魔法少女リリカルなのはPSP =マテリアルサイド=   作:のぶな

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闇統べる王編 エピローグ

 

そこはとある飲食店。明るい店内の雰囲気と比較的単価の安いメニューから家族連れに人気の高い、いわゆるファミリーレストランと呼ばれる店。

ある日の昼下がり、彼女達はその店内の一角にてテーブルを囲んでいた。

 

「うぅ~、このジュース美味しくない……ッ」

 

最初に口を開いたのは長い青髪をツインテールにまとめた少女。

最初こそ嬉々とていたが、ストローを咥えた所でその表情は一変、相当お気に召さない味わいだったのか、眉を顰めて露骨に嫌そうな顔をしている。

最初の期待感を裏切られた部分も加味されて、余計に不機嫌になっているようだ。

 

「ふん、たわけめ。ドリンクバーだからといって全ての飲み物をミックスしたうぬが悪い」

 

そんな青髪の少女に対し、妙に偉そうな口ぶりと態度の白髪の少女が自業自得だと言いつつ、自分はオレンジジュースで喉を潤す。

 

実際、青髪の少女のコップの中身はかなりヤバイ。

普通にジュース類だけならまだ大丈夫だっただろうが、青髪の少女の場合、そこにスープ系やコーヒーも混ぜていた。

既に傍目の時点でおどろおどろしいカオスな色合いを醸し出している。これで美味しいなどとなったらそれこそ奇跡だ。

 

「え~、だって全種類を飲んでみたかったんだもん」

「だからといって混ぜる必要はなかろう。そんなに飲みたければひとつずつ飲んでいけ」

 

そしてそんな奇跡も起こるわけもなく、青髪の少女は苦しんでいるわけだった。

悪ノリをするにしてももう少しぐらいは後先を考えるべきだったのだが、そこで考えないのがこの少女たる所以なため、なんともフォローがしづらい。

とりあえずは青髪の少女がミックスジュース(?)を持て余しているところへ、白髪の少女がたしなめつつ、自分が飲んでいたオレンジジュースを差し出す。

 

「え、これって……?」

「か、勘違いするでないぞ。王たる我の口に合わなかった子供の飲むような甘ったるいジュースの処分をうぬに命じただけだ。

断じてうぬの事を慮ってやったわけではないからな!」

 

自分の前に差し出されたジュースにどういう事かを窺うような青髪の少女の視線に、白髪の少女は目を背けるようにしながらその行動の意図を説明する。

その態度はかなりツンツンとしているようで、追求しようにも取り付く島も無さそうだ。

 

「うん、ありがとう!」

「……ふんっ」

 

だが、青髪の少女からすれば美味しいジュースが手に入るなら事情はどうでもいいらしい。

何を迷う事もなく素直にお礼を言うと、今度こそ美味しそうに顔を綻ばせながらジュースを飲み始める。

 

そんな青髪の少女の真っ直ぐな言葉に、白髪の少女は何を言うでもなく無視を決め込むように黙り込んでしまう。

ただ、その頬に若干の朱が差しているように見えるのは……、おそらく気のせいだとしておくべきだろう。

 

「……よろしければこちらをどうぞ」

「ぅ……」

 

そんな白髪の少女に対し、それまで静観を決め込んでいたもうひとり、栗色の髪の少女が自分が頼んでいた飲み物を差し出してみせる。

どうやら飲むものがなくなった事に気を利かせたらしいのだが、その差し出された飲み物を見て白髪の少女は僅かにたじろぐ。

 

「まだ私は口をつけていませんので、どうぞお気になさらず。

もっとも、コーヒーは苦くて飲めない、などという理由から断るというのであれば私としても無理には勧めませんが」

 

そのたじろんだ理由を察したのか、栗色髪の少女は不要と言われたならばそのまま引き下がる旨を提示する。

ただ、普段から感情の起伏の少ない栗色髪の少女の声色からは、何を考えているのかが全く読み取れない。

普通に考えれば善意からの行為のはずなのだが、その吸い込まれそうな青い瞳を見ているとイマイチ善意が感じられないのが不思議だ。

 

「はっ、ふざけた事を抜かすでないわっ。この我がコーヒーが苦くて飲めないなどとあるわけがなかろうが!?」

 

