ホシノ「私で童貞捨てたくせに……」「童貞ですけど!?」   作:群缶

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3:気分は女子校に入れられた男子生徒の気分。なお、女子たちは優しい模様

 

 

「おはよー。あれ、アヤネちゃんとノノミ先輩だけ?」

 

「おはよう、セリカちゃん。まだシロコ先輩は来てないよ」

 

「おはようございます〜。ホシノ先輩は、いつものところでお昼寝だと思いますよ。あとはシロコちゃんだけですね」

 

 

 時刻は朝の7時50分。アビドス廃校対策委員会の部室としても使われてる会議室には、3人の少女が集まっていた。

 

 ベージュのロングヘア、一部の髪をサイドにまとめ上げ、ご立派なものを持つ2年生の十六夜ノノミ。

 

 1年生で、ツインテールに結んだ黒髪と赤い瞳が特徴のツンデレ娘・黒見セリカに、同じく1年生である黒髪ボブで眼鏡をかけた真面目そうな印象を受ける女の子・奥空アヤネ。

 

 9億を超えるとんでもない借金を抱えたアビドス高等学校を救うため、(色々な意味で)戦い続ける対策委員のメンバーたちである。

 

 ここにはいないが、シロコと3年生の先輩も含めた5人で活動しており、最近では正式な組織となって顧問を先生が勤めている。

 

 

「珍しいわね、シロコ先輩っていつもならもう来てるのに」

 

「そうだね、遅刻というわけではないけど、この時間になって来てないのはあんまりないかも」

 

「そうですね〜、それこそ先生が来たときくらいでしょうか?」

 

「あー、びっくりしたわよね。シロコ先輩が、瀕死になったボロボロの大人を背負って来たときは、“ついにやっちゃった!?”って思ったもん」

 

「あはは……シロコ先輩、たまに凄いことしちゃうからね」

 

「シロコちゃんが先生を連れて来たとき……あの時も私たち3人でしたね」

 

 

 まだこの委員会が正式なものとなっていなかったころ。物資もカツカツ、助けてくれる人もいない、そんな状況の中で先生との出会いがあったからこそ、今の彼女たちが居ると言っても過言ではない。

 

 それほど時間は経っていないが、どこか懐かしむように話す3人。そんなこともあったねー、と話を続けていると、廊下から足音が聞こえてくる。

 

 どうやらシロコが来たらしい、とノノミたちが扉に目線を向けたと同時に扉が開かれた。

 

 現れたのは予想通り、委員会メンバーのシロコ。いつも通り、おはようと声をかけようとした彼女たちだったが、シロコが“背負ったもの”に気づいた瞬間、ギョッとする。

 

 

「おはよう。みんな———」

 

「シシ、シロコ先輩!? 今度こそやっちゃったの!?」

 

「あわわわ、スコップ用意しないと……!」

 

「落ち着いて! セリカちゃん、アヤネちゃん! まずは隠蔽のためにブルーシートで包むのが先です!」

 

「……愉快な人たちだな、おい」

 

「ん。今日はデジャヴが多い日」

 

 

 

 

 

 ボロボロの制服姿に、グロッキーな顔でシロコさんに背負われた俺を見て、とんでもない勘違いをしたアビドスの生徒さんたちだったが、もろもろ説明&先生から渡された転入手続き用の書類を渡すことで、ひとまず落ち着いた。

 

 最初は警戒されていたが、書類とは別に用意されていた先生からの手紙を読んでからは、一転して好意的に。……いや、そもそも連邦生徒会とかが、俺のことについて連絡してないのが悪いんだけど、初対面で死体扱いはなかなかに刺激的だった。

 

 

「——というわけで、体験入学しに来た由九咲シュウだ。よろしく」

 

「改めてですが、よろしくお願いします。それにしても、まさか先輩が増えるとは……」

 

「ホントにね。アビドスじゃなくて、他の学校の方がいいと思うけど」

 

「こーら、セリカちゃん。せっかく来てくれたシュウくんに失礼ですよ?」

 

「ん、シュウは気にしない」

 

「気にしてない……なぜシロコさんが答えた?」

 

「顔に書いてあったから」

 

「え、マジ?」

 

「うん、わかりやすい」

 

 

 そんな顔に出やすいかな、俺? とぺたぺた顔を触っていると不思議そうな視線を3つほど感じて、シロコさんから十六夜さんたちの方に顔を向ける。

 

