タルコフのイベントが来ててそちらに……というのは言い訳ですね。
申し訳ないです。
仕事中とか頭の中では考えていたのですがなかなか出力する時間が取れませんでした……
『メインシステム、戦術指揮モードを起動します。システム、スキャンモード』
『"マーケットガードの位置を共有したよ。サマナはマークした3人を狙撃で無力化。その後、残りの全員で内部に突入する。"』
先生からスマホに敵の位置が共有されてくる。
ドローンを侵入させたわけでもないのにどうやって……。
いえ、今は仕事をこなしましょう。
「了解しましたわ」
狙撃には少々自信がありますので、任せてくださいまし。
「射撃開始」
息を吐き切り、そのまま止める。
射撃時のブレを少なくするための狙撃の基本ですわ。
目標に照準を合わせて……外しはしない!
.338ラプアマグナム弾が、サイレンサーでも抑制しきれないほどの銃声を伴って発射される。
ターゲット1ダウン。
ボルトハンドルを操作し、排莢と次弾装填を行う。
ターゲット2ダウン……ターゲット3ダウン。
目標、オールクリアですわ。
「ハンドラーへ通達、全目標を排除しましたわ」
『"え、ハンドラー?っと、今はそれどころじゃないね。銀行の防弾シャッターを閉鎖、ネットワークの遮断も完了してるよ。よし、全員突入して!"』
電子戦をこなすところなども、かのハンドラーみたいでしたし、先生も通信を傍受されてたらまずいでしょうからそう呼んでみましたわ。
でも、わたくしのご主人様はセイア様だけですわ。
今も、昔も。
しかし、大口径弾の銃声はやはり素晴らしいですね。
ラプアマグナム弾では少々物足りませんが、まあいいでしょう。
あれはもう、あのころのわたくしと一緒に封印したので。
『全員武器を捨てて、その場に伏せて』
『いうこと聞かないと痛い目にあいますよ~☆』
内部の方の制圧も無事に完了したようですわ。
わたくしの狙撃ですでに混乱状態にあったとはいえ、マーケットガードというのも大したことないですわね。
繋がったままの通信からは、銀行員が応援を呼ぶ声が聞こえますが、無駄ですわね。
『"応援は来ない。各員、目標物を確保して"』
なんだかんだ先生もノリノリでハンドラーの真似をし始めましたわね。
『うへ~無駄無駄。下手なことすると、うちのスナイパーちゃんが黙ってないよ~?』
『ほら、そこ!伏せなさいってば!あの世行きになりたいの!?』
あの、わたくしを何だと思って……。
『あはは……』
ヒフミさんまで……。
『うへ~計画通り、かんぺき~。さ、リーダーのファウストさん、指示を願う!』
『え、ファウストって私ですか!?それに、リーダー!?』
ファウスト、有名な戯曲のタイトルにして、主人公の名前ですか。
なかなかおしゃれな名前を貰いましたね。
それにしても、何故だかわからないですがホシノさんのセリフは本来別の人のものな気がしますわ。
『リーダーです!ボスです!ちなみに私はクリスティーナだお♠』
『うぅ……リーダーになっちゃいました。これじゃあティーパーティーの名に泥を塗ることに……』
うーん、いまさらですわね。
それにしても、癖が強いですわ。
まともなのはわたくしだけですの!?
『うわ、何それ……』
あ、セリカさんもまとも枠だったみたいですわね。
失礼しましたわ。
さて、あまり遊んでいられないですわね。
「あーあー、こちらプロスペラ。じゃれ合うのもほどほどに、目標の確保をお願いしますわ。いまのところ、敵影はありませんが」
セイア様を殺したものを許すことは絶対にありませんが、復讐をあきらめてしまったものとして、この名がふさわしい気がしますわ。
『ん、今朝集金した現金輸送車の集金記録を出して』
『うへ、ファウストさんを怒らせると怖いから早くした方がいいよ~。それにプロスペラちゃんも気が短いから、もたもたしてると命の保証はできないよ?』
だから!わたくしのことをなんだと思っていますの!?
