ホシノ「私で童貞捨てたくせに……」「童貞ですけど!?」   作:群缶

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今回、最長のボリュームで13,000文字ちょっとくらいあります。分けようと思いましたが、焦らすのは良くないし、私も読者なら嫌なので思い切って投下。

そして、物語は残りわずか。最後までお付き合いいただければ幸いです……!

またこれだけは保証しますが、完全無欠のスーパーイチャラブハッピーエンド、くらいにはする予定です。



0.8:手からこぼれ落ちたモノ = 不確かなキボウ

 

 

 

 がむしゃらに走り続ける。

 

 なにも考えたくなくて、目の前で起きたことを信じたくなくて。

 

 ただ、闇夜に染まった住宅街の道を駆け抜ける。全部忘れたいと願っても、他でもない自分が見て聞いてしまった言葉がずっと頭の中で繰り返し再生され続ける。

 

 

 ——“多くのことを小鳥遊ホシノさんに偽っている”こともです。

 

 ——……ああ

 

 

「……なんで……!」

 

 

 ——彼女には秘密裏で私と話をするのも2度目。

 

 ——……それが何だよ?

 

 

 はじめは自分の耳を疑った。

 

 先輩を探して、それで見つけて帰ってきて欲しいと言おうとした。

 

 眠る前の会話で悲しい気持ちにはなった。私はまだシュウ先輩に信頼されてないんだって、思ってしまった。

 

 でも、いざひとりになったら寂しくて。あの部屋は私ひとりだととても広く感じて。

 

 だからシュウ先輩を見つけた時はとても安心した。

 

 でも誰かと話しているが聞こえ、反射的に身を隠してしまった。……その相手が、あの砂漠の夜にオートマタから聞こえた声と同じだったから。

 

 あの夜以来、一度も襲撃をしてこなかったとはいえ怪しいのは間違いない。すぐにでも先輩を助けようと動くつもりだったのに。

 

 ソイツと先輩の会話を聞いて、私の体は石のように動けなくなった。

 

 

「せん、ぱい……何を言って……?」

 

 

 勘違いだと、何かすれ違っているのだと思った。でも、私には話してくれなかったことをあの大人へと話していた、理解されていたと言う事実が小さく入った心のヒビを大きくしていく。

 

 大きくなったものは亀裂となって、そこからは負の感情が……疑いが溢れ出てくる。

 

 私に多くの嘘をついていた? 何が嘘で何が本当なの?

 

 なんでソイツと、私を狙っていたやつと平然と会話しているの?

 

 2度目ってどう言うこと? 陰で連絡を取り合っていた?

 

 胸が苦しくなって、目頭に熱いものが溜まっていく。体が冷たくなって、辛いものを今すぐ叫びたい。

 

 でもまだ、と現実から目を背けるようにして縮こまる私に気づかないまま、先輩とあの大人の会話が続き。

 

 

 ——“今は”アビドスの学校へなど行かないのでしょう?

 

 ——お前の言う通り、確かに今はアビドスには転校しない。

 

 

「……ぁ」

 

 

 気の抜けた声が出る。頭を鈍器か何かで叩かれたような衝撃。

 

 アビドスには転校しない、先輩の口から発せられた言葉の意味を理解したくないと頭が自然と左右に動く。

 

 最初に聞いたこと、アビドスへ転校するということから嘘? それはつまり、私の家へと来たきっかけから……出会いから嘘だった?

 

 呆然とした心とは裏腹に感情は激しい怒りと悲しみで満ちていて、気づけば飛び出して先輩へと叫んでいた。

 

 ひと言、たったひと言だけでいいから……例えそれが嘘であってもいいから、否定して欲しかった。シュウ先輩の口から“違う”って言って欲しかった。

 

 

 ——それ、は……っ

 

 

 願った言葉を聞くことは叶わなかった。そして彼の表情と言葉から、今聞いていたことが本当だって……理解してしまった。

 

 ぐちゃぐちゃになる心と頭に耐えられなくて、この場にいたくなくて……先輩の顔を見たくないと初めて思って。

 

 気づいたら闇雲に走り出していた。

 

 どれほどの時間走っていたのか。息は切れて、足にも痛みが走りはじめてきた。

 

 行く先も決めずただただ全力で走って、今はこうして疲れ果てて廃墟となった建物の壁際に座り込み、背をつけている。

 

 膝を抱えて顔を埋める。頭の中はずっと、先輩のことでいっぱい。

 

 なんで、どうしてと聞きたいことはいっぱいある。でも、それを聞けばより知りたくない現実が待っていそうで足が震える。

 

 まさか、まさかと思っている。あの大人が私を襲ったのは私を実験体として求めていたから。

 

 なら、先輩は? シュウ先輩はどうして私のそばにいてくれたの? 本当は先輩も、私の力が目当てで……?

