ガンダムSEED DESTINY 優しくて、暖かい世界   作:^U^

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原作の台詞だと優しくて暖かい世界で逆だった事に今更気づいたので初投稿です


11話

 

 

 

 

 

ディオキアの海、シンが保護したあの少女と出会った時、「所謂不思議ちゃんね」

と、ただそう思っただけだった。

……出会ったと言っても私とは全く会話してくれなかったんだけどね。

 

そんな子が突然シンの頬にキスをかました時、人の休暇中に呼び出して何見せつけてるんだって思ったのよね。

 

別にシンが好きだとか思ってたわけじゃないけど、今朝のアスランと言い、立て続けにあんなもの見せられたらムシャクシャもするじゃない?

…そりゃあ、あんなガキでもさ?

目標があって、その為に必死になる所とか良い所がないわけでも無いけど……

 

でも、アーモリーワンが襲撃されて新型が奪われて、そのまま色々起きて、また戦争が始まって……

アカデミーに居た頃じゃ見た事ないくらいずっとピリピリしてたあいつがあの子と居た時は、これまた見た事ないくらい穏やかな顔してて……

なんだかそれが面白くなくて当たり散らしたのは悪い事したなとは、ちょっと思ったりはした。

 

 

次にあの子を見た時は敵としてだった。

私が任務でミネルバから離れていた時に襲撃して来たガイアに乗っていたのがあの子で、

その時の彼女の暴れ様は凄まじかったらしく、シンを見て更に抵抗が増し、コーディネイターが複数人で抑えてようやくといったらしかった。

それ以降シンが定期的にあの子と会う事でなんとか落ち着くようになったんだとか。

 

それを聞いたヴィーノやメイリンをはじめとしたクルー達があの子を「お姫様」と呼んでるのを見掛けるようになった。

その呼び方に相応しく医務室で勤めている子の話では優しく少女に語りかけるシンとそれを楽しそうに、愛おしそう聞く少女の姿が見られたとか。

 

実は敵同士だった者達のロマンス

 

昔から使い古されてたシチュエーションをまさかシンのやつからお出しされるとは思わなかったけど、私が思ったのは、不安だった。

 

別れ際にシンにキスをして、頬を染めながら去ってゆくあのステラと呼ばれた少女のシンを見る目は所謂『恋する少女』だった。

 

まあ、それだけならまだ良いわ。街で出会った少女が恋をしたってだけの話なんだから。

 

問題はあの子が敵で、強化人間だった事。

アイツはそんな事を知ってほっとける様な奴じゃないから、絶対にあの子へ入れ込んでしまう。

ただ街に住む普通の不思議ちゃんだったなら、無関係なただの敵だったなら、こんな不安は無かったでしょう。

 

そして何より、あの子のシンを見る目が、異常だと思った事。

 

連合と手を組んだオーブとの戦闘の後、折れた腕の治療を受けてた時に1度だけ、殆ど薬で眠っているか、シンと話をしているかだったあの子に話しかけられた事があった。

 

『ねえ』

 

突如掛けられた声

それがあの子が私に対して掛けたのものだと理解するのに数瞬かかった。

 

『アンタは、シンの……なに?』

『は?』

 

蒼白した顔色、掠れた声

聞いた通りの弱った少女は、けれど確りと私を見据えていた。

 

『何、って…』

『私は…ね、シンが好き…なの……』

 

突然の質問の意図がよく分からない

アイツとはただ友達ってだけで…。

そう困惑する私に構わずステラは話し続けた。

 

『シンは…ステラから…怖い、無くしてくれた…』

『シンが…ステラ…守って……くれた…!』

 

『好き……なった!!』

 

『だから……シンが、ほしい、の…シンと……ケホっ…ずっと…ずっと…ずっとずっとずっと…!!

ゴホッ……一緒、なりたいの…好きなの……大好き…なの!!』

 

シンが好きだと、必死に私に訴えかけているだけ。

咳こみ、苦しみながら、それを伝えてる。それだけの筈。

それだけの筈なのに。

 

『ゲホっゲホっ……だから……』

 

なんなの?あの底冷えする様な冷たい声は?

 

『アンタは…邪魔……』

 

何なの?その光の消えた…泥でも詰まった様なその眼は、一体何なの?

 

『ハァー……ハァー……も一回、聞く…』

 

弱った少女がなにか別の生き物の様に見えた。

 

『アンタは』

 

ナチュラルとか、強化人間とか、そんな話じゃない

 

『シンの………………なぁに?』

 

こわい 何も答えられない

 

少女は何も答えられない私の様子を見て

ニタリと唇を歪ませる。

可愛らしい容姿をしている分

余計に目の前にいる少女が、もっと別の世界に住む怪物の様な、少女の姿をした何かにしか見えなかった。

 

『なんでもないなら…ステラが貰うね』

 

そう言って、これでもうなにも気にする必要は無いとばかりに、私の存在など初めから無かったとばかりに、目を閉じ少女は眠りについて……私は逃げる様に医務室から出て行った。

 

ねえシン、アンタが入れ込んでるその子はアンタが思ってる様な女の子じゃないって、

『普通』なんかじゃないって…アンタ気づいてる?

