くっ殺系姫騎士氷結怪獣シーモ「やってやりますわァァ~~~~~~!!!!」 作:よよよーよ・だーだだ
事の発端は少しばかりの昔話。
今からだいたい、二十万年から三十万年ほど前の出来事だったでしょうか。わたくしたち怪獣が棲むこの地球に“余所者”がやってきたことがございました。
余所者、それは宇宙からの外来種。人呼んで宇宙超ドラゴン怪獣、そして『生きた絶滅現象』。
その名も憎い大怪獣、〈キングギドラ〉。
かの宇宙怪獣キングギドラは長大な三本の首と広大な翼、そして眩いばかりの黄金に覆われた巨体を持ち、さらにはこの星の天候をかき乱して地球環境を破壊し尽くす絶大な力を誇っておりました。
さらに地球環境への適応で怪獣たちの王権:アルファの地位を手にしたキングギドラは、自身の邪魔となる他のアルファ・タイタンたちを次々と狩り立ててゆきました。力に任せて君臨するその様はまさに暴君、僭主、偽の王。まさにおそるべき侵略者だったのです。
むろんわたくしたち、地球怪獣も黙ってはおりませんでした。
「争いをやめて、みんなで力をあわせて地球をキングギドラの暴力から守ろう!」
普段はくだらない縄張り争いでいがみ合うことの多い、わたくしたち地球怪獣。しかしモスラを筆頭とする有力な怪獣たちの呼びかけもあり、このときばかりは結束することになりました。
ラドン、アンギラス、ベヒモス、ティアマト、スキュラ、メトシェラ、アムルック、マルギル、ヤマタノオロチ、グレートエイプ、それに怪獣王ゴジラ……繰り広げられたのは世界を股に駆けた怪獣大戦争、地球の命運を賭けた大怪獣による頂上決戦。
そして世にもおぞましいあの三つ首のバケモノに引導を渡してやったのが他ならぬわたくし、〈氷結怪獣:シーモ〉だったのでございます。
最終決戦の舞台はブリザードの吹きすさぶ極寒の地、南極大陸。けれど生まれつき極低温を扱うことのできるわたくしにとっては、まさにホームグラウンドのようなものです。
「やっちまいなァー!!」
怪獣王ゴジラが発した大号令:アルファコール、それと同時に、地球怪獣たちの咆哮が盛大に響き渡ります。地球怪獣軍団の総攻撃、まさに怪獣総進撃です。
「ッシャーコラー!」「ッケンナーコラー!」「オウジョウセイヤァー!」
どかっ、ばきっ、ごすっ、がすっ……!
一斉に襲い掛かった地球怪獣連合軍により、キングギドラはバチボコの袋叩きにされてしまいました。流石の生きた絶滅現象さんもこれでは為す術もありません。
ほどよく弱らせ、タイミングを見計らったところで、わたくしにも指示が下されました。
「今だっ、シーモ!」
骨まで冷え切る猛吹雪の最中、それらさえも巻き込んで凍てつかせてしまうほどの絶対零度のビームがキングギドラめがけて放たれました。
ビームを放ったのはわたくし。わたくしは叫びました。
「やってやりますわァァ~~~~~~!!!!」
満身創痍のキングギドラ、そこへとどめを刺したのはわたくしの必殺技、瞬間氷結絶対零度:フロストバイトブラストです。さしものキングギドラといえど、ここまで追い詰められた上に絶対零度の冷凍攻撃を浴びせられてはひとたまりもありませんでした。
キングギドラの三本首が織りなす、絶望の断末魔が響き渡ります。
「こ、凍る……!」
「凍ってしまう……!」
「た、たすけ……!!」
そして生きたまま氷像に成り果ててしまう、キングギドラ。恐るべき宇宙超ドラゴン怪獣サマも、こうなってしまえば哀れなものでした。
それからわたくしたち地球怪獣は、キングギドラを南極の分厚い氷の下へ閉じ込めて封印することにしました。こうしておけばよほどの事態――たとえば地球環境が急激に温暖化して南極の氷が融け出すとか、あるいは愚かな人間がアホな発明でキングギドラを呼び起こすとか――が起こらなければ、二度と自由になることは無いでしょうから。
かくしてキングギドラの脅威は排除され、地球に再び平和が戻りました。
大金星をあげたわたくしシーモは、まさに今回の大決戦におけるMVP。共に戦った超古代文明の古代人たちはもちろんのこと、他の怪獣たちも総出でわたくしを褒めてくださいました。
「よくやった、シーモ!」
「すばらしいぞ、シーモ!」
「おまえは伝説だ、シーモ……!」
えっへん。
地球の運命を左右する地球最大の決戦、その中で重大な役目を果たしたわたくし。実に誇らしい気持ちに満たされました。そのときはわたくしもまだ若く、手柄を立てたくて血気盛んな時期だったのもあり、皆から褒められるのは良い気分だったのです。
戦いが終わったあと、わたくしはHollow Earth:地下空洞で暮らすことにいたしました。