 

 違う、そんなわけないと思っている……いや、思いたいのに嫌な考えばかりが浮かんできて、より強く膝を抱え込む。

 

 たった数時間のことなのに、この1ヶ月での先輩との記憶が黒く濁っていくようで耐えられなかった。

 

 だから、何も聞かずに走り出してしまった。しっかりと先輩と話したわけでもないのに、勝手に感情的になって自分が耐えられなくなったから。

 

 

「……ほんと子どもだ、私」

 

 

 ほとんどが出鱈目だったかもしれない。すごくショックだし、辛いけど……このことは“別にいい”のだ。一番、私が一番辛かったのは、否定してくれなかったこと。

 

 子どもじみた考えだとは思うが、あそこで先輩がひと言でも“違う”と言ってくれれば、私はきっと“自分に嘘をついて先輩を信じられた”から。

 

 でもシュウ先輩は、私がそうなるときっとわかっていたから……だから何も言えなかったのだと、冷静になり始めた今ならわかる。

 

 きっと、そうだ。誤魔化してばかりで隠し事ばっかりの先輩だけど、私のことを大事にしてくれていたのは嘘じゃない、はず。

 

 

「先輩……」

 

 

 ……話して、みよう。見たくないものに蓋をするのは簡単。でも、それで続いてしまった関係性はきっと破綻する。

 

 腰を上げてあの公園へと歩き出す。ろくに明かりもなく、いつもなら月と星の光で多少は夜目が効くのに曇り始めたせいで闇が濃い。

 

 ひとりになって歩いていく中であたる冷たい風。熱を帯びた頭を冷やされて少しずつ落ち着いてくる。同時に見えて来なかったものが浮かび出して、他の疑問が出てくる。

 

 例えば、先輩と話していたあの大人。全身が黒い、悪意が集合したかのような雰囲気を持つ黒い服を着た怪しい人。

 

 アイツが私を狙っていたのは間違いない。それに先輩も狙われていた。あの夜から1度も私の前に姿を現してなかったのに、急にどうして……?

 

 

「随分と思い悩んだ顔をされていますね、小鳥遊ホシノさん?」

 

「っ!!」

 

「クク……こうして顔を合わせるのは初ですか」

 

「お前……やっぱり」

 

 

 片手をスーツの隠しに入れたまま、すぐ近くで佇む不気味な大人。こうして直接対面して声を聞き、やはりこの男があの日に自分を狙ってきた相手だと確信を持てる。

 

 向こうも自分のことを明らかに知っているし、オートマタの端末越しとは言え聞いたのと同じ声だ。

 

 黒い服の男……黒服、なぜ急に現れ、先輩に接触していた? どうして前触れもなく……?

 

 とにかくこの大人が自分を狙っているのは間違いない。警戒しない理由がないと距離を置く。

 

 数メートルほど後ろに下がった私を見て、またあの不快な笑い声が耳に入ってきた。

 

 

「クク……クククッ……」

 

「何が、おかしい」

 

「いえ。“随分と怯えているよう”ですので、何を怖がっているのかと疑問に思っただけですよ」

 

「? ……っ」

 

 

 怯える、黒服から言われて初めて自分の手が少し震えているのに気づいた。

 

 なんで、と反対の手で震える腕を押さえても止まらない。むしろ抑えている側の手も震えが伝播するように大きく震えていく。

 

 

「クク……まだ子ども、と言うわけですか」

 

「舐めないでください……!」

 

「そう気を立てないでください。特に危害を与えるつもりはありません」

 

「……私が貴方を、信用できると思いますか?」

 

 

 嘲笑うかのような言葉に語気が荒くなる。何が目的だ? なぜ私を襲わずただ話を続ける? そして、危害を加えるつもりがないとはどういうことだ。

 

 確かにあの夜以来、一度も襲われていないけれど。それならばなんの目的があって……。

 

 

「シュウさんとの口約束に過ぎませんが、私にもプライドと言うものがありますからね」

 

「先輩との、約束……?」

 

「ええ。貴方には手を出さない、そういう約束です。……クク、随分と驚かれていますね」

 

 

 なんだ、それは。どうして、先輩がそんなこと……? いつから、とか。なんで、とか。たくさんの疑問が湧いてくる。

 

 でも、その中で一番大きな疑問は、黒服はどうしてそんな口約束を律儀に守っている?

