くっ殺系姫騎士氷結怪獣シーモ「やってやりますわァァ~~~~~~!!!!」 作:よよよーよ・だーだだ
スカーキングの呪縛から解き放たれたわたくし、氷結怪獣シーモ。
晴れて自由の身となったわたくしではございましたけれども、わたくしはそれまでの路線を改めることにいたしました。
たった独りで自主独立して暮らすにはわたくしはやはり箱入りの世間知らず、無防備すぎます。悪逆非道のスカーキングは今回打ち倒されましたけれども、いつまた似たような奸賊に付け入られて利用されることになるかわかったものではありません。
となればここはやはりどなたか、わたくしを守ってくださる頼もしいアルファにお仕えして暮らすのが一番です。それもスカーキングのようなDVクソオスハゲ猿などではなく、
「……で、だからってなんで俺なんだ? 別にゴジラでもいいじゃあねーか」
わたくしがお仕えしたい旨を申し出たとき、コング様は随分と訝しげなお顔をされていました。
……思い返せば、当たり前のこと。不本意とはいえかつてのわたくしはスカーキングの手先として、コング様に牙を剥いた身の上。コング様から不信を抱かれるのは至極当然の反応でございます。
ですが時代は積極的な肉食系女子、やはりここはわたくしの方からリードして差し上げるべきなのでしょう。なかなか歩み寄ってくださらないコング様に対し、わたくしの方から進んで口を開きました。
「ゴジラには既に
そしてなにより。わたくしははっきりお伝えいたしました。
「わたくしめが真にお仕えすべきアルファはどなたであるか、今回の戦いでわたくしは見定めたのです。そしてそれはまさにコング様、あなた様なのでございます」
そう申し上げながら、わたくしはコング様の奥深い瞳を真っ直ぐに見つめます。
それに対しコング様は、戸惑うように頬を掻かれました。
「そう言われてもな……」
わたくしとしては嘘偽りない本音をお伝えしたのですけれど、コング様は少しばかり困惑気味、ともすると照れていらっしゃる御様子でした。戦いのときはあれほど頼もしいタフガイであらせられるコング様、けれどその素顔は意外とシャイで奥手なようです。なんともチャーミングではありませんか。
コング様は素っ気なくお答えになりました。
「俺は気に喰わん野郎をブッ飛ばしてやりたかっただけで、おまえみたいな手に負えんペットが欲しかったわけじゃあないんだが……」
……あぁん、曲がりなりにも伝説怪獣であるこのわたくしめをペットだなんて、なんともイケズで大器な御方ッ。でもそんなところもますます心憎く思います、コング様。
裏表のない慕情をわたくしがお伝えしたところそれでもコング様は不満げな御様子でしたが、それでもやっぱり最後には、
「……まあ、好きにするがいいさ」
そう言ってわたくしの喉元、最も快いところを力強い手のひらで穏やかに撫でてくださいました。
……嗚呼、なんと心地よい。そしてなんと度量の深い御方なのでしょう。かつて弓を引いたこのわたくしをお許しになられるばかりか、その身をお傍に置くことを許してくださるなんて。
やはりこのコング様を新たなアルファとして選んだわたくしの眼に、狂いはございませんでした。コング様のことを知れば知るほど、わたくしは思慕の念を募らせるばかりです。
そうやってますます身を擦り寄せるわたくしを片手で撫でながら、コング様は観念したように溜息をつきました。
「やれやれ……」
ちょうどそのとき、小用に出ていた子猿のスーコが戻ってまいりました。
「コングの兄貴ィー! 先を、先を急ぐでヤンスよォー! スカーキングの野郎がくたばったって、皆に早く知らせてやるでヤンスよォー!」
「ああ、そうだったな……」
無邪気にはしゃぐスーコに手を引かれ、コング様は重い腰を上げて立ち上がります。
「はやく、はやくぅ~!」
「はいはい、わかったわかった。だから引っ張るんじゃあねえって……」
やれやれ仕方ない、と言わんばかりに如何にも気だるげな御様子で歩いてゆかれるコング様。けれどわたくしから見れば、その横顔はどこか嬉しそうにも思えました。
……これは戦いの後で知ったことなのですが、コング様の御出身は地下空洞ではなく地上世界の小さな島。親や同族とは早々に死に別れ、コング様は仲間のいない世界で孤独に暮らしてこられたそうです。
そんな苦労人のコング様ですから、心の内ではきっと同じグレートエイプの仲間と出会えたことが嬉しくて仕方ないのでしょう。その幸福の一役を担えたこと、それがわたくしにとって何よりも誇りに思えました。
そうして舞い戻った、地下帝国。
わたくしを従えたコング様はグレートエイプたちの前で仁王立ち、地下帝国全土にあの力強い雄叫びを響かせました。
「――――――――――……ッッ!!」
響き渡るはコング様の大号令、アルファコール。
拳を振り上げ愛用のアックスを掲げたその姿はまさにグレートエイプの偉大な王、地下世界の王者です。
その名はまさに、キングコング。
地下空洞世界に打ち立てられた新たなる帝国、その頂点へと君臨されたキングコング様。その偉大な御姿を見上げたグレートエイプたちは、一斉に歓声を挙げました。
「新たな王様にばんざーい!」「新たなる帝国にばんざーい!」「キングコング様、ばんざーい!」……
わたくしたちを温かく出迎えてくれた万雷の歓び、そして降り注ぐ祝福の声。
……ああ、めでたしめでたし。そして迎える大団円。今度こそ、わたくしたちは幸せな生活を手に入れられたのです。
わたくしは、その確信をようやく得られたのでございました。
次に読みたい奴
-
ラストスタンドオブ・ジェットジャガー
-
魔法少女バトラちゃん
-
ゴジラ学会「エメゴジはゴジラではない」
-
偽聖女「怪獣至上主義カルトへようこそ」
-
新人ボクっ娘ウルトラ戦士、地球に赴任する
-
ポリコレ姫
-
カネゴンの繭リメイク
-
あの素晴らしい巨神世界をもう一度
-
いいからラドンとガイガンの続き書けよ