ギルドにいる過去を探られたくない人たちの話   作:しゃんでら

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自分が読みたかったものが無かったので作ってしまいました。誰か続きを書いてくれ……

因みに好きなタイプは、凄惨な過去があるけどそれを感じさせないように空元気で振る舞う人です


1話

それはいつも通りの朝のことだった。この国の人々の依頼を成功させて報酬をもらう者、即ち冒険者と呼ばれる者たちが依頼を受注しに来る場所である冒険者ギルド。色んな個性を持つものが、今日も今日とてボードに貼られてある最新の依頼と、大きな机の上に置かれてある仕事別に分けられたファイルから依頼を吟味する。目的は日銭を稼ぐためだったり、力試しをしたい者だったりと皆バラバラだが、集まっている依頼の量はかなりのものである。なのでかなり珍しい目的を持っていない限りは個人にあったものが見つかる。

 

他人よりも早く目当ての依頼を取ろうと皆が目を光らせていると、"彼ら"が現れた。

 

「おい、不干渉(アンタッチャブル)が来たぞ」

 

「さっさと依頼取ってずらかるぞ」

 

さっきまで騒がしかったギルド内が突然静寂に包まれた。原因は今入ってきた二人組だ。片方は黒いボロボロのローブを羽織い、フードを被っている。フードの影によって表情が見えない。だが体格から男だと判断できる。天井の明かりに反射して光る銀の十字架の首飾りは黒い格好がより存在感を高めている。もう片方は、白い法衣を着て金色の杖を握っている。顔立ちは中性的であり、体格もゆったりとした法衣によって分からない。なにより目立つのは、一対の純白の翼が生えていることだ。それよりこの人物が天使であることがわかる。

 

当の本人たちは、周りを一瞥もせずに真っ直ぐボードに向かい、その中から最高難易度のものを選ぶとさっさと受付所へと歩いていった。二人組がいなくなったのを機に沈黙が去った。

 

「また最高難易度かよ…よくやるぜ」

 

「ちょっと前に来たばっかりなのに、もうこのギルドでゴールド行ったもんね。こっちは三年もシルバーなのに」

 

冒険者は上からゴールド、シルバー、ブロンズの三つの階級に分けられ、更にブロンズⅠ、Ⅱ、Ⅲとまた三つのランクごとに振り分けられる。あの二人組は驚異的な早さでゴールドへと至った。階級を上げるためには依頼をこなし、指定された魔物を倒す必要があるのだが、最初から彼らは最高難易度の依頼を受けてそれに成功した。しかも、それが初めて来た日から何度も続いた。なので彼らは異例の飛び級によってゴールドになった稀有な例でもある。

 

そして、ここにいる者たちは彼らを恐れていた。それは圧倒的な実力……………ではなく、彼らの態度だ。

 

初めて最高難易度の依頼を達成した後、複数の冒険者たちが絡みにいったのだが、あまりおしゃべりが好きではないのかポツポツとしか話さなかった。必死に話に花を咲かせていた時、ある冒険者の一言が二人の空気を一変させた。

 

『あの依頼を成功させるなんてスゲーな。天使さんのその格好から見るに、宗教国家でなんかしてたのか?』

 

それを聞いた瞬間、黒いローブの男は固く握りしめた拳を思い切り近くにあったテーブルに叩きつける。天使は俯き、能面のような顔で小さな声で何かブツブツと呟いている。ただ事ではない空気に質問をした冒険者が謝ろうとするが、黒いローブの男が先に吐き捨てるように言った。

 

『二度と……俺たちの前でその話をするんじゃねぇ……。次言ったら、殺すぞ』

 

その男の発した殺気がギルド内にいる全員に突き刺さる。何人か泡を吹いて倒れるほどの強烈なものだ。皆が怯えるなか、男は天使の手を取ってギルドから去っていった。

 

その日から不干渉(アンタッチャブル)という名で呼ばれるようになったが、二人は特に気にしていない様子だ。周りの冒険者は二人の過去が気になってしょうがないが、もし嗅ぎ回っていると二人組(特に黒いローブの男)に確実に殺されそうなので、誰も二人の過去を知るものはいない。それどころか名前さえ分からない。受付所から出てきた例の二人組は、風のようにギルドから出ていった。

 

 

 

 

 