 

 

「“つい先程までの”シュウさんと敵対するのは危険だったから、ですよ」

 

「っ!?」

 

「クク……。疑問にお答えしただけです。そう驚かないでください」

 

 

 心の中で思ったことを、疑問の答えをピタリと言われて大きく動揺する。

 

 言い表せない気色の悪い感覚が背から上ってくるように、背筋にゾクッとしたものが走る。

 

 

「私が貴女へと契約を迫ったあの日、あの夜に現れたイレギュラー」

 

「日を追うごとに向上していく探知、戦闘能力。画面越しですが、何度も驚かされたものです」

 

 

 どこか懐かしむようにシュウ先輩のことを話す黒服。その内容でどうしても聞き逃せないものがあった。

 

 日を追うごとに、って……待ってほしい。その言い方じゃまるで。

 

 

「先輩は、ずっとお前たちと戦っていた……?」

 

「ええ。見事に全て返り討ちでしたがね」

 

「いつ……いつ、先輩は……」

 

「ああ。“気づいてなかった”のですね?」

 

「……っ」

 

「ククク……」

 

 

 白々しい。黒服は“わかっている”くせに、的確に私の心に刺さる言葉を選んでいる。

 

 あの人は、先輩は私の生活を支えてくれていただけでなく、身の安全まで……ずっと守っていてくれた? それを何も言わずに、今日まで?

 

 

「我々としても公に動きたくないと言うものがありましてね。狙うタイミングは早朝か真夜中のみ」

 

「クク……しかし全てシュウさんに邪魔されてしまいまして。徐々に監視という形で隙を狙うほかありませんでした」

 

「ですが、彼は異常です。ただの人であるにも関わらず、ほぼ休息なしにひと月の間、気を張り続けていたのですから」

 

「徐々に彼のうちに眠る神秘が大きくなっていくのも見ていましたからね。下手に手を出しては、こちらが危険と判断したまでです」

 

「ですので言葉による交渉に切り替え、私自ら接触を始めたわけです」

 

 

 言葉が、出なかった。

 

 本当に言葉の通り、ずっと私を守っていてくれた。

 

 毎朝、眠そうにしていたのも。

 

 それでも一緒に学校に行ってくれたのも。

 

 ……今日も私が寝静まった後にこっそりと外へ出ていたのも。

 

 

「クク……彼が体を張り続けたのは。小鳥遊ホシノさん、全て貴女の為なのでしょう」

 

「……ぁ」

 

 

 私のことだけを優先して、ずっと陰で守っていてくれた。そんなシュウ先輩に、私はなんて言った?

 

 

「たった1ヶ月の付き合いであったのに……よほど大切に思われていたのですね?」

 

「……や、めて」

 

「幼い貴女が何も心配せず、ごく普通の日常を過ごせるようにと、何も言わず戦い続ける。クク……まるでヒーローですね」

 

 

 嘘や隠し事は私に黒服の存在を、裏で狙われ続けているという事実を隠すため。平穏な日常を過ごしてもらう、ため。

 

 裏切られてなんて、なかった……? ずっとずっと、私のことを大切に想っていてくれた?

 

 私は、そんな相手に。

 

 

「ククク……何も言わずに、こそこそと動いていたシュウさん……そして、夜中に私と話していた彼を見れば」

 

 

 “ずっと、貴女を騙していた”ように見えるかも知れませんね?

 

 

 ぺたん、と足から力が抜けて座り込んでしまう。

 

 黒服からの言葉に、如何に自分が何も見えていなかったのかがわかる。確かに先輩は他にもたくさんのことを隠していると思う。

 

 でも、常に思ってくれていたのは、優先してくれていたのは私のことで。

 

 一番、先輩のことを信用していると思っていた私が、内心で疑ってしまっていた。

 

 それも目の前の大人に、私を狙ってきた悪党に気付かされた。

 

 さっきまでとは別の辛さとショックで、目頭に熱いものが再び溜まり始める。今すぐ謝りたい、シュウ先輩に“ごめんなさい”って言いたいのに、体に力が入らない。

 

 ピピ……。

 

 電子音。何かの通知音が黒服の方から聞こえた。視線が反射的にそっちの方向に向く。

 

 携帯を開き、画面を見ながら喋っている黒服。スピーカーから聞き覚えのある声が聞こえて……その声が、痛みに耐えるような苦しげなものと気づいて、体の体温が下がっていく。

 

 

「……予定よりも随分とボロボロでは?」

 

『ええ。思ったよりも抵抗が激しかったもので。クク……そう怖い顔をしないでください』

 

 

 黒服が喋っている言葉、その全てが心をかき乱す。だって、この声は……!

 

 

「……黒服ッ!!」

 

「……クク。なんでしょうか?」

 

「先輩に……シュウ先輩に何をした!!??」

 

 

 一瞬、どこか不機嫌そうな顔をしていたが……すぐにあの笑い声を出しながら口を開く。

 

 

「ただ、目的を果たそうとしているだけです。貴女は手に入りませんが、同等に興味をそそるものがありますので」

 

 

 ヒュン、と手に持ったモニターをスライドさせた黒服。同時に空中に大きなディスプレイ画面が現れた。

 

 そこに写っていたのは、予想していた相手と“姿”。……でも、想像以上に。

 

 

「……せん、ぱい……っ」

 

 

 全身は砂埃に塗れ、頬や頭からは血が流れている。破れた服の隙間からは痛々しいアザが無数に見え、意識が朦朧としているのか、目には光がない。

 

 限界、そう表すしかないほど満身創痍。いつ意識が落ちてもおかしくないはずなのに、消えていた目にほんの少しだけ光が戻って口が動く。

 

 先輩を映すデバイスでは遠すぎて、音を拾ってくれなかった。けれど、口の動きでなんて言ったかなど簡単にわかった。

 

 “ホ……シ、ノ……?”

