魔法少女リリカルなのはPSP =マテリアルサイド=   作:のぶな

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最終話Bの後日談

 

それはある日の事。

 

喫茶翠屋のドアに備え付けられたベルを鳴らして現れたのは、青い長い髪をツインテールに纏めたひとりの少女。

それは、かつて闇の書の闇と呼ばれた防衛プログラムの断片データが、現存する魔導師の姿と力を象って顕現した存在。

紆余曲折を経て、今は防衛プログラムの断片としてではなく一個人としてこの時を生きる少女。

 

名前は『レヴィ』

 

本人は当初から『雷光』と名乗っていたのだが、それは女の子の名前としてはどうだろうという事で、みんなで新しく名前を考えようという話になった。

だが、船頭多くて船は山に登る状態になって一向に決まらず迷走したりして、結局は当人が勘で決めたのだった。

 

「僕は今日から翠屋の子になる!」

 

そんな彼女がここ、喫茶翠屋に現れたのはまだ開店前というこの時間。

大きな荷物を抱えて、いかにも『家出してきました』という風貌のままに、開口一番がそれだった。

 

翠屋の面々からしても、いきなりそんな事を言われても、状況は分からない。

それ以前に、翠屋は高町家の夫婦が経営している喫茶店ではあるが、住んでいる家は別にあると彼女も知っているはずなのに、何故翠屋の子になるというのか?

 

様々な疑問を巻き起こしながらも、分かった事といえば、とりあえず彼女は至極真剣だという事ぐらいだった。

 

 

 

 ◇

 

 

事の発端は、八神家での朝食における何気ない会話。

 

「おめーも一日中遊んでないで、たまには働けってんだよっ」

 

そんな、ヴィータの一言だった。

朝食も食べ終わり、みなそれぞれにのんびりとした時間を過ごしている最中だった。

 

「なんだよ、そんな事を言ったらヴィータだって似たようなものじゃないか」

「あたしらは管理局で働いているとかしてるってーのっ。なんだったらあたしが口利きしてやっから、おめーもちょっとは世の中に貢献しろってんだよ」

 

「ヤダ。僕は管理局なんかで働きたくなんか無い」

「なんだよそりゃ。それは単なるてめーの我が侭じゃねぇか!?」

 

ヴィータの申し入れにも、彼女は即答でそっぽを向く事で応える。

そんなシンキングタイムゼロのリアクションに、せっかく自分が譲歩した態度で臨んでやったというのにという思いで、カチンとヴィータはくってかかる。

まあ、他の人から見ればどこが譲歩しているのか、という話ではあるが。

 

「まあまあヴィータ。怒ったらあかんよ?」

 

だが、そんなヴィータをなだめるようにしながらはやてがふたりの間に割って入る。

彼女とヴィータが言い争いをして、その間にはやてが入るというのは、既に八神家ではよくある光景であると、他の守護騎士達も、特に何も言わず見守っている。

 

「あのな、ヴィータはああ言うとるけど、ほんまはレヴィと一緒に働きたいって言うとるんやよ?」

「なっ、ちょ、……ち、ちっげーよ、はやてっ!!」

 

はやての彼女を諭すような言葉に反応をして見せたのはヴィータ。

若干頬に朱が差している辺り、照れているというのが丸わかりだ。

 

「……守護騎士のみんなが管理局に協力するのは義務なんだろうけど、僕にはそんな責任はないんだから、僕が何をしていようと勝手だろ」

 

だが、そんなヴィータの反応に対しても、彼女のそれは何処か冷めたようなものだった。

 

「そして僕は管理局は嫌いだ。あんな、夜天の書は良いけど防衛プログラムである闇の書の闇は絶対悪ってしか見ていないような連中と一緒に働きたくなんてないねっ」

 

元々、闇の書の闇そのものと呼べる存在であった彼女は、防衛プログラムの事を悪だとは思っておらず、その犯してきたとされる罪もまた、罪だとは思っていない。

ただ、自分は自分の存在意義を全うしていただけ。そこに善悪の意義を挟む余地はない。

そこに悪というレッテルを貼ったのはほかならぬ管理局だと彼女は認識している。

 

