ブルーアーカイブ -灰の翼-   作:空素

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あらすじ

スランピア到着
マエストロに遭遇

File-4(P.103)にて、紹介が抜けていた項目を追記しました。
追記した内容は以下の通りです。
・“スキル”の項目、“ユニークスキル”の欄に、新たに“クイックリロード”の内容を追加しました。


EP-7 スランピア不明現象調査

涸れた噴水と動かないメリーゴーランドは、スランピアが正体を現してから、突如として水が噴き出し、誰も乗っていないのに動き出した。

 

その広場の先に進めば、大通りに出る。

左右には商店が立ち並び、灯りが灯っているが、それと同時に道端には長椅子や台車、パラソル付きのテーブルなどの残骸が転がっているのも相まって、逆に不気味さを助長していた。

 

そして、その大通りには無数の影が蠢いていた。

それは、着ぐるみだった。

熊やうさぎといった着ぐるみが、背中のファスナーを全開にして、おぼつかない足取りで彷徨っていた。

人が入っていないのにも関わらず、こうして動いているのを見るからに、これもまた、電気の供給が無いのに動く設備の延長線に思える。

 

取り敢えず、攻撃が有効かを確かめる必要があるだろう。

私は遮蔽に身を隠し、その陰から手頃な近くのウサギ型の着ぐるみに標的を定めると、SRによる狙撃を見舞った。

狙撃の銃弾はウサギ型着ぐるみの頭部を撃ち抜き、撃たれた着ぐるみは倒れる。

普通に考えれば、起き上がりそうなものだが、撃ち抜かれた着ぐるみは動かない。

どうやら倒すことに成功したようだ。

銃撃も有効であると確証も取れた。

 

だが、その代わりに、周囲の着ぐるみの目が赤く光り、警戒体制に移る。

赤く目が光る着ぐるみは、倒れた着ぐるみの元に集まり、興味深そうに眺める。

やがて、警戒が緩んだのか目の光が消え、再び徘徊し始める。

──そのタイミングで、私は集まった集団が分散する前に、その中心目掛けて手榴弾を放り投げる。

 

手榴弾が地面に触れた音で着ぐるみ集団が再び目を光らせて振り向くと同時に、爆発が連中を爆炎で吹き飛ばす。

使用したのは通常の手榴弾である為、完全には倒し切れていないが、それなりのダメージを与えてはいるようだ。

 

私は更に畳み掛けるべく、遮蔽から飛び出し、地面を蹴った。

 

警戒状態で目を光らせる着ぐるみ達へと、ARの掃射とSGの連射を見舞う。

手榴弾で吹き飛んだ連中の大半をそれで撃破することに成功するが、それ以外の着ぐるみや、騒ぎを聞き付けた着ぐるみが私を敵と認識し、襲いかかって来る。

 

複数のクマ型の着ぐるみが、目を光らせて猛然と迫り来る。

サイズ感的には、シールド持ちの大柄なオートマタに近いか。

ウサギ型に比べれば、それなりに耐久力はありそうだ。

 

近寄られる前に素早くリロードを済ませ、クマ型の着ぐるみを迎え撃つ。

一番前のクマ型の着ぐるみが、近接攻撃で私へと腕を振るう。

着ぐるみの腕など、本来は当たったところで痛くも痒くもないと思われるが、万が一の為に、振るわれた腕を体勢を低くして躱す。

 

ブオンッ、と頭上を通り過ぎた風切り音は、まるで棍棒でも振るったかのような重々しいものだった。

やはり、受けずに躱して正解だったようだ。

 

そこへ、更に続けて、少し離れたところで立ち止まったクマ型着ぐるみは、両腕を合わせ、私に向けて地面に叩き付ける。

着ぐるみの両腕は石畳を砕き、その衝撃波が私の方へと飛んで来る。

 

素早く地面を蹴り、ステップで衝撃波を回避する。

並々ならぬ威力だとは考えていたが、まさか石畳を砕き、衝撃波を発生させる程のものとは思わなかった。

着ぐるみへの警戒度を引き上げる。

 

そこへ、また別の着ぐるみが迫り来る。

どうやら、この個体は近接攻撃をするつもりのようだ。

 

丁度いい。

 

私は右手のARをクイックチェンジでHGへと切り替える。

その直後、クマ型着ぐるみが私の目の前まで迫り、剛腕を振るう。

振るわれた腕が勢いに乗り、威力を発揮する──その刹那。

 

私は着ぐるみの胴体へとHGの銃撃を見舞う。

 