『ブルー先輩、ブツは手に入った?』
『う、うん。確保したよ』
歯切れの悪さは気になりますが、目標を達成できたのならいいでしょう。
『"よし、総員撤収!プロスペラは撤退の援護をお願い!"』
合点承知の助、ですわ。
流石に異常を検知したようで、マーケットガードが銀行に向かってきているのが見えますわね。
「こちらプロスペラ。敵がこちらに気づくまでの、推定96秒間だけ援護可能。それまでにケリを付けてくださいまし」
『うへ~了解だよ~』
まあ、彼女たちなら大丈夫でしょう。
先生も一緒にいますしね。
……よし、そろそろ頃合いですわね。
「こちらプロスペラ。援護射撃を終了、あとはセルフサービスでお願いしますわ。では、ランデブーポイントで会いましょう」
バイポッドを折りたたみ、狙撃態勢を解除する。
「よいしょっ……と!」
狙撃ポイントにしていた屋上から飛び降り、俗にいうスーパーヒーロー着地で着地する。
膝に悪いらしいですが、キヴォトス人の身体能力であれば特に問題はないですわ。
さて、ランデブーポイントへ向かいましょうか。
と、そんなこんなで近くまで来ましたわね。
「こちら、プロスペラ。間もなくランデブーポイントに到着しますわ」
『こっちは先に着いたんだけど……』
『うへ〜便利屋68の子が追いかけて来ちゃったから第2に移動してるよ〜』
便利屋?ゲヘナで指名手配されてるというあの?
「あら、了解ですわ。ご無事なようでなによりですわね。こちらも第2ポイントまで向かいま」
バキッ
ドガァーン!!
通信を終わろうとした時、サマナのインカムだけが正確に撃ち抜かれた。
サマナはすぐさま銃声のした方から身を隠すよう、近くの建物の影に隠れる。
「(着弾と銃声のズレからして、距離は約400m……それにこの銃声は、対物ライフルクラスのものね。.50BMG……いえ、もっと大口径の……?となるとダネルNTW-20あたりが候補かしら。
精度はそこまで良くないと聞いたことがありますが、ビンポイントで撃ち抜いてくるとは化け物じみた技量ですわね。そして、狙撃で直接決めに来なかったということは……)」
サマナの予想通り、近くの路地からマスクなどで顔を隠した別動隊が現れる。
遠中近バランスの取れた構成に、さらに高い技量を誇る恐ろしい敵であるとサマナは認識した。
「マーケットガードではありませんね。どちら様でしょうか?」
サマナは頭の中で状況を整理しつつ、会話をすることで時間を稼ごうとする。
が、返答は無言の銃撃だった。
「聞く耳持たず……ですか」
ブルパップ式で多少取り回しがいいとはいえ、ボルトアクションではさすがに分が悪い……そう判断し、サマナは銃撃を回避しながらライフルをスリングで吊るして背後に回すと、レッグホルスターから
「わたくし、接近戦は苦手なのですが……」
セレクターをロックからセミオートに切り替えると、独特な構えを取る。
勝負はスナイパーが再度狙撃ポイントに着くまでの数分。
それまでに決められなければ、サマナの負けだ。
左右の拳銃から数発牽制のために射撃しながら、目標に向かって走り始める。
最初のターゲットは、最前列にいたサブマシンガンの少女だ。
接近戦を仕掛けることで、援護射撃を封じる。
最低でもロケットランチャーの攻撃だけは封じるのが目的だ。
「くっ、射線が!?」
走って射撃を回避しながら、アサルトライフルの少女の射線をサブマシンガンの少女に被るように移動する。
「そこっ!」
敵の攻撃は回避し、サマナの攻撃だけが命中する。
統計学上有利な位置に絶えず移動し、被弾は最小限に、そしてさらに攻撃効率を高める特殊な技術ガン=カタによる恩恵だ。
しかし、9mm弾ではヘイローを持つものに対して有効打にはなりえない。
故に、選ぶのは至近距離での銃撃と格闘。
「!!」
ついに、サブマシンガンの少女は接近を許してしまう。
援護も望めないものの、至近距離なのはお互い同条件。
「この距離なら回避はできない、そう考えていらっしゃいますわね?」
図星だったが、少女は過酷な訓練を受けてきた1人の戦士だ。
一切動揺することなく、引き金を引く。