 

 抜けていたはずの力が体へ篭る。震えは消えていないが小さくなり、黒服を睨みつける。

 

 

「今すぐ、先輩を解放しろ。狙いは私だろう……!」

 

「クク……残念ながら私は貴女に対して、干渉することができないのですよ」

 

「……先輩との、約束」

 

「ええ」

 

 

 全部、こいつの思い通り。

 

 私には手を出さないが、先輩には武力を行使して……それを私に見せて。ああ、きっと私がこういうのも思惑通りなのだろう。

 

 小さく口元に笑みを浮かべたまま、何も言わずに私を見続ける黒服。心底思うが、本当にこいつは性格が悪い。

 

 もし、あの公園での会話から……いや、それよりも前。シュウ先輩に対して私が疑う兆しを見せたことすら、黒服の狙い通りだったのかも知れない。

 

 真相はわからない。まるで未来を知っているかのような動きで私は、大人に騙されてしまった。

 

 自分からは私に干渉できない。だから黒服の矛先が先輩へと向いた。

 

 汚いやり方だ。だから、私に先輩がこれまで何をしていたのかを教えたのか。

 

 ……例え知らなくても、私はこうするに決まっているのに。

 

 画面越しで先輩と目が合う。……大きく見開かれる先輩の目、そして何かを伝えようと口をぱくぱくと動かしているが、音は拾ってくれない。

 

 だから、私は何も聞いていない。

 

 

「……先輩を解放してください」

 

「ふむ。……それに対してのメリットは?」

 

「……用意してあるんでしょう」

 

「ククク……さてなんの話でしょうか」

 

 

 しらを切り続ける黒服に苛立つ。

 

 私の口から……あくまで私の意思であるとこれを見ている先輩に伝えるため、といったところでしょうか。

 

 さっきの先輩の反応から、こっち側の音はしっかりと向こうに聞こえているのだろう。

 

 ……本当に意地の悪い、悪意が満ちたやり方で反吐がでる。でもこれしか思いつかないし、私が出せるものは結局これだけなのだ。

 

 

「先輩の安全と、私の身を交換してください」

 

「クク……ククク……。それは小鳥遊ホシノさん、貴女の意思ですね?」

 

「はい」

 

「いいでしょう。さて、それでは——」

 

 

 仮想モニターに映る先輩の顔。すっごく怒ったような顔をしている。

 

 とても怖い顔を見せられているのに、不思議と嬉しい気持ちが溢れてくるのはなんでなんだろう。

 

 きっと、それは。ここまでされても私を思ってくれている先輩の気持ちが嬉しいから、なんだろうか。

 

 

「迷惑かけてごめんなさい。……さようなら、シュウ先輩」

 

 

 私が言葉を言い終えると同時にモニターが消滅する。

 

 願わくば、最後に先輩と……大好きな人と少しだけお話ししたかったな。

 

 

 

 

 

 

 

「……ゲホっ……ぅあ……?」

 

 

 口から入り込んだ砂埃。そして、むせた事で体に響いた痛みで意識が覚醒する。

 

 身体は重く、指先ひとつ動かすだけでもしんどい。

 

 俺は、ここで何を。と、思い出そうとした瞬間に蘇るのは……笑っているように見えて、無理をしているのが丸わかりな泣き顔で“さようなら”といったひとりの少女の姿。

 

 

「……っ! くそ、いってぇ……」

 

 

 無理くり体を起き上がらせるのと同時に、痛みが電気のように全身に広がる。

 

 ゴム弾とはいえ、この身体はただの人間。キヴォトスの住民を基準に作られたものでは、死んでいてもおかしく……?

