ホシノ「私で童貞捨てたくせに……」「童貞ですけど!?」 作:群缶
※注意!!
・甘〜〜〜いぞ。えっちだぞ。
・Vol.1完結後のお話です。
・ホシノが攻めてきます。
・でも誘い受けです。
・↑私の趣味です。
作者のひと言:私はどっちも好き。選べないんじゃなくて、選ばないッ!!
まず前提として。
俺の好み、性的趣向……ズバリ好きな女性のタイプは歳上おっとり系でお尻や胸が大きい人だ。
下品な言い方をすれば、“ケツとタッパがデカい女”が好きなのよ、俺。主に二次元ではさ。
けど、リアルの方は色々と“事故”にあって。
それで気づけば、歳上で歳下な先輩で後輩属性をもった、小柄で素敵な女の子のことが好きになった。
矛盾しかない属性過多な女の子との甘すぎる日常。劇薬とも言える生活を送った結果……俺は言ってしまえば、ものすごく癖が歪んだ。
「シュウくん」
左側から聞こえる声は、おっとりとしたふんわり甘いもの。手を絡めるように重ねられ、ほぼゼロ距離の耳元で名前を囁かれる。
長く伸びた彼女の髪が指先に触れて、少しこそばゆい。……一方で。
「シュウ先輩」
ぎゅう、と右腕にしがみつきながら“この人は私のもの!”と主張するかのように、強く腕に力を込めながら俺の名前を囁く少女。
肩辺りで切り揃えられたセミショートくらいの桃色の髪。決して低過ぎず、かといって高くない少女の声。
「「どっちが好きな(んですか)のかな?」」
仰向けで寝そべった俺の両腕に重なるようにして、体を預けるふたりの女の子。
両手に花、というのだろうか。
でも、どっちも“同じ子”の場合はちょっと違う気がする。
「シュウくんは、私の方が好きだよね〜?」
「シュウ先輩は、私の方が好きです……!」
俺へと質問してきたまま、答えを聞く前に言い争いを始めるふたりのホシノ。
勝ちを確信しているかのように余裕たっぷり、ウィンクをして優しく頬にキスしてくるホシノ(先輩)。
それを見て、ぷく〜っと頬を膨らませて対抗心たっぷりな顔のまま反対の頬に吸い付くようなキスをしてくるホシノ(後輩)。
げんなりする俺の3人でお送りしておりますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
目に光がない俺に気づいたふたり。より両腕の拘束が強まった気がした。
「もう、はっきり言っちゃいなよ〜」
「ええ、はっきりと先輩が言ってください」
そんなこと言われても……。
「選べないとかはナシだよ?」
「優柔不断な先輩は“めっ”です」
選ぶも何も、どっちも同じ答えにならない……?
「「同じじゃないよ(です)」」
めっちゃ怖い顔するじゃん……。
俺の疑問に対してふたりして鋭い目つきになる。めちゃくちゃ怖い。
じーっと、こちらを見つめながら答えを待つホシノとホシノ。
決して逃さないという固い意志を感じて、背中に冷や汗が出てくる。
どっちを選ぶのが正解なんだろう、と脳内でシミュレーションしてみる。
A:小鳥遊ホシノ(先輩)を選んだ場合
えと、どっちかと言えば今のホシノが好き……かな
「うへへ……私もシュウくんのことが世界で一番、だ〜い好き!」
溢れるくらいの笑顔で俺の首へと抱きつき、すりすりと頬擦りしながら溶けそうな声で愛を囁いてくるホシノ。
でも、もうひとりの後輩は。
「ぇ……。せん、ぱい……?」
唖然とした顔をした後、今にも泣きそうなほどに表情を歪めるホシノ。心無しか声が震えている。
あんなに強く抱きしめていた俺の腕から離れて、苦しそうな身振りをする姿。
その姿に俺のトラウマともいうべき“あの公園”での一件が蘇る。
……絶対ダメ! ホシノを、大事な後輩を泣かせるのは本当にダメ!