これはわたくしの誇りと名誉にかかわることなのでハッキリさせておきたいのですが、別に他の怪獣たち、ましてやゴジラごときにビビって逃げたわけでは断じてございません。
わたくし自慢のフロストバイトブラストは最強、無敵です。仮にそれが無くても恵体が自慢のわたくしは、取っ組み合いの怪獣プロレスだって大得意。そんじょそこらの地球怪獣には負けませんし、その気になればゴジラでさえ倒せるかもしれません。それくらいの自負なら、わたくしにだってございます。
けれど、アルファ・タイタンの資格は単に『デカくて強ければ良い』というものではないのでございます。
器、品格、素質……とでも申しましょうか。この世界を導き、調和を保ち、時には反逆者や不埒者も捻じ伏せてゆく責務を背負う。そんな力強いリーダーシップ、なにより意思の力が必要となるのです。
ひるがえってわたくしシーモですけれど、生憎わたくしにリーダーとしての素質などというものは微塵もございませんでした。仮にあったところでわたくしは生来の
地上における苛酷な生存競争で辟易するよりも、地下空洞でゆったりまったり太平楽。のんびり平和に暮らしたい……それがわたくしが抱いていた、心からの望みだったのです。
……今にして思えばこれこそ破滅フラグ、なんとも浅はかで愚かな判断だったと後悔しきりでございます。
もしこのときの判断、地下空洞でスロウ・ライフなどと望みさえしなければ、きっとわたくしもこのような過酷な運命に身を投げられることにならなかったでしょうから。
けれど当時のわたくしはそんな未来など露知らず、平和な暮らしを夢見て地下空洞へと帰郷したのでございました。
思い起こせばわたくしの人生(?)、『あの男』に弱味を握られてしまったのがすべてのケチの付き始めだったかのように思います。
地下空洞の巣穴で眠っていたわたくしはある日、巣穴の入り口に現われた“影”の気配で身を起こしました。
目を醒ましたわたくしに、影は問い掛けました。
「……テメェが古代怪獣、シーモかァ?」
巣穴にやってきた影、それはグレートエイプの変種:アルファのようでした。
たとえばわたくしの知っているグレートエイプと言えば全身黒い毛です。しかし、このグレートエイプは全身が燃えるような赤毛、さらに手足も背丈も高く、瞳も冷たい青色をしておりました。
……はて、そういうあなたはいったい、何処のどちら様でしょう? わたくしが怪訝に思いつつも警戒している中、影は名乗りました。
「俺様こそはグレートエイプの新たなる王、スカーキング。そしてテメェの主人になる者だ」
……はい? なにが、誰の、なんだって??
わたくしが警戒度合いを高める中、スカーキングなる輩は自信たっぷりに言い放ちます。
「光栄に思えよォォ~~? かつて一つにして無数:キングギドラを封じたとかいうテメェの力、これからはこの偉大なスカーキング様が使ってやろうというんだからなァ~~?」
「…………!」
これには流石にわたくしもカチンと来ました。あまりに不遜な言い草、いったい何様のつもりなのかしら。日頃争いを好まないわたくしではありますが、ここまで言われてしまっては誇り高き氷結怪獣としての沽券に関わるというものです。
……仕方ない、少し脅かしてやることにしましょうか。
わたくしは全身のクリスタルを光らせ、フロストバイトブラスト発射準備の体勢をとりました。
その気になれば氷河期を引き起こせるわたくしのフロストバイトブラストですけれど、無論そこまではいたしません。狙うはせいぜい手足の一つや二つ。手痛く凍傷にでもしてやれば、このスカーキングとかいう不逞の輩も身の程というものを思い知らされることになるでしょう。
そのようなことを考えながらフロストバイトブラストを発射しようとした、まさにそのとき。
わたくしを、耐え難い苦痛が襲いました。
そのときの苦しみを、いったいなんと言い表せばよろしいのでしょうか。
スカーキングめがけて放とうとしたフロストバイトブラストのエネルギー、それらすべてが瞬時に破壊力そのまま逆流したかのような感覚を覚えました。全身の力が抜け落ち、わたくしはその場に崩れ落ちてしまいます。
「ぐ、ぅ……っ!?」
いったい、何が起こったのでしょう。わけもわからず動転することしか出来ないわたくしを、スカーキングは「クックックッ……」と喉を鳴らしながら悪辣に嘲笑っていました。
「なにが起こったのかわからねぇ、そんな顔をしているなァ?」
そう言ってスカーキングが自慢げに見せびらかしたのは、一枚のクリスタルでした。
