チョウゾ・アーカイブ   作:ウエストモール

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一人の鳥人族をキヴォトスにINさせる二次創作です


1章 Millennium Chozo Professor〈完〉
方舟に降り立つ鳥人


 学園都市キヴォトス。それは、数千の学園自治区と連邦生徒会によって統治され、銃火器と神秘に満ちている異世界である。

 

 ある日の夜、そんなキヴォトスの上空を落下していく一筋の光が現れた。それはまるで流れ星のようであり、都市の各地から観測された。

 

「あっ、流れ星だ!」

 

 とある建物の一室の窓から空を見上げる桃色ツインテールの少女がいた。まるで小動物のような可愛さのある彼女は流れ星?を見て顔を輝かせており、その瞳に一筋の光が映し出されている。

 

 彼女がいる場所は、新鋭の学園ながらもキヴォトスで三大学園の一つに数えられ、最先端の科学技術開発に力を入れているミレニアムサイエンススクールの自治区である。

 

「何かいいこと、ありますよ~に!」

 

 流れ星(推定)に対して特に具体的な願い事をするわけでもなく、単純に何かいいことが起こるのを願う彼女。だが、彼女は知らない。あれは流れ星でも何でもなく、かつて高度に発展していた文明の産物であるということを。

 

 現在進行形で落下を続けているのは、星間文明において一般的な乗り物とされるスターシップ。その名の通り、星の海を行く船である。

 

 スターシップの表面は大気圏突入時のエネルギーシールドと空気との摩擦で高温になっており、流れ星のように輝いていた。それに加えて船体の一部からは炎と煙が吹き出し、突入前の段階で損傷していたのが窺える。

 

 もはや空の上に舞い上がることは叶わず、重力に引かれて徐々に高度を下げていくスターシップ。かなり頑丈であるために大気圏で燃え尽きるようなことはなく、そのままミレニアム自治区近辺の山に墜落した。

 

 それがキヴォトスにもたらすのは破滅なのか、未来なのかは定かでない。だが、一つだけ言えることがあるだろう。捻れて歪んだ終着点とも、先生の選択による新たな終着点とも異なる結果に行き着くということを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミレニアム自治区の山の一角は荒れていた。先ほど墜落したスターシップが地面に強く叩き付けられ、慣性のままに斜面を抉りながら滑っていき、そのまま木々をなぎ倒しながら停止したのだ。墜落による轟音と逃げ出した野生動物の悲鳴が辺りに響き、やがて静寂が訪れた。

 

「うっ……」

 

 スターシップのコックピットで意識を取り戻す者がいた。それは、鳥類をヒューマノイド型にしたような存在だった。身長はおよそ3メートルくらいだろうか。

 

 キヴォトスにおいて動物を人型にした形態の市民はありふれているが、通常そのサイズは人間とそう変わらない。だが、彼はあまりにも大き過ぎた。

 

 そもそも、彼はキヴォトスの存在ではない。鳥人族、またはチョウゾと呼称されるヒューマノイド型のエイリアンであり、銀河で最も高度な技術と戦闘力を保有する種族である。彼はその中でもソウハ族という部族の出身であった。

 

 鳥人文明はその力で脅威を打ち払いつつ銀河の各地に勢力圏を拡大し、交流のある他種族に技術提供を行いながら、栄華を極めていた……はずだった。

 

 彼らは長命であるが故に出生率の低下によって高齢化が進み、いつしか衰退の道を歩み始め、武器を手放す部族が増え、銀河社会の表舞台からその姿を消して裏方に徹するようになっていた。

 

「何処かの星に墜落したようだ……」

 

 彼は思い出す。宇宙を航行中にワームホールに吸い込まれ、その際に磁気嵐に襲われたことでスターシップ本体とシステムが損傷を受け、飛ばされた先にあった惑星の重力に捕まってしまったことを。

 

 とりあえず、今の状況を理解しなくては。そう思った彼はダウンしたスターシップのシステムを再起動させると、内蔵されているAIに周囲の環境を調べさせた。

 

〈大気組成は一般的な居住可能惑星と同様であることを確認。また、通信と思われる多数の電磁波が観測されており、通信機器を備えた高度な文明が存在する可能性があります〉

 

「ふむ。思っていたよりも状況は良いな」

 

 彼は観測された電磁波を解析し、それが通信によるものであることを明らかにする。そして、その内容を一つ一つ調べていくことで、今いる場所のことが少しずつ分かってきた。

 

「学園都市キヴォトス……連邦生徒会……聞いたことがない。銀河連邦の領域外ということか……」

 

 さらに調べていくと、彼はミレニアムサイエンススクールという学園の存在を知る。最先端の技術を扱うことに長けた学園であり、ぜひ接触してみたいと考えた。

 