 

 

「……傷が浅い……?」

 

「おや。目が覚めましたか」

 

「……黒服」

 

 

 ……ああ、全く。良くもあんなことをしておいて、当たり前のように声がかけられるな。

 

 視線を横に向ければ、壊れた建物の残骸の上に座って俺を見下ろす黒服の姿が確認できる。

 

 殺意。今まで覚えたことのない暗い感情が確かに芽生えている。

 

 

「クククッ……怖い顔ですね」

 

「それ以外に、どんな顔をすればいいか教えてくれよ?」

 

「一理ありますが、すでにゲームオーバーです。争うだけ無駄ですよ」

 

 

 両手を広げて自分の勝ちを確信し、俺に負けだと言う黒服の態度と口調により怒りが増す一方で、ずっと自分の中であった疑惑が確信に至る。

 

 

「……やっぱり」

 

「ククク……なんでしょうか?」

 

「“俺が知っている”方の黒服だな、お前」

 

「ク、ククク……クハハハ!」

 

 

 手で顔を覆い、見たことがないほどの大笑いをする黒服。顔を隠す腕には……その右腕には見覚えのある黒い時計。

 

 もうひとりの黒服が見せた先を見据えすぎた行動、時折こぼした誰から聞いたという俺の情報。

 

 何より、俺をこの過去世界に送った装置の作り主は他でもない黒服だ。そんなもの、ひとつだけ作って俺に寄越しているわけがない。

 

 ようやく、あの夜の会話の意味が理解できた。やり直したいこと、過去へと戻り試したかったこと。

 

 

「ホシノを諦めてなかったのか」

 

「ええ。本来の時間では、先生という特異点によって完全に手は出せませんから」

 

「だから、先生がいない……過去に目をつけた」

 

「その通りです。ゆえに貴方には感謝しかありません。全て手に入るとは思いませんでしたからね」

 

「最初から狙い通りってわけか」

 

「クク……」

 

 

 ゲームオーバーという表現は皮肉にも程がある。

 

 俺は未来人だがなんの情報もなく、ただ闇雲に動いていた。でも黒服は、この過去世界に元から存在していて“これから起こること”の知識もあったのだろう。

 

 

「ククク……ご理解、されたようですね?」

 

「ああ」

 

「それは結構。……さて、あと30分程度ですか」

 

 

 黒服は自分の腕についた黒時計を確認し、そんなことを呟く。……“00.00.32.06”……ということは、あの数字の意味は。

 

 

「この時間軸に存在できるタイムリミット、か」

 

「ええ。これが0になれば全てが消えます」

 

「……どういう意味だ?」

 

「クク……すでに終わった勝負です。全てお答えしますよ?」

 

 

 余裕そうにポケットに手を突っ込んでこちらを見下ろす黒服。こいつの中では、もう全てが終わっているのだろう。

 

 ……正直に言えば、俺もこの瞬間は半分くらい心が折れかけていた。でも、まだ自分の中にはいくつかの違和感と、諦められない気持ちが残っていた。

 

 だから、もう少し足掻けるなら……何か手段があるなら抗ってみる。

 

 

「まずは全てが消える、といった意味からですね」

 

 

 そう言ってこちらに時計の小型液晶画面を見せてくる黒服。時計の数字は一定のリズムで今も減り続けている。

 

 

「この装置はクローン・デバイス。名称のデバイスはそのままの意味ですが」

 

 

 言葉を続けながら、黒時計……クローン・デバイスと呼ばれた装置を捻るとガチャリ、と開いた。その中には……。

 

 

「クローン、仮で小型とはいえ貴方の中身……神秘を再現したものですからね」

 

「……俺の血、か」

 

 

 小型の赤い液体が微量に入ったカートリッジ、そしてそれを吸い上げて脈動する淡い翠色の光。あれが自分を模写して作られた装置の中身、なのか。

 

 

「貴方の神秘は繋がり……縁を紡ぐもの。それは時間や空間を超えて様々な場所に干渉できる可能性の塊」

 

「しかし元があまりにも弱く、貴方単体では相性が良い人々を近くに呼び寄せるくらいにしか発揮されないものでした」

 

「そこで、アプローチを変えたのです。貴方の神秘の濃い部分、体液である血液。これを圧縮し強力な神秘とぶつけ合うことで、一種の暴走を故意的に発生させる……それがこの時計の正体です」

 

 

 意気揚々と、ペラペラと話す黒服。よほど自分の作ったものに自信があるのか、はたまた誰かに言いたくてしょうがなかったのか、妙に饒舌だ。

 

 こいつの話を聞く限り、この手についているものは俺の神秘を増幅させるマシンなのか。

 

 ……でも、それがどうなって過去に飛ぶことに繋がる?

 

 

「クク……“それでどうやって過去に飛ぶことになるのか”、そんなところでしょうか?」

 

「……ちっ」

 

「答えは単純なものです。“この時間には貴方にとって特大の縁があった”ということです」

 

「どういう意味だよ」

 

「クク……小鳥遊ホシノと貴方は過去で会っていた、ということです」

 

「……なんだよ、それ」

 

 

 そんなのは破綻している。だって、俺がこうして過去に戻っているのは黒服がきっかけ。そして、過去に戻る装置ができたのは俺がこいつに攫われたからだ。

 

 これが起きるのは3年後の話。それが起きる前の3年前から全部が決まっていたみたいな口ぶりじゃないか。

 

 未確定の未来が過去に繋がっていた、なんて。おかしな話だ。

 