想像だけで心が死にそうになる。この選択肢は論外だ。
B:小鳥遊ホシノ(過去)を選んだ場合
そう、だな。やっぱり、昔のホシノが好き……かな
「ぁ……えへへ。私もシュウ先輩のこと、世界で一番愛してますっ」
くしゃっと笑って頬を染めたまま、あまりにも可愛い言葉を俺へ送りながら勢いよく飛びついてくるホシノ。
けど、もうひとりの先輩は。
「……そっか。そう、だよね」
一瞬だけ真顔になってから、切り替えるようにして無理をした笑顔で自分を納得させるような言葉を呟く、本当はか弱い女の子。
ゆっくりと俺のそばから離れて、ぎゅっと自分の胸元を握りしめる姿。
確かに笑顔だが、目尻に微かに溜まった涙。隠しきれないほどショックを受けたようで、縋り付くように握られている手が震えているのが伝わってくる。
あほ、ばか、まぬけ! あの夕焼けの帰り道を再現する気か俺は!
ただのイメージなのに、心臓がきゅっとしたわ!!
こっちもダメに決まっている。
なら選択肢は用意されていない3つ目……“C.”を選ぶしかない。
妄想の中から帰還した俺は、迫るようにしてこちらを見つめ続けるふたりのホシノに、目を泳がせながら“逃げ”を選んだ。
ふ、ふたりとも大好き……ダヨ?
なるべく刺激しないように、そして明るく笑顔で。
ちょっと声は震えたが、嘘偽りない自分の本音を口にする。
自分で言っておきながら、こんな事を思うのもアレな話しだが……セリフだけ抜き出すと最低すぎないか?
どこぞのハーレムもので言いそうな言葉。でも俺はホシノにしか言っていない。
それを聞いた目の前のホシノ×2の反応はというと。
「「…………へぇ」」
ひぇ……!?
真顔。
ほんわか笑顔だった先輩、ムッとして嫉妬した表情だった後輩、どちらも気づけば消えていた。
一言、相槌を打つような言葉を口にしたふたりの表情は全く同じ。
能面でも張り付けたのか、そう聞きたくなるくらい色が一切ない表情。
とういうか表情だけでなく、顔も瓜二つ。同一人物だから出そうけど、髪型以外に見分けがつかないくらいに同じなのだ。
男として情けない声が口から漏れて、自然と腰がひける。無意識に逃げ出そうと体が後ろに行こうとしたのだが。
「シュウくん」
「シュウ先輩」
……はい。
両腕は彼女たちにしっかりがっちり捕まっている。ガチホールド。
自分の名前を呼ばれただけなのに、こんなに恐ろしいと思うことってあるんだね。
半ば諦めている俺はそんなことを思いつつ、目線を切る。
でも、これもやっぱり悪手だった。
「……シュウくんはどっちか選べないんだ」
「……私のこと、一番大事って言ったくせに」
う、うぅ……。
冷たい視線と責めるような言葉に何も言い返せない。
言ったけど……確かに言ったけどね。世界1大事な女の子が、文字通りふたりになるとは思わないじゃんか。
困り果てた俺をよそにふたりのホシノは、お互いに顔を合わせて何かを考えるような仕草を見せる。
……なんだろう、嫌な予感がする。
こう……貞操の危機というか。いや、俺もう童貞じゃないけど。
嫌な予感とは当たるもの。さっきまで険悪そうなホシノたちだったが、無言で頷いたかと思うと。
まばたきをした次の瞬間、ふたりの着ていた服が変化していた。
……え?
「うへ、ちょっと寒いや……。お布団入れてね」
「私の方も肌寒いです。先輩、失礼します」
ふたりとも違うものとは言え、制服を着ていた。
でも今は。
「いや〜、温いねぇ」
左には、アビドスの体操服に着替えたホシノ(先輩)。
「うへへ、ぽかぽかです」
右には、ひらがなで名前が書かれたスク水を着たホシノ(後輩)。
何、早着替え?
犯罪臭がすごいロリ(見た目は……“も”、か)なふたりに挟まれたベッドに寝転ぶ俺がポツン。
……犯罪臭も何も犯罪では?
