ホシノ「私で童貞捨てたくせに……」「童貞ですけど!?」 作:群缶
実質最終話です。
今の自分になって初めて自己を認識できたのは、貴方が私を拾い上げてくれたとき。
“石……いやガラス? まさか宝石……なわけないか”
途方なく広がる砂の海。その中で手のひらにも満たない、砕け散った私の一部を見つけてくれた貴方。
例え話で起きること自体があり得ないことを“砂漠の中で1本の針を探すようなもの”、なんて表現する人もいるけれど。
私にとってシュウくんがしてくれたことは、見つけてくれたこと自体が奇跡だった。
まぁ、このときはまだハッキリとした意識はなくて、生まれたばかりの赤ん坊みたいにキミの見る光景を眺めているだけだったけどね。
それから少し時間が経って、私の意識がしっかりとできあがったの。
で、びっくりしたのはキミとホシノちゃんが仲良さそうにお話してた瞬間。
“これ、なぁに?”
“…………あ、あはは”
あのホシノちゃんがあんなふうになるなんて、本当に驚いたなぁ。
……え、“その件に関してはあんまり触れてほしくない?” ご、ごめんね?
とにかく、きっかけはそこから。
元の私から砕けて、“ほんの一部”になっちゃった“今の私”。
残っていたのは……この私が覚えているのは、あの学校でたくさんの迷惑をかけちゃった大切な後輩との思い出だけだったんだ。
だからね、うん。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ欲しくなっちゃったの。
また、ホシノちゃんとお話したいなーとか。学校に行きたいなーとか。
……キミとも会ってみたいな、って。
もう死んじゃった私だけど、本音を言うとすっごく未練がいっぱいあったんだ。
それが日に日に強くなって、でも私はあっちの光景を見ているしかなくて。
でも、それを他でもないシュウくんが叶えてくれたんだよ?
“なーにしてんですか、ユメ先輩……”
“うわ〜ん! シュウくんがぶった〜!!”
……うん、キミは自覚してないみたいだけど、寝ているときに私といっぱいおしゃべりして、夢の中だけどアビドスで一緒に生活して。
もう十分だったのに、それだけで満足だったのに私と同じような存在のホシノちゃんまで来てくれた。
ホシノちゃん本人ではないけど、99%はいっしょの存在。ずっとキミと一緒にいた、特別な子。
そんなシュウくんが作ってくれた幸福な夢の世界で、散り散りになった虚構の私はとっても幸せで楽しかった。
でも、夢には終わりがあるもの。シュウくんが目覚めるとここは止まっちゃう。けど、夢の世界に来てくれればまた会えた。
けど、少しずつ私と言う夢の存在が、現実の貴方を侵食し始めちゃったんだ。
原因は明白で、“私がシュウくんともっと一緒にいたい”って欲張っちゃったから。
ふふ、うん。意識していない、無意識な中でキミも“別にいいかな”なんて思ってたから、つい調子に乗っちゃった。
ちょっと恥ずかしいけど、好きになっちゃった男の子相手だから、ついつい“私の全部”をあげちゃったりもしてね。
私よりもずーっと上手く戦うから“え、私ってこんなに凄かったの?”ってびっくりもしたよ〜。
……うん、そんなところだよ。ここは私という
キミが持つ特別だけど、小さな
とっても楽しくて、ふわふわゆられるくらいに心地よくて。もう離したくない、ずっとこのままがいいって思っちゃうくらい素敵なユメセカイ。
————でも、これで終わり。これが最後なの。
▼
「最後って、どういう意味ですか?」
闇夜に包まれたアビドス高等学校の校門前。
ユメ先輩によって聞かされた今の自分が存在しているこの世界の真実。
正直に言ってしまえば、全然理解できていない。けれど、話している最中で吹っ切れたように、まるで“お別れだ”とでも言いそうな彼女の雰囲気から嫌な予感はしていた。
「そのままの意味です」
「……えっと、ホシノ……さん?」
「なんですか、急に他人行儀になって」
ユメ先輩が話している間、俺の横でずっと黙ったままだったホシノ? が口を開く。
先輩も言っていたけど、“99%”は本人って……そもそもこの子は一体?