 

「なんです?」

 

「えっと……シュウさん、いえシュウ先輩はシロコ先輩とお知り合いだったんですか?」

 

「やけに仲が良いというか……」

 

「もともとお友だちだったんですか?」

 

「いや、ぜんぜん。な?」

 

「うん。今日が初対面だよ」

 

 

 その答えになんだか訝しむような視線を向けられるが、本当にその通りなのだから、これ以上は何も言えない。

 

 とは言え、確かに変に気は合うなーとは俺も思っていたり。

 

 そんな風に思っていたのは俺だけじゃなかったようで、表情を変えずにシロコさんも似たような心情だとみんなに話す。

 

 

「初めてだけど、なんとなく気が合う。シュウは面白い」

 

「ふーん。シロコ先輩がそう言うなら良い人なのかも? ともかくよろしくね、シュウ先輩」

 

「出会ってから数十分で、俺の何を面白いと思われたのか気になるけど、好意的に捉えておくよ……よろしく、黒見さん」

 

「セリカでいいわよ。名字で呼んでくるなんて、珍しいのね」

 

「セリカちゃんと同じで、アヤネで構いませんよ、先輩」

 

「私もノノミで大丈夫ですよ! 同じ学年ですし、仲良くしましょう〜」

 

「お、おう。……むぅ」

 

 

 やっぱり距離感おかしいよなぁ。外の世界だと野郎同士なら兎も角、女の子相手に最初から名前呼びとかしたら、チャラいやつ、もしくは痛いやつ扱いだったんだけど。

 

 そんなこんなで少しの交流タイムに。話した内容は、主にこの学校のことや、シロコさん、ノノミさん、セリカさん、アヤネさんについて。

 

 中でも過去にあった先生との出会いの話はもっと詳しく聞きたかったのだが、その最中でノノミさんが何かを思い出したように、ポンっと手を叩く。

 

 

「そうでした、まだホシノ先輩を紹介できていませんでした!」

 

「シロコ先輩の衝撃ですっかり抜けてたけど、ホシノ先輩、まだ何処かで寝てるのかな」

 

「きっと、いつもの屋上ですね。そろそろ呼びに行きましょうか」

 

「うん。ちょうどいいし、シュウがホシノ先輩を起こしに行ってみてほしい」

 

「初対面の先輩相手に俺ひとりとか正気か?」

 

「まぁ……平気と言えば平気かも? ホシノ先輩はのーんびりした優しい人だし、シュウ先輩だけで行っても問題ないと思うけど」

 

「でも、流石にホシノ先輩びっくりしちゃうんじゃ……?」

 

「そうそう。寝てるんだろ、その人。寝起きで知らん男の顔が近くにあったら、普通に撃たれそうだし」

 

 

 普通に考えて、誰か一緒に来てくれるだろ、なんて思っていたのだが、なんだか話の行き先がおかしくなり、口を挟む。

 

 

「ホシノ先輩の驚くところ、みたい」

 

「確かに面白そうですね⭐︎」

 

「なら、屋上の入り口で隠れて覗いてる?」

 

「えぇ……いいんでしょうか?」

 

「うん、よくないよね?」

 

「アヤネだって気になるって顔してる」

 

「……確かに、ホシノ先輩が驚く姿はあまり見たことないですが」

 

「アヤネさん?」

 

「ならいいじゃないですか〜。たまにはイタズラしちゃいましょう!」

 

「ノノミさん??」

 

「お寝坊さんなホシノ先輩には、ちょうどいい目覚ましになるんじゃない?」

 

「セリカさん???」

 

「ん、決まり。なら行こう」

 

「シロコさん???? ちょ、押さないで……!?」

 

 

 ということで、今日から出来た同級生2人と後輩2人に物理的に背中を押され、屋上に向かうことに。

 

 道中で、その”ホシノ先輩“なる人物について話を聞いたところ。

 

 

「ん、優しい先輩」

 

「年変わらないのに、おじさんって自称してる人?」

 

「とっても私たちを大事にしてくれている良い先輩ですよ」

 

「ホシノ先輩は可愛いです〜」

 

 

 とのこと。よく分からんが、悪い人ではなさそう……? ところでおじさんとは一体。

 

 






次回、おじさん(メインヒロイン)登場。


あとですが、なんか日間1位と週間3位に入ってました。評価&コメントもたくさんいただいております。感謝〜〜。
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