呆気に取られていた俺に気にせず気楽そうな声でホシノが声をかけてくる
「さて、シュウくん。私たちふたり、どっちも同じくらい好きなんだよね」
は、はい……? えーと。そうです、ね?
反射的に返事をしてしまう。今度は反対からちょっと怒った声。
「それなら……シュウ先輩が選べないなら、どっちが“良い”かはっきりさせちゃいます」
え、え?
「シュウくんは優柔不断で、すぐ本音を隠すけど」
「こっちのシュウ先輩は素直で可愛い、ですからね」
ふたりの手が自分の一点……下半身のとある場所へと向かうに気づいて、顔が引き攣る。
動揺して気づいてなかったが、ふたりの目はどこか怪しいし、息遣いが少し荒い。
「コスプレ、好きだよね」
「えっちな先輩も好き」
ま、まって。流石にふたりは……んぐっ!?
本当に死ぬ、そう言いたかったのに口を物理的に塞がれる。
「ん、ちゅぅ……れぇ……」
「ちゅる……えぁ……」
は、ぁ……んん! ぷはっ……んぐ!?
口が離れたと思い、空気を取り込もうと口を開ければすぐに次。本気で呼吸ができない。
それほどまでに連続で唇を奪われ続ける。
“この人は私のもの”、そうアピールするかのように振り続けるホシノたちからのキスの雨。
怪しく動き続けるふたりの手。まさぐってくる指先の感覚に、びりっとした電気ようなものが背筋に走る。
酸素が足りなくて、朦朧としてくる意識の中。
「シュウくんがどっちの方が良いのかは」
「シュウ先輩の口じゃなくて、体に聞きます」
そう言って艶やかに笑うホシノに思うのは。
……ああ、今も昔も本当に独占欲が強いなぁ。
▽
「うぅ……もう、むりぃ……」
「またうなされてる」
「最近、多いですね〜?」
「シュウくん、疲れてるんじゃないかな」
アビドス高等学校にある廃校対策委員会の部屋。
放課後の時間になってもまだ眠ったままのシュウくんを見て、そう話すのは私とノノミちゃん、シロコちゃんの3人。
今日の会議はすでに終わっていて解散したのだけど、いまだに眠るシュウくんを待っている私に気を遣って、予定がない2年生組が雑談に付き合ってくれていた。
「シュウ、昨日も寝てた」
「普段のホシノ先輩みたいです」
「おじさんは歳だから〜」
机に突っ伏したまま、よくわからない寝言を言いながら眉間に皺を寄せるシュウくんを見つつ、そんな会話をしている。
ノノミちゃんが言ったようにここ最近、本当にお昼寝が多いのは私もちょっと気になっていた。
「夜更かししてるのかも」
「シュウくん、普段は何してるんです?」
「ん〜。基本は本読んでるかゲームしてるかな」
彼のほっぺをフニフニと突きながら、家での私生活を思い浮かべる。
男子高校生らしい、ごくごく普通な趣味と生活を送っているのは、それを間近で見ている私には簡単に想像できた。
対面に座るシロコちゃんとノノミちゃんは、仲がいいとは言え私ほどシュウくんと近しい間柄でもない。
だから、そんな会話内容になっていた。
「すぅ……。ぁ、やめて……」
「あらあら、すっごく苦しそうですね。でも……」
「ん。表情は険しいのに口元はニヤけてる」
「すけべな夢でも見てるんじゃない〜?」
私が何気なくそういうと、ちょっとびっくりした顔をする後輩ふたり。
なんだろ、何か変なこと言ったかな。
「どしたの、そんな顔して」
「え? い、いえ……その」
言いずらそうにするノノミちゃん。でも、シロコちゃんは迷いなく口を開く。
「ホシノ先輩、平気なの?」
「……?」
「嫉妬、しないのかなって」
「うへ?」
シロコちゃんが言っている意味がわからず、頭にハテナが浮かんだ。
理解していない私を見て、補足するようにおずおずとノノミちゃんが説明してくれた。
「えっと、ホシノ先輩はシュウくんに関してはすっごく嫉妬深いと言いますか」
