ホシノ「私で童貞捨てたくせに……」「童貞ですけど!?」   作:群缶

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お久しぶりです。
一応Vol3のプロットが完成した報告と、最近更新ができていなかったお詫びでこのお話を置いておきます。

※シリアス注意




# Vol.3 / Vol.1 IF 暁の彼方へ送るレクイエム【断片】

 

 

 

 

 

 

 

 誰かの(俺の)記憶が蘇る。

 

 

「えっと……どなた、ですか?」

 

「————ぇ」

 

 

 それは、歓喜の表情から絶望へと落ちていく、ひとりの少女の顔。

 

 見覚えのある学校の教室の中で、まだ新品の制服に身を包んだ俺と、よく知っている先輩。

 

 これは初対面の記憶。違うのは場所と、ホシノの言葉。

 

 

 

 また、別の俺の(俺の)記憶が蘇る。

 

 

「……そ……き……っ」

 

「小鳥遊、先輩……?」

 

「嘘つきッッ!!!」

 

「っ!?」

 

 

 夜の闇と静寂に包まれた見覚えのある公園。

 

 小柄な少女に胸を掴まれ、絶叫されるように詰め寄られる。

 

 知っている女の子、親しく多くの感情を共有したホシノ。でも、この顔は初めて見るものだった。

 

 激しい怒り、狂しいほどの憎悪、信じていたものに裏切られた悲しみ。

 

 ずっと胸の中にしまい込んでいた感情が爆発し、反転した結果。

 

 

「っ、がぁ……!?」

 

「嘘つき、嘘つき、嘘つき……!!」

 

 

 黒く濁り、正気を失った瞳。

 

 ただひたすらに、抵抗することも出来ずに蹂躙される自分。

 

 背中に感じる冷たい砂の感触と息苦しさ、それから首が締め付けられる感覚。次第に薄れていく意識と、一心に受ける負の感情。

 

 頬に落ちた温い水。それは目の前で俺を組み伏せた少女の目から絶えず流れ出ているもの。

 

 視点は常に(誰か)のもの。

 

 完全に意識が落ちる刹那、正気に戻り、自分のしたことが信じられない、そんな顔となったホシノが見えて————。

 

 

 

 

 

 

「…………これ、は……っ」

 

 

 暗い、闇が広がる空。それは夜なんて優しいものではなく、異質なもの。

 

 落とした膝が感じる感触は硬くもなく、柔らかくもない奇妙なもの。

 

 切れた息を整えながら、この異空間の主であろう少女がいる方向へと顔を上げる。

 

 

「どうじゃ、死に際の一抹の味は?」

 

 

 白い煙を吐き出し、全てを見透かしたかのような視線が、俺の目をまっすぐ見据えている。

 

 背後には鳥居。そこへと繋がる石造の階段に腰をかけ、膝を崩した自分を見つめる外見は幼い少女。

 

 白に近い薄桃色の髪と狐の耳。複数の尾を持つ、ただならぬ雰囲気を醸し出す初対面の相手。

 

 

「きつけが必要かの? どれ……」

 

 

 まともに喋れない俺を見て彼女は、細長い煙管を持つ方とは反対の手を軽く振るう。

 

 瞬間、強く背を叩かれたような衝撃が襲ってきた。

 

 

「ぐ、ぅ」

 

「さて。改めて問うが、求めていたものは識れたな?」

 

「……多分、だけど。でも、なんで……」

 

 

 求めていた答え。この歪んだ世界が生まれたきっかけと、その始まり。

 

 きっと、先ほど見た……経験したものがそうなんだと思う。でも、どうして“ああ”なったかが全くわからない。

 

 困惑に染まった俺を見た少女は目を細め、口を開く。

 

 

其方(そなた)が……“その身体が”わからぬなら、妾にもわからぬ」

 

「……」

 

「だが、そうさな。決壊はそこかも知れぬが、根幹はもっと昔かもしれぬぞ?」

 

「昔……?」

 

 

 下げていた顔が自然と上がり、何かを試すような表情をした少女が視界に入る。

 

 一息、手に持った煙管を吸い込み、吐き出す。

 

 たったそれだけの動作でも、絵になる神秘的な雰囲気を持つ目の前の存在。

 

 ただ、その相手が次の言葉を出すの黙って待つ。

 

 

「何を惚けておる? 其方はすでに“過去”へ道を歩んだ経験があろうに」

 

「————」

 

 

 言葉を無くして、思わず身体が強張る。

 

 なぜ、知っている? なぜ、そこに触れた?

 

 まさか、“俺”を知っている? まさか、俺のことを……。

 

 心臓の鼓動が酷く早くなる。それを見た彼女は、ぴくりとも表情を変えず。

 

 

「識っておるとも。遠い世界のお客人よ。……中身だけとは言え、奇妙な縁もあったものじゃな」

 

「アンタは、一体……」

 

「ふむ? 妙なことを言うな。其方の方が妾を招いた(呼んだ)のだろうに」

 

 

 疑問の言葉とともに名も知れぬ少女は、音もなく立ち上がる。そして、鉛で固められたかのように身動きひとつできない俺の目の前で膝をつき……微かに微笑んで、口を開いた。

 

 

 

「妾はクズノハ。なぁに、ちょいとばかり其方の……シュウ(別の其方)の手助けをしに来ただけの者じゃよ」

 

 

 

 

 “崩壊した世界”。数多くの困難と失敗の先。

 

 砕かれた希望と、訪れた絶望の中。

 

 自分の知らない/よく知る少女。亡霊を見たかのようなみんな。

 

 きっと、ここは自分には関係ない世界。

 

 ただ、それでも。

 

 それが俺でない俺の失敗によって招かれた結果だとしても。

 

 大切な相手……少女(ホシノ)を救うことができるなら。

 

 俺はもう1度、あの子との出会いをやり直す。

 

 

 

 

 

 

 

 





ということで、“Vol.3 / Vol.1 IF”の予告的なものでした。

プロットはできていますが、まだ全然書いてませんし、IFが先にあるので投稿はいつになるのやら。

お察しだと思いますが、Vol.3なのでVol.2の先のお話です。でも、Vol.1のIFとかいう頭が混乱しそうなもの。

さらにさらに、Vol.1より難解なお話になるので、ボリュームがすんごい。現段階でVol.1よりも長くなってます。

で、メインヒロインはホシノ……まぁ、ホシノ? です。なんか黒くなってたりするかも知れませんが、そこは愛嬌です。

そして、私が書くのでしっかりハッピーエンドにはなるんですが……ちょっと重めな描写が多くなります。(その辺は今回のお話でちらっと出てきていますが。)

その辺を了承しつつ、「読みたい!」という方がいれば、なんとか……なんとかします!

ではでは、また次回。今度はI Fの本編更新になります。またね!


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