼はそれを止めようとするでしょ」

「それが追い風となり、箒は一夏に守られるという安心感から強くなろうとはしなくなる」

「えぇ。まだ向こうは私のことを知らないから、何かと私では対処しにくい所もあるの。そこを蒼星君に任せたいのよ」

「なら、しばらくは放置ですね」

「あら、意外。てっきり、色んな策を用意するかと思ってたわ」

「箒にとっては絶好のチャンスですからね。これを無駄にしては勿体無いです。少しでも、紅椿の存在の重要さを理解してくれればそれで良いので」

 

 誰かに教えてもらうより、自分で気付く方がその後の成長の度合いが大きくなる。箒には一度自分の現状と向き合う機会が必要だろう。

 楯無はニヤリと笑う。

 

「案外、蒼星君は黒いのね」

「いえ、黒に染まった白です」

「灰色ってことかしら?」

「そういうことにしておいてください」

 

 ずれた話を戻す。

 

「最善策としては彼女が全員の前で実力を見せつけることがベストだと思うのよ」

「ですが………そんな行事やイベント、一学期はもう流石にありませんね」

「そうね。二学期に入ってからじゃ、手遅れだと思うけど仕方ないわ」

「二学期の行事と言えば“キャノンボール・ファスト”と“タッグマッチトーナメント”ですかね」

 

 キャノンボール・ファスト。

 俗に言うISでの高機動レースだ。特徴は他のレーサーの妨害もありということ。

 他国のお偉いさんも訪問して観戦する予定なので、そこで結果を出せば周りの見方も変わるだろう。

 タッグマッチトーナメント。

 一般生徒は参加せず、参加資格があるのは専用機持ちのみ。相手は代表候補生以上となるので善戦を繰り広げられるほどの実力は必要不可欠。

 認められれば、成功。だが逆に失敗するとより一層罵声や中傷は酷くなる。一種の賭けとなるが、それぐらいは箒に頑張ってもらわないといけない。

 

「それと学園祭があるわよ」

「そういえばそんなのがありましたね」

「勿論あるわ。生徒会としても出し物はする予定だから、期待しておいて損はないはずよ」

「うわ、嫌な予感しかしない」

「本音が駄々漏れよ」

 

 蒼星は苦笑い。

 

「ちょうど話題に上がったから、二つ目の本題に入るわ」

 

 となると、学園祭関連。

 

「学園祭ではクラスごとに出し物をすることになっているの。IS学園から他国に招待状を出しているから、その人達をもてなすためね。生徒も一人まで招待状を出せるわよ」

 

 因みに蒼星は彼を誘うつもりでいる。

 

「そうなると自然と警備も甘くなるのよ。先生達にも頑張ってもらうつもりだけど、どうしても人数が足りないわ。そして、その日は確実に亡国企業が攻めてくると見ているのよ」

「亡国企業………」

 

 蒼星が思い返したのは、臨海学校の時に現れた亡国企業。操縦技術はなかなかの物なので、学園祭に乱入してくると事態は混乱を極めるだろう。

 さらにその日は来訪者等で、人口密度は高いと予想される。戦闘での余波で怪我して被害が及んでしまったら、なにかと大変だ。

 

「色々と対策は練っておくつもりよ。それでも当日、蒼星君には警備に当たってもらうわ」

「え?俺がですか?」

「えぇ。あなたの強さは私がしっかり認めてるから、特に心配はないわ」

 

 これは蒼星にとっては意外な発言。

 学園最強の彼女に認めてもらえるなど、少し自慢げになってしまいそうだ。

 

「もちろん私に勝とうなんて一億年早いわよ♪」

「はいはい」

 

 今ので、台無しだが。

 

「話を戻して、亡国企業が学園祭に来ると仮定しましょう。亡国企業の狙いは確実にあなたと織斑君のISね」

「まぁ、要心はしますよ」

「襲撃してきた時には私達はすぐに駆け付けるつもりでいるけど、どうしてもちょっとした時間は必要になってくるわ」

「それまでは俺や一夏自身が足止めをしておく必要があるってことですね」

「あなたのことはそれなりに信用してるわ。織斑君については私が直々に指導してあげるつもりよ」

「あーあ、一夏も災難だな」

「………どういうことかしら?」

「いえ、流石にあのメニューは………」

 