きっと俺の顔は困惑と疑問で溢れていたのだろう。そんな姿を見たホシノはため息をひとつこぼす。
「まだ気づいてないんですか? 本当に鈍いというか、あっちの私が不憫というか……」
「なんだ急にボロクソ言って。泣くぞ?」
「もう! ホシノちゃんイジワルはめっ!」
そして黒幕っぽい感じだったユメ先輩が何故か味方に。そんな俺たちを見てジトッとした目になるホシノ。
なんだ、これ?
妙な空気になった現状。その中でガシガシと頭をかいたホシノは、またため息を吐きつつ。
「クローン・デバイスの中身みたいなものですよ、私」
「…………なんて?」
「別に何かの比喩とかじゃなく、そのままの意味です」
「……? …………? ……………!?」
「綺麗な三度見をどうも」
いわく、今目の前に立っているホシノは“ホシノの神秘”から派生した意識体。
俺という神秘を核に作動しているクローン・デバイスに起きたバグ的な存在だとか。
本人も自分がなんなのかはわかっていないらしいが、デバイスを装着したあの夜からずっと俺と共にいたらしい。
……え、あれか? 前に黒服が言っていた意思がうんちゃらって。
「たぶん私のことじゃないですか?」
「じゃあデバイスを外せないのお前のせい?」
「……まぁ、そう……ですね」
「なんで!?」
ずっとつけっぱなしになっているあれを外せない原因、お前かよ!
苦節、数ヶ月。ようやく判明した真実につい声が大きくなる。
そんな俺の問いにちょっと不機嫌かつ、顔を赤らめたホシノが答えた内容は。
「…………私も“小鳥遊ホシノ”ですよ?」
「え、意味わからん」
どういうこっちゃ。つい素の反応が出てしまう。
俺の言葉にさっきまでの顔がさらに不機嫌になったホシノ(仮)。
「……ばか」
「うーん。それはちょっとないよ、シュウくん」
そして、今度は何故かユメ先輩があっち側に。いや、本当になんで?
「というか、私のことはどうでもいいんです。それよりも、もう時間がないですよ、先輩」
「……そう、だね」
ほんの少しだけ戻りかけた楽しげな雰囲気が霧散する。ホシノが向けた目線の先は遥か彼方の地平線。
つられるようにそこを見れば、ほんの少しだけ明るくなり始めた……つまり太陽が出始めている。
けど、おかしい。ついさっきまで20時ごろだったはず。夜が明けるのはまだまだ先のはずだ。
それに、“もう時間がない”って一体どういう意味なんだ。
「夢はね、朝と共に明けるものだよ」
また困惑していた俺へ静かに語りかけてくるユメ先輩。その顔はどこか寂しげで。
「この世界からシュウくんがいなくなる……ううん、帰る条件はとっても簡単なんだ」
「帰るって……」
「夢から覚めるという言い方が正しいですけど。私とユメ先輩にとっては、こちらが現実のようなものですから」
しんみりした顔になったホシノに言われてハッとする。
そうだ、そもそもの疑問である“これで最後”の意味がわかっていない。だって。
「また、俺が寝たら会えるんじゃないんですか……?」
「……ううん、本当にこれで最後だよ」
背を向けて地平を見ていた先輩が振り返る。
「この世界はね、夢だけど……今はほんのちょっぴりだけ違うんだ」
「それはどういう……」
「シュウ、以前に改変した世界を経験しましたよね」
「え。……あ」
ホシノに言われて思い出すのは、過去の影響で変化した“夢のような世界”。
アビドスが廃校となり、自分がミレニアムへと転入していた、1日というにはあまりにも長く感じたあの時間。
「今、この世界はそれに近いものなんです。“もしかしたら”を再現した、いわばシミュレーション的なものなんですよ」
この世界の始まりはとても簡単で単純なもの。
何せユメ先輩が願った“アビドスでもう1度ホシノと過ごしたい”という過去の一幕を、再現したものに過ぎなかった。
でも、俺という
「もしもシュウが今ではなく、過去のアビドス高等学校にいたら」
「もしも私とユメ先輩だけでなく、シュウがあの場所にいたら」
「そんなおとぎ話のような、あり得ない可能性を再現し始めたのが今です」
指をひとつずつ立てながら説明してくれるホシノの言葉を黙って聞く。
「シュウが知っている言葉で近いものを言うならば、並行世界とかですかね」
「並行世界……」
