見切り発車ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
追記
あとがきのステータスの攻撃タイプを神秘から貫通に変更しました。
01:提案は唐突に
わたくしは、何か間違えたのでしょうか……?
いいえ、きっと何も間違えていないのでしょう。
セイア様の言っていたように、未来は変えられず、すべては無駄な足搔きだったということ。
予知夢に映らないわたくしに、一抹の望みをかけてくださったようですが、ご期待には応えられませんでした。
わたくしには教えてくださりませんでしたが、おそらくご自身が殺されることも知っていたのでしょう?
ですが、わたくしにはその未来を変えることはできなかった。
もしかしたら、死してなお、まだ何か期待してくださっているのかもしれません。
でも、もう無理なんです。
「あなたのいない世界に意味なんてありませんから」
「セイア様、本日の予定ですが……」
わたくしの名前は、
トリニティ総合学園1年、ティーパーティー所属。
三大分派の一つサンクトゥス分派のリーダー、百合園セイア様の付き人兼護衛を務めております。
わたくしにはいわゆる前世の記憶というものがあるようで、キヴォトスの外で過ごした記憶があります。
と、言ってもいわゆる落ちこぼれというような存在で、何一つ取り柄といえるようなもののない、そんなつまらない人間でした。
故あって死んでしまったようなのですが、そのあたりあまり覚えていません。
いえ、死んだときの記憶など鮮明に覚えていてもいいことなどないので構わないのですが。
あれは、中等部の頃でした。
今世では、少しだけ……人並程度には頑張ってみようと思ったのです。
人並の成績で、友人と遊び、卒業していく。
それだけでよかったのですが……その……頑張りすぎてしまったようでしてね?
このトリニティという学園は少々、いえ言葉を選ばなければ下水のように陰湿なところでしてね。
もちろんそうでない方が大多数なのですが、派閥争い、スクールカースト、足の引っ張り合い……その他、様々な政治的な思惑での活動が活発なのです。
後ろ盾のない人間が目立ってしまえば、出る杭は打たれるものです。
短絡的な方々も多く、道端で襲われることもままありましたね。
皆様、お金持ちの権力で多少はもみ消せるようでしたので。
まあ、すべて返り討ちにさせていただきましたが。
噂に聞くゲヘナより野蛮なのではないかと思うこともありましたわ。
それがいけなかったのでしょう、武力でかなわないとなれば陰で暗躍し始めるのは分かっていたことでしょうに。
よくもまあ、そんなに思いつくものだというほど陰湿な嫌がらせの数々。
わたくしに向くのであれば我慢できました。
前世でも似たような経験がありましたからね。さすがにここまでひどくはなかったですけど……
ですが、友人たちに危害を加えられるのは耐えられませんでした。
わたくしが居なくなれば解決すると思い、友人たちから距離を取ったのは良かったものの、それでは本末転倒。
今世にも絶望し、グレて不良の道に片足を突っ込んだ頃でしたね。
あのお方、百合園セイア様に出会ったのは。
少々名が知れてしまい、正義実現委員会のお世話になってしまいました。
暗い留置所で、トリニティを退学しようかなど考えていたところ、セイア様に出会いましたの。
「高等部に来たら私の付き人にならないかい?君ならもしかしたら定められた未来を変えてくれるかもしれない」
初めてだったのです、わたくしという個人に何かを期待してくださった方は。
脳を焼かれた……とでもいうのでしょうか?