 

アンタはあの子に告白されてたのを偶然聞いた。

でもアンタはそれを断った。

普通なら何してんの、と投げ飛ばしてやろうかと思うようなその対応もその時ばかりは正直ホッとし た。

 

あの告白が受け入れられた時、あの子はアンタに何を望むつもりだったなのか解らなくて、怖くてしょうがなかったから。

 

だから、すぐに人を呼びに行った。

シンをあの子と一緒に居させちゃいけない、ただそう思ったから。

 

すぐ近くにいた衛生兵の子に声を掛け部屋に入ると、あの子は酷く興奮していた様子で、直ぐに薬を射たれた。

でも効果が薄かったのか耐性が出来てたのか、普段ならすぐに眠りにつく筈がその時だけはなかなか効果が現れなかったらしく、

眠りにつくまでずっと、泥の様に真っ暗に濁らせた眼を血走らせ、私を睨んでいた。

 

あの子に入れ込んでるシンにそんな事を言っても多分信じちゃくれないし、むしろ怒ると思う。

現に『怖がってるだけ』とシンは言った。様子が変わったのは見てわかってても私を睨んでたなんて思いもしなかっただろから。

 

上手く隠してるんだろう。

女の子は綺麗な自分を見て欲しいものだ。

好きな人に好きで居て欲しいものだ。

 

だからこそ、不安なんだ

 

「ねえ、シン…。アンタが想ってるその子は……

きっとアンタが思う程、無垢な子なんかじゃないわよ。……早く気づかないと…」

 

「きっと……取り返し、つかない事になるわよ」

 

 

アスランの命令でシンがあの子を連れてミネルバを出たと騒ぎになっている時、私は独り、そんな事を考えていた。

 

 

 

───

 

 

 

「…ガイアのコードと、地球軍の位置を……入力完了。…通信開始!」

 

ステラの護送の為ジブラルタルへ向かうフリをするというアスランの手助けを受け、彼女を連れ出す事に成功した。今はガイアから引き出したデータを元に近辺の地球軍基地へガイアの識別コードを送信してコンタクトを取ろうとしている所だ。

 

敵からの通信だ。やはりすぐに応答される事はなく

幾らか時間が経過した。

 

 

「シン……?」

 

俺に捕まるステラの手がぎゅっと、ほんの少しだけ力が込められた。

 

「大丈夫、すぐ返事がくるからね」

「ん……」

 

きっと不安なんだと思い、安心させてあげようと優しく頭を撫でてあげていると、ついに地球軍からの応答が来た。

 

(来た!)

 

「……地球軍のネオへ、ステラが待ってる。指定する座標へ1人で来てくれ。繰り返す、地球軍のネオへ───」

 

2度、3度とネオへ宛てたステラを引き渡すと言うメッセージを伝え、通信を切ると同時に指定座標にインパルスを加速させる。

本当にネオが1人で来てくれるかどうかは不安だ。

でもステラを治すにはもう彼らに縋るしか無いんだ。

 

「もうすぐネオに会えるから。そしたらステラも元気になれるからね」

 

「………ネ、オ…?」

「うん、ネオ」

「だから、もうちょっとだけ我慢してね」

「……うん…」

 

そうしている内に指定した場所である無人島へと辿り着いた。

地面に降りたインパルスを待機状態へ以降させ、後はネオが来るのを待つだけだ

 

直後、コックピット内に敵機の接近を知らせるアラートが鳴り響く

反応がある方向へカメラを向け、モニターを拡大すると紫色に塗装された装甲のMS、ウィンダムが1機こちらへ接近していた。

 

ウィンダムはそのままインパルスから少し離れた位置に着地すると腹部のハッチを開き中から妙な仮面を付け、黒い地球軍の服を着た男が降りてくるのが見えた。

 

「アレが、ネオ……」

『来たぞ!ネオ・ロアノークだ!約束通り1人だぞ!!』

 

センサーを確認すると、確かに他に接近する反応は無い。本当に彼1人だ。

 

「行こう、ステラ……」

「…ん……」

 

こちらもインパルスのハッチを開きステラを抱え昇降クレーンに捕まり、力の入らないステラが落ちてしまわないよう空いた片腕でしっかり身体を支え地面に降り、ステラを抱え歩き出すと同時にネオもまたこちらへ向け歩きだした。

 

ネオと俺、歩を進める互いの間に言葉は無い。

…時折、ステラの咳込む声が聞こえてくるくらいだ。

 

そ無言のまま歩み寄り、遂にその距離は縮まった

 

「……俺に」

「ん?」

 

「この子の友達を殺した俺に、こんな事言う資格はないってのは……解ってる」

「……」

「……それでもこの子に、死んで欲しく無い…!