それを一目みただけで、わたくしはすべてを悟りました。果たして自らの身に何が起こったのか。
「それは、わたくしの
スカーキングが手にしていたクリスタルはわたくしの身体から採ったもの、それもわたくしの急所である
なんと卑劣なのでしょう。わたくしの寝込みを突いたスカーキングは、わたくしの急所を密かに盗み出していたのです。
スカーキングが指先で
苦悶の声を漏らすわたくしを満足げに見下ろしながら、スカーキングはゲヒゲヒと下卑た笑みを浮かべて告げました。
「これからテメェは死ぬまで俺様の雌奴隷、せいぜい役に立ってくれや! ケッヒャッヒャッヒャッヒャーッ……!」
……その後のことは、あまり語りたくはございません。
スカーキングの奴隷へと堕とされたわたくしは地上侵攻計画における尖兵として好い様に操られ、あろうことか、あのゴジラと戦わされる事態にまでなってしまいました。
わたくしは平和が好きです。勝てる見込みがあったとしても、ゴジラ相手にだってわざわざ無益な争いなどしたくはありません。
それに、わたくしがいくら脳天気な性分にだとしても、誇りというものがございます。ましてや、あんな下劣なDVクソオスハゲ猿ごときの言いなりにされるなんてまっぴらです。実際、わたくしも出来るかぎり抵抗はしたつもりでした。
……けれど、無理でした。
わたくしの大切な逆鱗クリスタル、それを痛めつけられるたびに、わたくしの総身を耐え難い激痛が襲いました。しかもスカーキングはそれを肌身離さず持ち歩き、わたくしが言うことを聞かないたびに見せつけては、気儘に弄んでわたくしを痛めつけるのです。
わたくしにはもはや、逆らいようなどありませんでした。
ゴジラ族とグレートエイプに別れて繰り広げられた怪獣大戦争、その決着はスカーキングの敗北に終わりました。
わたくしシーモの力でもって地上世界を氷河期へと変え、さらにあの手この手のズル賢い奸智でもってゴジラ族に手酷い打撃を与えたスカーキング。
……しかし所詮は猿の浅知恵。大自然の化身たる怪獣王ゴジラには敵わず、スカーキングの帝国はわたくしもろとも地下空洞の最深部へと封じ込められてしまいました。
二度と陽の目を見ることも叶わぬ、鬱屈した地下暮らし。晴らしようのないスカーキングの鬱憤の矛先は、わたくしへと向けられました。
「……おい、退屈だ! シーモ、なんか一発芸でもやってみせろや!」
……ふん、芸など誰がやってやるものですか。わたくしの冷凍能力は大自然から授かった天分、スカーキングごとき下賤の無聊を慰める見世物ではないのです。
意地と矜持に掛けてそっぽを向いたわたくしですが、案の定スカーキングの不興を買ったようで。
「……ふんっ。この期に及んで、テメェの立場ってのがわかってねェようだなァァ~?」
そう言ってスカーキングは愛用の鞭、ウィップスラッシュを力任せに振り回しました。その先端にはわたくしから奪った
わたくしの大切な逆鱗クリスタル、スカーキングはそれをあろうことか自分の武器に取り付けたのです。それはまるで、わたくしという強大な怪獣をも従えてしまう自分の権威を周囲へ見せびらかしているかのようでした。
――ピシィンッ! パシィンッ!
そのウィップスラッシュを盛大に打ち鳴らすスカーキング。それと同時にわたくしの全身に、あの地獄の苦痛が襲い掛かりました。
スカーキングがウィップスラッシュを振るう度、わたくしの体へ鞭を打つような激しい痛みが襲います。如何にもスカーキングが思いつきそうな、実に陰険でイヤらしい仕掛けでした。
打って変わって身を伏せて苦しみに耐えるしかないわたくしを、スカーキングは得意気に嘲笑います。
「そらそらどうしたァ!? さっきまでの威勢の良さはどこに行ったァ! えぇ、伝説の氷結怪獣サマがよォォ~ッ!!」
くっ、ぐっ……!
スカーキングの暴虐に対し、わたくしはただひたすら耐え忍ぶしかありません。
「くっ、殺しなさい……っ!」
耐え難い恥辱、思わず漏れた弱音。
けれど冷酷無情なスカーキングは気にも留めません。わたくしを足蹴に弄びながら、スカーキングは嗜虐の高笑いを響かせました。
「『殺す』ゥ? そんな勿体ねえことするわけねーだろォ? こんなサイコーの玩具をよォォ~~ッ! ヒャーッハッハッハァーッ……!!」
それはまさしく凌辱、蹂躙。わたくしは尊厳を、そして魂までもが踏み躙られているような心持ちになりました。
……けれど、今のわたくしは惨めな
イカレたメンバー紹介するぜ!
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