そのため、白髪の少女は彼女の言葉の裏に「『王』を名乗っているクセにコーヒーひとつ飲めないなんて、てんでお子ちゃまだなァ?」と感じ取ったらしい。

いや、彼女はそんな事を一言も言っていないので本当のところは分からないのだが、白髪の少女からすればこれが事実であると内心で決定したらしい。

当然、自尊心の塊のような白髪の少女はそんな事実を認めるつもりは毛頭無いと、コーヒーを飲むくらいどうとでもないと証明するべく半ばひったくるようにカップを手に取る。

 

「にが……ッ!?」

 

そして予想以上のコーヒーの苦さに思わず噴出しそうになった。

口に含んだ量も少量だった事もあって実際に噴出す事は無かったが、それでもコーヒーの苦さ目を白黒させる。

改めてみれば、ソーサーに付いていた砂糖とミルクには一切手が付けられていない。どうやら栗色髪の少女はブラックのままで飲む気だったらしい事がよく分かる。

だが、白髪の少女からすればたまったものではない。少しでも飲みやすくするべく砂糖とミルクへ手を伸ばそうとして、

 

「じ~……」

 

すぐ目の前で注がれる、無機質なガラス細工のような青い瞳に気付いて手が止まる。

それはただ白髪の少女の行動をつぶさに観察しているかのようで、栗色髪の少女は無言のままで特に何を言ってもいない。

 

「……ふんっ。まあコーヒーならこの程度は当然であろうな。無論、この我が苦くて飲めないなどとあるわけがあるまいて!」

 

だが、白髪の少女的にはなんだか砂糖やミルクに手を出したら負けな気がしたらしい。

伸ばしかけた手を引っ込め、ブラックのままで再び口にする。

 

「ぐ……っ。ま、まあまあの味だな」

 

一瞬かなり苦そうに顔をゆがめるが、それでも平気だというように更にコーヒーを口にする。

頬が引きつっている気がするが、本人が問題ないと言っているのだから、実際に問題は無いのだろう。……たぶん。

 

「そうですか。それは良かったです」

 

そして栗色髪の少女は喜んでもらえて何よりと応えてみせていたが、どうにも反応が淡泊だった。

此処まで反応が薄いと、本当に良かったと思っているのかが全く分からない。むしろ白髪の少女の引き攣った顔を見れて満足だと思っているようにも見える。

その心中を知るのは、当人ただひとりだけである。

 

そんな風にしていたが、栗色髪の少女はここでひと段落が着いたと見たらしい。

ふたりの顔を窺い、特に何も言う事はなさそうである事を見て取ると、本題に入るための口火を切るべく静かのその口を開く。

 

「私達は私の想う形とは些か違いますが、安定を果たす事が出来ました」

 

……今この場に居る三人は、見た目の通りの少女では無い。

ロストロギア『闇の書』から分離、破壊された防衛プログラムが再生をしようとする過程で独自の自我を芽生えさせた、その構成体(マテリアル)達。

発生した当初は自我を獲得しながらも身体の構成が不安定であったが、紆余曲折を経て完全な安定を果たしたのが今の彼女達だ。

 

彼女達は破滅を齎すロストロギアと呼ばれた『闇の書』の後継であり、自分達が次元世界の平和維持を目的とする時空管理局と相容れない間柄である事の理解はある。

それでもこうして存在する以上は屈する気はない。これからも自分達の在り方を続けていくために、まずはこうやって話し合いをしようとしていたところだった。

 

「先日の夜道を歩いていた際、私達に対し声をかけて下さった親切な方々に誠心誠意を込めて『お話』をしたところ、お金を財布ごと快く提供して頂きました。

軍資金としては心もとないですが、当面の資金繰りはこれで何とかなると思います」

 

まずは現状についての報告。

後ろ盾の無い彼女達にとって収入を得る事は難しい。略奪をすれば簡単ではあるが、今は雌伏の時であるとの考えもあるため、しばらくは自重する事にしていた。

そんな中で幸運にも(おそらく)合法的な手段で纏まったお金が手に入ったのは僥倖と言えるモノだったと彼女は言う。

 

「行動の基本方針の決定、拠点の確保、情報の収集……。

やるべき事は多々ありますが、その中でも最初に決めなければならない事があります」

 

先立つ物の確保が済んでいるのならば次を考える余裕もある。そしてその中でもとりわけ重要な事がある。

そう前置きをして栗色髪の少女は一区切りを入れ、ここで何か意見があるかと、ふたりの様子を窺う。

 