確かに、多くの人を死なせたし、不幸を巻き起こしたという事は理解している。だが、それでも彼女は考えを変える気はない。

彼女の存在を認めた人達は、彼女の事を肯定はするが、闇の書の闇である防衛プログラムを肯定するという事にはならない。あくまで彼女一個人を認めているだけ。

別に、悪を容認するわけじゃない。ただ、本当は悪と呼ばれるようなものじゃなかったと弁護したいだけだ。

 

管理局としては既に過去の物となった事を今更掘り返しても益は無いと言うのが本音である。

故に闇の書の闇は悪として滅びたと断じてしまった方が後腐れもなくて都合がよい。

その辺りが彼女とそりが合わないから、彼女は管理局とは相容れない思いでいるのだ。

 

「そんな事あらへんよ。ほら、リンディさんとか、クロノ君とかはレヴィが悪いように見られないよう、色々と取り計らったりしてくれとったやろ?」

「……リンディとかクロノはまあ嫌いじゃないけど、でも、それが管理局っていう組織と好感度がイコールで繋がるなんてわけがないだろ」

 

自分は譲りたくないと思い、管理局にはそもそも譲る意味も理由もない。その違いが軋轢となって、彼女と管理局の間に横たわっている。

それは、無理に埋めようとしても余計にこじれる可能性がある。だから今は、焦らずに相互に理解を深めていくという段階。

 

すぐに納得は出来ないだろうが、彼女の心の整理が着くまでは、管理局とは距離を置いた付き合いをするべきだというわけで、彼女の身柄は管理外世界の家庭の預かりとしている。

そう取り計らってくれた人達に、彼女は感謝の想いはある。

だが、逆にいえば、その人達もまた彼女は少なくとも今は管理局と距離を置いておいた方が良いと判断したという事でもある。

そういう考えがあるからこそ、やはり今は管理局に協力する事は出来ないと考えている。

 

断じて、何も考えずに自身の感情だけで管理局を拒否しているわけではないのだ。……本当だよ?

 

「……ああ、てめーの言いたい事はわかったよ」

 

ヴィータもまた、常々彼女のをバカと呼んでいるが、本当に彼女が考えなしだとは思っていない。

直感が判断の大部分を占めるが、むしろ頭の回転は速く、頭は良い方だと理解をしている。

だから、これ以上に無理に誘っても余計な軋轢を生むだけだと分かっているからこそ、これ以上の追及を打ち切る。

 

「でも、それじゃあてめーは、結局のところはただのニートには変わりはねぇって事じゃねぇか」

 

ただし追求はしなくても追撃はする。

何故ならそれがアイデンティティというかのように、ヴィータは彼女の事を鼻で笑う。

 

「なんだとっ、僕の事を単なる穀潰しだとでもいうつもりか!?」

「はっ、事実じゃねーか!」

 

そして、打てば響くといわんばかりに、いつも通りにケンカを始めるふたり。

そんなふたりの事を、はやては困ったものだと苦笑しながら見守る。

 

はやては、自分とヴィータは家族ではあっても基本は主従の関係であり、友達付き合いをするような間柄ではないと知っている。

守護騎士というあり方から、見た目に見合う友達が作りにくいヴィータが、こうやって自分の感情を全力でぶつけ合えるような相手が出来て嬉しいと思う。

 

「まあレヴィもなんやかんだで、生まれたてやからな。

夜天の主として、色々と面倒みるんはわたしの役目やから、別にうちでのんびり過ごしていても、それで別にええんやよ?」

 

はやてとしては、彼女の事も家族として受け入れたいと思っている。

だが、彼女は『みんな』と一緒に居る事を望んでいる。それは家族という枠組みに収まらない、もっと広いコミュニティーの意味合いでの『みんな』だ。

今でこそ八神家の預かりになっているが、いずれ彼女は広い世界へ飛び出していくだろう。

その時が来たらと想像するとはやてからすればちょっと寂しい部分もあるが、そうだとしてもここは何時でも帰って来ても良い『家』として気兼ねなく過ごしてくれれば良いと口にする。

 

「ちっがーうっ。僕は別にはやての世話になる必要なんてないんだっ。その気になれば、ちゃんと独立して生活も出来るんだぞ!」

「はいはい。せやな~」

「ふ~んだっ、そこまで言うなら僕にだって考えはあるぞっ」

 