「うん。いっぱいある多次元の中で、私が生きているときにシュウくんがアビドスに来てくれたら。その可能性をシミュレートしたもの」
アビドスの男子生徒なんて私は見たことなかったけどね、なんて言いつつ見つめられる。
「けど、今までもこの夢はずっと見てたのに、なんで今回で最後なんて」
「簡単な話です。これがただの夢ではなくなってしまったからです」
「ぇ」
「すでにここは“貴方の中で作り出された擬似世界”に変化しているんです」
最初の夢と今の夢の違い、それは明確。
そもそもこの世界が生まれたときからその予兆はあった。
「何せシュウのデタラメな神秘が元になってますから。“死者の意識を体内で甦らせる”なんて」
そう言ってホシノはユメ先輩を見つめる。……彼女の視線の中には多くの感情が混ざり合っているように感じた。
「私個人としてはとても感謝していますが」
「もちろん私もね」
「え。は、はぁ……」
「ですが、致命的に相性が良過ぎたんですよ」
「相性って俺とユメ先輩の?」
「ええ。それに加えてアビドスという地、そこでユメ先輩が蘇ったという事象がですね」
「……それって、オシリスの」
「うーん、私はその辺りはよくわからないんだけどね」
頬をかいて苦笑いするユメ先輩に対して、俺はあのセトの憤怒との戦いを思い出す。
あの時に先生や黒服から聞いた外の世界での神話。
それを擬似的に俺は再現してしまった。
「ユメ先輩がシュウに馴染むに連れて、ここも変化していきました」
「シュウくんも身に覚えがあるんじゃないかな。私のこと、本当は知らないはずなのに知っていたり」
言われて思い出すのは最近の出来事。名前すら初めて知ったはずなのに、まるで親しいような言い方でみんなに先輩のことを話したという自分。
「ブレる、と表現すればいいんでしょうか。この世界での貴方と現実でのシュウが乖離し始めていました」
「……乖離して寄っちゃったのが、夢の世界のほうっていうのがとっても良くないことだったんだ」
現実の自分、存在が夢の中の自分へと置き換わり始めていた……ということなのかな。
でも、どうして。
そんな疑問が出た瞬間、まるでわかっていたかのようにホシノが口を開く。
「その原因はシュウのテクスチャが、完全にユメ先輩のものになりかけていたからです」
「外見とか性格はシュウくんのままだけど、中身や本質が私と同期しちゃってたんだ」
「だから、俺とユメ先輩が元になっているこの世界が変化した?」
「はい。何せ主人がそうなれば、こっちの世界にいるべきと捉えられます」
続けてホシノはこの世界のさらに深いものを語りだす。
この世界を作ったのは、材料となっているのは俺とユメ先輩。
そして管理しているのは俺の神秘を制御していたクローン・デバイスである彼女。
紡いだ縁を軸に俺の中に広がっていくユメ先輩の神秘。それはとっくに俺というキャパを超えているもの。
以前からオーバーフローする限界ギリギリどころか、とっくにアウトだったようで、それを今まで外に放出する形で抑えてくれていたそうだ。
「じゃあ、俺が急に強くなったのは」
「この世界を抑えるための副作用みたいなものです。シュウは随分と有意義に使っていたようですが」
「……まぁ、うん」
「ですが、それはただの人である貴方の身に余るものです」
弾丸を避けるなんて普通はできない。
でも、何故かできていたし、キヴォトスのみんなと同じように動けてしまっていた。
「決壊する直前だったシュウの体。その状態で、“私”を守るためとは言え、これまで以上に力を引き出そうとしたんです。……率直に言いますと」
現実の貴方は今、死んでいるのと同じです。
「そっか」
「……随分と他人事ですね」
「……大丈夫?」
「ええ、はい」
思い出した現実での最後の記憶。
あの攻撃を受けて生きている、とは楽観的にも思えない。
まだ今の現状が受け入れられていない、飲み込めていないというのもあるけど。
つまり、結論を言うと。
「俺、もう死ぬ?」
「んなわけないでしょ、死なせません」
「そうだよ!」
「……あれ?」
すごい剣幕で怒られて気の抜けた声が出てしまった。
てっきり気づいてはいけない世界の真実に気づいて、死んじゃうー的なものだと思ったのだが。
「なら、その」
