ある日、グレイがラボに戻るとコユキが何やら作業をしている光景が見えた。作業台の上には工具や機械部品が散らかり、完成品と思わしきピンク色の球体が存在していた。
「おや、コユキ。何を作っているのだ?」
「教授、お帰りなさい! 今、爆弾を作っていたところです!」
「爆弾か……作れるのかい?」
「アカネ先輩に教わりました!」
コユキはC&Cのお姉さま達と交流する機会があり、彼女達には及ばないものの技術を吸収しつつあった。その1つが、爆弾の作成なのだ。
「ほぅ、見せてもらっても?」
「いいですよ」
グレイの前に三つの球体が並べられる。それぞれ、埋め込まれた小さなディスプレイに銃弾と稲妻と古典的な爆弾のマークが表示されており、性質を示していた。
「爆発と散弾、電撃の3種類があります。どうですか、私が作った爆発の出来は?!」
グレイは爆弾をスキャンした後、しばらくしてコユキに評価を伝える。
「相手や状況によって種類を切り替えられるのはよいと思う。少し造りが粗い部分もあるが、初めてにしては頑張ったと思う。機材を揃えれば、かなり良いものになりそうだ」
グレイはそう言ってコユキの頭を撫でてやる。
「にはは……ありがとうございます!」
「コユキよ、それらを実際に使ってみないか? たしか、ミレニアム内の演習場がいくつか空いているはずだ。その一つを私達で貸切にしよう」
「私なんかのためにいいんですか?」
「構わんよ。丁度、私も試したいものがあってな。早速、行こうか」
「そうですね、行きましょう!!」
そして、場所はとある演習場に移る。
「にはははは!!!」
演習場にコユキの声と銃声が鳴り響く。ピンク色に塗装された汎用機関銃から多数の7.62㎜弾が飛び出し、目の前から迫ってくる四角い二足歩行小型ロボットの集団を蜂の巣にしていく。
側面のディスプレイに表示されている残弾数がかなりのハイペースで減少していき、ついにはゼロとなる。そこで、コユキは例の物を取り出すためにカバンに手を突っ込んだ。
「よし、君に決めましたよ!」
某携帯獣にニアミスしそうな発言をしつつ、コユキは1つの爆弾を取り出す。彼女はそれを山なりに放り投げ、集団の真上に到達させる。
小型ディスプレイに表示されているのは銃弾のマークであり、そのまま空中で起爆すると散弾を降り注がせる。真下にいたロボット集団は装甲をズタズタにされ、その役目を終えた。
さらにもう一つ投げられる。今度は稲妻のマークが表示されており、電撃を拡散させて多くのロボットを停止に追い込む。
「これで最後です!」
そして、そこに投げ込まれた最後の一発は通常の爆弾だ。かなり広い範囲に衝撃波を撒き散らし、動かないロボット集団に止めを刺した。
「流石だな。よし、私もやるとしようか」
グレイのガントレットが発光し、長い砲身で角張った見た目の白い大型武装が出現する。その大きさと重さにより、生身のグレイには両腕で構えるのが限界である。
「それ、何ですか!?」
それを見たコユキは目を輝かせて尋ねる。
「私専用にエンジニア部が作ってくれたレールガンさ」
それは、以前にエンジニア部が作ったレールガンであるスーパーノヴァの改良型、ギャラクシーだった。グレイが扱うことを想定した設計であり、鳥人族の技術が導入されている。
グレイは老人とはいえ、肉体のスペックは地球人やキヴォトスの一般的な生徒よりもかなり上であるし、トレーニングは欠かしていない。流石に生身では最大威力で放つことは不可能だが、威力を絞れば生身でも撃てるだろう。
「コユキよ、標的を出しておくれ」
「分かりました!」
そう言ってコユキが出してくれたのは、黒い戦車だった。キュラキュラと音を立てながら接近してくるそれは、かつてヘルメット団という不良集団から保安部が押収したものであり、標的用に無人化されていた。
「理論上は威力を50%に絞れば生身で撃てることになっているのだが……コユキ、何かあれば危ないから離れてなさい」
「はい!」
そう言ってコユキは戦車の上から降りると離れていく。近くにある防壁の後ろに隠れると、そこから頭だけを出して発射を見守る。
「エネルギー充填開始……」
レールガンが持ち手を通してグレイの生体エネルギーを取り込み、内部で増幅させていく。仕組みはチャージビームと同じだ。その一部は電気に変換され、電磁力の発生に充てられる。
〈エネルギー充填率50%〉
「レールガン、発射!」
グレイは発射スイッチを押す。装填されている砲弾が電磁力によって動きだし、それを増幅されたエネルギーが後押しする。砲口を超高速で通過した砲弾は、一筋の流星となって戦車に突っ込み、それを滅茶苦茶に破壊した。
「ふぅ、もう少し威力を抑えるべきだったな」
撃った瞬間、その反動でグレイの体は2〜3m程地面を滑って後退していた。威力を半分に抑えたとしても、生身で撃つには少しばかり無理があったのだと彼は思った。
「教授! 大丈夫ですか!?」
そこに駆け寄って来るのはコユキだ。グレイの体が発射の反動でかなり後退したのを見て、破壊された戦車などそっちのけで飛び出てきたのだ。
「あぁ、大丈夫だ。鍛えていなければ怪我をしていた可能性もあったがな」
「教授って鍛えてるんですか?」
「そうだ。トレーニング部を知っているかな? 彼女達の所へ定期的に通ってアドバイスしてもらっているんだ」
「私も連れて行ってもらってもいいですか? 私も鍛えてみたいです!」
「あぁ、今度な」
後日、トレーニング部に連れて行ってもらったコユキは、ガチでハードなトレーニングをさせられて死にかけた。
「うあぁああああー!!なんでー!!!」
今後も教授と生徒が一対一で関わるエピソードを書いていく予定です。ミレニアム以外の生徒も出すかもしれない