くっ殺系姫騎士氷結怪獣シーモ「やってやりますわァァ~~~~~~!!!!」 作:よよよーよ・だーだだ
長い長い行軍の末、わたくしどもが辿り着いたのは地下世界のより上層部でした。
「……まさにトーダイ下暗しじゃあね~か、なぁオイ~?」
スカーキングの言うとおり、その場所は地下帝国からそう遠い場所ではございません。
しかし、傍目にはそうわからないように工夫されておりました。具体的には、有機体を用いた生体光学迷彩の繭によって巧妙に隠蔽されており、一目みただけでは決してわからないように上手く施されております。ただ近くを通りがかっただけでは、これが偽装であることなど永遠に気付かなかったことでしょう。
とはいえ、タネが割れてしまえばどうということはございません。わたくしが触れただけで擬態の繭は呆気なく凍てつき、機能を停止してしまいました。
「おらァッ!!」
そしてスカーキングは、コングから奪った戦利品のアックスで思いきり叩き割ってしまいました。繭の護りは容易く突破され、わたくしども地下帝国の軍勢の侵入を許してしまいます。
かくして侵攻を開始したスカーキングとわたくし、その眼前に広がっていたのは地下世界で暮らす人間たちの集落でした。重力を操作するクリスタルで築かれたピラミッド、豊かな自然とその中に築かれたささやかな人間の村。
……それを見つめながらわたくしは、かつてキングギドラとの決戦において共に闘った戦友のことを思い出しました。
「モスラ……」
平和と調和を愛する怪獣の女王モスラ、往年の彼女は人間の味方でした。有機体によるカモフラージュもきっと、モスラが人間の世界を守るために紡いでやった繭に相違ありません。
そしてその天井には、
「地上世界へのポータル……!」
光の渦巻く転移の門、地上世界への抜け穴がいくつも口を開けておりました。きっと地上世界の各地へと通じているに違いないのです。
ですが、時間はありません。きっとわたくしたち地下帝国軍勢の侵攻をいち早く察知したのでしょう、地下世界の人間たちはピラミッドを操作して重力変動を起こす仕掛けを施しておりました。
刻一刻と引き合う天地上下のピラミッド。もしもそれらが衝突すれば破壊的な重力変動が発生し、地上侵略どころでは無くなってしまうでしょう。
「……ふん、小賢しい人間どもめがよォォ~ッ」
スカーキングはそんな健気な人間の抵抗を鼻で笑うと、足元のわたくしに命じました。
「おいシーモ、フロストバイトブラストであのピラミッドを凍らせろ! あの仕掛けを止めるんだァ!」
イヤです!
わたくしは断固拒否の構えをとりました。スカーキングのやっていることは地上世界侵略への足掛かり、それに伴う地下世界への蹂躙です。
けれど弱い者いじめに加担させられるなんて、誇り高いわたくしにとってはこれ以上ない侮辱でございます。もう我慢の限界です、堪忍袋の緒が切れました。もうこれ以上、こんな下劣な輩による悪事の片棒を担がされてたまるものですか。
しかしそんなわたくしのささやかな反抗を、スカーキングは力任せに捻じ伏せるのでした。
「いいからさっさとやりやがれ、シーモ! さもねえと……!」
そう言って、ウィップスラッシュの逆鱗クリスタルを通じてわたくしを痛めつけるスカーキング。わたくしはなおも抵抗しようと試みましたが、結局押し切られてしまいました。
……ごめんなさい、人間たち。心の中で謝りながら、わたくしはフロストバイトブラストを放ちました。途端にピラミッドは氷漬けとなり、人間たちの仕掛けは呆気なく停まってしまいました。
「ヒャーッハッハッハーッ! モノども、かかれェーい!」
スカーキングが号令した、まさに次の瞬間でした。
「スカーキング様、あれ!!」
レッドストライプス親衛隊の一人が指を指した先、ピラミッドの向こうから無数の稲妻が襲い掛かってまいりました。
……いいえ、稲妻ではありません。地底世界で暮らす翼竜怪獣、ヴァータシーンの群れです。
そういえば今のヴァータシーンはちょうど、繁殖期を迎えて気が立っている頃合い。その怒れる無数の大群が今、帯電体質の電荷を迸らせながらこちらへと向かってくるではありませんか。
「し、しまった……ッ!!」
激烈な電撃と共に迫りくるヴァータシーンの大群へ、スカーキングと手下どもは慌てて防御の構えをとりました。わたくしも即座に撃ち落としてやろうとフロストバイトブラストを掃射しますが、あまりに数が多すぎてとても抑えきれません。