 

「ええ、私もそう思います。しかし、現に過去への跳躍は起きています。貴方の神秘を軸にして」

 

「それは……そうだけど」

 

「鶏が先か、卵が先か。過去か、未来か。どちらがキッカケとなったかはわかりませんが、目の前で実際に起きている現象ですからね」

 

「……」

 

「しかし、それも直に全てが消えて結果だけが残ります」

 

 

 全てが消える、先ほども黒服は似たことを言っていたが、どこか聞き覚えのあることだ。

 

 引っ掛かりを覚えながらも質問を続ける。

 

 

「消えるって、何がだ」

 

「クク……私に関する、いえ正確には“未来から過去へと訪れた私と貴方”の痕跡、全てが消えるのです」

 

「どういう……意味だ?」

 

「私、貴方が関わった過去の人々の記憶から映像、あらゆるものが元に戻るということです」

 

 

 当然のように言われた内容に言葉が出なかった。それはつまり。

 

 

「なかった、ことになるのか。俺がこの時代でしたことは」

 

「クク……全てが元通りとは言いませんが、概ねは」

 

 

 無駄だった……? 自分が駆け抜けたこの1ヶ月は全て意味のない行動だったのか。

 

 ……ああ、まずい。心が折れそうになる。

 

 そんな俺の様子に気づいたのであろう黒服は、声のトーンを1段階あげて言葉を続ける。

 

 

「決まった過去には未来人は干渉できません。しかし、結果を歪めることはできました。クク……それがあったからこそ、シュウさんはこの時代に飛んだのでは?」

 

 

 言われてハッとする。そうだ、過去が変わったから未来の世界が改変されて、小鳥遊先輩は消えた。

 

 なら俺がしたことにも意味が……。

 

 

「ただ、やり方がよくありませんでしたね?」

 

「やり方……?」

 

 

 笑みを深くした黒服に背筋が凍える。なんだ、俺は何を間違えた?

 

 

「過去を変える際、結果に未来人が干渉するのは意味をなしません。何せ、元からいなかったことになるのですから」

 

「……それ、は」

 

「つまり、変えたい過去があるならば“過程にアプローチし、結果となる部分は過去の人物に任せる”しかないのです」

 

「……だから」

 

「クク……」

 

「だから、過去の自分に助言だけしてお前は動かなかったのか……!」

 

「ええ、ええ! 何せ“過去を改変できるのか”、そして“小鳥遊ホシノを手に入れた場合、未来はどうなるのか”という検証に必須だったもので」

 

 

 言われてみれば、こいつは未来からきた俺に干渉してきても、過去の人間であるホシノには間接的、もしくは過去の自分自身を使って動いていた。

 

 過去を変えることができても、変えた結果に未来の自分が関わってはいけない、なんて。知らなければどうしようもないものだ。

 

 

「つまり、ここから……残り1日程度ある貴方がいかに動いても、“シュウさんが小鳥遊ホシノを助ける”という結果になる限り、それは意味をなさないのですよ。クク……ご理解されましたか?」

 

 

 01.00.11.23。それが自分に残された時間。……あまりにも短い。これでは過去の世界で仲間を集うこともできない。

 

 タイムパラドックスを恐れ、なるべく干渉しないようにしていた弊害が最後の最後で出るなんて、想像もしていなかった。

 

 

「あと数分で全てが終わります。未来の私という存在情報は完全に消え、過去の私が小鳥遊ホシノを手に入れたという結果が残るのです。つまり、未来へと戻った私が全てを手にいれる……クク……ククク……」

 

「……」

 

 

 何か、まだ何かないのか。今知ったばかりの情報を頭で整理していく。

 

 ホシノと初めてあったあの日。あの夜の襲撃によって変えられた過去でホシノは捕まってしまう。

 

 あの事件そのものに俺は直接、干渉してしまった。初めから、間違えていた。

 

 ないのか、本当に何も? 胸の内に引っ掛かり続けているもの、頭に残った違和感。

 

 ひたすら思考を深めて解決方法を模索していく。その中で、高笑いをやめた黒服が俺へと疑問を投げかけてきた。

 

 

「そうでした。いくつか疑問が残っていましたね」

 

「……何がだ」

 

「貴方は“どうやってこの時間軸の数列を入手”したのですか?」

 

「え、どうやっても何も……?」

 

 

 胸に引っ掛かっていた物が一瞬だけ、ほんの少し外れた気がした。

 

 

「クローン・デバイスは私から貴方へと渡しましたが、過去への跳躍を可能とする数字を正確に入れなければ、飛ぶことはできません」

 

「……そう、なのか」

 

「ええ。そして、ふたつ目に……なぜ“改変されたはずの未来で貴方は小鳥遊ホシノを覚えていた”のですか?」

 

「は、ぁ……?」

 

