ホシノ「私で童貞捨てたくせに……」「童貞ですけど!?」   作:群缶

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ちょっと甘いヨ。





τ-4:無自覚なのって罪なんですよ。お互いにでもね

 とある日の放課後。

 

 授業が一通り終わって、ちょっとした手伝いをした何気ない、いつも通りの日常。

 

 教室に残っているのは2〜3人程度。みんな窮屈な勉強から解放されて、思い思いの自由を楽しめる、学生にとっての一番楽しい時間。

 

 これにはもちろん俺も含まれていて、苦手で大嫌いな理数系の授業から解放されたときは、自然と伸びをしてしまった。

 

 さて、今日は何をしようかなと考えながら、リュックサックに教科書(技術ノートやBD)を詰め込んでいく。

 

 

「ふへぇ……」

 

「ん?」

 

 

 疲れ切って気を抜いたような声が聞こえて、自然と顔がそちらの方向へと向く。

 

 声の元は真横で、視界には机の上に突っ伏して“終わった〜”と伸びきっている女の子の姿が。

 

 

「随分疲れた顔してるなぁ」

 

「シュウくんもおんなじような顔ですよぉ……」

 

「俺、勉強、嫌い」

 

「あはは……」

 

 

 腕を枕にして顔を横にしたまま、いつもの呆れた笑いをこぼすヒフミを横目に片付け終えたリュックサックを背負う。

 

 ……う、地味に重い。

 

 帰るかぁ、と席から立ち上がるのと同時にバタバタと慌てたような物音がして足を止める。案の定ではあったが、ヒフミが慌てて立ち上がっていた。

 

 

「シュウくんシュウくんっ」

 

「はいはい」

 

「ブラックマ……あそこ、行きたいです!」

 

「……はいはい」

 

「露骨に嫌そうな顔しないでくださいよぉ……」

 

 

 嫌そうな顔ではなく、実際に嫌だからなんだけどね。

 

 そんなことは言葉にする必要はないか、とあえて黙っておき、焦って帰りの準備を始めたヒフミを眺める。ふむ。

 

 

「? どうしたんですか、じっと見て」

 

「んー……いや、なんだ」

 

「はい」

 

「ヒフミって女の子だよね」

 

「はい? ……えっと、男の子に見えますか?」

 

「ごめん、何でもない。行こう」

 

「へ? え? あ、まってください!」

 

 

 くるりと回れ右をして出入り口の方に歩きながら、今思ったことを先日の先生から指摘されたことを含めて、考え直す。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 

「おー、充実した生活を送ってるみたいだねぇ」

 

 

 ぴょん、そんな効果音が聞こえてきそうなジャンプとともに、俺のベッドに座った先生はそのまま部屋全体を見渡す。

 

 デスクにPC、椅子。その上に置かれたノート。

 

 安物でもそこそこ踏み心地のいいカーペットに、本から模型、フィギュアが飾ってある棚。

 

 部屋中央にある丸いテーブルと、少し小さい青色の座椅子と、変な顔をした鳥(ペロロ)の顔面型クッション。

 

 それらを見て先生はなんだか満足そうに頷いていた。それに加えてなんともご機嫌な顔で俺を見つめてくる

 

 

「なんです? あ、これ紅茶ですけど」

 

「ありがと。……あれ」

 

「苦手な味でした?」

 

「そんなことないよ。ただ、飲み覚えがあるなーって」

 

「貰い物ですからね。……で」

 

 

 ちょびちょびと紅茶の入ったマグカップを口に運ぶ先生に、本題というか疑問をぶつける。

 

 

「今日は急にどうしたんです? モモトークで来るって突然連絡きたときは、びっくりしましたよ」

 

 

 昨夜のこと。

 

 お風呂上がりで部屋に戻れば、画面が点滅しているスマホと目が合い、手に取ると。

 

 

『明日、シュウの家に行くからよろしくねー』

 

「はい?」

 

 

 多忙極まってずっと目の下に隈ができている相手からの気軽な来訪告知に、気の抜けた声が出たのは記憶に新しい。

 

 かなり突然のことに“なんかやらかした?”とか、“バレたか?”みたいな焦りもあったが。

 

 もし本当に悪い意味での訪問なら、それより先に電話が来るか、とひとまず先生が来るまで待つことにした。

 

 そして翌日である今日。学校も休みなので部屋でゴロゴロしていたら、お昼前に先生はやってきて。それで今の状況となっている。

 

 先生の斜め先にあるデスク横の椅子に腰をかけ、同じ紅茶を啜りながら要件を尋ねた。

 

 俺からの疑問に頭を少し斜めに傾げて疑問を浮かべた顔をした先生。でもすぐに“ああ”と頷いて。

 

 

「遊びに来ただけだよ?」

 

「それだけ?」

 

 