地上を襲う大混乱の真っ只中、スカーキングが口惜しげに喚きました。
「おのれ人間どもがァ、つまらん小細工しやがってェェ~~……ッ!」
人間たちに誘導されたヴァータシーンの群れ。それを真正面から受けてしまい、わたくしどもはもはや地上侵攻どころではありません。スカーキング率いる地下帝国の軍勢は、大混乱に満たされてしまいました。
それでもなんとか応戦してようやくヴァータシーンの群れを薙ぎ払ったとき、“それ”は起こりました。
それはまるで太古の昔。
外の世界で眺めた、流れ星に似ておりました。
天上のポータルを通じて猛烈な勢いで落下してきた、まばゆい閃光。その数は2つ、流星は激烈な勢いそのまま地下世界の地表へと激突し、激烈な衝撃と共に天地を揺るがしました。
「な、なんだァ……?」
スカーキングと地下帝国の軍勢、わたくしども一同が目を
現れたのは2体の王者。
片や、凶悪な破壊の権化たる“地上の王”。鍛え抜かれた屈強な手足に長い尾。さらにその背中には鋸歯を思わせる凶悪な背鰭がずらりと並び立ち、さながら聖なる王冠のようです。
もう片方は地底の闘士、黒いグレートエイプの偉丈夫。その勇ましい
そんな光景を目の当たりにしたスカーキングの様子はまさに仰天そのまま、愕然とした表情で彼らの名前を呟きました。
「コング、それにゴジラだとォ……ッ!?」
ゴジラとコング、地下世界へと舞い戻った両雄は勇壮に吼えながら全力疾走。わたくしども地下帝国の軍勢めがけて、真正面から迫ってまいりました。
「俺に乗れぇ、コング!」
「わかったァ、ゴジラ!」
ゴジラから促され、コングはゴジラの背へとまたがりました。二体ともその表情には闘気がみなぎり、まさに戦意全開です。
闘争心のままに、ゴジラが雄叫びを挙げました。
「コングゥ! あのクソ赤猿を
「うおおおおおおおおおおおおお……!!」
まさに怒涛の勢いで突貫してくる怪獣王ゴジラと、そんなゴジラを駆るコング。
そんな最強怪獣コンビ二体の大進撃を前に、気を取り直したスカーキングが手下どもへ号令をかけました。
「怯むな野郎どもォ! コングもゴジラもまとめて、この偉大なスカーキング様が畳んでくれるわァァ~~ッ!!」
それと同時にわたくしシーモもまたスカーキングに鞭打たれ、一気に駆け出しました。
向かった先はコングとゴジラ。二大怪獣を前にわたくしも全力疾走、全力全開の気合いを込めて咆哮を轟かせました。
「やってやりますわァァ~~~~~~!!」
ゴジラ、コング、スカーキング、そしてシーモ。地上と地下、全世界の命運までもを左右する大決戦がはじまりました。
四大怪獣が正面から激突せんとする、まさにそのとき。
――カチィィィンッッ……!!
ピラミッドの仕掛けが再始動、辺り一帯に強烈な重力変動が巻き起こりました。途端、すべての重力が安定を失い、わたくしたち怪獣までも巻き込んだすべてのものが宙へと浮かび上がってゆきます。
「な、なんだ……!?」
「体が宙に……!?」
「くっ、このっ……!」
ふわふわと宙へ浮かびながら、レッドストライプスの雑兵どもが慌てふためきました。かくいうわたくしシーモも同様、いくら四肢を振ってもがいてみてもただ無力に空を掻いて虚空を漂うばかりです。
その場を支配する、完全な無重力。水中ですら味わえない未知の感覚に、その場にいるすべての者が翻弄されてしまいます。
そんな混乱の最中でも真っ先に適応したのは、百戦錬磨の破壊王ゴジラでした。
「おらァッ! くたばれェッ!!」
前代未聞、ゴジラの空中遊泳です。長い尾が生む遠心力、それらを巧みに活かして宙を舞い、ゴジラはレッドストライプスの雑兵どもを次々と叩きのめしてゆきました。
そうして雑魚を片付けたあと、続けてゴジラはわたくしシーモへと矛先を向けました。
「シーモぉ!!」
そうやって雄叫びを挙げながら、こちらへ直進してくるゴジラ。その形相は如何にも恐ろしげで、そんじょそこらの雑魚怪獣ならきっと身がすくんでしまうところでしょう。
けれど、わたくしも負けてはおりません。真っ直ぐこちらへ飛んでくる今のゴジラは、見方を変えれば『飛んで火に入る夏の虫』です。
なんとか姿勢を安定させたわたくしは、全身のクリスタルを光らせます。狙うは宙を舞うゴジラです。
「フロストバイトブラストォ!!」
わたくしは、ゴジラめがけて必殺のフロストバイトブラストを撃ち込みました。これでゴジラもあっという間に氷漬けです。