「甘いです……わっ!」
弾が発射される前に懐に潜り込み、銃を左腕で払いのける。
そしてそのまま、右手の銃で何発もの鉛球を叩きこむ。
「お眠りな……さいっ!」
体勢を立て直す暇を与えず、少女の側頭部に回し蹴りをし、近くの建物の壁に叩きつけ、さらに両手の銃で追撃し確実に意識を刈り取る。
右の拳銃は残弾がゼロになり、ホールドオープンされる。
「姫!」
射線が空いたことで、アサルトライフルの少女からの射撃が再開される。
リロードの隙を与えないための攻撃だったが、これも危なげなく回避。
しかし、回避した先にはロケットランチャーから放たれたミサイルが飛来していた。
「残念ながらそれも、計算通りですわ」
"予定通り残弾を1発だけ残した"左腕の拳銃で、サマナに向かってきたミサイルを撃ち抜く。
左腕の拳銃も弾がなくなるが、ミサイルの爆発を煙幕として二丁ともリロードを済ませる。
次のターゲットは、アサルトライフルの少女だ。
爆炎が晴れ、アサルトライフルの少女から射撃が再開される。
ロケットランチャーはまだリロード中のため考慮する必要はない。
「舐めるな!」
サブマシンガンの少女のときと同様に接近して格闘戦を仕掛けるが、アサルトライフルの少女は格闘戦の技量も高くお互いに有効打を与えられない。
先ほどの闘いを見て学んだことを生かし、アサルトライフルを手放してサイドアームに切り替えて戦闘している。
逸らす、撃つ、逸らされるの応酬。
しかし、均衡を崩したのはアサルトライフルの少女の方だった。
あえて銃撃を受けることで、最適解から外しサマナの計算を外したのだ。
もちろん危険な賭けではあった。
だが、これまでの過酷な訓練で鍛えられた己の肉体を信じ、賭けに勝った。
予測を外され隙のできたサマナを、蹴り飛ばし距離を離す。
「Vanitas vanitatum et omnia vanitas」
素早くサイドアームとアサルトライフルを入れ替えた少女の詠唱とともに、莫大な神秘が吹き荒れる。
「がはっ……」
被弾の衝撃で、右手の拳銃を手放してしまい、武器を半分失ってしまう。
「ま、まだ……まだ終わってない!」
残った左手の拳銃を強く握りしめ、立ち上がろうとする。
だが、どこかから飛来した弾丸が左手に着弾し、残った拳銃も吹き飛ばす。
「時間切れ……ですか」
装備が万全じゃなかった、本調子ではなかった……負けた理由はいくつもある。
だが、それは戦場では無意味だ。
キヴォトスの人間は頑丈だ。
だが、決して不死身ではない。
撃たれれば痛いし、場合によっては血も流す。
頑丈さで次があることも多いが、次などないこともある。
そう、今回は後者だっただけのこと。
「赤鎌サマナ、お前にはここで死んでもらう」
「できるとお思いで?」
目の前の相手は殺人など厭わないことなど、サマナには分かっている。
だが、それでも虚勢を張る。
「方法などいくらでもある」
「大切な人が死んで辛いですよね、苦しいですよね。でも、もう楽になれますよ」
いつの間にか合流していた、緑髪の少女の発言が死の覚悟を決めていたサマナの心に再度火をつけた。
「あなたたち、何を知っていますの!?セイア様が死んだことはティーパーティーでも機密事項なのに……まさか」
「ヒヨリ、話しすぎだ。はあ、冥途の土産に教えてやろう。百合園セイアは私たちが殺した」
残った力を振り絞り、サマナは立ち上がる。
復讐を諦めた身ではあったが、敵を前にしたら話は別だ。
「感動的だな。だが、無意味だ」
しかし、気力だけでは状況は覆らない。
アサルトライフルの少女は、自身を睨みつけるサマナを冷静に見据え、手に持つ銃を撃ち放った。
気づきました。
この作品の主人公、ネームド相手の勝率0%では……
まあ、相手とコンディションが悪いですね!
次回もお楽しみに!
毎回感想や評価、ここすきに誤字報告など励みになってます!
いつもありがとうございます!
PS
一昨日、ブルアカのオンリーイベントに行って久々に同人誌などを手に取ったのですがやはりいいですね。
無名の司祭のコスプレの方や、銃まで作ってるコスプレの人も結構いてびっくりしました!