ガンダムSEED DESTINY 優しくて、暖かい世界   作:^U^

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このSSを投下し始めた当時はこれを最終回として完結する予定でしたので初投稿です

にも関わらず滅茶苦茶遅れてしまい。なんとか年内に投稿しようとした次第です


IF HAPPY END

 

 

風に揺らされる髪の感覚を覚えた。

眠っていたのだろうか、ゆっくりと目を開けると見覚えのない景色が広がっていた。

 

「─────────ん……」

 

 

体を起こして見渡すと視界に映るのは、そよ風にふかれゆらゆらと揺れる草原に澄み渡る青空。

照らされる陽の光はこのまま眠ってしまいたくなるほど暖かくて心地よく、まるで絵本に出てくるような見慣れぬ草原に気づけば倒れてい様だった。

 

「…どこだ此処………俺、何してたんだっけ」

 

寝起き直後のぼやけた思考を動かしてみても答えは出てこずただ時間だけが過ぎていき、このままここにいても埒があかないことを理解した俺はとりあえずこの草原を探索してみる事にした。

 

「ん?」

 

立ち上がり、そこで自分が何かに引っ張られているのを感じた。

視線を下に向けると、俺のズボンの裾を噛んでいる真っ白な毛並みに赤い目をした1匹のウサギが居た。

 

「……何だお前?」

 

問いかけるとそのウサギは噛むのを止めてピョイ、と掛け出した。

わけもわからずそれを眺めていると、ウサギは立ち止まりこちらに振り返る。

 

……付いてこい、と言うことなんだろうか。

 

「……ここでボーッとしてるよりはマシか」

 

俺はそう呟くなりウサギの後を追いかけ始めるとやはりと言うべきか、あいつは俺を待っていたようであり俺が動き出し近づけばあいつも動き、ある程度離れると立ち止まり俺と距離が縮むまで振り返って立ち止まる。そんな感じで始まったウサギに道案内をされる人間()という不思議な光景にいよいよ絵本地味てきたな。なんて考えていると広大だった平原に変化が起きた。

……といっても進行方向にこれまた大きな木々に囲まれた森が現れた、と言うだけなのだが。

 

やはり案内する目的地はその森だった様で、森に近づくと案内ウサギは森の入り口に立ち止まり俺が来るのを待つ様に佇み俺がその森の入り口に辿り着くのを待っていた

と、言うことは、つまり……

 

「ここに入れ……って事、なのか?……うぉっ!?」

 

入り口の手間に佇むウサギにそう問いかけると、今度はぴょいと俺のに飛び付いてきた。落ちない様に抱えてやると、早く行け、とでも言う様にぶうと一鳴きして寝息を立て始めた。

 

「何なんだこいつは……」

 

野生か飼育されてるかはわからないけれど、動物が初対面の人間に飛びついた挙句その腕の中で寝るなどと言うあまりにもふてぶてしい態度に呆れつつ、かと言って戻るわけにもいかないので俺は意を決し、森の中に足を踏み入れた。

 

「ほんと、何なんだ……?一体……」

 

 

 

───

 

 

小鳥の鳴き声、風で静かに揺れる木々の音、

歩みを進める度にサクサクと聞こえてくる落ち葉を踏む音だけが、舗装のされていないただまっすぐ奥につながる森の道をひたすらに歩き続けている俺の耳に届いていた。

案内人のウサギは相変わらず腕の中でスースーと呑気に寝息を立てている。

 

軍人として訓練してきた身であるためこの程度では疲れもしないが、しばらくこの何もない森の中を歩き続け少し面倒になり、俺はこの太々しいウサギをその辺に放っておいて走り抜けてしまおうか、 と思い始めた。

 

「ぶ…ピュイー!」

「んお?どうした……ってあっこら痛って!おい!待て!」

 

先ほどまで寝息を立てていたウサギは目を覚ますなりゲシゲシと俺の腕を蹴り飛ばし解放されるなり森の奥まで走り去っていった。

 

「置いてこうとしたのがバレたか……?運ばせておいて…ったく……あれ……声?」

 

──、───♪────

 

あのウサギが走り去った道の先から微かに声が聞こえてくるのがわかった。

あの声の主の元まで連れて行くのがあのウサギの仕事、だったという事だろうか。

 

ならばこの道の先がゴール、という事になるのだろう。そう考えて、その割には案内する相手を運ばせて自分は寝るなど最後までふてぶてしい奴だったな、とウサギに呆れつつ奥へ消えていったウサギの後を追った。

 

「………出口だ」

 

荷物(ウサギ)も居ない為ゆっくり歩く必要も無くなり走り出すと、

出口はあまり遠く無かったのかすぐ森の奥から光が差すのが見えた。

 

──♪……らら……♪」

 

出口に近づくにつれ薄らと聞こえていた声も鮮明になる。

女性の声。それも聞き覚えのある声だ。

いや、その声の主が誰なのかを、俺は知っている。

森を抜けると、そこにあったのは花畑に囲まれた大きな湖だった。そして、その畔には一軒の家と…

 

「ら、ららー♪」

 

守りたかった、幸せになって欲しかった、

俺を、好きだと言ってくれた少女。

ディオキアの海岸で出会った時と同じ、青と白のドレスを着た彼女が、出会った時のように、踊っていた。その周囲には沢山の動物、あの案内ウサギも居た。その姿はこの景色も相まってまるでおとぎ話のお姫様の様に見えた。