だが、どうやら今回はその想いがズレて彼女に伝わってしまったらしい。

いきなり会話を打ち切るとあわただしく部屋を飛び出して行ってしまった彼女を止める暇も無かった。

 

「こんな家なんか出てってやるっ、そして僕はそこのニート侍とは違うって事を証明してやる!」

 

そして、みんなから貰った衣服などを詰め込んだバッグを抱えて再びリビングに姿を現すと、ビシリと指をさしてこの家を出ていく旨を宣告する。

 

「うん、車とかには気をつけてな~。それと、ちゃんと夕飯までには帰ってきてな。

知らない人にお菓子をあげる言われてもついて行ったらあかんよ?」

「僕を子供扱いするなーっ。本当だぞ、本当に僕は出てってやるんだからなっ。今更止めたって遅いんだからな!!」

 

と思ったら、そのまま捨てゼリフを残して再び部屋を飛び出した。今度は玄関から出て行ったような音がしたあたり、本当に出て行ったらしい。

 

「ニート侍、だと……?」

「だ、大丈夫よ、シグナム。わたしだって家事のお手伝いをしてるけど、肝心のお料理は全然はやてちゃんにさせてもらえていないものっ」

「そうだぞ、将。私は我が主に魔導を伝える役目を自負しているが、この弱った身では労働に身をやつす事も叶わないのだ。現状、一番世話になっているだけなのは私だ」

「私も、主の犬を飼いたいという意向に応えるために狼の姿で日常を過ごしているが、結局、主の昼寝のまくら代わりにしかなれていたのだ。お前が気に病む事はない」

 

「う、うぁぁぁっ!?」

 

……そして、会話に参加していなかったはずの某騎士がなにやら精神的にダメージを負っていたとかなんとか。

 

 

 

 

 

「まったく、はやてだって子供なのに僕ばっかり子供扱いするなんて、一体どういうつもりなんだかだよっ」

 

桃子の用意したお子様ランチをパクつきながら、不平不満という名の文句を延々と垂れ流す彼女を前にして、士郎と桃子も大体の事情は把握出来た。

 

「なるほど、つまりは自分も働く気になれば働けるという事を証明して、はやてちゃん達を見返してやりたい、というわけなんだな?」

「うん、さすがはしろー。話が早いねっ」

 

自分の問いに首肯してみせる彼女の姿にだから高町家ではなく翠屋の方に来たのだと、ようやく合点がいった。

まあ、自分が大人だと証明したいと言いながらも、出されたお子様ランチに目を輝かせていた姿は微笑ましい以外の何物でも無い。

もっとも、そんな想いを悟られると彼女の機嫌が急降下するのは目に見えて分かるので、なんとか表面上は取り繕っているが、何となく彼女を見る目が優しいものになってしまう。

 

ちらりと息子の恭也を見れば、八神家に電話を入れたらしく、うなずいてみせていた。

どうやら、今回も家族公認の家出だという事を苦笑気味な表情をみてそれを悟る。

その上で、この場はどうするべきなのかを思案を巡らせる。

 

「だからうちの店で働きたいという事は分かったが、……正直なところ、君をアルバイトとして雇うのは無理があるな」

「なんだとっ。一体何がいけないっていうんだ!

……はっ。まさか君達も僕の事を頭が悪そうとか、そういう言いがかりをつける気か!?」

 

まあ、実際にはヴィータしか彼女をバカ呼ばわりはしていないのだが、それでも自分はバカじゃないと憤りを見せる。

そんな彼女の考え至った内容に、困ったように顔を見合わせる高町夫妻。

思わず苦笑いが浮かんでしまうのだが、それでも人の親である身。桃子は彼女に視線を合わせるように屈むと、ゆっくりと諭すように口を開く。

 

「そういうわけじゃなくてね。あなたみたいな小さい子を雇うのは労働基準法にひっかかるのよ。

一応『お手伝い』レベルなら色々と誤魔化せるけど、あなたは働いてお金を手に入れたいんでしょう? そういう意図だというなら、難しいというのが正直なところなのよ」

 