俺の名はローグ。最近()()()()()により、隣国であるこの王国に幼馴染みと二人でやって来た。そして冒険者ギルドで日銭を稼いでアイツと二人で暮らしている。巷では俺とアイツの二人組を不干渉なんて呼んでいるらしいが、アイツ以外のことなんざ至極どうでもいいし、アイツのことを考えると必要最低限の会話以外する必要がない。そもそも、俺たちは他人を信用していない。できるはずがない。俺たち、特にアイツは故郷で十分理解しているだろう。そしてあの時にもう一つ分かったことがある。周りが裏切っていく中、最後まで俺のことを信じてくれていたアイツは、【掛け替えのない一生の人物】だと。

 

だから俺はアイツのこと以外どうでもいい。もしアイツに何か悪意をもって接したり、危害を加えようとする奴らには、死ぬより辛い目に合わせる。

 

俺はアイツしか…………シエルしか………もう………。

 

 

 

 

 

 

 

私の名前はシエル。幼馴染みの彼、ローグと共に隣国である王国にやって来た。因みにローグという名は偽名だ。彼は故郷でやっていた仕事のことを、今でもとても後悔しており、自戒のためにローグ(罪人)と自ら名乗っている。だから本当の名を知っているものは、昔からの知り合いである私しかいない。けれど、私はその名で彼を呼ばない。それは彼が行っている禊を邪魔する行為だから。彼が自分のことを許せるときが来たら、私は一番早く言いたい。

 

「―――。お疲れ様」と。

 

 

今私たちは冒険者ギルドで働いて生活費を賄っている。一気に大量のお金を手に入れるために、毎回最高難易度の依頼を選ぶのだ。私は元々、そういう荒事とは無縁の生活を送っていたので最初こそ戸惑ったものの、彼が私の役割を詳しく説明してくれたので直ぐに慣れた。

 

仕事は上手くいっているけど、それ以外はあまり芳しくない。同業者とのコミュニケーションが特に絶望的である。私たちは、特に私は()()()()()によって他人と接することが出来なくなった。正確には出来るのだが、詳しく言うと信用することができなくなったのだ。だから私は彼としかまともに話せない。他人と話そうとすると、勝手に吃り、中途半端に開かれた私の口からは何の言葉も出なくなった。けれど私はそこまで気にしていない。彼と話せるだけで十分だから。

 

なにやら私たちは同業者たちの間で不干渉と呼ばれているらしい。確かに名の通りだ。私たちが干渉することは無いし、干渉されることも彼が許さないから。まぁ、彼が許さないと言ったのは過去を探ることについてなので、それ以外はある程度話せる。のだが、あの時彼の殺気に度肝を抜かれた人たちは『俺たちに関わってくるな』と勘違いしたらしく、それ以降相手から話しかけてくることは一切無くなった。彼との時間が増えたので個人的には嬉しく思っている。

 

今でもギルドに入るときに向けられる視線には慣れておらず、彼の手を握ってなんとか耐えている。私たちの故郷について聞かれた時も彼は、私の身を案じて周りを静かにさせてから、私を手を引いてギルドから出させてくれた。彼の優しさを感じて嬉しくなった反面、自分が情けなくなった。私は彼に助けられてばかりで、何も彼に返せていない。あの日、私を連れ出してくれたのも彼だったのに。考えていたことが顔に出ていたのか、彼は私に優しく語りかけた。

 

「俺も十分なほどシエルに助けられている。あの時俺が既の所で耐えれたのは、シエルが、シエルだけが俺を信じてくれていたからだ。俺はそれにどれだけ救われたことか。だからこれはあの時のことのお返しだ。まだ一割も返せていないが、俺は一生を懸けて返す」

 

けれど、ずっと助けられているのも申し訳ないので私もその分も返すと言うと、彼は一瞬だけ目を開き、直ぐに優しい顔に戻り告げた。

 

「ああ。お互い持ちつ持たれつの関係でいこう」と。

 

 

だから、私は彼と共にこれからも歩んでいく。他人を気にしている暇なんてない。もし、彼に嫌なことをしたら、私はもう容赦しない。過去のことはもう関係ないから。

 

私は…………ローグしか………ローグだけが………。

 

 

 

 

 

 




・ローグ(偽名)
宗教国家出身
その当時の職業 不明
性別 男
年齢 20
過去 不明瞭
大切なヒト、モノ シエル

・シエル
宗教国家出身
その当時の職業 聖職者
性別 天使のため不明
年齢 20
過去 不明
大切なヒト、モノ ローグ
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