「よい、続けよ」

 

だが、白髪の少女は今のところは特に何も無いらしい。促すように短く応える。

ちなみに、青髪の少女の方はあまり興味も無いのか、ウェイトレスを呼びとめて注文をしていた。

 

「はい、それでは。私達が決めなければならない事、それは──」

 

いや、今の時分にご飯類を食べたら夕食が食べられなくなるだろ。とは他のふたりは思っていたが、どうせ後悔するのはひとりだけなのだから別に構わないとしたらしい。

むしろ、今はシリアス中なのでツッコミはせずにあえてスルーするべく、栗色髪の少女はひとつ頷いて改めて口を開く。

 

「──『何と名乗るべきか』という事です」

 

その内容は些か拍子抜けするようなものだと、もしここに第三者が居たならそう思うかもしれない。

だが、栗色髪の少女は至極真面目に口上を続ける。

 

「私達は闇の書から生まれましたが、今となっては完全な別物となっています。

何時までも過去の名に拘る必要もありませんし、何より敗北した名を名乗り続けるのも縁起が悪いと思うのですが、どうでしょう?」

 

それは自分自身の証明。

 

独自の自我に芽生え、意思と意志を手に入れた。既に彼女達は新たな存在として確立している。

だが、彼女達はまだ自分自身という『個人』を示す名を持っていないのだ。

自分達は闇の書という同一のものから生まれたが、考え方や趣味趣向は全く違う。ならばその個体差の証となるものが欲しいと彼女は感じているのだった。

 

「うん、僕も賛成ーっ。やっぱりこう、自分だけの名前で名乗った方がカッコイイしね!」

 

その提案に、青髪の少女は即座に同意してみせる。どうやら話は聞いていたらしい。

なにやら名乗り文句が増える事を悦んでいるだけにも見えるが、きっと気にしてはいけない。

 

「……いいだろう、ならば闇を統べる王たる我にふさわしい名を献上するがよい」

 

そして白髪の少女もまた、却下する理由も無いと判断したらしい。ふたりを睥睨するように視線を巡らせ、頷いてみせる。

同時に、これは雑務である故にお前達ふたりで自分の名前を考えてみせよと、自分は泰然と構えている事を演出するべくコーヒーを口にする。

 

「う~ん……。あ、じゃあ君の名前は『すべ子』だね!」

「ぐふ……ッ!?」

「うわ、きたな……ッ!?」

 

だが、青髪の少女の発言のせいで色々と台無しになっていた。

 

「けほけほっ……。たわけがっ。何故我がそのような名を名乗らねばならん!」

 

あまりの予想外の名前の案にコーヒーを噴出してしまっていた彼女だったが、むせるのが収まると共に青髪の少女に憤りを募らせる。

どうやら相当『すべ子』という名はお気に召さなかったらしい。

 

「えー。だって闇を統べるんだから『すべ子』って、わかりやすいだろ?」

「安直にも程があるわっ。それならうぬの名は『アホの子』で決定だな!」

「何だとッ。僕の何処がアホだって言うんだ!?」

「ふん、何処からどう見てもうぬは阿呆以外のの何物でも無かろうが!?」

 

そしてそれを皮切りに言い争いを始めるふたり。

その内容の程は中々にレベルが低いが、本人達からすればおかしな名前が付けられてしまうかどうかの瀬戸際。言い合うごとにトークのボルテージを上げてゆく。

 

「……では、おふたりの名前は『すべ子』と『アホの子』という事でよろしいですね」

「「よろしいワケあるかーッ!?」」

 

そして横から浴びせられたその発言に、二人は声を揃えて反発してみせる。

なんとも喧嘩するほど仲良しなふたりだった。

 

「……何故ですか?」

「ぐ、素で言っているのか嫌がらせで言っているのかがさっぱりわからん……!」

 

だが、そんなふたりに対してもなんら動じる事無く、栗色髪の少女は心底分かりませんと小首を傾げる。

その姿に、思わぬ強敵の出現と白髪の少女は無意識に慄いてみせる。

 

「私としてはその名でも構わないと思うところなのですが……」

「それは君が当事者じゃないからそんな事を言えるんだよッ! よーし、こうなったら君の事もなんか変な名前で呼んでやるッ!」

「ふむ、それはいい。うぬも、自らのその発言を後悔するが良い!」

 