「まぁ……うん」
「夢とは言え、もしその……えっちなものだったら、怒っちゃうんじゃないかなーと」
「ああ、そゆこと」
「ホシノ先輩、独占欲強いって言ってた」
「ん〜〜? ねぇ、シロコちゃん。“誰”から聞いたのかな〜〜??」
「藪蛇……」
口をさっと隠して明後日の方向を見るシロコちゃんに、つい少しジトっとした目線を送ってしまった。
そんな私の気を逸らすためか、ノノミちゃんが焦ったように話しかけてくる。
「ま、まぁまぁ! それでホシノ先輩的には良いんですか?」
「うへへ、夢だしね。そんなとこまで嫉妬してたらキリないよ〜」
「でも、前はシュウが読んでた漫画に——」
「シロコちゃんストップ!」
「んぐ」
シロコちゃんが言いかけた言葉を慌てて止めたノノミちゃん。でもバッチリおじさんの耳には入っちゃってるんだよね。
「あれはその、創作物だとしてもね。あそこまでおじさんと真反対の子に反応してたからさ、ちょっとね……うへへ」
「あれがちょっと……?」
「ん、凄い目つきだった」
「も、もう! その話はいいの!」
あの時は少しばかり大人気なく嫉妬しちゃったけど、ここまで言われるほどじゃないと思う。
それにあれは読んだもの、空想のものだった。でも今回は夢だし。
「夢って見たものや体験した記憶の整理が元になるじゃん」
「そうですね」
「だからシュウくんが“そういう夢”を見るなら、たぶん私のことだし」
「は、恥ずかしげもなく言いますね?」
「もうバレちゃってるしねぇ〜」
ちょっと照れるがすでにみんなは知っていること。周知の事実だ。
見る夢は強く記憶に刻まれるもの。私だって、よくシュウくんとのそういうことを夢で見ちゃうしね。
思い出すと顔が赤くなるけど、とっても幸せなものだから時折、自発的に夢の内容を遡ることもあるくらい。
「ん……こっちも藪蛇」
「もう惚気はお腹いっぱいです……」
「うヘ?」
げんなりした声と顔のシロコちゃんとノノミちゃんにまた首を傾げる。
呆れた顔をしたノノミちゃんが、途切れた会話を再開させた。
「なんでもないです。でも、ホシノ先輩」
「ん〜?」
「シュウくんが他の子……それこそ現実の女の子とかに気を持っていったらどうするんです?」
「それは……うへへ」
たっぷり、じっくり、いっぱい。お仕置きかなぁ。
「笑ってるのに怖い」
「目が笑ってないです……っ!」
「じょーだん、だよ?」
「……ん」
「……あはは」
怯えるように肩を寄せ合うふたりに冗談と伝えるが、なかなか信じてもらえない。
「そんなにおじさん、信用ないかなぁ」
「だってホシノ先輩、この前の海でノノミと先生に」
「シロコちゃん!?」
「あー。まぁ、うん」
シロコちゃんが言ったのは、つい最近みんなで海に行った時の話。
泳ぐために行ったのだから、私はもちろん先生やみんなが水着だった。
内心、水着姿を見せるのに緊張していた私。でも、せっかくなら彼に見て欲しかったし、可愛いと言ってもらいたい気持ちがあった。
結果的に言って欲しかった言葉はもらえたし、みんなが気を使ってくれて良い雰囲気にもなった。けど。
「ノノミちゃんと先生にやたら見惚れてたもんねぇ〜〜??」
「わ、私に言われてもぉ……!」
「こっそり私やセリカ、アヤネも見てた」
「へぇ〜〜〜??」
「ふぐっ、うぅ、んぁ……」
「あぁ……シュウくんの鼻が……」
横で寝続けるシュウくんの鼻をつまんで伸ばす。ついうっかり強めに力を入れてしまったが、悪意はない。
そんな私を見て、珍しく表情に出るほど優しげな笑みを浮かべたシロコちゃん。
「ホシノ先輩、シュウが関わると子どもみたいになる」
「へ?」
「わかりますっ、大事なものを独占したい〜ってなってるみたいで」
「そ、そうかな」