ゴジラといえば低温が弱点です。このまま骨の髄まで凍結させればわたくしの勝利……そのはずでした。
「――させませんっ!」
そこへ割り込んできたのはゴジラの
ゴジラを狙うのに気を取られていたわたくしは、咄嗟に突進を躱し切れませんでした。
「ごぶっ!?」
わたくしのフロストバイトブラストの砲撃はいったん中断することになります。その途端、骨の髄まで冷え切っていなかったゴジラは、体表の氷を砕きながら即座に復活してしまいました。
「……ンだらァァーッッ!!」
そうして復活したゴジラは、再びわたくしに掴みかかってまいりました。わたくしも即座に迎え撃ち、引っ掻き、パンチ、噛みつきをお見舞いしてやります。無重力に身を任せながら空中での格闘を繰り広げてゆく、わたくしシーモとゴジラの二大怪獣。
そんなこんなで乱戦は続き、戦局は次の段階へと進みます。
「重力が……!?」
重力変動の終焉。ピラミッドの仕掛けによる影響が終わり、空中戦を繰り広げていた怪獣たちが徐々に地表へと落下し始めました。
「う、うわーっ!……」
「助けてくれーっ!……」
モスラのような翅を持たないレッドストライプスの親衛隊が、何も出来ないまま次々と地表へ落下してゆきます。彼らだけではありません。コング、ゴジラ、そしてわたくしシーモだって、ただひたすら重力に任せて落ちてゆくだけです。
そんな大混乱の最中、真っ先に動いたのはスカーキングでした。
「ポータル、ポータルが……!」
落下の勢いを利用して飛び立つスカーキング。その飛び込んだ先は地上世界へと繋がる抜け穴、ポータルです。
光うずまく地上世界への入口、ポータル。スカーキングはその長身痩躯を、ポータルの光へ滑り込ませました。
「逃がさん!!」
そんなスカーキングに続いて、コングも地下世界から飛び立ちました。目と鼻の先をゆくスカーキング、その後背を掴まんとコングは手を伸ばします。
けれど間一髪の紙一重、コングの手はあと一歩というところで届きませんでした。スカーキングを捕らえることは叶わないまま、コングはスカーキングに続いてポータルの光の渦へと吸い込まれてゆきました。
そしてさらにゴジラ、わたくしシーモまでもが巻き込まれてしまいます。
「逃がさねェーぞォ、クソ赤猿がア……!!」
「あァァ~~れェェ~~……!!」
地上と地下を繋ぐ超空間、そこを通り抜けるわたくしへと襲いかかるまばゆい光と重力の反転。それらすべてに揉みくちゃにされながら、わたくしたちは地上世界へと向かったのでした。
わたくしが気づいたとき、最初に感じたのは暖かな陽気でした。
立ち上がり、辺りを見渡せばそこは南洋の浅瀬。深く息を吸い込めば、地下世界の鬱屈したそれとは明らかに違う麗らかな空気。わたくしが感じたそれは久しく味わったことの無い真夏の暖気、地上世界の外気です。
そうです、ここは地上世界。ピラミッドの重力変動の最中における大乱戦、その末にわたくしどもは地上世界へと飛び出してしまったのです。
ようやく状況を理解できたわたくしですが、その隣でスカーキングが立っておりました。
「地上、地上だ……!」
空を見上げてそう呟くスカーキング、その口振りはひどく感慨深げでした。無理もないことです。地下世界へと幽閉されてから数万年、かの悪党が長らく望んできた地上世界への復権を今ようやく果たせるのですから。
スカーキングの足元には、悲鳴を上げて逃げ惑う人間たちの姿が。
「ウワァー!」
「タスケテー!」
「カイジュウダー!」
「ケッヒャッヒャッヒャッヒャーッ……!」
邪悪な笑みを浮かべて人間たちを散々脅かして満足したあと、スカーキングはわたくしに命じました。
「ゆけィ、シーモ! 愚かな地上の人間どもに、氷河期時代を思い出させてやれェ!!」
イヤです! わたくしは抵抗しました。
ここは赤道直下、常夏の暖かな南国です。こんなところをいきなり氷河期にしたら、地上世界はメチャメチャになってしまいます。
同時にわたくしは、かつて戦った宇宙超ドラゴン怪獣キングギドラのことを思い出しました。あの偽の王も、地球環境などどうでも良いとばかりに気儘に弄んでおりました。そんな悪事の片棒など担ぎたくはありません。
ですが、抵抗は虚しく終わります。スカーキングはウィップスラッシュの先端、逆鱗クリスタルを握り締めてわたくしを思う存分に甚振りました。
「いいからやりやがれェ!!」
ぐ、ぐぬぅっ……!