もはや目の前に居るのは共通の敵と、ふたりの少女は通じ合った。

先ほどまでの対立はなんのそのと意気投合し、栗色髪の少女に対するふたり。そして

 

「……」

「……」

 

何も名前が出てこなかった。

 

「どうしたのですか?」

「う、うるさいッ、ちょっとタンマ!」

 

変な名前で呼んでやろうと思ってから全く案が出てこなかった事にふたりは吃驚だった。

だが、だからといって此処で引くわけにも行かないと、相変わらず淡々としている彼女を他所に、ふたりは額を突き合わせるように作戦会議を始める。

 

「どうしよう、全然あの子の名前が思いつかないんだけど!」

「それを我に言うでないわっ。もう少しはその足りない頭を使ってから言葉を使え!」

「なんだとッ!?」

「やるかッ!?」

 

ただ、話し合おうにも、困惑が先に立って何も思い浮かばないらしい。真っ先に相手に意見を求めるが、答えはまったく出てこない。

むしろ、元々が気の短い者同士、堂々巡りにしかならなそうなこの状況で再び口ケンカに発展しそうになる。

 

「……どうしたのですか、すべ子にアホの子?」

「「だからその名で呼ぶなーッ!!」」

 

だが、それに先んじて栗色髪の少女がまだ決定もしていない名を使ったために、ふたりの怒りのベクトルは再び同一の方向へ向くことで一致する。

今はあのひとりだけ余裕しゃくしゃくな彼女の顔をどうにかする事が先決と、視線を交し合ったふたりはうなずき合い、作戦会議を続行する。

 

「む~、委員長! ……ってイメージは合ってるけどなんか普通過ぎてイヤだ」

「ならば宰相……、ダメだ。これでは嫌がらせになりはせん」

 

だが、どうにも「すべ子」や「アホの子」に類するような彼女の名前が思いつかないらしく、ああでもない、こうでもないと話し合う。

ちなみにその間、ひとり手持ち無沙汰となっていた栗色髪の少女は、何時の間にか取ってきていたコーヒーで優雅なひとときを過ごしていた。

 

「よーし、これで決定だ!」

「ふふんっ、うぬのその余裕顔もここまでよ……!」

 

そうやってふたりが額を突き合わせるようにしてウンウン唸る事数分、ようやく決着が付いたらしく、勢いよく頭を上げる。

その表情には自信に漲るようで、これから栗色髪の少女の余裕を奪える事を喜ぶようにニヤニヤと意地の悪そうな笑いを浮かべるふたり。

そしてそれを現実のものとするべく、その口を開く。

 

「よし、うぬは今日から『腹黒さん』だ!」

「どうだ、まいったか!?」

「そうですか、闇の象徴である『黒』を名に冠するという栄誉を、王を差し置いて受けるとは光栄ですね」

「ぬぉぉっ、しまったぁっ!?」

「なんてこったーッ!?」

 

あっさり切り返されて撃沈するふたりの少女がそこに居るのだった。

 

「……話が纏まらないようですので、私からも案を出してもよろしいですか?」

 

殆どノータイムで繰り出されたカウンターのショックにひれ伏すふたり。

その様子に、これでは話が進まないと思ったのか、栗色髪の少女は訊ねる。

 

「……うむ、構わん。申してみろ」

 

そして白髪の少女からはそんな返事がもらえたが、その声色はどう考えても投げやり感い満ち溢れていた。

どうやら予想以上に精神的打撃を受けているようだが、栗色髪の少女はその辺りは意に介さずに自分の意見を述べる。

 

「……私の戦闘スタイルは、一撃必殺の砲で対象を殲滅するというもの。

そしてその使う魔法の中でも最大の威力を誇る集束砲は、その残留魔力を集める様が星々の輝きの如き。

それらを合わせて考え、星の光を以って敵を殲滅する者、“星光の殲滅者”という意味で『シュテル・ザ・デストラクター』という名前はいかがでしょう?」

 

名前とはその存在を表す物であり、意味も込められて然り。そう語るように、栗色髪の少女は自分の名乗るべきと考えた名前を告げる。

「すべ子」やら「アホの子」でもいいのでは、と言っていた割に自分は素敵な名前を考えていたらしい事になんとも釈然としない思いを抱くふたり。

だが、それ以上にその名前で納得していたため、文句など出ようはずも無かった。

 

「……く、なんか凄くカッコイイ! くっそー、僕だって自分のカッコイイ名前を考えてやるんだからな!」

 

厨二心を刺激された青髪の少女はとてもうらやましそうであると共に、なにやら対抗心を燃やしたらしい。

へこんでいた事などあっさり忘れ、“星光の殲滅者”……『シュテル』にも負けず劣らずの名前を考えるべく頭を捻る。

 

「う~ん、えーと、僕の得意なのは雷の魔法だから……。うん、決めた!