「どのように接触すべきか……そうだな、こちらの保有する技術のデータを送り、向こうから来てもらうことにしよう」

 

 相手は技術者の集まりといっても過言ではない。銀河で最も高度と言われるチョウゾテクノロジーの一端を見せれば、彼らは飛びつくはずなのだ。

 

 彼はミレニアムのネットワークをハッキングし、データを送信する。送り先はミレニアムの生徒会のセミナーだ。墜落したスターシップの周囲にメイド服を着た部隊が現れたのは、その二日後の後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミレニアムにはC&Cという組織が存在する。全員がメイド服を着用しており、表向きはただのメイドなのだが、裏ではセミナー直属のエージェント集団としてミレニアムに仇なす存在を華麗にお掃除している戦闘メイドさん達である。

 

 そんな彼女達は今、セミナーからの依頼を受けてヘリコプターに乗り、セミナーに高度な技術のデータを送り付けてきた者がいるという地点に来ていた。

 

「随分と大層なところに住んでいるみてえだな。データを送り付けてきた野郎は……」

 

 鋭い眼光で目の前のスターシップを睨み付けているチビメイド。メイド服の上にスカジャンを羽織るという奇抜な格好をしている彼女はC&Cのリーダーであり00(ダブルオー)のコールサインを持つ美甘ネルだ。

 

「ま、取り敢えずそいつの顔を拝んでやるか。てめぇら、警戒は怠るなよ!」

 

 三人の部員に指示を出し、二丁のサブマシンガンを手にしてスターシップに接近していくネル。すると、急にその上部にあるハッチが開放され、そこから一人の鳥人が現れた。

 

「てめえか、セミナーにすげえ技術のデータを送り付けたのは?」

 

「そうさ、私だ。我が名はグレイバード。宇宙からやって来た年老いたエンジニアさ」

 

 自分が犯人であると認めた鳥人はグレイバードと名乗った。その名の通り彼の体や羽毛は灰色であり、まさに灰色の鳥だった。

 

「若き少女達よ、この老い耄れにそなた達の名を教えてはくれまいか?」

 

「わりぃな、鳥の爺さん。一応、あたし達は秘密のエージェントなんだ。名前は教えられねぇ」

 

「はっはっは、そなたは真面目なのだな。だが、私は君達のことをすでに把握している。そなたはセミナー直属の特殊部隊C&Cのリーダー、美甘ネルだろう?」

 

「なんだよ、知ってんじゃねえか。だったら、名前を聞く必要なかっただろ」

 

 グレイバードは情報収集の過程でC&Cのことを把握していた。なお、秘密のエージェントであるにも拘らず、学園内にて彼女達の正体は公然の秘密になっていたりする。

 

「若者と話すのは楽しいものでな。つい、話を引き伸ばしたくなってしまった。ところで、私の上にそなたの部下が乗っているようだが……」

 

「見て、リーダー! 何かとても高い所に来ちゃった! 良い景色だから、みんなも来て!」

 

 グレイの後頭部の辺りから明るい声が響く。よく見てみれば、いつの間にかスターシップの上に立っているグレイの肩の上にメイドが座っており、他人の上だというのに景色にはしゃいでいた。

 

「なにやってんだアスナ! 早く降りてこいよ!」

 

「まあ、よいではないか。元気なのはよろしいことだ。お嬢さん、好きなだけ景色を楽しみなさい」

 

「ありがとう、鳥のおじさん!」

 

 グレイの上に乗っているのは、C&Cのメンバーである一之瀬アスナ。01(ゼロワン)のコールサインを持つ彼女はネルに次ぐ戦闘力があり、アッシュグレーのロングヘアとダイナマイトボディが特徴的なメイドである。

 

「たく、仕方ねえな……ところで、爺さんの今後の処遇だが、上からは保護しろとお達しが来てやがる。あんたが乗ってきた船も同じだ」

 

「そうか。ネルよ、しばらく世話になるな」

 

「お前ら、爺さんと船の回収が終わるまでは周辺を警戒しろ。アスナ……は爺さんを直接守っとけ」

 

 やがて、ミレニアムの中心部の方から大型のヘリコプターが複数飛来し、C&Cが周辺を警戒する中でグレイとスターシップを回収し、そのまま撤収した。

 

 この日、ミレニアムサイエンススクールは宇宙からやって来た古の鳥人と接触した。彼の名はグレイバード。これからキヴォトスに影響を及ぼしていくであろう、もう一人の大人である。




もしもサムスを連れてきた場合、惑星キヴォトスが自爆するかもしれないですね(キヴォトス終了のお知らせ)
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