絶え間なく襲い来る苦痛にどうしても耐えかね、わたくしはフロストバイトブラストを放ちました。まずは天へと向けて一発。純白の冷凍光線が空を塗り替え、晴れ渡っていた空へ一気に寒々しい黒雲が立ち込めました。
常夏の南洋ビーチでは前代未聞の異常気象。これから降り始めるのは初雪、そしてこれからも永劫冷たい吹雪が絶え間なく降り続けることでしょう。
続けてスカーキングが命じました。
「もう一発だァ、シーモ!」
今度狙うは人間の街です。海辺に並び立つ街並みめがけてフロストバイトブラストが発射、わたくしの放つ絶対零度が街を一気に氷漬けにしてしまいました。
開かれた戦端、その大戦果にスカーキングは心底満足したようでした。
「ケヒャッハッハッハァァーッ!!……」
スカーキングの所業はまさに冷酷無比、極悪非道。スカーキングの邪悪な高笑いを横で聞きながら、わたくしは顔を伏せました。
……ああ、なんてことを。
己の
かつてキングギドラを封じて地球を救ったはずのわたくし、シーモ。そんなわたくしが、こんな恐ろしい悪行に手を染めることになるなんて……。
そんな傷ましい想いにわたくしが胸を焼かれ、無力感に苛まれていたまさにその時のことです。
マゼンタ色の閃光が、わたくしへと直撃しました。
わたくしの巨体をも宙へと吹っ飛ばす、激烈な衝撃。それはまるで横面を張り飛ばされたかのようで、凍り付いた海面の上でわたくしの巨体が一気に引っ繰り返りました。
「おいシーモなにが……たわばっ!?」
直後、スカーキングも飛び込んできた黒い影に顔面を殴り飛ばされ、その場に転げ落ちてしまいます。
……いったい、誰が? わたくしが顔を起こして目線を向けるとそこに立っていたのは。
「コング……だとォ……!?」
スカーキングを殴り飛ばしたのは地底世界の勇者、コングでした。コングは、スカーキングに言い放ちました。
「いい加減にしろよ、おまえら……ッ!!」
スカーキングを睨みながら唸るように呟くコング。その瞳は、心の底からの怒りに燃えているようにわたくしには思えました。
続いて遠浅の海、凍てついたポータルの出口から地鳴りのような轟音が響き渡ります。そして氷をぶち破りながら現れたのは、
「逃がさねえぜェェーッ、クソ赤猿がァァ!!」
――背鰭を獰猛に光らせた破壊のキングオブモンスター、ゴジラ。
他方、コングに殴り飛ばされたスカーキングは、血の滲む口元を拭いながらすぐさま立ち上がりました。
「くそう、俺様のスイート・フェイスになんてことしやがる……ッ!」
そう不満げにぼやきながら、口の中から歯を吐き捨てるスカ―キング。自慢の牙が一本、殴られた拍子に折れてしまったようです。
そんなスカーキングに声をかけたのはコングでした。
「……おい、スカーキング」
そう呼び掛けながらニヤリと微笑むコング。コングの口元、垣間見えた唇の隙間からは立派な銀の入れ歯が光っています。
自身の歯を見せつけながら、コングはスカーキングに告げました。
「おまえも入れ歯にしたらどうだ? きっと俺より似合うだろうぜ」
なんと大胆不敵な挑発なのでしょう。かつて地下帝国でスカーキングから入れ歯を嘲笑われたコング、その
「…………~~~~ッッ!!」
対するスカーキングの下郎めは怒髪天を衝いた様子。完全に頭へ血が
「殺してやるゥ~……ブッ殺してやるぜェェ~~ッ、コングゥゥッッ!!」
「来やがれェ、スカーキングゥゥッッ!!」
そしてコングも拳を構えて迎え撃ちます。
コングとゴジラ、スカーキングとわたくしシーモ、地球最強の四大怪獣。その王者を決める地球最大の決戦は、こうして幕を開けたのでございます。
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