実際には保証人やら色々在るのだが、一時期は彼女を高町家で預かるという案も出ていたくらいなので、士郎達も彼女の身の上は聞き及んでいる。

雇う事は出来なくとも、この家出少女が落ち着くまでしばらく家に泊める事も構わないとは考えていたが。

 

「なるほど、なら僕が『小さく』無ければ問題は無いってわけだね?」

「む。まあそうなるわけだが……」

 

さてどうしようかと思っていたところで、ふと彼女がそんな事を言ってきた。

士郎達からすれば常識的に彼女が急に大きくなれるわけがないと思う故に、彼女のその言葉に戸惑いを見せる。

 

だが、彼女は(一応)魔導師であり、管理世界外であるこの次元世界での常識にとらわれているわけではない事を失念していた。

 

「いくぞっ、バルニフィカス! へ~ん……」

 

彼女はおもむろに台座に宝石を据えられたような蒼いアクセサリーを取りだすと、自分が座っていたイスに飛び乗り、バイクで颯爽と走り現れるヒーローのポーズを取る。

ちなみに、何処で知ったかは分からないが、何故か一号のソレだ。

 

「しんッ。とぉ!!」

 

そして、ビシリと決めるとイスの上からジャンプする。

するとどうだ。空中で彼女の身体は金色に輝く光に覆わる。身に纏う衣服は弾けるようにして消失する。

アクセサリーの形状から、魔法を行使するデバイスであるバルニフィカスは内包するフレームを展開し、黒鋼色の長柄の斧形態へと移行。

そして、彼女の金色の魔力が編み込まれ、物質化させた事によって生み出された新たな衣服をその身に纏い行く。

本来なら一瞬で終えるはずの光景を、演出重視でひとつひとつ魅せるように変身する。

 

……まあ、色々言ったが、要はバリアジャケットをセットアップしたという事だ。

ただ、今回のそれは、ただ、バリアジャケットを着込んだとは違っていた。

 

「どうだっ、僕だって魔導師なんだから、変身魔法のひとつやふたつお手の物だよ!」

 

そう、彼女は今、変身魔法を使ってその外見を大きく変えていた。

身長は大きく伸び、それに伴い、身体のシルエットもまた、その身長にみあうだけの成長をしたものとなっている。

髪型などは殆ど変っていないが、何処からどう見ても先程までの9歳の外見であった彼女とは似ても似つかない女性の姿がそこにはあった。

 

ちなみに、バリアジャケットなのは流石に子供の服のまま大人モードになるのは無理があったからだ。

 

「……」

 

そんな彼女の変身シーンを目の当たりにした高町家の人々は、一様に呆けていた。

確かに末娘であるなのは、それにアースラ艦長リンディ・ハラオウンから魔法についてその存在は教えて貰っていた。

だが、実際に姿形がまるで変わるような魔法を見せられて、驚くなという方が無理だ。

 

「ちょ、みんな何をぼーっとしているんだ。ほら、この姿ならどう見ても子供じゃないんだから問題はないだろっ?」

 

そう言って、彼女はその場でクルっとターンをして見せる。

 

「ぶっ……!?」

 

そして、今度はまた別な意味で高町家の人々は言葉が出なかった。

 

彼女は今、バリアジャケットである。それは、黒のボディースーツに青いベルトやマントをしているというものなのだが、それが危険だった。

 

身体にぴったりとフィットするボディースーツは、その体型のメリハリを遺憾なく強調している。

すらりと伸びる白い足は艶めかしく、スカートも一々翻り、隠すというより視線を集めるのに一役買っていた。

 

元々、高速戦を得意とする彼女は、防御を最小限にとどめているため、非常にきわどいところまで装甲を抑えている。

それは、子供であったからこそ許されていた部分はあったが、今の彼女は大人モード。

いくら本人は無邪気に振舞っていても、色々ヤバイ。

 

「うわ、揺れてる……」

 

そして、高町家の長女の美由希がターンを決めた彼女のその胸に起こった現象を、思わずそのまま口から漏らしていた。

彼女の大人モードの外見は、大体十代後半から二十歳程なのだが、その胸の大きさは、典型的な日本人ではあり得ないボリュームを誇っていた。

そもそも、このバリアジャケットは大人の身体を想定して作られていないのだ。サイズを合わせる事は出来ても、子供の身体には無い部分を支えるような作りにはなってない。

 