 俺が何かをやらかした可能性以外にシャーレの仕事かも、と考えていた身としてはかなり拍子抜け。今はトリニティの生徒になっているが、俺はシャーレに所属している扱いでもある。

 

 仮とはいえ、とんでもない権限を持つシャーレ。そこで当番以外で例外的に所属し、ある程度の権限もあることから時折、厄介な案件を俺が解決するということも。

 

 だから、トリニティ関連で何か頼まれごとをされるかなとも思っていたんだけど。結果は遊びに来ただけとは。

 

 

「うん。一応、こっちの生活に馴染めてるかなーって様子見もかねてだけど」

 

 

 言葉を一度区切って、目線をカップの中から俺に向ける。そして、この部屋で一際異彩を放つ、自分以外の誰かさんが置いていったであろう、ペロロクッションを見てひと言。

 

 

「問題なさそうだね〜〜?」

 

「すっごい腹立つ顔してますよ、今」

 

 

 ニヤァ。きっと漫画ならこんな効果音が出そうなくらい勘ぐった顔をする先生に、若干ピキった顔になる。

 

 俺の反応が予想していたものなのか、はたまた面白かったのか。先生はくすくすと笑いつつ、謝りながらも例のクッションを持ち上げて、少しふざけた口調になる。

 

 

「弟に色気付いた影が見えると、どうしようもなくイジりたくなる……友だちが言ってたことをやっと共感できたよ」

 

「お姉ちゃん、うざい」

 

「うっ……。あ、案外傷つくね、それ……」

 

 

 胸を押さえて顔を歪ませたお姉ちゃんこと先生。

 

 弟扱いはシャーレで慣れていたが、いつもその立場でやられっぱなしだったことを含めて反撃をしてみたが、意外にも効果的だった。

 

 ならば、もっと攻めてやろうと気軽に思った俺は。

 

 

「お姉ちゃん、婚期逃すよ?」

 

「シュウ、正座」

 

「はっはっは。あんまり揶揄うからですよ————」

 

「正座」

 

「え。あの……」

 

「正座」

 

「…………」

 

「シュウ」

 

「は、はい……」

 

 

 さっきまでの少し落ち込んだ顔はどこにいったのか。

 

 口は笑みを浮かべているのに、目は笑っていない顔で圧のある言葉と共にお説教を受けた。

 

 成人している未婚女性に婚期を尋ねてはいけない。俺、学んだ。

 

 

 閑話休題。

 

 

 昨日に作り置きをしておいたものを昼食にしつつ、先生とは雑談へ。

 

 基本的には俺がトリニティへとやってきてからの今に至るまでの報告的なものだった。

 

 だから先生が聞いて、俺が答えるのが主でキヴォトスに来たばかりの頃を少し思い出す。

 

 

「特にトラブルとかも起きてないんだね」

 

「はい。びっくりするくらい平穏です。銃声と爆発音以外は」

 

「あはは……それはどこに行っても同じだから」

 

 

 先生という立場にあるこの人との会話は、彼女を全く知らない生徒ならきっと緊張してしまうだろう。

 

 だが、こちとら数ヶ月以上の時間を共に過ごした。それこそおはようからおやすみまで。

 

 気づけば家族みたいな距離感になっていた。さっきの冗談まがいだった姉的な発言も、実は内心ではそう思っている節があったりする。

 

 

「ヒフミとも相変わらず……というかより仲良くなってるみたいだね」

 

「そっすか?」

 

「だって、ここにヒフミよく来るでしょ」

 

「え、はい。……あれ、話しましたっけ」

 

 

 俺の部屋、もしくはヒフミの家に集まって遊んだり、勉強をすることは結構な頻度でやっている。

 

 けど、それを誰かに言った覚えはない。なんで先生が知っているのか、と思ってつい口が開いた。

 

 疑問をぶつけた俺をみて、もぐもぐと口を動かしていた先生は特になんの表情の変化もなく、聞かれた疑問の答えをくれた。

 

 

「シュウからは聞いてないね」

 

「へ? じゃあなんで知ってるんです」

 

「ん、聞いてるからかな」

 

「はい?」

 

 

 なんか会話が噛み合わないな、と思ったのも束の間。

 

 先生がタブレットを取り出して、画面で何かを操作し始める。一体何をしているんだろうか、と思ったままその様子を黙ってみていた俺。

 

 時間にして10秒くらい画面をいじっていた先生の指の動きが止まり、顔が俺の方に向く。……なんでニヤけてんの?