僕の名前は『ライトニング・スパーク・サンダー』なんてどうだ!!」

 

「それは意味が被りまくりの上、人の名というよりは何かの技名だな」

「そしてその長い技名を叫んでいる間の丸出しの隙を突かれて撃沈するのですね、わかります」

「うなっ!?」

 

意気揚々と名乗って見せたが、すぐにダメだしを食らう青髪の少女だった。

 

「……して、うぬはまさか自分だけの名前しか考えておらぬ、などとは言うまいな」

 

撃沈され、それでも何かカッコイイ名前をと頭を悩ます青髪の少女を尻目に、白髪の少女は問いかけ……、いや、それは既に問いではなく確認だった。

それを受けるシュテルもまた、予測済みだったのか、静かに頷く。

 

「私としては、『力』の雷剣士は眩い雷光の刃と迅雷の速さと力で敵を瞬時に切り裂くというイメージがあります。

ですので、“雷刃の襲撃者”という意味で『レヴィ・ザ・スラッシャー』という名を。

そして『王』である貴女は、闇を統べる王のそのままの意味になりますが『ロード・ディアーチェ』という名が良いかと思います」

「……ふむ、悪くはないな」

「おお、なにそれカッコイイ……ッ。うん、僕はその名前がいい!」

 

そしてふたりの名として考えていた名を公表する。

白髪の少女はその答えは及第点であるというように頷き、青髪の少女もまた、すぐに食いついてきていた。

他に案は出てこない。それ以前に、三人が三人ともこの名前が良いと決めていた。

 

「では、我はこれより闇統べる王、『ロード・ディアーチェ』と名乗ろう」

「僕は雷刃の襲撃者、『レヴィ・ザ・スラッシャー』!」

「そして私が星光の殲滅者、『シュテル・ザ・デストラクター』ですね」

 

新しい自分の名前を口ずさむ。それはより明確に自分を認識出来るような、不思議な感覚だった。

三者ともその内心は同じだったのか、余計な事は何も言わない。ただその言葉の響きを胸の内に刻み込む。

そして、

 

「お待たせいたしました。お子様ランチのお客様はどちら様でしょうか?」

「あっ、はいはーいっ。僕だよ!!」

 

一気にシリアスな空気は瓦解するのだった。

注文していた品が届いて、席で飛び跳ねるようにして手を挙げてアピールするレヴィのその姿に、いいようも無い脱力感を覚えるのだった。

 

自分の前に置かれた旗の付いているランチセットを前に目をキラキラと輝かせているレヴィ。

既に我関せずと、マイペースにコーヒーを嗜むシュテル。

そんなふたりに対してこんな部下で良いのかと頭を痛めつつも、心のどこかで既にふたりの事を認めている事に、まだ気付いていないディアーチェ。

 

彼女達は、まだ何も知らない。だが、だからこそこれから多くの事を知っていくのだろう。

この先にどんな未来が待ち受けているのかは分からない。だが、それでも前に進む事を止める者はこの中には誰も居ない。

ならば、きっとその手に未来を掴むことは出来るはずだ。

 

「む、そんな目で見たってこの旗はあげないよ!」

「そんな物要らんわッ!!」

「おまけについている旗をそんなに物欲しそうに見るとは……物好きな方ですね」

「誰もそんな目をしとらんわァッ!!」

 

……まあ、取り敢えずは楽しそうだ。

 

 

 




二作目の情報公開を見て自分の思っていた以上にマテリアルズが仲良しだった! という影響を受けてこんな最後になりました。
まあ、公式からお出しされたのはさらなる仲良しっぷりだったわけですが。

あと、このシナリオには後日談や番外編はないのでさらっと次に行きます。
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