死ぬのが怖いと言ったこの子を、海を見るのが好きなこの子を…!

だから、帰すんだ!!」

「シ…ン………?」

 

(ステラが『死』に反応しない……それに、『シン』……)

 

ネオは、黙って俺の言葉を聞いている。

ステラは、ただ怪訝そうに俺を呼んでいる。

 

「そうか、お前が」

「だからどうか、約束してくれ!この子を死なせないって!どうか、『優しくて、暖かい世界』へ、この子を帰して……!」

 

敵と約束なんて何を馬鹿な事を…そう思うだろう。普通なら。

そんな事をせずステラを抱え抵抗できない俺をそのまま撃ち殺し、奪い返せば良いだけなのだから。

 

「……約束…するよ」

 

少しの間の沈黙、ネオはただ一言、そう告げた。

信じて良いかは正直わからない。でも、俺はそれを信じたかった

 

だから

 

「ステラ、お別れだ」

「…………え」

「君は帰るんだ…ネオと」

 

ネオに、託す

 

ネオと共に帰れば死なずに済む。

その筈なのに、ふるふると首を振り絶望したような声をステラが発した。

 

(…ほんとに、君は俺なんかを好きになってくれたんだね)

 

あれだけ彼女からの告白を聞いておいて今更そんな事を思ってしまった。

でも、駄目なんだ。俺では君を救えないから…

 

「ステラを、頼む」

「ああ」

「───!!い、や…!!シン…いっしょ!!」

 

抱えた彼女をネオに託そうとするも、しがみついた手を離してくれない。

 

「……じゃあステラ、また、約束しよう?」

「───やく、そく?」

 

ぴたりと、抵抗を止めたステラをそのままネオに託すと、手首に巻いていたハンカチ(おまもり)を解き、俺の手首に巻き直した。

 

あ…と声を出すステラに瓶を手渡した。

ステラがくれた1枚の貝殻、俺の宝物だ

 

「君のお守りを俺が預かって、俺の宝物を君に預ける。目印にするんだ」

「──────」

 

生きてさえいればきっと会える。

そう祈りを込めて、約束を交わす。

 

あの日に交わしたものと、同じ約束を

 

「だから……

 

 

『また、会おう』」

 

「──────うん」

 

ポロポロと、ステラの目から涙がこぼれだした。

けどそれは悲しいから、じゃないんだろう。彼女は笑ってくれているから。

 

「もう、戻るぞ」

「……ああ」

 

気を遣って黙ってくれていたネオに頭を下げると

彼は頷き背を向け、ウィンダムを待機させている場所へ歩き出した。

 

コックピットの中へと戻り、ネオが去っていくのを見届けた俺は、インパルスのフォースシルエットをパージし、ビームライフルを撃ちそれを破壊した。

そのまま片足脚、そして頭部へビームを撃ち脚部破損、メインカメラも破壊。周囲に数発ビームを撃ちライフルをバルカン砲で破壊した。

 

最後にアスランの忠告通り地球軍とコンタクトを取っていた通信記録を抹消。

エマージェンシーを送りミネルバへの報告書を書き始めた。

 

 

 

━━━━━

 

 

シンがまた会おうって言ってくれた

シンがくれた私のお守りと、私があげたシンのたかものをとりかえっこして、目印にって

もう会えないかもしれないのに、またシンはアイツらに良いように戦わされるかもしれないのに

 

死なないでって言ってくれたシン

生きて欲しいっていってくれたシン

大好きな大好きな優しいシン

 

でもね、だめなの

わかるの、もう長くないって

もうすぐ私は死んでしまう

怖くて怖くて仕方ない死がきてしまう

 

死にたく無い

それ以上に、独りで死ぬのがとっても恐ろしい

独りになりたくない シンのいない所に逝きたくない

 

シンと居たい シンが欲しい

 

だから、決めた。

 

シンを連れて逝く

 

次がきっと最期になる

その時に全部伝えて、一緒に、死ぬ

 

あぁ……!あんなに怖かったのに、あんなに死にたく無いって思ってたのに!

シンといっしょだと途端にとっても、とっても!とっっっても!!

 

甘くて、気持ちよくて、痺れるような気持ちになれる!

 

 

シン、ステラわかったよ!ステラの欲しいもの!

シンといっしょなら死ぬの怖くないの、何でなのか!ステラわかった!!

シンのおかげ!シンのお話し聞いて、これって思った!!

 

だから、『また、会おう』ね?

 

そしたら絶対……一緒に逝こうね?

 

ステラとシン(わたしたち)の……『優しくて、暖かい世界』!

 

 

 

 

ふふ……うふふふ…!あははは………!

 

 

 

 






「坊主、お前はきっと優しい奴なんだろう。真っ直ぐで、純粋で……」

「でもな坊主、お前も解ってる筈だろう?俺たちは戦わなきゃ生きてけない道具なんだって事は…な」

「お前が思ってるよりもずっとずっと…冷たくて、残酷だよ……この世界はな」


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