「でなければ、過去へと戻ってこの時代の彼女を助けようとはしないはずです」

 

 

 自分が、小鳥遊先輩を忘れなかった理由。

 

 どうして過去へ戻る数列コードを手に入れることができたのか。

 

 なぜ、この3年前に自分とホシノの縁があったのか。

 

 バラバラで関連性がないと思っていたピースが少しずつひとつになっていく。でも、まだ情報が足りない。

 

 

「俺たちの情報は全部、この時代の人たちの中から消えるって言ったよな?」

 

「……? ええ」

 

「それは過去のお前も含まれるのか」

 

「例外はありません。過去の私は未来の私を忘れ、手に入れたもの全てを自分の成果と認識するでしょう」

 

 

 先ほども言ったはずです、と自分の質問に答えず、俺が質問をしたのが気に食わないのか、少し声に怒りの色が含まれている気がする。でも、そんなことよりも考えなればいけないことがある。

 

 

「もし、もしも過去の世界で俺のことを覚えている人がいるとしたら?」

 

「クク……あり得ませんね。これは貴方の神秘を使った言わば奇跡。しかしそれは夢のような物です」

 

「絶対に、あり得ないのか?」

 

「……同じレベルの神秘、あるいはこの過去世界に貴方という存在を縛りつけるほどの物があれば……いや、しかしそれは」

 

 

 何かに気づいたのか、ぶつぶつと独り言を始めた黒服を横目に、俺の口元が少し綻ぶ

 

 ……ああ、やっぱり。それならばまだ。

 

 残り数分ほどで目の前の黒服は消え、未来に戻るのだろう。

 

 

「なぁ」

 

「……なんです」

 

「俺とお前って、いつ“あの契約”を結んだ?」

 

「…………なぜ、そのようなことを」

 

 

 訝しむ顔、何かを隠すような仕草。……なるほど。

 

 

「く、ははは……答えなくていいさ」

 

「……」

 

「おかしいと思ったよ。すでに勝負はついているって言ったくせに、ずっと……今も俺のことを直接監視してるお前が」

 

「……私なりのポリシーですが」

 

「いや、お前なら本当に勝負がついてるなら“とっくに消えて姿を現さない”」

 

「……なぜ、とお聞きしても?」

 

 

 真顔になった黒服を見て確信を得た。そして、少し腹立たしい気持ちがスッキリする。

 

 冷静になってきたからか、物事が細かく達観して見え始めた。

 

 

「わざわざ、同じく過去を変える可能性がある俺に情報を与える理由がないからな」

 

「ですが、先ほどの私の言葉に嘘はありません」

 

「ああ、だろうな。でも、目的は勝負に決着がついたと俺に思い込ませることだ」

 

「……たった1日しかない貴方に何ができると?」

 

「その1日。それがお前にとっての……この過去世界から、改変されるかもしれない未来に通じるターニングポイントなんじゃないか?」

 

 

 ぴくり、と眉が動く。図星ってところか。息を吐き、自身の時計を確認する黒服。

 

 

「その質問に答える前に、貴方にお聞きしたい」

 

「なんだ?」

 

「なぜ、そう思ったのです? すでに状況は絶望的。いかに私が怪しいとしても、今の貴方は悪あがきをしているようにしか見えない」

 

「……そうだな、そう見えるだろなぁ」

 

「……」

 

 

 なんで諦めないのか。なぜ明日に、たった1日しかないのに希望を持てるのか。

 

 それはとても単純な話。

 

 

「改変される前の世界でさ」

 

「……?」

 

「“小鳥遊先輩は俺のことを、出会う前から知っていた”んだよ」

 

「は……?」

 

 

 ポカン、とした黒服の顔。これが見れただけでも儲け物かもしれないな。

 

 完全に困惑し、俺の言った言葉の意味が本当に理解できていないという表情。それが数秒続いた後に黒服は。

 

 

「ク、クク……ククク……クハハハハッ!!」

 

「随分とでかい笑い声だな」

 

「なるほど、なるほど。忘れていたのは、“歴史によって修正されていたのは私も”ですか!」

 

「……」

 

「ククク……感謝しますよ、シュウさん。また新たな発見ができました」

 

「よかったな?」

 

 

 皮肉たっぷりに返してやったのに、黒服はご満悦で腹がたつ。

 

 気に食わないが結局、欲しかったもののひとつは手に入れたような物だからな。

 

 

「クク……お礼にいくつかお話ししましょう」

 

「へぇ? 気でも変わったのか」

 

「いえ、貴方に最大の敬意を込めた物です」

 

「……」

 

「私と貴方が契約を結んだのは“明日”ですよ……クク」

 

「……ああ」

 

 

 予想していた通りの答え。納得とともに複雑な気持ちになる。

 

 多分、すでに答えを得た黒服は俺のその様子を愉快そうに見ながら話を続ける。

 