いえ、決してちょろくなどありません。これだけは真実を伝えたいですわ。
それからのわたくしは、護衛のために武器から戦闘スタイルまでガラッと変えて、言葉遣いも丁寧に、セイア様の付き人として恥ずかしくないように勉強しましたの。
今のわたくしは、セイア様のために生きているといっても過言ではありません。
どうか忘れないでほしいセイア様は我らの光であり──
さて、わたくしの身の上話はこのあたりにしておきましょう。
書類を処理しているセイア様にお茶を入れたりする程度で暇だったのですが、それも済んだようなので。
本日はこの後、珍しく聖園ミカ様が主催でのお茶会がありますの。
わたくしも、セイア様の付き人として会場までご一緒させていただくのですが、ミカ様からお話があるとは本当に珍しいですね。
「ふむ、そろそろ時間だね。行くとしようか」
そういって席を立つセイア様に追従し、会場へと向かいました。
「失礼、待たせてしまったかな?」
「ううん、待ってないよセイアちゃん」
「ええ、私たちも先ほど来たばかりですので」
すでに他のお二方は集まっていたようだ。
「では、わたくしはこれで失礼致します」
付き人兼護衛といえど、生徒会長の3人の会話を聞くことは許されていないため、退室しようとする。
「あ、待って。今回の話は、サマナちゃんにも聞いてほしいの。セイアちゃんが期待してる子の意見も聞きたいな☆」
ミカ様に呼び止められてしまった。
うーん、どうしましょうか。
通常であれば退室するのが正解、ではあるのですが、ミカ様のお言葉を無下に断ることもできないですね。
「ミカ、サマナが困っているだろう。彼女にも立場というものがあるんだ。それとも、わかっていて困らせようとしているのかい?」
そんなわたくしの心情を慮ってくださったのか、セイア様がミカ様をたしなめる。
こう言っては失礼ですが、おそらくミカ様はそこまで考えていないでしょう。
セイア様は余計な一言が多く、大切なことが足りていないことがよくあります。
それが原因で、ミカ様との仲はあまりよろしくないようです。
「私はセイアちゃんじゃなくて、サマナちゃんに聞いてるんだけど?どうかな?サマナちゃん」
どうといわれましても……。
政治的な経験はあまりないので、こういった場合何が正解なのでしょうか。
「はあ、ミカさん。セイアさんが目にかけているとはいえ、まだ1年でティーパーティーに加入してから日も浅い。判断を任せるのは困ってしまいますよ。
ミカさんから招待した、ということにしましょう。前例がないわけではありませんから。」
ナギサ様が助け舟を出してくださった。
いえ、これは助け舟といってもいいのでしょうか?
むしろ逃げられなくなってしまったような気もするのですが。
「流石ナギちゃん!」
「ナギサまで……そこまで言うのなら仕方がない」
セイア様も折れたようだ。
であれば、もう退出することはできないですね。
「さ、座って座って。せっかくだしお茶も楽しまなきゃ損じゃんね☆」
そういって、席に座るようにうながされる。
どうやら最初からそのつもりだったようで、既に紅茶が用意してありました。
お茶をしながら、他愛のない雑談がしばらく続く。
内容は主に、わたくしとセイア様のことであったり、スイーツに関してなど雑多でしたわ。
「さて、そろそろ本題に入ろうかな」
ふむ、内容を少し整理しましょう。
ミカ様の提案
・トリニティからかつて排斥されたアリウスという学校がある
・アリウスはトリニティを憎んでいる
・かつては一つだったのだから、アリウスと和解したい
わたくしは政治には明るくないですが、難しいのではないでしょうか。
そもそもとして、トリニティを憎んでいるアリウスの方々が和解しようという気があるのかどうか。
それに……
「ミカ、アリウスと和解してどういう意図があるんだい?」
「どういうこと?」
ええ、やはりそこが問題でしょう。
アリウスと和解して、トリニティにどういうメリットがあるのか。
そういったことが見えてこないですね。
ミカ様のことです、そこまで深く考えていないのでしょう。
ただ純粋に、アリウスと仲良くしたいと思っただけなのでしょうね。
まだ関わって日が浅いですが、そんな気がします。
「ミカ、君は考え無しが過ぎる。もう少し深く考えたらどうだい?」
「うん、折るね☆」
セイア様、もう少しこう、手心というか……。
派閥の長としては、ミカ様が改善すべきところではあるのでしょうが、美徳でもあるのでしょう。
「ねえねえ、サマナちゃんはどう思う?」
ここで、わたくしに飛んできますか。
いえ、このために呼ばれたのでしょうし、避けられませんね。
「そうですね。ティーパーティーとしてであれば、セイア様がおっしゃるように、トリニティへのメリットがあまり感じられないですね」
「そっか……」
しかし、わたくし個人としては……
「でも、お友達が増えるのは、素敵なことだと思います。ミカ様は、とてもお優しいのですね」
前世でも引きこもっていて、友達がいなかったうえに今世でも距離を取ってしまいました。
だからこそ、多くの人と仲良くなって友達が増えるのはいいことだと思いますわ。
……わたくしもセイア様に怒られてしまうでしょうか?