本来であれば、着ぐるみは銃撃をものともせず攻撃を続行し、私はその剛腕に殴り飛ばされていたかもしれない。

だが、そうはならず、クマ型着ぐるみは攻撃を中断し、膝を突く。

 

体勢を崩した着ぐるみへと、私は左手のSGを見舞うと、着ぐるみは体勢を崩していることもあって、踏ん張りが効かずに吹っ飛んだ。

吹っ飛んだ個体はそのまま撃破するが、別のクマ型着ぐるみが二体、左右から畳み掛けてくる。

すぐさま私はHGをARへと切り替え、狼騎士の旋回を使い、反撃しつつ後方に飛び退く。

 

クマの剛腕が、直前まで私が立っていたところを通り過ぎ、空を切る。

そこで私はすかさず地面を蹴り、滑空するように突進し、蹴りを繰り出し、二体を吹き飛ばす。

吹き飛んだ二体へと追撃する──その瞬間、私の体に無数の赤い線が注がれる。

それは銃弾の軌道であり、その予測。

私の“猟犬の耳”が捉え、感じ取った危険を“鴉の眼”に落とし込み、可視化されたもの。

その範囲から逃れるように、咄嗟に体を逸らす。

そのすぐ横を銃弾が通り過ぎる。

弾丸が飛んできた先を見れば、遮蔽からウサギ型の着ぐるみがこちらを覗き込んでいた。

そして、その手からは銃口が飛び出し、煙を上げていた。

 

一体程度の援護射撃程度であれば問題ない。

だが、ウサギ型着ぐるみはこれだけではなく、また他の個体も近付きつつある。

早々に片付けていかなければ、弾幕に晒されることになる。

元より手を抜くつもりはないが、急いだ方が良さそうだ。

 

──“歯車”を回さず、どこまで戦い抜けるか。

試すには丁度いいかもしれない。

 

先ずは、手前の手負いのクマ型着ぐるみへとトドメを刺す。

その為に、私はまず、左側の個体へと一気に詰め寄り、起き上がろうとしていた着ぐるみの頭部を思い切り踏み付け、地面に叩き付ける。

間髪入れずに、その頭部にSGの銃口を突き付けてクマの頭部を吹き飛ばし、もう一体の手負いの着ぐるみへと向き直る。

 

そこへウサギ型から援護射撃が飛ぶが、その射線をステップで文字通り掻い潜りつつ、手負いのクマ型着ぐるみへと詰め寄る。

起き上がったところだったが、そこへ蹴りを見舞って吹き飛ばし、壁に叩き付けると、追撃のSGを浴びせ、蜂の巣にする。

 

リロードしつつ、支援していたウサギ型の方へと向けば、新たにウサギ型が二体、離れたところにクマ型が一体、増えていた。

ウサギ型が遮蔽の陰から覗き込み、手から銃身を突き出し、銃撃する。

位置関係的には、私のほぼ正面方向にずっと横槍を入れていた一体のウサギ型がおり、大通りを挟んだ真向かいに追加の二体のウサギ型、その間、少し奥の方からクマ型が向かって来ている。

 

とりあえず、ずっと鬱陶しかった一体だけのウサギ型を処理することにする。

遮蔽に隠れているが問題ない。

私は地面を蹴り、その一体へと突進する。

当然、妨害に三体のウサギ型からの銃撃に晒されるが、その間隙を縫うように潜り抜ける。

だが、銃撃を走り抜けたところに、クマ型からの地面を割る衝撃波が放たれる。

 

しかし、私はこれをジャンプで回避し、同時に一体だけのウサギ型の元に降り立つ。

ウサギ型は驚いたようなわざとらしいリアクションを見せたかと思えば、両手から突き出した銃口を私へと向ける。

だが、弾丸が発射されるより早く、私は左腕を足で踏み付ける。

それによってウサギ型は体勢を崩し、右腕も狙いが外れる。

 

だが、そこで残る反対側の二体のウサギ型から射撃の予測が線となって私に注がれる。

そこで私は、目の前の体勢が崩れているウサギ型の後ろへと跳躍し、回り込む。

私に当たるはずだった銃撃は、そのほとんどが、私が肉盾としたウサギ型へと直撃し、蜂の巣にする。

銃撃が止み、用済みになったウサギ型を今度は私が、向こうのウサギ型二体へと遠心力を乗せて放り投げる。

 

二体のウサギ型は飛んで来た瀕死の個体を撃ち落とそうとするが、間に合わず巻き込まれる。

そして、その直後、()()の爆発が発生し、二体のウサギ型は諸共吹き飛ぶ。

投げる直前に、折角なので開いている背中のファスナーの中に、手榴弾を二つ忍ばせた。

銃撃で誘爆するかと危惧したが、上手くいったようで何よりだ。

 