「む~? おっかしいな~。僕はコレがこんなに大きくなるように設定なんてしていなかったはずなんだけどな?」

 

彼女は、自分のその胸が大きくなるのは予想外だったのか、小首をかしげながら、自分でもにゅもにゅと揉んでみる。

本人としては邪魔だな~、ぐらいにしか思っていない上での行動だったが、そんな真似をすれば指の隙間からこぼれそうな胸が余計強調されている。

自覚は薄いのだが、それが更なる要因となって破壊力も割増だ。

 

「こ、これは……!?」

 

現に、高町家の内で男性であり、長男である恭也もまた驚愕が口をついて出るが、それでも視線は彼女から外せずに……

 

「って、恭ちゃん見ちゃだめぇぇぇぇっ!!」

「ぐがぁっ!? 目がっ、目がぁぁぁっ!?」

 

そんな兄の視線に気付いた美由希が、恭也に目つぶし攻撃を繰り出していた。

剣士として修業を積んでいた恭也であっても、その瞬間の美由希のそれに反応する事が出来なかったのは男として仕方が無かった。

 

「きょ、恭也っ、大丈夫か!?」

 

そんな恭也の悲鳴に金縛りが解けたかのように、同じ男である士郎は彼女から視線をはずし、床でのた打ち回る息子の心配をする。

下手をすれば自分がこうなっていた可能性もあると、そこに掛けられた同情は深い。

 

「ふふ、あなたもよ?」

 

だが、全ては既に手遅れだったという事を、背中に掛けられた声で知る。

自分もまた息子と同じ道を辿るという明確なビジョンが、士郎には見えてしまっていた。

 

「ま、待て桃子っ、俺は別にあの子に見惚れてなんていないぞっ。本当だっ。俺が一番綺麗だと思っているのは……!」

 

士郎は必死に弁明をして、来るであろう未来を回避しようと躍起になるのだが、

 

「えいっ」

 

──めきょ

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

そして、喫茶翠屋に断末魔の悲鳴が響き渡った。

 

「……さて、美由希。レヴィちゃんにあの格好をさせているのも不味いと思うし、とりあえずは事故で人手も少なくなった事だし、あなたの予備に着替えさせてね?」

「あ、うん。じゃあレヴィちゃん。こっちにきてね?」

 

こうして、多少(?)の爪痕を残しつつも、彼女は今日一日限定ながらもアルバイトをする事になった。

 

「……ねえ美由希。この服、胸の部分が凄い苦しいんだけど?」

「う、うわ~んっ、わたしだってそんなに胸は小さい方じゃないのに~っ!!」

 

……どうやら、被害は多少の段階からさらに拡大をしていたようだ。

 

 

そんな風に色々とありましたが、今日も喫茶翠屋は平穏無事に開店です。

 

彼女はマルチタクスを全開にしてホールを捌き切り、レジは自前の演算能力で速攻でまわし、痴漢行為をした男は電撃を流して気絶させたりと孤軍奮闘の働きぶり。

そのアホっぽい言動からは予想外の働きぶりに、美由希はとても落ち込んでいたそうな。

 

ちなみに、彼女ははやてから『今日の夕飯はハンバーグ』の連絡を貰って、普通に夕飯時になると八神家に帰りましたとさ。

 

彼女の急襲にノーダメージだったのは桃子だけだったという、平穏な一日だった。

 

 

 




裏設定という名の雷刃ちゃんのレアスキル。

ワイドマジックドレイン(弱)

周囲に居る人から微量の魔力を吸収する事が出来る。劣化・変質した蒐集行使のスキル。
特定の主を持たないが、魔力を広く浅く集める事で自身の使い魔としての存在を維持している。
基本的に吸収する魔力量は微々たるものであり、相手に殆ど影響はない。
簡単に言えば、常に「オラに元気を分けてくれ!」という状態。

また、この雷刃ちゃんに流れ込む魔力量は相互の同意によって増やす事が出来る。
たとえ危機に陥っても、応援してくれる人が多く居れば居るほど、その想いを受けて更なる力を発揮して立ち上がるも出来たりする。



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