「サマナちゃん、大好き!」
そういうと、突然立ち上がり私のもとに駆け寄ると、わたくしを抱きしめました。
や、やわらかい……ミカ様はお三方の中で一番大きなものをお持ちです。
少々あこがれるものはありますが、護衛としての動きやすさとしてはいまがベストなのです。
いえ、強がりなどではなく本心ですよ?
しかしミカ様、少々強く抱きしめすぎでは……?
わたくしもかなり鍛えていると自負していますが、気のせいか骨が軋むような音が体中からしますわ。
ええ、我慢していますがめちゃくちゃ痛いです。
もはやこれはハグではなく、ベアハッグだと思いますの。
一般の方でしたら救護騎士団コースですわよ。
抵抗は……無理ですわね。
座っているところに抱き着かれたせいで、顔は胸元に埋まっていて声も出せませんし。
息ができないわけではないので、しばらく耐えるしかないですわね。
「ミカ、その辺にしておいてやってくれ……」
「人体からしてはいけない音がしている気がします」
ふぅ、やっと解放されましたわ。
「わ、ごめんね!」
「いえ、お気になさらず。いい香りでした」
言い方が変態チックになってしまいましたわ。
「トリニティ郊外にある人気店の新作なんだ!えへへ、サマナちゃんは違いが分かる子だね!
セイアちゃんなんかじゃなくて私のところに来ない?」
スカウトされてしまいましたわ。
わたくし程度の感性の人間であればいくらでもいるでしょうに。
「申し訳ございません。わたくしはセイア様一筋と決めておりますので」
「わーお。お熱いねぇ」
きっと、ミカ様との生活というのも退屈しないのでしょうね。
でも、わたくしはセイア様の付き人なのです。
その後は、ミカ様が騒ぎすぎてナギサ様にロールケーキをぶち込まれる(原文ママ)一幕はあったものの、再びスイーツを堪能しながら楽しいお茶会を過ごしましたわ。
ナギサ様のロールケーキおいしかったですわね。
厚かましくも、機会があればまた食べたいと思うくらいには。
セイアをトレースするの難しいですね。
あと、サマナちゃんの年齢設定は悩みましたね。
個人的な趣味でスイーツ部とかと絡ませたかったんですが、セイア暗殺がエデン条約編時点で去年って話なので1年生はまだ居ないですし。
一応下に生徒情報付けておきます。
外見とかは次回描写予定です!
生徒情報
名前:サマナ
フルネーム:赤鎌サマナ
レアリティ:★3
役割:STRIKER
ポジション:FRONT
クラス:タンク
武器種:SMG
攻撃タイプ:貫通
防御タイプ:軽装備
学園:トリニティ総合学園1年
部活:ティーパーティー
趣味:武器の手入れ、スイーツ、
固有武器:Lux Mea
セイアの護衛のため、可能な限り性能を追求したカスタムを施したFN P90。
サプレッサー、ホログラフィックサイト、フラッシュライトを搭載し、実用性を重視した一品。
デフォルトの黒地に映える白の差し色と、ストック部に金色のトリニティの校章が刻印されており、無骨さの中にお嬢様らしい気品を兼ね備える。
また、サイトの上部に狐耳がついており、実用性を損なわない程度に個性も出している。
本来の武器ではないらしいが、持ち前のセンスと弛まぬ努力で十全に使いこなす。