 

「そして、その契約が貴方を」

 

「わかってる」

 

「ほう」

 

「あの日、お前が言っていた勘違いって“これのこと”だったんだな」

 

 

 自分がした選択。それが過去であり、未来であり……今だった。それだけの話だ

 

 残り1分。もう聴くこともないと限界の体をコンクリートに沈める。

 

 ふと周りを見ればここは、初めてアビドス高等学校に行った際、シロコさんと出会った場所だと気づいた。

 

 直に消える……未来へと戻る黒服。最後まで愉快そうに笑いながら俺へと言葉を投げかけ続けていた。

 

 

「ククク……貴方はとても価値がある。しかし、コストを考えれば良くて1年でしょうか?」

 

「は?」

 

「これは私からの初めての善意です。……貴方は自分の価値を見誤るべきではない」

 

「……」

 

 

 真剣な顔つき。そして、こいつから善意なんてものが向けられるとは思わず呆気に取られる。

 

 

「すでに貴方は人の枠を外れ始めている。私が作ったそれは本来、そのような機能はついていませんでしたが、オリジナルである貴方が使用したことで変化してしまった」

 

「だから、体が強く……?」

 

「おそらくですがね。クク……未来にお戻りの際はぜひ検査をさせてください」

 

「帰れるかもわからないがな?」

 

「クク……例外はありません。どんな拘束があろうとも、今の貴方は必ず元の時間軸に戻ります」

 

「……そっか」

 

「よく考えることです。自分か、小鳥遊ホシノかを。……ククク」

 

 

 瞬きをひとつ。時間にすればコンマ。

 

 まるで元から何もいなかったかのように、黒服の姿は消えていた。

 

 腕についた時計を確認する。00.23.59.52……つまり、23時間と58分。これがタイムリミット。

 

 時間がない、そう思っていた。けど、よほど疲れていたのか、コンクリートの上だというのに俺は意識を一度手放してしまった。

 

 次に目を覚ましたとき……いや、起こされた時には陽が上り始めたばかりの朝方。時刻は7時まえとかかな。

 

 そして、俺を起こしてくれたのは。

 

 

「私、びっくりしちゃったよぉ〜」

 

「は、はぁ」

 

「いつも通り学校に行ってたら知らない男の子が倒れてるんだもん!」

 

「す、すみません?」

 

 

 ブンブンと手振り身振りで自分の驚き具合を表現する感情豊かな女の子。

 

 身長は高めで、膝ほどまで伸びた緑がかった薄い水色ロングヘアー。元気な姿や口調、髪型はどこか小鳥遊先輩を思い出させる、この時代にアビドス高等学校へと通っているであろう生徒。

 

 なんでわかったかと言えば、簡単な話で彼女の着ている制服。見覚えがありすぎた。

 

 ちょっぴり懐かしい気持ちになりながら、彼女を見ていると天真爛漫な笑顔が心配そうなものに変わる。

 

 

「それで大丈夫なの?」

 

「えっと、何がです?」

 

「体、服もボロボロだよ……肩、掴まる? 近くの病院……はないから私の学校で手当するよ!」

 

 

 善意100%。人が良すぎる。きっと悪い人に捕まったら碌でもない目にあうタイプの人だろう。

 

 でも、俺は決して嫌いじゃない。むしろすごく好感が持てる。……この人がアビドスの生徒なら来年にホシノが入学すれば先輩になるのか。

 

 

「……はは。いえ、大丈夫です」

 

「え。で、でも〜……」

 

「急いで迎えに行かないといけない子がいるんです」

 

「……」

 

「だから、俺はこれで……ってなんです?」

 

 

 優しげに笑って俺を見ていた名も知らぬ女の子につい、別れの挨拶を言う前に聞いてしまった。

 

 何か変なことを言ったのだろうか。

 

 

「うぅん。なんでもないよ。迎えに行く子、とっても大切なんだよね?」

 

「え? ま、まぁ……その、なんで?」

 

「ふふ。すっごく優しい顔してたもん、キミ」

 

「……そっすか」

 

「じゃ、またね! もしアビドスに来ることがあったらよろしくね〜!!」

 

 

 ぶんぶんと手を振ってあっという間にいなくなってしまった。

 

 すごく元気な人だったな……話しているこっちが元気付けられるくらい。

 

 

「あ、しまった。名前、聞けなかったな……」

 

 

 でも、まぁいいか。

 

 

「……行こう」

 

 

 まずはホシノの家に戻って必要なものを揃える。

 

 そして、黒服のところへ行こう。

 

 

 

 

 

 

 ——00.17.20.49

 

 

 

 

 






ちょっとした伏線、そしてファンサを兼ね備えた“とある先輩”がゲスト出演。

名前は……まぁ察してください。私からは皆まで言いません。今後の登場に関しては、2部にご期待いただければと。
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