「やったー!海だぁぁ!!!」
「これが、海ですか……」
グレイ達はオデュッセイア生徒会の保有するビーチに来ていた。目の前には白い砂浜と青い海が広がっており、ギラギラと輝く太陽が眩しかった。
「このビーチが貸切なんて素敵ですね」
「我らの行動に対する礼だそうだ。今日一日、バカンスを存分に楽しむといい」
ビーチにはスターシップが着陸しており、それを中心にする形でテントやらBBQセットが配置されつつある。シップの本体にも南国風の飾り付けがされていて、完全にバカンスモードだ。
全員の装いもいつもとは異なる。コユキはフリルのついた可愛らしい水着だし、トキは機能性のある黒い競泳水着だ。ノアも水着のようだが、ラッシュガードを羽織っているので全く見えない。
「教授が水着なのは珍しいですね」
「ヒビキによって勝手に作られていたのさ。こんなこともあろうかと、持ってきておいたわけだ」
グレイの水着は男性用のものをそのまま大きくしただけのものだ。ただし、その形状はブーメランパンツに近しい角度になっており、着るのには覚悟がいる。
「教授はご高齢と伺っていますが、合理的に筋肉の付いた素敵なお身体をされてますね。見ているこちらが緊張してしまいます///」
「鍛えているからね」
グレイはパワードスーツだけに頼ることはせず、それを装着する肉体の方も鍛えている。同年代の鳥人族と比べると大胸筋が発達し、腹筋は割れ、それを支える四肢もかなりのものだ。もはや、芸術品といっても差し支えない。
「トキ、砂のお城でも作りませんか?」
「いいですね、早速始めましょう」
視界の奥ではコユキとトキが砂を集めて砂のお城を作ろうとしている。トキがパワードスーツを持ち出しているのが見えるが気にしてはいけない。
「ノアよ、そなたも混ざらなくてよいのかね?」
「私がいると邪魔になってしまいますので。砂のお城が完成する様を眺めるだけに留めさせてもらいます」
「そうか。私も同様にさせてもらおう」
「ところで、教授にお願いしたいことがありまして……日焼け止めを塗っていただけますか?」
突然、そんなことを言い出したかと思えば、ノアがラッシュガードを脱ぎ、その下から黒一色の紐ビキニが姿を現した。
シンプルな黒ビキニだが、それ故にノアの白い雪のような肌が映える。彼女はパラソルの下にうつ伏せで寝そべると、背中の紐をほどいてしまった。
「日焼け止めか。塗ったことはないが何とかやってみせよう」
「塗り方は指示しますので、そこにある容器を取っていただけますか」
グレイはノアの指示通りに動く。手の平に日焼け止めを出し、その上で伸ばして人肌の暖かさに近付け、彼女の背中側に塗っていく。
日焼け止めを塗ること自体は滞りなく終わったのだが、そこでノアは紐がほどけた状態のビキニを押さえつつ上半身を起き上がらせる。そして……
「教授、前側もお願いできますか?」
「ま、前だって!?ま、待て、そういったことは男に頼むことではないぞ。せめて、信頼する人にだね……」
日焼け止めを前側に塗るにはビキニを取らなければならない。だというのに異性に対してそのようなことを頼んだのだ。彼女の爆弾発言に、修羅場を乗り越えてきたグレイも大きく動揺していた。
「ふふっ、冗談ですよ教授。思っていたよりも教授は弄り甲斐がありますね。これは重要なので記録させていただきます」
「はっはっはっ、これは一本取られたな。ノアの前では下手なことは出来んというわけか」
「今後とも気をつけてくださいね、教授?」
やがて、時間は進んでお昼の時間となる。BBQセットには火が入り、肉やら野菜やらが焼かれている。調理しているのはグレイとノアだ。
「皆、BBQの時間だ!」
「わーい!」
「待ってました」
グレイに呼ばれ、向こうで遊んでいたコユキとトキが駆け寄ってくる。これから始まるのは楽しいBBQの時間だ。この日、グレイ達はバカンスを満喫するのであった。
Shipwreck~別次元より迫る者~〈完〉
次回
3章 時計じかけの花のパヴァーヌ
次からは話が少し重くなりそう