「うん?」
「なんです」
「俺、まだ生きてられるの?」
「「当たり前だよ(です)!」」
その言葉に酷く安堵する。
よかった、とか安心したと言った気持ちが出てくる中で、まだ根幹の疑問が解決していないことに気づく。
「なら、なんでユメ先輩とはもう会えないなんて」
「それも簡単な話です。“同化したユメ先輩をシュウの中から出すから”です」
「……」
表情を平坦にしたホシノの言葉と黙ったままのユメ先輩。
俺は今言われた言葉の意味がまだ理解できていない。
「シュウの体に生まれた偽の世界。それが悪さをしてるんですから、取り除けば解決です」
「そう、なのか」
「うん、これで元通り。前のシュウくんに戻るはずだよ」
多分、俺にとってはそれがとても良いことで、平穏な日常に戻れる解決方法。
でも気になる。聞かなければいいことなんだろうけど、気になってしまった。
「俺の中から出たユメ先輩はどうなるんですか」
「………」
「先輩?」
言いずらそうに目線を切られて、彼女を呼び直す。
それを遮ってホシノが口をひらく。
「そのままでは消えますよ、存在ごと」
「え」
「何せこの世界に生まれたものですから。世界が消えるのに、そこの住民が生き残る方がおかしな話です」
「ま、待ってくれ」
「先に言っておきますが」
言葉を続ける前に鋭いホシノの言葉が俺を黙らせる。
「これ以外に方法はありません。すでに完全同調した貴方の体は、そのあまりある神秘に耐えられません」
「……」
「この夢が覚める時、シュウを現実に返す……お別れすると言うのがユメ先輩との約束でした」
夢から覚める。
条件は簡単で、この世界が現実じゃないと俺が認識した瞬間。
「言ってしまえば、ここは時間の境界が不明瞭です。最後でしたから、ユメ先輩との時間を惜しむくらいは許してください」
「びっくりするくらい長く過ごせたよね。私も未練さっぱりだよ」
俺の知らないところで多くのことを共有していたであろう2人。彼女たちの会話からは、信頼や友愛……そんなものを感じた。
きっとスッパリと諦めてこのまま現実に帰るのが、一番良いのだろう。
けど、まだ俺は納得できなくて。
「でも、さ。俺は」
「もう十分なんだよ、シュウくん」
言葉を続ける前に、それを遮るようにユメ先輩の腕が俺を包む。
肩を抱かれて表情は見えないけれど、彼女の声音はとても柔らかで穏やかだった。
「もうたくさん思い出をもらったから」
「ユメ、先輩……」
ゆっくりと頭を撫でられる感触。慰めるように背を優しくぽんぽんと叩かれる。
そして小さな、とても小さな声。近くにいるホシノにすら聞こえないような、耳元でこっそりと告げられる言葉。
「……本音を言うとね」
「ぇ」
「もっと一緒にいたいなって気持ちはあるんだ。……だから、ちょっとだけルール違反しようとしちゃって」
ユメ先輩の言葉に、さっきまでの会話や、悲しげな表情をした彼女を思い出す。
「ホシノちゃんには秘密だけどね。私って本当はとっても寂しがり屋だから、このままだとずっとシュウくんたちと一緒にいたくなっちゃうの」
「俺は」
「“それでもいい”、なんて言っちゃダメだよ? ここじゃない、
……言われた通りだ。俺にはまだ、待たせてる人ややらなくちゃいけないことが残っている。
「原因の私が言うとちょっと変かもだけどね。……うん、それと」
ゆっくりと彼女が離れていく。自分とは違う熱が消えていく。
同時に地平の彼方から陽の光が溢れ出す。
……自分の意識が薄れていく。
「とっても素敵な
暁の中でそういったユメ先輩の表情は、とても綺麗で……心に鋭い
やるせない気持ち。すごいだなんだと言われた俺の力も、こんなにも自分を想ってくれる女の子ひとり助けられない。
別に戦う力が消えるのは良い。だって元々ないもので、自分にはあまりあるものだから。
でも、この人は……ユメ先輩まで消えると言うのは違うんじゃないのか。
例え1度死んだ人だとしても、世の理に反することだとしても。
また会いたい。この世界ではなく、現実で。
縦え“自分の持つ力を全て使って”でも。
「……」
幼い子どもが描く夢のような、意味もなく理想論を並べる大人のような戯言。
多くの言葉を、後悔の念を言いたくなった。
でも、きっとユメ先輩が求めているお別れの言葉はそんなものじゃない。