 楯無と同部屋にされた頃から、蒼星は彼女の製作した特訓メニューをこなしていた。主に朝にしているのだが、あれをいきなりやるのは地獄だと蒼星は思う。

 

「蒼星君は基礎技術はついていたから、あのメニューをしてもらって体力を戻すのが最大の目的だったのよ。織斑君の場合はまったくの逆ね。主にIS技術を教える方向に考えているわ」

「それで少しでも一夏の奴に強くなってもらって、どうするつもりなんですか」

「期限が少ないから彼に教えられることは正直、付け焼き刃ね。結果として少しでも敵との戦闘のさいに時間稼ぎが出来れば、それ以上は高望みしないわ」

 

 楯無の言っていることの裏をとれば、一夏にはまだ敵を倒すことは出来ないと言っているようなものだ。

 実質、一夏は織斑千冬という存在に守られてきたので、彼が自分を守ることの出来る力は殆ど皆無に等しいと楯無の判断は厳しいものになっている。

 

「まぁ、結局はどれも二学期になってが本番ですね」

「夏休みは勿論、生徒会で決定よ♪」

「嫌です」

「やりなさい」

「嫌です」

「やりなさい」

 

 二人の間にバチバチと火花が散る。

 面倒事に時間を費やしたくない蒼星。

 少しでも仕事を楽にしたい魂胆の楯無。

 

「あっ………虚ちゃんから電話かしら………」

 

 静寂を破ったのは一本の電話。

 コール音に気付いた楯無がベッドを立つと、机へと歩いていく。ユカが気配を感じて、振り向くが楯無だと分かるとすぐにテレビへと戻った。

 

「………!!」

 

 電話に出た楯無が蒼星が見てもはっきりと分かるほど、顔が青ざめていく。

 ほどなくして通話が終了しても、彼女の表情が改善させる様子はない。

 

「………仕事がまた増えたですって………」

「そりゃあ、災難でしたね」

「蒼星君の分もあるわよ」

「そりゃあ、気のせいですよね………」

 

 蒼星の表情が固まる。

 

「はぁ………手伝います。手伝いますから。これで、満足でしょう?」

「お姉さん、超嬉しいわぁ!!」

「えっ!?」

 

 歓喜に溢れた楯無が勢い良く蒼星の方へとダイブ。

 

「ぐへぇ!!」

 

 蒼星が楯無の下敷きとなる。

 仰向けの体勢になった蒼星の目の前には楯無の端麗な顔が目前まで迫っていた。

 

「ちょっ!?近すぎますって!?」

「あら?そうかしら?」

 

 馬乗りになっている楯無はさらにグイッと蒼星の顔へと近づく。

 

「うふふ………油断したわね、蒼星君。さぁ、全て洗いざらい吐いて貰うわよ」

「何を!?」

 

 楯無が彼を誘惑するかのようにゆっくりと、時間をじっくりかけて互いの両顔が接近する。

 無理に離そうとしても、何故か上手く力が入らない。楯無が巧妙に押さえ込んでいるのだ。蒼星としては暗部としての力をどうしてこんな所で発揮するのか、突っ込みたい。

 

「パパ」

「あら、ユカちゃん」

 

 すると、テレビを見終えたユカがベッドで寝転んでいる二人を見下ろすように立っていた。

 

「浮気は駄目だよ?」

「いや、だったら手伝ってくれない?」

「うん、分かった♪」

 

 バチバチ、火花が散る音。

 ユカは電撃を操る機体“麒麟”の自我意識であるので、電撃は平気である。というか、自らの意思で発生することも可能。

 

「ビリビリ~♪」

「えっと………ユカ………なんで、距離をとってるんだ………?」

「ユカちゃん………もしかして………」

 

 楯無の頬がひきつり、蒼星の顔が青白くなっていく。

 ユカが笑顔で走ってくる。

 

「ダーイブ!!」

「「───っ!!」」

 

 ───バチッ………。

 ………因みにユカが元気良くベッドへとダイブしたのが原因で、寮内でしばらくの間、停電が発生してしまった。

 

 

続く────────────────────────────

 




〈蒼星の結論〉
 箒の専用機については、彼はその事実を受け止めることだけに専念した。彼女が長年耐えてきた6年の時間の代償として、紅椿を手に入れたとするのなら彼から彼女に直接何も言うことはない。
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