 

 

「“今日はシュウくんといっしょに映画を見ました!”」

 

「……は?」

 

「“これシュウくんが作ったグラタンです。すごい美味しかったです!”」

 

「え、え?」

 

「“朝はお寝坊さんで、今日もぐっすりです”。……口開けて寝てるのは相変わらずだねぇ」

 

「ストップ、ストップです先生」

 

 

 急に押し寄せてきた情報量と謎の羞恥で、つい早口になって先生を止めてしまう。

 

 でも、そんな俺を気にせずにタブレットを見ながら先生は言葉を続ける。

 

 

「“ちょっとだけ落ち込むことがあったんですが、シュウくんが慰めてくれました”。あったかいミルクティーとはセンスいいね?」

 

「せいっ!!」

 

「あ」

 

 

 言葉でダメならと手で先生からタブレットを取り上げる。

 

 おおよそ見当がついている“誰か”から先生へのメッセージを確認すべく、画面を即座に確認する。そこには。

 

 

ヒフミ『明日はシュウくんの家でお泊まりですっ』

 

 

 そっとタブレットを机に置いて顔を覆う。

 

 

「…………………」

 

「おー。両手で顔を隠して言葉を無くす、なんて現実で見るとは思わなかったよ」

 

 

 マイペースにご飯を食べながら、俺の状況を実況するのはやめてくれないか?

 

 というか。

 

 

「なんすかこれ!?」

 

「何って。ヒフミからのメッセージだよ?」

 

「内容! 相手じゃなくて中身の話!」

 

 

 軽くスライドしただけでも、ヒフミと俺の日常が毎日のように並んでいる。しかもおまけの写真付きで、先生も何故か全てに反応している。

 

 なんだ、なんだこれは。別に自分とヒフミが何をしているかを彼女が誰かに話すのは構わない。そのはずなのにむず痒いくらいの恥ずかしさが胸の内に湧いてきている。

 

 そんな様子を見た先生が、なぜ毎日のようにヒフミが俺のことを話しているかを教えてくれた。

 

 

「いやぁ。最初はシュウのことが少し心配だったから、ヒフミにちょこちょこ様子を聞いてたんだ」

 

「な、なるほど?」

 

「けど、途中から私が聞かなくても、ヒフミがシュウとのことを教えてくれるようになってね」

 

「なんで?」

 

「気づいたら毎日モモトークが来るようになってさ」

 

「なんで??」

 

「ずっと楽しそうにしてるヒフミとシュウを見て、私も癒されてたよ」

 

「姉か?」

 

「シュウ、良い青春送ってるなぁ。ちょっかいかけたいなぁ。……ってことで今日来たんだよね」

 

「姉か!?」

 

 

 自分の知らないところで、そんな情報共有が行われているとはつゆ知らず。

 

 ほんの少しの焦燥感が出てきたところで、先生がふとこんなことを聞いてくる。その表情は何かを探るものに感じる。

 

 

「シュウ、ヒフミとは結構いっしょにいるの?」

 

「はい? うーん……基本的には?」

 

 

 急になんだ、と思いつつも素直に答える。

 

 そこからどれくらいの頻度で家に遊びに来ているのか、学校ではどんな感じなのか、などなど。

 

 今の日常を聞かれて素直に答えていると、ちょっぴり好奇心が芽生えた表情になった先生。

 

 一拍おいて、また先生が口を開く。けど聞かれた内容は随分と突拍子もないもので。

 

 

「そっかぁ。あんまり遠回しに聞くの苦手だから直球でいくんだけど」

 

「?」

 

「シュウ、ヒフミと付き合ってる?」

 

「はい?」

 

 

 ワクワクした顔で聞かれた内容につい、首を首をかしげる。

 

 付き合う、とは。この状況的に男女のお付き合いを指すことだと思う。

 

 俺とヒフミが?

 

 ………。

 

 

「はっ」

 

「鼻で笑うのは先生、予想外かな」

 

 

 つい柄にもない笑いが出たことで先生にツッコミを入れられる。

 

 けど、考えてみてほしい。俺とヒフミが? ないない。

 

 

「なーに言ってるんですか? そんなのあり得ないですって」

 

「ほうほう。シュウ、ヒフミのことあんまりなの?」

 

「めっちゃ好きですけども」

 

「お!」

 

「面白いやつですよね」

 

「えぇ……」

 

 

 大前提、俺はヒフミのことを大いに気に入っている。話していて楽しいし、人柄もびっくりするくらい良い子だ。嫌う方が難しいだろう。

 

 でも、女の子として見る前にこれまでの積み重ねや、ブラックマーケットでの件などがあるから、腐れ縁で仲のいい親友的なものが(まさ)ってしまう。それに。

 

 

「ペロロに対してのあの熱意、奔放さを見ると……ねぇ」

 

「あー、まぁ……。あそこもヒフミの良さ……だよ?」

 

「そんな捻り出すような声で言わなくてもいいのでは?」

 

 

 先生もヒフミの持つペロロへの愛を知っているからこそ、言葉に詰まっているのだろう。

 

 

「で、でもさ。その辺りを抜いたらいい子じゃない?」

 

「そうっすねぇ」

 

「と、遠い目……」

 