だから、素直に“この世界での俺の想い”を伝えた。
「——————、————。——————」
「えへへ、うん。ありがとう、私もだよ」
▼
「……さて」
「うん」
シュウくんが元の場所へ……夢から覚める。
その前に私と、私が原因で肥大化したこの世界を取り除く必要がある。
できるのは彼の神秘を補助するホシノちゃんだけ。
最後のお別れの間、何も言わずに黙って見ていてくれたことに感謝しつつ、ホシノちゃんともお別れの言葉を交わす。
「ホシノちゃん、色々ありがとう。私のわがままに付き合ってくれて」
「別に構いません。私も先輩やシュウと一緒にいたかったのは事実ですし」
真顔でそう言い切られて少し照れる。
何があったのかはわからないけど、私の知っているホシノちゃんより、とっても素直な言葉と態度なこの子。
あと気のせいでなければ、すっごくシュウくんのこと……。
「余計なことは考えなくて良いです」
「え、口から出てた……?」
「いえ、シュウならともかく、先輩のは聞こえません」
「ならなんで……」
「わかりやす過ぎます。先輩、生前から素直ですし。……そのせいでよく騙されて、迷惑かけられてましたから」
「ひぃん……」
急に辛辣なことを言われてちょっとショック。
ちょっと凹みつつ、ホシノちゃんへいじけた言葉を返す。
「もう、最後くらい優しくしてくれても良いんじゃないかなぁ……」
「最後? ……ああ、確かに私とは最後ですか」
「はぇ?」
「はい?」
言葉の意味がわからずに、つい間の抜けた声を出すとホシノちゃんも疑問を浮かべた顔をしていた。
でも、すぐに納得のいった顔で頷いて意味深なことを独り言のように言い出す。
「一種の賭けでしたが、しっかりシュウ本人が願いましたし」
「ホシノちゃん?」
「そもそもこんなにリソースがあって、出来ないことがあるわけないんです」
「待って、何を言ってるの……?」
「ですから、ここからユメ先輩を出すって話です」
「へ? ああ、うん……」
あれ、別に変なことは言ってないかな……私の勘違い?
にしては妙なニュアンスだったような、と考えかけた私にホシノちゃんは。
「では、
「…………ふぇ?」
「ああ、シュウに伝言も。“くっそ恥ずかしい告白をご馳走様でした。そっちの私にしっかりシバかれてください”と」
「待って、待って待って!?」
「はい、さようなら」
「きゃっ……!」
……。
…………。
………………。
「全くもう。他でもない私が、ユメ先輩を消すなんて……するはずないじゃないですか」
「本当に時間を惜しんでいたのは私の方、なんて言えるわけもないですしね」
「さて、私も休みましょうかね……ふぁ……」
ここまでお疲れ様でした。実質の最終回でしたが、いかがだったでしょう?
このVol.2ですが、当初のプロットだととても短く、今の半分よりちょっと多いくらいで完結予定でした。
ですが、原作の方で更新されたアビドス編3章を読み、自分の中で咀嚼した結果。
「私の描く作品でくらいユメ先輩が完全無欠のハッピーエンドを迎えても良いのでは?」
となった結果、大きく軌道修正+ボリュームが増えました。しんどい。
ですが、本作のコンセプトは“ホシノが最高に幸せになる”ことが目的の作品。そこにユメ先輩がいないのは嘘だろうと。
いやまぁ、最初から登場させる予定ではあったんですが、原作だとね?そのね……辛かったんです。
なので、ユメ先輩にも問答無用で幸せになってもらうことにしました。
多くの伏線とそれの回収に苦しむ(自業自得)執筆はとても楽しかったですが、もうやりたくないよネ。
この作品でユメ先輩が好きな人が少しでも救われて、そうでない人も楽しんでくれたならば、ここまで描いた甲斐があると言うものです。
改めてここまで読んでいただいて本当にありがとうございました!多くのコメント、評価、お気に入りをいただけて感謝の極みです。モチベの有無はぶっちゃけここですから。
さて、そんな次回(エピローグ)からはですが、シリアスなんてないです。コメディもコメディ、ラブもラブ(下ネタ)入りでお送りします!
と言うことで次回“エピローグ:(意図せず)這い寄るユメ先輩 〜激おこホシノを添えて〜”でお会いしましょう!