さて、残すはクマ型のみ──となったところで、クマ型へと視線を向ければ、クマ型は近くに廃棄されていたポップコーンか何かのワゴン車を持ち上げていた。

今更だが、一体どんな力が働いているのやら。

これもまた、神秘による仕業なのか。

 

ワゴン車を持ち上げたクマ型は、それを勢いよく放り投げる。

──その直前に、私は既に切り替えていたHGによる銃撃を見舞う。

 

すると、クマ型はそのまま体勢を崩し、支えていたワゴン車は重力に従って落下し、クマ型を下敷きにする。

下敷きになったクマ型着ぐるみは、その重量に耐え切れずに弾け飛び、フェルトと綿を周囲に散らばらせた。

 

万に一つも、上手くいく確証のない、ぶっつけの試しだったが、上手くいって良かった。

攻撃に合わせて、HGの銃撃で体勢を崩せることは理解していたが、今回は少しばかり事情が違う。

近接攻撃ではなく、投擲攻撃だった。

だが、要はその原理は力が入っているところを脱力させれば良いわけなのだから、成功したのは道理だ。

とは言え、あれが片手で事足りる程度の投擲だった場合は、成功したか怪しい。

あくまでも、両手で持ち、踏ん張りながら全身での投擲攻撃だったからこその成功だったように思える。

 

その後も続々と現れる着ぐるみを難なく撃破して行き、周囲には着ぐるみの残骸が転がっていた。

 

その中で分かったのは、着ぐるみには貫通特性のARの銃撃が有効であるということ。

どうやら重装甲に分類される相手だったようだ。

とは言え、爆発特性のSGも素の威力が高く、近距離では威力が高くなる性質も相まって、十分にごり押し可能だ。

 

何はともあれ、これで彷徨っていた着ぐるみは全て倒し切った。

これで漸く、先に進むことができる。

 

私は各銃器の弾薬を確認し、リロードしつつ、万全の状態で大通りの先へと向かった。

 

そこは、開けた広場であり、周囲には先程と同じようなワゴン車やパラソル、椅子の残骸等が転がっていた。

 

だが、その中には明らかに不自然なものがあった。

 

広場の中心。

そこには、暗い青を基調に、水色の模様が浮かんだ直径一メートル程の箱が置かれてあった。

箱の横には取手(レバー)が付いている。

それはもう、誰が見ても違和感を覚えるほどに、周囲の景色から浮いていた。

 

明らかに分かりやすい、目に見えた罠だ。

 

広場からは、向かって右方向へと道が続いている。

道そのものは左側にも伸びているが、その先は残骸によって塞がれている。

 

何者かによる誘導の可能性が高い。

それも含めて、罠かもしてないが、ここは相手の誘いに乗るとしても、先に進むしかない。

 

だが、その前にまずは、目の前の広場の箱の正体を探る必要がある。

私はHGによる銃撃を謎の箱に見舞った。

 

反応は──ない。

着弾部分から煙を上げてはいるが、何も起こらない。

 

本当に単なる箱でしかないのか。

それにしては小綺麗過ぎる。

まるで今さっき、この場に現れたかのように。

 

私は意を決して、箱に少しずつ近付いていく。

箱との距離が、徐々に縮まり、十メートルを切った。

 

その直後、勢いよく取っ手が回り、蓋が開く。

中からは、青白い風船や煌めく紙吹雪と共に、何かが飛び出した。

 

それはデフォルメしたピエロのような猫のような、一見すると可愛らしいキャラクターを(かたど)った人形。

バネで箱に固定されているようで、分離はせず、バネの上下に合わせて、こちらを嘲笑うかのように跳ねる。

いわゆるビックリ箱だ。

 

そして、そのビックリ箱は、まるで意思を持っているかのように箱ごと人形が一緒に跳ねながら、こちらへと近付いてくる。

 

私は落ち着いて人形へと狙いを定め、HGの銃撃を見舞う。

銃弾は猫を模したピエロ風の人形の頭部に命中し、仰向けに転倒する。

 

その間に、私は左手のSGをSRに持ち替える。

 

ビックリ箱が起き上がり、再びこちらに迫り来るが、その前に、SRによる狙撃を頭部に撃ち込む。

着弾と同時に電撃が炸裂し、人形の頭部を灼く。

 

すると、人形はまるで隠れるように箱の中に収納された。

 

──そう思ったのも束の間、再びビックリ箱が開き、万全な人形が飛び出す。

どうやら、何度か倒さないと撃破できないようだ。

 