 

 その要素を抜けば、と言われても絶対に抜けない自信があるぞ、俺は。

 

 というか、なぜ先生はそんなにも俺とヒフミの関係性が気になるのだろうか。

 

 

「ただの野次馬根性だけど」

 

「おい」

 

「嘘嘘。割と単純なことなんだけど、シュウって女の子と一定の線引きしてるよね」

 

「そう、ですかね」

 

「うん。名前で呼ばないとか小さいとこだけど、距離感がちょっと遠いと思う」

 

 

 別に悪いことではないし、異性だからだと思うけどね? と先生に言われるが、まさにその通り。

 

 そこそこの時間をこっちで過ごしてきたが、いまだに女の子しかいない学校生活というのは慣れないもので、彼女たちとの接し方はまだ外の世界と似たものになっている自覚はある。

 

 

「そんなシュウがヒフミだけ呼び捨てなうえに、かなり気軽だからさ。特別なのかなーって」

 

「別に特別とかではないですよ。仲がいいのは認めますけど」

 

「ふ〜〜ん?」

 

「聞きたいことがあるなら答えますから、その顔やめてください」

 

 

 じーっと見つめられているのに加えて勘繰る表情をされては、なんだかバツが悪くなる。

 

 特段、隠し事なんてものもないからなんでも答えるぞ、と先生に意思表示してみれば。

 

 

「なら、ヒフミにドキってしたりは?」

 

「しょっちゅうありますよ」

 

「あるのっ!」

 

「はい。後ろから迫ってくるヤンキーのせいで俺の心臓はもう鋼です」

 

「………はぁ」

 

「なんすか」

 

 

 大きくため息をついて、期待はずれみたいな顔をされても。

 

 

「なら、可愛いとか思わないの?」

 

「キヴォトスの子、みんな可愛いですから」

 

「む……確かに」

 

 

 なんで全員顔が良いんだ、この世界は。

 

 何度かの質問を重ねて、最終的には俺とヒフミの間に男女の特別なものはないと証明する。先生は最後までどこか納得していない顔をしていた。

 

 

「うーん……私の気のせいだったかな」

 

「最初からそう言ってますよ……」

 

「なら最後に聞くけど」

 

「はい」

 

「ヒフミのこと、どういうふうに思ってるの? 友だち、とかじゃなくて。近しいものに例える感じで」

 

 

 俺が持っているヒフミのイメージ、的なことなのかな。

 

 うーん……手のかかる妹、は近い気がするけどしっくりこない。頭の中でヒフミを想像して、一番近いものを探していく。

 

 なんだろう、近い間柄……手はかかるけど放っては置けなくて、つい目で追う……。

 

 数分思考して、パッと出てきた俺の答えは。

 

 

「……………犬?」

 

「……うわぁ」

 

「違うんです」

 

 

 酷い誤解を与えるものだった。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 

「————って会話があったんだよ」

 

「シュウくん、私のことペットだと思ってるんですか……?」

 

 

 帰り道の中で数日前にあった先生とのことをヒフミに話してみれば、少し怒ったようにムッとした顔と、拗ねた声でそう言われる。

 

 ……ペット、ねぇ。

 

 頭ひとつぶんの身長差がある俺とヒフミ。少し視線を下げれば、そこには綺麗な金髪が。

 

 自然と手が伸びる。

 

 

「よしよし」

 

「ぁ……えへへ……」

 

 

 一瞬だけ目を見開いたかと思えば、次にはふにゃっと笑ってそのまま撫でられるヒフミ。きっと尻尾があれば、ぶんぶんと振り回していることだろう。

 

 数秒くらいそのまま俺にされるがままのワンコなヒフミを見て、思わず口が開いてしまう。

 

 

「ペットか?」

 

「……はっ」

 

 

 俺のツッコミで我に返ったのか、すぐさまさっきまでの怒った顔になるヒフミ。

 

 

「急に撫でるのはダメですっ」

 

「……」

 

「シュウくん、気軽にそういうことしちゃダメですよ? デリカシーとかそういうのを」

 

「うーん……」

 

「あの、聞いてます?」

 

 

 ぷんぷんしている癖に、急に不安そうな顔になった彼女の顔を見つめて思うのはふたつ。

 

 

「表情豊かだな、ヒフミ」

 

「へ? あ、ありがとうございます?」

 

 

 コロコロと変わる彼女の表情はとても可愛らしいもので、これまでに何度見てきた。

 

 けど、あの先生との会話があったからか。感じていた小動物に向けるような“可愛らしい”という感想が。

 

 

「……日が暮れる前にとっとと行こうぜ」

 

「え。あ、待ってください〜!」

 

 

“あれ。可愛いな、この子”

 

 ひとりの女の子に持つ、思春期の男のものが胸のうちに生まれていた。

 

 

 

 

 

 

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