「ちょっと胸焼けするけど、ホシノ先輩可愛いし」
「恋する女の子ってこんな感じなんだ〜ってみんなで話してるんですよ」
「わ、わかったからそこまで。この話はストップ」
話の流れがおかしくなり始めて、恥じらいの気持ちが出てくる。
それで、つい待ったをかけるが。
「シュウがぼーっとしてる時とかうずうずしてるし」
「構ってほしいオーラがいじらしいですよね!」
「うへぇ〜!! そんなにおじさんを揶揄って面白いか〜!!」
「きゃ〜!」
「ん、おこ」
「……んぁ?」
「「「あ」」」
ちょっと盛り上がりすぎて、シュウくんがみじろぎする。
思わず私たちは顔を見合わせて黙り込んで……また寝息を立て始めたシュウくんにホッとする。
「ゆっくり寝かせてあげようって言ってたのに」
「起こしちゃうとこでしたね」
「ご、ごめんね〜?」
小声で謝りながら頭を撫でる。
くぅくぅ、とたまにうなされつつも、深い眠りについている様子。
本当に気持ちよさそうに寝ているシュウくんに、思わず笑みが出た。
「……うへへ」
「こういう時のホシノ先輩はママみがある」
「すごく優しい顔してるから、ですかね?」
「そうかな?」
「はい。本当に好きなんですね、シュウくんのこと」
「うん。……ちょっと、照れるね」
改めて言葉にすると恥ずかしくなる。でも、たとえ冗談でも偽りたくないことだから素直に頷く。
ちょっとふわっとした空気。そんな中でシロコちゃんがぽろっとひとつの質問をしてきた。
「もし、ホシノ先輩以外にシュウが誰か大切な人を見つけたら、平気?」
「えっと、それは……?」
「深い関係の人。それこそ恋人みたいな」
「し、シロコちゃん? それは浮気とかになっちゃうのでは……?」
「でもシュウ、よその子にちょっかい出しそうだし」
「……そう言えばヒフミちゃんとかそうでしたね」
言われたことを聞いて頭の中で咀嚼し、考える。
私以外のシュウくんにとって大切な人ができる、か。
考える私を見て固唾を飲むような表情のふたり。……ちょっと怖い顔しちゃってたかも。
「そうだねぇ……」
「「……」」
「すっごく嫉妬するし、たくさん怒ると思うかな」
「ん」
「それはそうです」
うんうん、と共感してくれるシロコちゃんたち。その姿に少し笑いながら、続きを話す。
「でも」
「「?」」
「きっと最後には許しちゃう……かな」
「え?」
「意外な返答」
目を見開いて驚くノノミちゃんに素直に言葉にするシロコちゃん。
普段の私がシュウくんにしてることを思えば、そういう反応になるよね。
「シュウくん、こんなにかっこいいし、優しいし。それで大事にしてくれるからさ。私以外の女の子が好きになっちゃってもおかしくないから」
「惚気はいい」
「その真意は!?」
「なんかおじさんの扱い、雑じゃない? いいけどさ……真意というか」
シュウくんが私以外の誰かを好きになる。それはきっと。
「私みたいな経験とかして、シュウくんも絆されちゃってるはずだから。……それを否定したくない、のかな」
「「……」」
「それに、“ホシノが1番大事”って言ってくれたからね。うへへ……」
「懐が広い。でも、すぐ惚気る」
「惚けてないよ? とにかく、私のことが1番なら良いかな。……すっごく嫉妬するけど」
「ホシノ先輩の笑顔が黒い……」
「最後だけ声が低くなってません……?」
なんて。ちょっとしたガールズトークをしていれば、もう遅い時間に。
「そろそろ私は帰る」
「あ、私もちょっと」
「大丈夫だよ〜。こっちこそ、気を使わせてごめんね?」
また明日、とふたりを見送って対策委員会の部屋に私とシュウくんのふたりきりになる。
鳥の鳴く声と風の音。それから彼の寝息だけが耳に入る。
なんだか居心地が良くて、気づけばそこそこ時間が経ってしまっていた。