私は共鳴の幻視を発動させ、SRの威力を高めると、再び頭部を狙い撃つ。

チャージによる、雷光のレーザー。

放たれた青白い光線は、猫のような人形の頭部を消し飛ばす。

頭部が消し飛ぶ程の過剰なダメージを受け、人形は再び収納される。

SRは神秘の特性を持っている。

どうやら、このビックリ箱は神秘の特性が有効な、特殊装甲であるらしい。

青白い光も例のパワーローダーやオートマタと同じだ。

こういった敵は基本的に特殊装甲で、神秘属性が有効なのかもしれない。

 

三回目、再び箱が展開し、人形が飛び出す。

これで最後にして欲しいと考えながら、SRの光線で作業的に人形の頭部を撃ち抜く。

 

すると、人形が大きく仰け反り、飛び出す時の青白い光の瞬きと共に項垂れ、動かなくなる。

箱の中に戻る様子もない。

どうやら倒し切ったようだ。

 

ビックリ箱の表面が徐々に炭化するように黒ずんでゆき、風に流れて剥がれるように散っていく。

後には、普通の壊れたビックリ箱が転がっていた。

これもまた、動く着ぐるみと同じく、人々の様々な情念を宿し、神秘によって変異したのだろう。

 

そういったものがこの先にも待ち受けているかもしれない。

 

そんな考えを抱きながら、広場の右方向へと視線を向ければ、通りが奥へと続いていた。

相変わらず、左右の商店には明かりが灯り、賑やかに彩っているが、周囲に散乱するワゴン車やパラソル付きのテーブルや椅子の残骸によって、不気味さを演出していた。

 

何はともあれ進まなければ話は始まらない。

そちらの通路へと足を踏み入れ、走り出す。

 

──その直後、周囲の商店のガラスが次々と割れてゆき、何かが飛び出して来る。

 

それは先程のビックリ箱だった。

無数のビックリ箱は、私を発見し、跳ねながら近付いてくる。

 

どのビックリ箱も、遠距離攻撃をしてくる様子はない。

その質量で押し潰すつもりなのだろう。

 

神秘の特性が有効であることが分かった以上、その性質を有効活用しない手はない。

右手にHG、左手にSRを持ち、ビックリ箱の群れを迎え撃つ。

 

まず、距離が離れている今のうちに、できる限り数を減らす。

SRのチャージ機構を使用し、エネルギーをチャージする。

そして、直線範囲上に出来るだけ多くのビックリ箱が入るように狙いを定め、雷光の光線を放つ。

 

直撃したビックリ箱の人形が次々と箱の中に収納され、新しくなって飛び出す。

これによって十体近くが二段階に入れ替わったが、手付かずの個体が同じく十体ほど存在している。

 

それらが私を圧殺するかのように、迫り来る。

いくら丈夫なキヴォトスの住民の肉体と言えど、これだけの数の質量に押し潰されたら、ただでは済まないだろう。

 

私はクイックリロードを挟み、再びSRをチャージすると、その間に迫るビックリ箱を拳銃で牽制する。

 

SRのチャージショットのレーザー攻撃に比べれば威力は低いが、それでも有効的な属性と素の高い威力も相まって、牽制にしては充分過ぎるダメージを与えていく。

 

チャージが完了してすぐさま、レーザーを発射し、再び九体ほどを巻き込む。

 

中々の成果であり、このまま続けて行けば押し切れそうだが、そうはいかない。

 

SRのチャージレーザーを二度も撃ったことで、オーバーヒート状態だ。

銃身が冷却されるまで、暫くは使用出来ない。

 

SRを背中に背負い、代わりにARをHGと入れ替えて右手に握る。

貫通の特性は神秘程ではないにしろ、特殊装甲に有効だ。

無いよりはマシだし、何よりARであれば、狼騎士の旋回が使用できる。

回避と攻撃を兼ね備えた攻防一体の戦技は、こういった複数戦には相性が良い。

 

それに加えて、私にはもう一つ、切り札がある。

敵も密集しつつあることだし、一回使ってみよう。

 

私はHGで牽制しつつ、右手のARを一旦、仕舞い、懐からあるものを取り出す。

それは青黒い刺々しく角張った手榴弾。

 

それをビックリ箱が密集している場所へと放り投げる。

直後、発生するのは青白く迸る炎。

その炎は吹き飛ばすと言うよりは、広範囲に拡がり、巻き込み、飲み込む。

 

レンカの特製手榴弾。

その名も《蒼の雷光(Pale Bolt)》、通称、雷光弾。

炎ではあるが、雷光のように迸り、敵を焼くというところから雷光の名が付けられた。

黒火炎弾との差別化と思われる。

神秘属性の手榴弾であり、特殊装甲の敵に大きなダメージを与える。

青白い炎は暫くその場に残り続け、その間も敵を焼き続ける。

 