 

「ステラ!」

「らららー♪らら……───!!シンー!」

 

彼女を呼ぶと、歌うのをやめた彼女はすぐに俺に気付き、咲く様な笑顔で俺の名を呼び返した。

 

「シーーーーーーーーン!!!」

「ステラ!───うわっ!」

 

駆け寄ってくる彼女に向かい俺も駆け寄ると、勢いよくステラは飛び込んで来て、受け止めきれずに2人揃って倒れてしまった。

 

「いってて…」

「すぅ───はぁ……あぁ……シン……シン…!シン、シン、シン!」

「…ははっ」

 

倒れた事を気にも留めず、嬉しそうに、本当に嬉しそうに俺にしがみつくステラを見て、思わず俺も笑いが漏れた。

 

「──────ずっと」

「うん?」

 

倒れた状態のまま俺の胸元に顔を押し付け動こうとしないステラの頭を撫でながら待っていると、ぽつりと呟き出した

 

「ステラ、シンと、ずっとこうしたかった」

「……………」

 

ステラの言葉をまっていると胸元から顔を上げる俺をじっと見つめ、その頬を赤く染めた彼女が語り始めた。

 

「やっと……やっと………やっと、やっと、やっとやっとやっとやーーーっと叶った!嬉しいの!やっと、ステラのお願い叶った!シンと一緒、なれたの!

 

……ここ、あったかい。ここ、やさしい。ステラ達が欲しかった場所、やっと、来れたの。

ここなら誰にも邪魔されない。ここなら、ステラもシンも、苦しまない。

ずっと、ずっと、ずっとずっと!一緒!」

 

そこまで言うとステラは体を起こした。俺も続いて起きようとすると。彼女の言葉に違和感を覚えた

 

「そういえば俺も君も、は、一体いつ此処に「そんなの、もう考えない。大丈夫」ぇ、ステ──────」

 

遮られ一瞬、困惑したが、直後ステラのその綺麗な顔が目前にある事に気付き、そして───

 

「──────」

「──────ん……」

 

互いの唇が触れ合った。

視界に映るのは目を閉じ、真っ赤に染まった彼女の表情のみ、感じるのは触れ合っている彼女の熱だけだった

数秒か、数十分か長く、長くそうしている様な感覚に陥り、ただこの時間だけが過ぎて行った。

 

「──────」

「──ぷぁ……シン」

 

唇が離れると、熱を帯びた顔で、目一杯の笑顔で、ステラは俺を呼び、

 

「だいすき!」

 

そして、彼女なりの、とびきりの愛の言葉が告げられた。

 

「ふつつかもの、ですが。これから、ずっと、ずーと……貴方と私だけのこの世界で、末長く、永遠に…よろしく、お願いします」

 

そしてなんとなく、なんとなく、理解した。

 

そして、思い出した

 

街を焼く巨大なMS

そいつと戦っていた俺、それを止めた男

泣き叫ぶ彼女の声、声を掛ける俺

動きを止めた兵器に近づき、腕を伸ばすインパルス

機体から彼女を降ろし、抱きしめ合った

 

そして、最後に目にしたのは───

 

(そうだ…もう………もう、俺は……ステラは………)

 

…………………もう、終わった事だ。もう、どうする事も出来ない。

 

───ならば

 

「…俺なんかで良ければ……喜んで」

 

ならば、受け入れよう。彼女を…

俺なんかを好きで居てくれた彼女の想いに、俺なりに、彼女を愛し、応えよう。

 

彼女を抱きしめて、そう誓った。

 

「…ぅふふ……うれしい……!」

 

俺の返事に涙を流し、ステラは喜んだ。

 

周りの動物達もそれを祝う様に、まるで合唱でもするかの様に一斉に声を上げていた。

 

「いこ?」

「───うん」

 

(ごめん、レイ、ルナ、…ヨウラン、ヴィーノ……俺、もう帰れないや。

……すみません、アスラン……最後まで迷惑かけて。)

 

立ち上がったステラに声を掛けられ、

遺してしまった仲間達に心の中で謝り、俺も立ち上がった。

 

そして、彼女の手を取り、畔の家に向かい2人で歩き出した。

 

「ステラね、お料理、練習する!りょーさいけんぼ、だんなさまに尽くしてあげるの!」

「はは、難しい言葉知ってるなぁ。じゃあ俺も手伝うよ。これでも料理得意なんだ」

 

「だめ!ステラ、自分で頑張るの!」

「ええー?でもさぁ、2人で料理するのも、夫婦らしくない?」

 

「……うーん。うん…?…うん!

シンと一緒にお料理、いい!じゃあ一緒に練習、する!」

「あははは!うん、一緒にやろ!」

 

あははは

ふふふふ

 

ステラね……

俺は……

 

ふふふふふふ……

あははは……

 

 

手を繋いだ2人が家にたどり着き、扉を開けて2人が入って行く。

ここから先は、2人だけの物語。誰にも邪魔する事はできない、2人だけの世界。

 

少女の望んだ、愛し合う未来が、これから紡がれてゆく。

 

この暖かな世界で、

いつまでも、いつまでも

 

 

 

NEVER END

『やさしくて、あたたかいせかい』

 

 

 

 

 

 




ハッピーエンドです
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