流石にそろそろ起こさないといけない、そう思って立ち上がる。
「ん、すぅ……」
いまだに苦しそうな顔のまま眠りこけるシュウくん。頬を突いても全く起きない。
「よほど良い夢を見てるのかな?」
「ん〜」
「おっと……」
寝返りを打つように、体勢がくるりと変わる彼の体が机から落ちないように支える。
その拍子にチラッと目に映ったのは。
「ありゃりゃ……ホントにそういう夢でも見てるのかな」
大きくテントを張ったとある場所に苦笑い。
えっちな夢を見てる……でも男の人は寝てる時には、勝手に大きくなっちゃうこともあるらしいけど、そっちの可能性もあるのかな。
随分と立派になっているものが、一瞬だけ見えてしまった。
ほんの数秒だけ見えたもの。それが目に焼き付くように残っている。
……。
…………ほんの少しの気の迷いが起きた。
「……」
そっとシュウくんから離れて、部屋のドアを開ける。
右を見て、左を見て。誰もいない寂れた廊下を確認し、そっとドアを閉める。もちろん、鍵も閉めて。
なるべく足音を立てないように、そっとシュウくんへと近づき、机の下に潜り込む。
お目当てのものをもう1度確認して、少し息を呑む。
「……おっきい」
ここ最近、シュウくんはバイトで忙しくて“そっち”関連のことはご無沙汰だった。
だから、すっごく大きくなっているのも頷ける。
「……」
ごくり、と自分の喉から大きな音が鳴った。
……そっと目の前のものを彼のズボン越しに触れてみる。
「ぁ……」
膨張して破裂寸前の風船、とかこんな感じかも。
最初は指だけでそっと触っていたのに、気づけば手のひらで包むように撫でるように触っていた。
頭上からこそばゆそうなシュウくんの声が聞こえる。
……女の子にだって、性欲はある。
しょうがないとはいえ、しばらく直接的に触れ合っていなかった好きな人のあそこに触れて、私の体は火照り始めていた。
「ん……下着、びしょびしょ……」
自分の下半身に自然と手が伸びて、触れたら驚くほど濡れていた。
今日は久しぶりにシュウくんの家へとお泊まり。だから、気合を入れたものを着てきたし、着替えも可愛いものを選んでいる。
ガマン、してたんだけどなぁ。
「……いっかい、だけ」
誰に言う訳でもない言葉。ちょっとした罪悪感があった。
でも、それ以上に燃えるような熱が胸から溢れてきて、口から出る吐息が熱くなる。
繋がるのは、抱かれるのは彼からが良い。でも、この火照った体を鎮めないとどうにかなってしまいそうで。
「咥える、だけなら……」
幸いにも私の方は着替えがあるし、彼から出るモノは汚れないように飲めばいい。……キライじゃ無いし。
震える手でチャックに手を伸ばす。
一度、手を伸ばしてしまえばあっという間。
「うわ、すご……」
飛び出すように出てきたものに、思わず口から感想が出てしまった。
生唾を飲み、外気にさらされたモノをじっくりと見つめて。
「……あ、む」
1回だけ、そう頭の中で言い続けながら夢中になってしまったのは……私だけのヒミツ。
「うぅ〜ん?」
「どしたの?」
「なんか体がダルくて……随分寝たはずなんだけど」
「そそ、そっか! あれじゃない、寝た体勢が悪かったとか!?」
「確かに。……何でそんな慌ててんの?」
「別に慌ててませんよ!」
「動揺して口調が戻ってるぞ」
「!? んんっ……良いですから! 今日はこっちの気分なんです!」
「……うーん」
「なんですか」
「見た目が今のホシノで、中身は昔……答えはこれか?」
「はい?」
「いや、こっちの話」
「は、はぁ……?」
深夜なら少しえっちな話を投稿しても怒られんやろ! ガハハ!
ところで、ホシノは最後に何をしていたんでしょうね。
私にはさっぱりです。