爆発時の炎に加え、持続する炎に焼かれ続けるビックリ箱の群れは、その殆んどが次の段階に移行していく。

中には、最終段階の三段階目に移ったものもいるだろう。

 

畳み掛けたいところだが、SRの冷却はもう少しかかりそうだ。

相変わらず、HGで迫って来るビックリ箱の人形部分を撃ち、怯ませて足止めする。

合間にクイックリロードも挟みつつ、銃撃を絶やさない。

 

彼我の距離が徐々に縮まりつつある。

ビックリ箱は道を塞ぐように通路全体に広がりつつ、距離を詰めてくる。

もう一度、雷光弾を使うか、それともARの銃撃も加えるか、というところで、SRの排熱機構が閉じた金属音が耳に届く。

 

そのタイミングで、私はARによる狼騎士の旋回で飛び退く。

左手のHGをSRへと切り替え、すぐさま、エネルギーのチャージを行う。

それと同時に、右手のARをHGへとクイックチェンジで切り替え、チャージ中も牽制を続ける。

 

チャージが完了し、青白い稲妻を帯びる銃身を迫り来るビックリ箱の群れに向ける。

引き金を離した直後、蒼雷の光線が一直線に迸る。

青白い閃光はビックリ箱の群れを貫き、人形を消し飛ばす。

 

現時点で、このSRは凄まじい威力と特異な機構を持つが、これでも完成には至っていない。

私としては、現段階で十分完成品として使えると思っているのだが、作り手のエンジニア部が納得していない。

まだまだ先を見据えて、改善案を模索している。

私としても、真っ当に改良される分には問題ないとして任せているが、この先、いったいどうなってしまうのか、正直不安しかない。

 

閃光が収まり、光線が通過した後には、全てのビックリ箱が撃破出来ているという訳ではないが、半分近くのビックリ箱が壊れたおもちゃのビックリ箱に戻っていた。

それと同時に、道が開けている。

今ならば通り抜けられるだろう。

 

SRを一旦、背中に戻し、HGとARを握って駆け出す。

残ったビックリ箱が私の行手を遮ろうとするが、私の方が早かった。

 

ビックリ箱の横を通り過ぎ、群れの壁を通過する。

 

──その直後だった。

 

“猟犬の耳”が危険を察知する。

導かれるままに地面へと視線を下ろせば、足元の円形範囲が赤く染まっていた。

咄嗟に、ステップでその範囲から逃れた直後、そこへ何かが落下し、爆発した。

 

飛んできた方向、建物の屋根の上を見れば、そこには何か青白い影があった。

それは咄嗟に屋根の向こう側に隠れてしまったが、今の影が先程の爆撃の犯人に違いない。

 

影の気配は屋根を伝って通りの奥へと向かっている。

誘いには違いないだろうが、それに乗るしかない。

背後からはビックリ箱も迫って来ている。

 

私は地面を蹴り、屋根上の気配を追うように駆け出した。

 

その先には、まるで城壁を思わせる建物。

その前へと辿り着いた瞬間、周囲から青白い火花の花火が打ち上がり、その景色を背に、何かが飛び出した。

 

その謎の影は、いつの間にか現れていた大玉へと着地し、両手を広げるポーズを取った。

それは、ネズミをデフォルメしつつ擬人化したような、“白”を基調としたキャラクターだった。

 

このスランピア──もとい、元となったユートピアのマスコットキャラクターだろうか?

しかし、その可愛らしい見た目とは裏腹に、私の戦闘本能は、スランピアに於いては、これまでに無いほどの脅威度を感知している。

 

花火が舞い散る夜空の下、“白”のマスコットは、無機質で不気味な笑顔を見せるのだった。




ビックリ箱エネミーは特別依頼クレジットの夜のネロになります

せっかくなので自力で動くことにしました

夜のネロが迫ってくるイメージとしては、エルデンリングのスライムですかね…
あんな感じで群れて、影の地のインプよろしくぴょんぴょん跳ねながら近付いて来ます

そして、何気に戦闘では初となる、ブルアカ総力(そうりき)戦ボスの《シロ》が登場
総力戦ボスで言えば、以前、ビナーには出会っていますが、戦闘はしていないので、戦闘はこれが初となりますね

これまでも激戦はありましたが、どれも任務ボスや道中ボスレベルの強化個体でしかありませんでしたので、完全な総力戦クラスのボス…大型ボスとでも言うべきでしょうか?
こちらは初のチャレンジとなります
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